弦楽器といえば、身近なところではギター。華がある独奏楽器ならバイオリンということになります。自分は、バイオリンの高音があまり好きではなく、チェロの低音域から中音域をカバーしたやさして響きの方が好きなのです。
そんなわけで、比較的バイオリンをまじめに聴くようになったのは最近のこと。バイオリンの固さを包み込んでくれるので、弦楽四重奏曲などはけっこう好みです。
さらに音に厚みが増すので、五重奏、八重奏なども気持ちよく聴けるのですが、そうやって弦楽器だけで構成されたオーケストラというのも、クラシックの一つのジャンルとして存在しているわけです。
某消費者ローンの宣伝(チワワの出てくるシリーズ)で使われて、一躍有名になったのがチャイコフスキーの弦楽セレナーデ。他にもドヴォルザークのものも有名で、しばしばカップリングされたCDがありますね。
マーラーの交響曲第5番の第4楽章は、弦楽器だけで演奏され、映画「へニスに死す」のラストを一気に盛り上げてくれました。「ウィリアム・テル序曲」などの歌劇で有名なロッシーニも弦楽ソナタと題して、それも第6番まで作曲するという熱の入れようです。
管楽器が入ってこないので、全体に優しい感じで、キンキンしたところがありません。BGMとしても極上のひとときを演出してくれるのです。そんな弦楽オーケストラの集大成とも言えるのを作曲したのがメンデルスゾーン。
メンデルスゾーンといえば、バイオリン協奏曲や「真夏の夜の夢」の中の結婚行進曲が有名ですが、かなりの多作家で、幅広いジャンルですぐれた曲をたくさん遺しています。そんな中で、「弦楽のための交響曲」というのを第1番から第13番まで作ってしまいました。
これは、なんと、メンデルゾーンが12歳から14歳の時に作曲した、管楽器の入った通常の交響曲を書くための習作だというから驚きです。ただでさえ天性のメロディメーカーだったメンデルスゾーンの曲ですし、長調が比較的多いこともあって、聴いていて疲れません。
さて、自分が持っているのは、いつものHMVにて購入した物で、古楽系指揮者ロイ・グッドマンと時代楽器を使うザ・ハノーヴァー・バンドの演奏です。1992年のデジタル録音でなかなかクリアな録音で、透明感のあるシャープなアンサンブルを楽しめます。