夏季臨時休診のお知らせ

8月15日(金)~8月20日(水)は臨時休診となります ご迷惑をおかけしますが、お間違いないようにご注意ください

2025年7月24日木曜日

ショウタイムセブン (2025)

韓国映画「テロ、ライブ(2013)」を翻案化したもので、「岸辺露伴」シリーズを手掛けているNHK所属の渡辺一貴が監督と脚本を担当しています。主演の阿部寛は同時期にテレビでもキャスター役を演じたので、ちょっとイメージが混乱した感じがします。

午後7時、NJBテレビでは人気番組の「ショウタイム7」が始まろうとしていました。同じ時に、同じ建物内のラジオ用スタジオでは折本眞之輔(阿部寛)の「トピック・トピック」がスタート。折本は時には過激な取材などでスクープをものにしてきたショウタイム7のキャスターでしたが、何かの事情により左遷されたのです。

リスナーの電話を受けるとウスバカゲロウと名乗る人物は、質問は無視して勝手に話し出すため、折本は早めに音楽を流すことにします。その間も、ウスバカゲロウは大和電力と政府に対する不満を喋り続け、これから都内にある局からも遠くない城東発電所を爆破すると予告するのです。

折本は勝手にしろといって電話を切りますが、その直後地響きと振動が曲にも伝わってきます。窓の外を見ると発電所の方角に大きな火災が発生しているのがわかり、折本は電話が本物だったことから警察には連絡せず、上司の東海林(吉田鋼太郎)にスクープネタとして提供する代わりにショウタイム7への復帰を迫ります。

再度犯人から電話がかかってきたので。東海林はそのまま現在のキャスターと安積(竜星涼)と結城(生見愛瑠)に犯人との折衝を任せようとしますが、犯人は折本以外とは話さないと言い、結城のピンマイクを爆破して気絶させるのです。折本は強引にショウタイム7のスタジオに戻り、犯人との会話を再開します。

犯人は大和電力で6年前に工事中の事故で父親が死んだこと、その工事環境が劣悪だったこと、さらに直後の国際サミットへの影響を恐れて内閣総理大臣の水橋(佐野史郎)の指示で事故そのものが隠蔽されたことなどを糾弾し、大和電力社長の四方田(石丸謙二郎)の直接謝罪を要求してきます。

犯人はスタジオ内は監視しており、各所に爆弾が仕掛けてあり、全員を殺すこともできると言います。しかも、折本が装着したイヤーモニターにも爆弾が仕掛けられていて、外せば爆発すると脅すのでした。犯人は、さらに水橋総理の直接謝罪を要求してきます。そこへ犯人の高校時代の担任をしていたという城(平田満)と名乗る人物がスタジオに入ってきます。

折本の注意を無視して城は「君は繁藤寛二だろう。バカなことはすぐに止めたまえ」と、むしろ犯人をあおるような強い口調で喋るのでした。激昂した犯人は城が胸につけたマイクを爆破し、城は倒れて動かなくなってしまうのでした。

ほぼリアルタイムに事件が進行している割には、だれずに次から次へと局面が変わっていくところはスリルが途切れないうまい作り。ただし、それはむしろ原作映画の手柄と言えなくもありません。さすがに阿部寛は名演技で、見ているものを引き付け続ける力を感じます。

ただしヒステリックな物言いが目立つ安積と、早々に気絶して終盤に意識を取り戻してトンチンカン振りを発揮する結城の新キャスター二人組がどうにも場を壊しています。特に結城については登場していない方が良さそうなくらいのもの。

また、視聴率のために何でもやってきた折本の素顔がわかってくると、主役への共感はしずらくなってくる。一方、犯人のやっていることも褒められたことではないので、中心となる二人のいずれにも感情移入しにくいので、見ていて映画の中に入り込むのが難しい映画だなという感じもしました。

報道とは何か、報道の正義とはなどの現在のテレビ界にも通じる硬派なテーマがあるはずなのですが、リアルタイム進行にこだわった分、事件の周辺への配慮はほとんど描かれていないので、内容は比較的薄っぺらと言わざるをえない。犯人の主張を言葉だけでなく、映像としても盛り込めていれば違った印象になったかもしれません。