残念ながら、ここまで来ても政府のやりたいことに対するモヤモヤが払拭できない。
東京都の休業要請の範囲が広すぎると、政府は文句を付けているらしい。
つまり、ニュースによると「西村康稔経済再生担当相が対象地域となった7都府県知事とのテレビ会議で、休業要請を2週間程度見送るよう打診した」というで、国としては非常事態宣言をして「8割の人との接触を減らす」効果を見るまで待ちたいということ。
東京都が先に休業要請を出す業種を絞り込んで、先に会見で公表したことが気に入らない御様子。特に小池東京都知事の肩を持つつもりはありませんが、そこをはっきりさせないと、宣言した意味が半減すると思います。
できるだけ外出は控えてください、というのはもうさんざん言ってきたことで、8割減は表現が変わっただけのこと。それで効果が出なくて、感染者の増加に歯止めがかからないからの緊急事態ではないんでしょうか。
実際、自民党内部からも「8割なんて無理」と公言する人が出る始末(4月8日、二階幹事長談)。強制力無しに8割減らすというのは、最初から現実的ではないとは誰もが容易に想像できる。
確かに休業による全ての損失を国・自治体が補償することは無理ですが、この期に及んで休業要請を出すことで一定の責任が生じることを避けたいという政府の本音が現れているとしか言いようがない。
しかし、新型コロナウイルス禍が長引くほど、経済的な損失は膨らむ一方で、国としての政府の責任も肥大化するだろうことは間違いありません。諸外国の強制的な外出制限に少しでも近づいた形で、人の移動を制限することが必要な状態が非常事態なんだと思います。
感染者数の増加に対して、死亡者数の上昇が抑えられているのでまだ心配ないというような主旨の記事がありましたが、確かに日本の医療技術は高く世界水準を上回っていると思います。
現状の病院のベッドは、急性期用と慢性期用に分けられ、急性期の中でも特に重症者の管理に必要なのが集中治療室(ICU)のベッドです。
日本は病院の数は諸外国より多めで、急性期ベッドは人口1万人当たり77.9床と言われています。韓国は71.4、ドイツは60.2。しかし、イタリアは26.2、アメリカは24.4、スペインは24.3と少ない。
しかし、ICUのベッドの数は逆転します。日本は人口1万人当たり0.73床。韓国は1.06。ドイツは2.92、イタリアは1.25、アメリカにいたっては3.47で、いかに日本のICU病床数が少ないかがよくわかります。
もちろん医療システムの違いがあり、簡単に比較できるものではありません。保険制度の脆弱なアメリカは、重篤な患者さんしか病院に入らないということがあります。日本の方がいざとなったら、ICUとして転用可能なベッド数は余裕があるかもしれません。
ただしICUが少ないということは、人工呼吸器や人工心肺装置と言った高度の医療機器を扱いなれている医療従事者も、日本はけっして多くは無いということ。さらに医師・看護師の人口当たりの数は欧米に比べて、日本は少ない。つまり、ベッドが足りたとしても医療技術者のオーバーワークはあっという間に起こります。
昨日の東京都の陽性者発生数はさらに増加しました。だらだらと小出しの作戦で様子を見ていられるほど、余裕は無いと思うんですけどね。
不安を煽ることは良くは無いのですが、緊急事態宣言を形骸化させないためにも、もっと大々的にかつスピーディな方針が必要なんじゃないでしょうか。
不安を煽ることは良くは無いのですが、緊急事態宣言を形骸化させないためにも、もっと大々的にかつスピーディな方針が必要なんじゃないでしょうか。