念願の潜水士の資格を取得した仙崎大輔(伊藤英明)は、映画から1年後、一等海上保安士として横浜で老船の巡視船ながれに配属されました。船長の勝田(夏八木勲)は思慮深いベテランの現場主義者で、潜水士の隊長を担っているのは下川(時任三郎)です。下川はかつてバディの矢吹(布施博)が怪我をし潜水士を引退したのは自分の責任と考え、出世しての陸上勤務を拒み続けています。
仙崎のバディになったのは、エリートの特殊救難隊から出向していた池澤(仲村トオル)で、ストイックで回りと協調する雰囲気が無く仙崎に対しても「お前に助けられることはない」と言い放ちます。食堂での調理を担当している吉岡(佐藤隆太)は、場を盛り上げる明るいキャラで、皆の人気者でした。
彼らが陸で溜まり場にしていたのは「オーシャンズ」というパブ・レストランで、偶然に服飾デザインの仕事を始めた伊沢環菜(加藤あい)が店の2階に間借りして引っ越してきます。遠距離になっていた仙崎と環菜はこの1年メル友以上になれていませんでしたが、仙崎は再びアタックを再開します。
しかし、命の危険がある出動のたびに心配することに疲れてしまった環菜は、しだいに迷いが膨らむのでした。池澤の妻で、妊娠中の尚子(芳本美代子)と知り合った環菜は、少しずつ仙崎の仕事を理解していくのですが、そんな矢先、海賊に襲われたタンカーを追跡中に池澤が狙撃され亡くなってしまうのでした。仙崎は、池澤を失ったことに動揺し、目の前の目的を見失ってしまうのです。
2時間勝負の映画と違って、ドラマでは仙崎の成長と環菜との関係に焦点が当てられ、より深く描くことが目的のようです。人の命を救うことが仕事の最大の目的だったのに、仙崎は不審船への銃撃を行い、結果として相手の乗組員を死亡させることになる。また、池澤を殺した犯人たちが海に飛び込んだ際は、下川の命令に背いて救助を拒否して、自らの海上保安官としての立場を否定してしまいます。
環菜は仙崎の仕事が危険なもので、怪我をせず無事に帰ってくることをじっと待っていることに対する不安が膨らんでいきます。頭ではわかっていても、簡単に割り切れるものではありませんが、「先輩」である池澤の妻を通して、人として強くなっていくのでした。
ただし、テレビ局の方針・・・当時は当然視聴率第一主義ですから、視聴率を取るためには原作を好きに改変してもいいという驕りが、最初の映画から作者との間で大きな溝を作るようになったようです。最近でも、大きな問題になりましたが、原作に対するのリスペクトがあって、作者が十分に納得して了承しているならともかく、勝手にテレビ的に面白くすることはトラブルのタネになる。
フジテレビは、1980年代から「面白くなければテレビじゃない」のスローガンを掲げていましたが、この頃には「面白ければテレビは何をしても良い」という雰囲気に変わっていたのかもしれません。佐藤秀峰氏との関係はどんどん悪化し、最終的には2017年に作者とフジテレビの関係はすべての契約期限を迎えて断絶しています。
そういう事情も頭に置いたうえで、見る側は原作とはモチーフだけ利用した別物という前提で楽しむしかないのかもしれません。
