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2020年3月29日日曜日

ジャズとは?

そもそもジャズって何? という基本的な話。

音楽の一つのジャンルとして使われる「ジャズ jazz」は、もちろんある日突然どこかで始まったわけではありません。この当たりの事に大変造詣が深く、日本のジャズ評論の草分けとして活躍された油井正一氏の著述に詳しい。

もう昔の話になりましたが、FM東京(いまやただのラジオ放送になり下がった感がありますが)が1973年から始めた、油井正一の語りによる番組「アスペクト・イン・ジャズ」が、自分のジャズの知識の基本を作りました。

この番組の中で、ジャズの歴史を紹介する一連のシリーズがあって、実際の音源を含めて説得力のある内容で毎週カセットテープに録音し、繰り返し聞いた覚えがあります。そこからの受け売りですが、記憶をほじくり返してみると・・・

19世紀にスペイン、フランスなどからの移住者と、奴隷としてアフリカからやってきた黒人たちが、雑多な文化を形成したのがニューオリンズ。黒人たちが持ち込んだ霊歌、ワーク・ソング、ブルースを基盤に西洋音楽の要素が加わりました。

主として演奏する黒人たちは、楽譜が使えなかったので、音楽を耳で理解し演奏することで、同じ曲でも演奏者によって違いが生じ、即興演奏の形式が出来上がっていきます。20世紀初頭には、色街であったストーリービルを中心にニューオリンズ・ジャズと呼ばれる音楽が定着し、各種のイベントなどで演奏されるようになります(白人が演奏するのはディキシーランド)。

当初から特徴的だったのは、オフ・ビート。例えば四拍子で、2拍目と4拍目にリズムを強調すること。1拍目と3拍目は表、オフ・ビートは裏と呼んだりします。

第1次大戦後にストリートビルが閉鎖されたため、ジャズはシカゴに北上、禁酒法時代にはニューヨークに進出。世界大恐慌から回復し、人々に余裕が戻った30年代にダンス音楽としてスイング・ジャズが全盛を迎えました。

しかし、40年代に入ると、白人が中心的だった精錬されたスイングに対してニューヨークのハーレムで、もっと自由に演奏を楽しむビ・バップと呼ばれる動きが登場します。50年代には、さらにアドリブに力を入れるハード・パップに進化。60年代には、コード進行の制約を取り払ったモード奏法、さらにはリズムの制約も失くしたフリー・ジャズが時代を席巻しました。

70年代は、しだいに若者の人気を集めたロックとの融合が進み、ジャズ寄りのロック、ロック寄りのジャズが登場し、それらが集まったものがクロスオーバーと呼ばれるようになります。80年代以後は全く垣根が取り払われフュージョンと呼ばれるようになりますが、それは同時にハードバップを中心としたモダン・ジャズの衰退につながりました。

ジャズの語源はわかっていません。ただし、デューク・エリントンの代表曲「スイングしなければ意味がない」のタイトル通り、ジャズの神髄はスイング、つまり音楽を聴いていると自然に体を揺らしたくなるところです。

そして、どのように進化しても、演奏者の見事な楽器の扱いと、その場で繰り広げられるアドリブを中心としたインタープレイが、ジャズをジャズとした所以であり、最大の特徴としてはずすことはできません。