自分はクラシック音楽がいいと言いつつ、もっともクラシックらしい(?)大編成のオーケストラはあまり好きではないという偏屈な好みなのです。
特にピアノ独奏は、クリニックのBGMとしても使いやすいのでけっこう集めました。いつものHMVでBOX物の全集をあさるときは、検索キーワードで"comp (complete) piano"と入れてみます。そんなこんなで、けっこう有名どころはだいたい揃ったような気がしているわけです。
チコリーニが弾くスペインのアルベニス、グラナドス、ファリャの曲集。チコリーニではサティ全集もあります。隠れファンのいる超絶テクで有名なアルカン。
グールドの演奏でほとんどがそろうJ.S.バッハの鍵盤曲。
ピアノの新約聖書と呼ばれるベートーヴェンの32曲のピアノソナタは、一番のお気に入りで最も多い。
オーピッツのブラームス全集。アシュケナージのショパン全集。ドビッシーとラベルはモニーク・アース。クナダールのグーリク全集。ショルンスハイムのハイドンのソナタ全集。
ドヴォルザークはBlliantの廉価盤で独走全集とデュエット全集。ヤナーチェクとスメタナもBrilliant。
リストはボレットとベルマンで主なところをおさえました。HMVでけっこうベストセラーになっているのはモンポウが自ら弾く全集。
モーツァルトのピアノソナタ全集も数種類。リルの弾くラフマニノフ全集。スクリャービンやサンサーンスの全集。シューベルトはケンプ。シューマンはケンプとデムス。
ショスタコービッチはペトルシャンスキーの全集と、ニコラーエワの名盤。セルバーダイのシベリウス全集。ポトニコワのチャイコフスキー全集。ちょっと意外なワグナーのピアノ曲全集というのもあります。
もちろん、まだまだ聞くべきピアノ曲はやまほどあります。ノクターンの創始者といわれているジョン・フィールド、メンデルスゾーンも無言歌集以外を聴いてない。フォーレ、プーランクなども拾えていません。
ただ、現代のアブストラクトな感じの物は、どうも何がいいんだかわからない。メシアンとか有名ですが、どうも気が引けます。ベートーヴェンのソナタはまだまだいろいろな演奏を聴いてみたいと思いますし、ショパンやシューベルトも別の演奏を聴くべきでしょう。
リストはあまりに膨大でどこまで聴けばいいのかわかりません。新しいところではロマン派的なメトネルも聴きたい。そんなわけで、何を聴けばいいかよくわからん、という人のために大変すばらしいCDを見つけました。
ピアノ名曲150選というタイトルは、音楽之友社との共同企画で同じタイトルで楽譜集も出ているので、ピアノを実際に弾く方にも好都合。
この手の企画は、だいたいいろいろな人の演奏を集めてきて組んでいることが多いので、辞典的にはよくても、一つ一つの音楽を聴こうと思うと、ばらばらな感じで楽しくないことが多い。
その点、この企画の素晴らしいところは演奏者がイリーナ・メジューエワ一人というところ。メジューエワはロシア人ですが、日本在住で活動し、女性らしい繊細なタッチと強靱な打鍵が評判なのです。メトネルも得意にしていて、自分的には注目していたわけ。
そこで、メジューエワのピアノが聴けるベスト盤であり、しかも有名な曲が網羅されているという点が大変お買い得ということなのです。難易度によって、初級編・中級編・上級編にわかれていますが、聴く側にとっては、どこにも均等に聴いたことがある曲は入っているし、また新たな発見も含まれています。
もともと数年前に録音された音源を中心に組まれているのですが、メジューエワのファンにとって注目すべきは、かなりの数の録音が昨年新たに録り直されたり追加されていることで、全部でCD6枚に7時間を超える量は凄すぎです。
名曲と呼ばれている曲を聴きたい方、あるいは弾きたい方、メジュヘエワのピアノに耳を傾けたい方には絶好のアルバムではないでしょうか。