2025年6月3日火曜日

クレイジークルーズ (2023)


企画・製作はNetflixで、2023年に配信された映画。「大豆田とわ子と三人の元夫」でペアを組んだ監督の瀧悠輔と脚本の坂元裕二が担当しています。

豪華客船のバトラー(執事)として様々な接客を行っている冲方優(吉沢亮)は、横浜に寄港して恋人が乗船してくるのを楽しみにしていました。しかし、横浜で乗り込んできたのは盤若千弦(宮崎あおい)で、冲方にあなたの恋人と私の恋人が浮気していると告げ、証拠のSNSのやり取りを見せるのです。

映画プロデューサーの保里川藍那(菊地凛子)は若手俳優の井吹真太郎(永山絢斗)と不倫旅行中。ヤクザの組長の娘である萩原汐里(蒔田彩珠)は、元組員の湯沢龍輝(泉澤祐希)と駆け落ち。そして医療界で絶大な権力を持つ久留間宗平(長谷川初範)は、息子夫婦(安田顕、高岡早紀)と孫娘の玲奈(大貝瑠美華)、家政婦の佐久本桂子(菜葉菜)とその息子で玲奈の相手をする奏翔(潤浩)を引き連れての学会旅行です。

冲方の恋人は、直前に仕事が入ったと嘘の連絡をして船には乗りませんでした。そのことを知った千弦は船を降りようとしますが、船はすでに横浜を出港してしまいました。

暗くなって、嫁にプールサイドに連れだされた宗平は、嫁が不貞をして産んだ子が玲奈であることを知っていると伝えると、嫁は発作的に宗平をプールに突き落としてしまいます。そのすぐ後に保里川、井吹、汐里、湯沢の四人、そして千弦と奏翔がプールに行くと、丁度誰かが悲鳴と共にプールに落ちてしまうのを目撃してしまいます。

宗平の息子は宗平の遺言状に遺産はすべて佐久本に譲るとなっていることを知っていたので、宗平の遺体を部屋に隠し、冷房を強くして何とか発覚を遅らせようとするのでした。冲方は船長(吉田羊)に、誰かがプールに落ちて死んだようだと報告しますが、事件があって横浜に帰ることになると困るので、全員が何も見ていないと証言するのです。

混乱を招いた冲方は謹慎処分を受けてしまいますが、それをいいことに、千弦と共に事件解明のため自由に行動することにしました。

一見、犯人が分かっている殺人事件ですが、そこはなかなか一筋縄ではいかないストーリーの展開になっていてますが、ミステリーとしてはそれほど上等な物とは言えません。どちらかというと、それぞれのカップルの利害打算がそこそこ面白く、どんどんカップルが入れ替わったりするのが楽しい仕掛けになっています。

中心になっているのは冲方と千弦の浮気された同志が、事件解明と言う共同作業を通じて段々惹かれあっていくところ。ちょっとしゃれた感じのセリフのやり取りが、気が利いていてよく考えられている脚本だと思います。

ですから、あくまでも犯人捜しよりもロマンスの行方を気にして見たほうがよさそうな作品です。つまりどちらかというラブコメと考えれば、、そこそこ面白い作品です。どうせ船長に吉田羊をもってきたのなら、女船長にもロマンスがあってもよかったかもしれません。それにしても多くの登場人物の名前が簡単に読めないのが辛い。