シュテンツ(Markus Stenz)は、1965年生まれでドイツ人。1989年からハンス・ヴェルナー・ヘンツェが創設した、モンテプルチャーノ音楽祭の芸術監督を1995年まで務め注目されました。1994年にはロンドン・シンフォニエッタの音楽監督、1998年には岩城宏之の後任としてメルボルン交響楽団の音楽監督、そして2003年にはケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の首席指揮者となっています。
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団は、日本での知名度は高いとはいえませんが、1827年創設で歴史があり、首席にはギュンター・バントの名もあります。2015年からはシュテンツに変わってフランソワ=グザヴィエ・ロトを迎え、彼もまたマーラーに挑んでいます。マーラーとの関連もあり、第3番と第5番の初演はマーラー自身の指揮によって、ケルン・ギュルツェニヒ管が演奏しています。
2009年
第4番 クリスティアーネ・エルツェ
第5番
少年の魔法の角笛(14曲) クリスティアーネ・エルツェ、ミヒャエル・フォレ
2010年
第2番 クリスティアーネ・エルツェ、ミヒャエラ・シュースター
第3番 ミヒャエラ・シュースター
2011年
第1番、第10番(アダージョのみ)
第8番 バーバラ・ハーフェマン、オーラ・ボイラン、クリスティアーネ・エルツェ、アンナ・パリミナ、ペトラ・ラング、マリア・ラドナー、ブランドン・ジョヴァノヴィチ、ハンノ・ミュラー=ブラハマン、ギュンター・グロイスベック
2012年 第7番
2013年 第6番
2014年 第9番このセットは、単売のものはSACDでしたが、昨年登場したボックスセットは通常CDですが、早くも入手困難になりつつあります。また、ボックスには「少年の魔法の角笛」は含まれていません。
全体的には、クリアな音質で切れのあるマーラーという印象。感情に流されるわけではなく、冷静に音を紡いでいくのですが、要所要所ではビシッと決めることで、シュテンツらしさを感じることができます。
日本では、2010年にNHK響と演奏した第2番が話題になりネット動画で視聴可能です。全集でも、同年の録音ですが、だいたい同じ演奏がきけます。何と言っても、最終楽章でのドラムロールのクレッシェンドの長さは驚かされます。ためにためて大爆発を引き起こす演奏です。エルツェ、シュースターらの独唱も比較的癖が無く素直な声質で聴きやすい。
シュテンツは、最近はオランダ放送フィルと活動していて、マーラーのネット動画も公開されています。今後も活躍が期待される指揮者の一人です。