2025年6月23日月曜日
スパイスカレーとは
インド発祥と言われている「カレー」なる食文化が日本に入ってきたのは19世紀半ば、横浜港が開港しカレー粉が入ってきた時からといわれています。その後、中国料理の「ラーメン」と共に、「カレーライス」として独自の発展により今や国民食として確固たる地位を築いていることは誰もが認めるところ。
典型的なカレーライスは、牛・豚・鶏のいずれかの肉とタマネギ・ジャガイモ・ニンジンをあらかじめ調合されたカレー粉を入れて煮込み、小麦粉でとろみをつけて御飯にかけて食するわけですが、ひとまとめになったカレールゥを使うのが一般的。
ルゥはフランス語で油と小麦粉を混ぜてスープのつなぎに使う物の事で、このことからもカレーライスはいわゆる「欧風カレー」の日本独自の改訂版という趣があります。これに対して、カレー粉に複雑に配合された香辛料 - スパイスを、本家インドのやり方にならってバラバラに加えて仕上げるのが「スパイスカレー」と呼ばれるものです。
90年代初めに大阪の店で始まったとされていますが、「スパイスカレー」という呼び名は水野仁輔さんが2010年に著書で言葉を使ったのが最初で、以後その活動が広まり昨今の「ブーム」に発展したと言われています。
スパイスの基本的な組み合わせはありますが、インドでさえ調理人の裁量によって多種多様なレシピが存在するのと同じで、日本人がスパイスカレーと呼んでいる料理もその中の一つであり、日本独自の発展形と言うこともできます。
スパイスカレーは肝であるスパイスを除くと、驚くほど潔いくらいシンプルです。味付けも塩だけで、ほぼフライパン(あるいは鍋)一つ、コンロ一つあればできてしまいます。時間も早いもので15分、長くても30分以内で完成し、「翌日が旨い」などとまどろっこしいことを考える必要はありません。
ですから、慣れてくるとその日の気分でまったく新しいレシピができるかもしれない。一番美味しいと思うレシピにたどり着いたと思っても、それが正解とは限らないところが面白い。
そこが食べ歩きしたくなったり、趣味としていろいろ作って探求したくなるポイントになっているように思います。