2025年6月10日火曜日

植物図鑑 運命の恋、ひろいました (2016)

有川浩の小説が原作で、高畑充希にとっては映画初主演作です。脚本は渡辺千穂で、「旅猫リポート」の三木康一郎が監督をしました。

不動産会社に勤める河野さやか(高畑充希)は、自分の事を幸運とは縁が無い女だと考えていて、仕事でミスをして上司に怒鳴られる生活を送っていました。料理は苦手で、昼もコンビニ弁当で済ませてしまっています。

2月のある日、今日も暗い気持ちでアパートに帰ってくると、駐輪場に男性(岩田剛典)が倒れていました。声をかけると、彼は「お腹が空いて動けません。噛んだりしません。しつけのできた良い子ですから、拾ってくれませんか」と言うのです。部屋にあげてカップ麺を食べさすと、3分待たずに固いまま頬張る姿にさやかは笑みがこぼれました。

翌朝、美味しい匂いで目を覚ますと、彼は朝食を用意していました。誰かにご飯を用意してもらうという初めての経験に感動したさやかは、しばらくここにいたらどうかと言うのです。彼は樹と名乗りましたが、苗字は嫌いだからと言いませんでした。樹は半年間同居させてもらうことになりますが、ちょうど半年後の8月15日はさやかの誕生日でした。

樹はさやかが帰るとコンビニでの夜勤のバイトに出るようになりますが、朝食とさやかの昼の弁当だけは毎日用意してくれました。そして、バイト代で購入した2台の自転車で、さやかを「狩り」と呼んで河川敷に連れ出すのです。そこで、樹は写真を撮りながらさまざまな雑草の名前を教えてくれて、食べれる草を持ち帰るのでした。

ある日、狩りで片足を濡らしてしまったさやかに、樹は冷えるからとハンカチを取り出して靴の中に入れました。それは女性物のハンカチで樹はバイト仲間にもらったと説明します。気持ちが乱れたさやかは、思わずバイト先を見に行ってしまいます。すると女性店員が樹のことを「日下部君」と呼んでいるのを聞いてしまいます。

さやかは帰ってきた樹に、「私は何にもあなたの事を知らなくて、あなたのことが好きだから悔しいけど、どうせただの同居人ですよね」と言ってしまいます。樹は「引き金を引いたね。僕が君を好きなことを見せないようにどれほど努力してきたと思っているんだ」と言うとさやかを抱きしめるのでした。

8月15日、約束の半年。さやかは不安な気持ちで家に帰ると、電気がついていません。でも、家に入ると電気がついて手作りの誕生日ケーキと立派な植物図鑑を用意した樹が待っていました。しかし、翌朝、机の上にはさやかを写した写真と狩りの成果のレシピノートが置かれ、樹の姿はどこにもありませんでした。

・・・もちろん安心してください。ハッピーエンドが用意されています。高畑充希と岩田剛典のW主演という形ですが、基本的にさやかの主観でストーリーは進行します。高畑充希はめちゃめちゃ可愛いし、草食系イケメンの代表格の岩田剛典とくれば、どう頑張ってもギドギドした展開はあり得ません。恋愛ドラマの王道みたいな作品です。

堅苦しいことを考えるような映画ではありませんから、素直に見て拍手したくなる佳作です。