2025年10月22日水曜日
給油口キャップ置き場
驚きました。いやいや、何十年生きていても、こんなことも知らんかったというものがあるものです。自動車の話です。
ガソリンの給油口。電気自動車でなければ、必ずあります。
ガソリンを給油する時、給油キャップはくるくると回転させて外します。
昔は、キャップは車の天井とかに乗せて給油をしていましたが、今では、そのまま落ちないように本体との間がストラップで繋がれているので、そのまま垂らしています。
まったくそれ以上のことは、何にも考えていなかった。
実は、給油口の蓋を開けるとヒンジのところに、丸いお皿のようなところがあるんです。
しかも、キャップがそこにぴったりとはまる!! キャップ置き場があったんです。
どうやらこの車だけではなくて、形状はいろいろみたいですが、このような仕組みはずっと昔からあるらしい。
ちゃんと車を作る人も細かいところまで考えているんですね。感心しました。
2025年10月21日火曜日
侍タイムスリッパー (2024)
何しろ、第67回ブルーリボン賞作品賞、第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞、第56回星雲賞メディア部門を受賞し、業界からも一般の観客からも確実に支持されたことは間違いない。
製作費2600万円という超低予算の自主製作作品で、8月にたった1館で上映が始まったものの、話題が話題を呼び次第に上映館が拡大し、半年足らずで約350館に達し、興行収入は10億円を突破しています。ちなみ同時期公開の「ラストマイル」は製作費5億円、興行収入57億円です。
監督・脚本・撮影・編集は安田淳一で、手が空いた時はその他の仕事も担当しています。スタッフは、驚くことに10名程度で、まさに全員ができることは何でもやって作り上げた作品といえそうです。安田は米農家を兼業していて、自主製作は3作目です。
時は幕末。会津藩士である高坂新左衛門(山口馬木也)は、長州藩士・山形彦九郎(富家ノリマサ)を討つべく、京都・西経時寺前で対峙するのです。しかし、その時落雷があり、高坂は現代にタイムスリップし、気がついた場所は何と京都・太秦の時代劇撮影所の中でした。
浪人者が町娘に手を出すのをかっこつけた侍が助ける場面が繰り返されたり、張りぼての魚が出てきたり、不思議な服を着た女性に邪魔だと追い払われたり・・・まったく合点がいかない高坂は、頭をぶつけて入院してしまいます。
病院で高坂はいろいろなものを発見して、何故かわからないけど自分が160年も未来の日本にいて、幕府は滅んだことをやっと理解します。絶望して病院を抜け出した高坂は、西経寺の前にたどり着き気を失ってしまいます。それを西経寺の住職が見つけ、寺に招き入れいろいろと面倒を見てあげるのでした。
西経寺は時代劇のロケ地としてしばしば使われているため、太秦で一度高坂を追い払った助監督の山本優子(沙倉ゆうの、実際の助監督も兼任)も寺に出入りしていて、彼女も高坂に斬られ役専門の剣心会への入門を世話するのです。最初は竹光・・・模擬刀を振り回すことに違和感があった高坂でしたが、本職の武士ですからだんだん斬られっぷりは上達していくのでした。
そんな中、時代劇を卒業したと言っていた人気役者の風見恭一郎が、新作として自身最後の時代劇を撮影することが発表され、その相手役として高坂が指名されるのでした。実は風見は、高坂と剣を交えた山形だったのです。彼は30年前にスリップし、やはり斬られ役から今の地位を獲得していたのでした。
侍が現代にタイムスリップしてくる話は、すでにいくつか映画にもなっています。それらも含めて、タイムスリップ物は文化の違いからくるいろいろなあわてぶりを描きながら、主人公がいかに元の時代に戻ろうとするかがストーリーの骨格にあります。
しかし、この映画が秀逸なのは、元の時代に戻るのではなく、いかにこの時代に適合していくのかという点にあります。しかも、侍が侍として今の時代に合法的に生きていくための最善の方法が提示されたことが素晴らしい。
安田監督は「真剣の重みを感じられる映画」を作りたかったと述べていて、模擬刀を用いる殺陣ではあっても、真の侍が命を懸けて真剣を振るう姿を再現したかったようです。それは物理的な戦いだけではなく、心理的な側面をも映画の中に焼き付けようという作業だったはずです。
主役の山口馬木也は基本的にバイプレイヤーですし、彼以外はほとんど知らない役者さんばかりなので、ある意味、ありえない話にもかかわらずストーリーの現実味が感じられます。ここに誰もが知る人気俳優が混ざってしまうと、とたんに嘘くささが出てくるでしょうから、逆に低予算自主製作映画の良いところが出ているのだろうと思いました。
2025年10月20日月曜日
オズランド 笑顔の魔法おしえます。 (2018)
波平久瑠美(波瑠)は、せっかく東京の一流企業に就職したものの、突然の人事異動で田舎の遊園地「グリーンランド」の企画部に異動になりました。指導係となった小塚慶彦(西島秀俊)は、グリーンランドを営業利益を倍増させたカリスマとして本社でも有名でした。
赴任してみると小塚はみんなから「オズさん」と呼ばれて、笑い顔を絶やさない人物でしたが、「なみひら」を「なみへい」と読み間違え、園内のごみ収集の仕事ばかりをさせて、せっかく久瑠美が考えた企画もほったらかしなのです。
ある日、園内で客から道を聞かれた久瑠美が答えられずにいると、一緒に入職しごみ収集ばかりしていた吉村(岡山天音)がさっと答えられたことにショックをうけます。何で園内中を歩き回ってごみを集めていたのかやっと久瑠美は理解し、愚痴ばかり言うのをやめます。自分もスタッフの一人として、遊園地に来た客を笑顔にするために努力するようになります。
たまたまオズさんが書いた退職願を見てしまった久瑠美は、オズさんがこの遊園地で世界一と言えるようなことをしたいと願っていたことを知ります。久瑠美は開園記念日に気球からたくさんの風船を落として客を喜ばせる企画を考え、オズには内緒のサプライズも用意して驚かせることにしました。
まぁ、安心してみれるハートフル・コメディです。それほど新鮮味があるストーリーではありませんが、楽しく働くことの大事さを描いているわけです。そういう意味では、あまり書くべき感想はないんですが、波瑠はまさにそのままのナチュラルな役なんで無理せず役をこなしている感じ。西島秀俊が、こういうユーモアのあるホコホコとした役もできるというところが新鮮かもしれません。
熊本県荒尾市に実際にあるグリーンランドで、ほぼ全編ロケが行われていて、地方にも立派な遊園地があることが何か嬉しい感じです。
2025年10月19日日曜日
グランメゾン★パリ (2024)
2025年正月映画として公開された映画ですが、もともとは2019年放送のTBS日曜劇場で放送された「グランメゾン★東京」の完結編にあたります。ドラマ版から通じて、脚本は黒岩勉、監督は塚原あゆ子が担当しました。2024年の塚原は、映画では「ラストマイル」、テレビで「海に眠るダイヤモンド」があり快進撃の1年になりました。
パリでミシュラン三ツ星レストランを目指していた尾花夏樹(木村拓哉)は、トラブルから夢破れた生活をしていましたが、絶対的な味覚の持ち主である早見倫子(鈴木京香)と出会ったことで、倫子をオーナーシェフとした「グランメゾン★東京」をオープンし、倫子に三ツ星を取らせるため奮闘するというのが、ドラマ版の骨格でした。
グランメゾン★東京が三ツ星を獲得したことで、ドラマにおける目的を達成した夏樹は表舞台を去っていくわけですが、夏樹自身の夢はまだ達成できていません。
映画公開前の2024年クリスマスイブに、単発のスペシャル・ドラマが同じスタッフ・キャストで放送され、コロナ禍で経営が苦しくなったグランメゾン★東京に対して、夏樹が「グランメゾン★東京を終わらせるため」に京都に店を開き挑んできました。これは倫子を奮い立たせるためのものだったわけで、そのことに成功した夏樹は再び自分の夢を叶えるためにパリに旅立つという内容となっています。
さて映画は、尾花夏樹がパリの料理界の重鎮から見込まれて開店した「グランメゾン★パリ」が獲得した二つ星を維持できたところから始まります。つまり、開店してから最低2年は経過していることになりますが、当然三ツ星を目指している夏樹は満足できません。
夏樹を支えるスタッフは、倫子をはじめ、昔からの理解者、京野陸太郎(沢村一樹)、相沢瓶人(及川光博)らに加え、バリで三ツ星のバティシエを夢見る韓国人のユアン(オク・テギョン)、移民で集まったいろいろな国の人々でした。
いまだに外国人という理由で食材の調達にも苦労している状況で、ついにオーナーから立ち退きを迫られることになります。三ツ星を取ることを条件に、立ち退きを引き延ばした夏樹は、自分のルーツを封印して徹底的にフランス人が好むフランス料理を並べようとしますが、ユアンの借金の取り立てによる暴力事件が発生し窮地に立たせられるのでした。
それでも、スタッフ全員が夏樹に三ツ星を取ってもらいたくて頑張っていることをあらためて知った夏樹は、スタッフそれぞれの国のアイデアを生かして、さらなる革新を加えていくのがフランス料理の神髄であることに気がつくのです。
当然流れから結末は容易に想像がつくわけですが、ドラマ版で濃厚な駆け引きを見ているので、2時間の映画に落とし込むには時間が少なすぎるような感じがします。もっとも、東京と同じことをパリでやっても二番煎じになってしまうだけですから、製作陣としてはその辺りが一番苦労したところなのかもしれません。
そして、舞台がパリで、ほぼ全編に渡ってフランス・ロケとなっているのは、見応えがある一方で、セリフの大半がフランス語、時に韓国語というのがやや観客のハードルを上げているように思います。これらは当然強制字幕になるので、始まってしばらくはセリフを読むのが精一杯で、登場人物の心情を感じ取るのを難しくしているのではないでしょうか。
ドラマを知っている者からすると、その辺りがややモヤモヤすることになるのですが、初めて映画から入る者にとっても、人間関係の説明は全く無いので「いつものキムタク・ストーリー」以上にはならないという、なんとも悩み深い作品になっているという感想を持ちました。
ドラマ終了直後に、小林圭氏が実際にフランスで三ツ星を獲得したことがニュースになり、しかも5年間それを維持しているという偉業を続けています。映画では彼が料理監修を行い、登場する料理は画面からも素晴らしい味や匂いが伝わるような撮影・編集がされているところは拍手喝采もので、これだけでも見る価値はあります。
2025年10月18日土曜日
半径5メートル (2021)
雑誌の生活情報記事のための編集部を舞台に、新人の女性記者が成長していくドラマで、NHKで全9回で放送されました。
週刊誌「女性ライフ」のゴシップ記事を追いかける花形部署の新人記者である前田風未香(芳根京子)は、スクープを取り損ね生活情報班に異動させられてしまいます。スクープを追いかけてギラギラしていた部署と比べて、すべてにおいてのんびりムードが漂い、メンバーも個性的でした。
デスクの丸山(尾身としのり)は、コーヒーをみんなに配るのが趣味でやりたい企画は何でも通してくれます。藤川ますみ(山田真歩)は、夫が単身赴任中で堅実な仕事ぶり。海老原香織(北村有起哉)は妻と離婚して、今は女性として生きるトランスジェンダー。そして、フリーランスですが、最も人気のある記事を連発する亀山宝子(永作博美)が、風未香の教育係になりました。
宝子は自分の周囲半径5mまでに見えてくる身近なものが大事と教え、風未香は宝子の何気ないアドバイスで、物事を一方向からだけ見ないで、その本質は何かを考えること、そしてそれを記事として文章に起こす力を少しずつつけていくのでした。
そんな中で、誤報をしたら記事にした人に一生消えない迷惑をかけることも知り、宝子がフリーランスになった秘密も次第に明かされていくのでした。
主たる演出を担当した三島有紀子と脚本の橋部敦子の企画から生まれたオリジナル作品で、相手との距離によって、どのように人と付き合っていくのかということをメインテーマにしています。
もっとも、舞台となる生活情報班の部屋はかなりモダンな作りで、現実の雑誌編集部としてはおそらくありえないくらいかっこいい。生活の中でいかにもありそうな話題を扱いつつも、あえてファンタジー感もそこそこ入れ込むことでギスギスし過ぎないような配慮なのかもしれません。
芳根にとっては、ちょっとコメディ調が混ざるお仕事ドラマは、たぶん最も得意なジャンルなのではないでしょうか。悩み苦しみながら、そして時にはぶれながらも、だんだん自信をつけていくのは、見ていてとても安定感があります。
2025年10月17日金曜日
どくせんじょう
驚きました。いやいや、何十年生きていても、こんなことも知らんかったというものがあるものです。
「どくせんじょう」というのは、一人欲しいままにできる場(状況、場面)という意味で、「一人」=「独」、「欲しいまま」=「擅」ということで漢字で書くと「独擅場」となります。
ところが、今、普通に同じ意味で使う言葉は「独壇場」で、読み方は「どくだんじょう」です。
独擅場 独壇場
パッと見ると同じじゃないかと思いやすいのですが、よく見ると・・・違います。
手へんと擅と土へんの壇という違いがあった。
独擅場(どくせんじょう)が、一人舞台を連想しやすかったため、舞台を意味する「壇」が誤って使われるようになって、独壇場(どくだんじょう)が普通に使われるようになったとのこと。
また、「擅」が当用漢字に含まれていないため、「壇」が代用されたことが間違いの始まりということもあったらしい。
ちなみに最終局面の事を「どたんば」と言いますが、こちらは漢字だと「土壇場」となり、本来は首を斬る刑場のこと。
2025年10月16日木曜日
OD調査2025
OD調査は、「全国道路・街路交通情勢調査、自動車起終点調査」というもので、国土交通省が5年に一度行っている調査です。これも統計法によって行われるようです。
日本全国の道路交通の実態を把握し、道路の計画、建設、管理などについての基礎資料を得ることを目的とした調査です・・・というもの。
そして、全国の緊急車両を除く三輪以上の全ての自動車のうち、国土交通省が令和7年(2025年) 5月末時点の自動車登録情報から無作為に抽出した車両の所有者を対象としています・・・なんだそうです。
・・・で、うちにこれがある、ということは当たりということ。以前にやった覚えが無いので、初めて選ばれてしまったようです。国勢調査は簡単だったので、ほとんどストレス・フリーでしたが、こちらは・・・
正直言っていっきにやる気が下がります。なんか面倒だなぁ・・・という気持ちが先に立ってしまい、調査票の内容をみると「やたらと細かいことを聞くなぁ」と思ってしまいます。
平日と休日のそれぞれ特定の一日を対象として、どのように車を使用したかを事細かに書くのですが、最初にその日に自動車を「使った or 使わなかった」を答えるので、「使わなかった」に〇をつけて終わりにしたい気持ちがでてきます。
とは言え、これもインターネットを利用した回答ができるので、ゆっくりやりたいと思います。
2025年10月15日水曜日
記憶屋 あなたを忘れない (2020)
監督は「約束のネバーランド」の平川雄一朗、脚本は平川と鹿目けい子です。エンディングテーマには、中島みゆきの「時代」が使われています。
もうじき大学卒業を控えている吉森遼一(山田涼介)は、母と幼馴染で故郷の広島から出てきて間もない河合真希(芳根京子)と暮らしています。遼一は沢田杏子(蓮仏美沙子)と卒業したら結婚することになっていましたが、ある日、急に杏子が自分の事を知らないと言い出します。
巷には都市伝説として記憶屋というのがあって、忘れたい記憶を消してくれると噂されています。遼一は杏子が記憶屋に自分の記憶を消されたのではないかと疑い、大学の先輩である弁護士の高原(佐々木蔵之介)に相談します。
最初は相手にしなかった高原でしたが、遼一が自分の周りで二人目だと言うと耳を傾けるようになりました。こどもの時、連続少女誘拐殺人事件があり、唯一命が助かったのが真希で、彼女は事件の事をまったく覚えていないのです。
遼一は消せる記憶なら戻すこともできるのではないかと思い、故郷に何か記憶屋に関する手掛かりが残っていないか高原と共に向かいます。真希の祖父(田中泯)に会いますが、何も手掛かりは有りませんでした。そこへ高原の助手を務める安藤七海(泉里香)から重要な手掛かりがあったと連絡が入りますが、戻ると七海の記憶屋に関する記憶はすべて消えていました。
高原も記憶屋にどうしても頼みたいことがあったため、遼一に協力していたのです。高原は脳腫瘍のため余命宣告を受けていて、一人娘を悲しませないために娘から自分の記憶を消してもらいたいと考えていたのです。強い頭痛に襲われた高原は、記憶屋のネット掲示板に「会いたい」と書き残すと意識を失い入院してしまうのでした。
結局、割と早い段階で記憶屋の正体はほとんど明かされています。そういう意味では、ミステリー的なところは強くない。ファンタジー系としたのは、記憶を消すことは超能力として片付けられているから。本来、忘れないと生きていけない辛い記憶を消すための力らしいのですが、ややそれ以外の目的で使われているところもあって、素直に喜べません。
ラストシーンも何となくモヤモヤが残る。結局何だったんだろうと言う終わり方なので、ロマンスを匂わせているにも関わらず、本来感情移入して泣く所も泣くに泣けない感じです。最後は記憶を消すことは罪としているけど許してあげようという、そんな解決でいいのかと思いました。
山田涼介の演技力は定評があるところなので、ここでもいい雰囲気をだしています。辛い過去を微妙に引きづる芳根京子も、間違いないところ。ただし、せっかく田中泯を起用していながら、これはちょっと役柄としては誰でも良い感じでもったいない。ベテランの佐々木蔵之介は、シーンを引き締めているのはさすがですが、ちょっと高原の描き方に物足りなさを感じました。
悪い作品とまでは言いませんけど、積極的に人にお勧めするのはちょっとしんどいかもしれません。
2025年10月14日火曜日
ライトフライト ~ 帰りたい奴ら (2009)
戸次重幸のDVDなどで見ることができる単独公演は、「アルプス」、「GHOOOOOST!!」に次いで3作目ですが、ここでもどちらかというとドタバタ的なコメディに仕上がっていて、「アルプス」と同じ時空を移動する設定になっています。
新規参入したニューアサヒ・スカイラインという航空会社の、初めて東京発札幌行きの便が離陸しようとしています。オカマのCAの釜田(福島カツシゲ)が登場案内をしますが、乗客は誰も聞いちゃいない。
乗客は、人気漫画家の富樫よね(川原亜矢子)と夫でありマネージャーでもある富樫明夫(六角慎司)、何か怪しげな医者っぽい黒田十一(戸次重幸)、今どきギャル風の宅間典子(小松彩夏)、いかにもハイジャックでもしそうな佐田武蔵(川井"J"竜輔)です。機長は堅物感ありありの早乙女青二斎(野中イサオ)で、副操縦士は某歌劇団の男役みたいな夜月ミチル(蘭香レア)。
離陸したとたんに佐田がこの機をハイジャックすると宣言するものの、持っている武器はダーツの矢ですから、乗客らの協力で簡単に制圧されてしまいます。そうこうしていると、飛行機は宇宙船と衝突し、宇宙人のソ(加藤貴子)が乗り込んできます。
ソは時空の歪みによって突然現れたわけで、飛行機自体もどこかわけのわからない場所に不時着していました。そこは原始時代らしく、あわてて機を離陸させます。時空の歪みに飛び込むと、そこは・・・いったい彼らは帰ることができるのでしょうか。
・・・という、もうほとんどナンセンス・コメディとしか言いようがないもの。正直な感想としては、あまり面白いものではありません。知的なイメージがある川原亜矢子が出演しているのが不思議でしょうがない。
まず舞台が題材からして広すぎる。機内の座席を正面から見ている設定なので、客席が横に広がり過ぎてかなり違和感があるし、それでも余ったスペースがもったいない。その上の2階部分みたいなところに操縦席があるのも変です。機内を横から見るような舞台の方が、まだ良いのではないかと思えてしまいます。
時空移動は二番煎じですし、特に不満を感じるのは、最後の結末シーンは紙芝居で説明して終わりというのは、かなり雑なエンディングです。うまい着地点を思いつかなかったので、取り急ぎ終わらせた感があるのが残念です。
2009年は2月から4月にかけてTEAM NACSとして「下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。」の本公演をしていて、戸次は夏には連続テレビ・ドラマにも出演していました。この舞台は10月から11月にかけて行われたので、戸次にとってはかなりハード・スケジュールだったのかもしれませんが、それを言い訳にはできません。
2025年10月13日月曜日
累 (2018)
唇から頬にかけて醜い傷がある淵累(芳根京子)は、大女優と呼ばれた故・淵透世(檀れい)の娘で、母から「独りぼっちで。本当に辛い時はこれを使うように」と口紅を託されました。その口紅を塗って誰かとキスをすると、姿や声がそっくり12時間の間入れ替わることができるのです。
透世の十三回忌で羽生田(浅野忠信)に声をかけられた累は、羽生田がマネージメントしている美しい女優り丹沢ニナ(土屋太鳳)の舞台を見学しました。何故か口紅の秘密を知っている羽生田は、透世の才能を受け継いだ累に、体調に不安を抱え演技力に問題があるニナの代役を務めるように言うのです。
容姿のためにずっと劣等感を抱き続けてきた累でしたが、毎日9~21時はニナと入れ替わり芝居のオーディションに合格、ニナが以前から憧れていた演出家・烏合(横山裕)に認められるのです。初めは累のことを自分が成功するための踏み台と考えていたニナでしたが、しだいに累に対して嫉妬を感じるようになり、ついに累を追い出そうとします。
しかし、ニナは持病の発作を起こし5か月もの間眠り続けてしまい、その間に累が演じる「ニナ」は大成功して世間に広く知られるようになってしまうのでした。ニナが目覚めた時、二人の立場は逆転していました。実は、透世も口紅によって他人の顔を使い続けていました。羽生田は過去に透世のマネージャーだったので、そのことを知っており、累を第二の透世として世に送り出そうと考えていたのです。
ニナは累の実家を訪ね、累の生い立ちや母の秘密を知ります。踏み台にされているのは自分であることに気がついたニナでしたが、「偽物が本物を超える」と宣言した累はニナの唇を自由に使うため睡眠薬で眠らせ続けるのでした。
18世紀の歌舞伎作者として有名な四代目鶴屋南北が、現・茨城県常総市の累ヶ淵を舞台とした怨念の物語をもとに狂言を作り人気を博しました。醜い容姿の累が義父に殺され祟り続ける話ですが、江戸末期の落語家・三遊亭圓朝が「真景累ヶ淵」という長大な怪談話としてまとめ上げたものが有名です。
この映画はこれらの物語からモチーフをもらっていることは明らかですが、自己中心的で演技力不足の美貌の持ち主ニナと、確かな演技力があっても醜さからくる強い劣等感を絶えず抱いている累という対照的な二人の主人公の対立軸がテーマです。
土屋太鳳と芳根京子は、数年土屋の方が先輩ですが、ほぼ同世代で容姿や体形も比較的似ていて、人の入れ替わり物としては絶妙な配役だと思います。両者とも、真逆な心理状態を表現しなければならず、しだいに狂気に飲み込まれていくかなり難しい役所だと思いますが、芝居をするシーンは本物でも偽物でもニナで、どちらも土屋太鳳が演技をするので、より土屋の方が大変だったかもしれません。
いずれにしても、二人とも見事にこなしていてなかなか見応えがあります。芳根にとっては、演技力を知らしめる絶好の機会になったのかもしれません。浅野忠信の演じる羽生田は、いかにもという演技なんですが、やや強引過ぎてもう少し透世に対する想いを丁寧に描けていれば厚みが出たかもしれません。
2025年10月12日日曜日
ガーデンシクラメン
シクラメンはサクラソウ科の多年草球根植物で、涼しくなってくると長期間楽しめる秋から春までの代表的な花です。
球根ですから、ちょっとがんばれば毎年楽しめる・・・はずですが、そのがんばりがなかなか難しく、結局毎年新たに買うことになります。
一般的にシクラメンは、鉢植えで日当たりの良い室内で育てます。
全体が小ぶりになったミニシクラメンも人気ですが、特に耐寒性に優れた系統のものが「ガーデンシクラメン」と呼ばれ、屋外でも楽しめるのでファンが多い。
ホームセンターでガーデンシクラメンが売り出され始めました。一株が327円となっていて、見栄えを良くしようとたくさん買うと、通常サイズの見栄えの良い鉢が買えそうです。
まぁ、どのように楽しみたいかの問題なので、個人の好みで選べば良いのですが、自分の場合は玄関をパッと明るくしたいので、大きくて立派なのがあると嬉しいかもしれません。
2025年10月11日土曜日
2025年10月10日金曜日
119エマージェンシーコール (2025)
今年の1月~3月にフジテレビで放送されたドラマなので、ご覧になった方もいることと思います。自分も横浜市が舞台だったこともあり、興味を持って見出したのですが、あのフジテレビ関連の大スキャンダルが発生したため、放送日程や、ロケ撮影に多大な影響が出て、ある意味最も割を食ったドラマだったのではないでしょうか。
横浜市消防局が全面的に協力して制作されたのですが、スキャンダル以後、協力のクレジットを表示しなくなり、屋外のロケも大々的に縮小されて、スタジオでの撮影が中心になりました。
新人指令管制員の粕原雪(清野奈名)は、こどものときに家が火事になり、119番の電話で指令管制員の声に励まされたことが今でも強く記憶に残っています。指令管制員の仕事は、ただ通報を受けるだけでなく、想像力をフル活用して少しでも要救助者を助けたいという信念を持っていました。
雪の教育係である兼下睦夫(瀬戸康史)は、元消防隊員でしたが、現場で自分の行動のせいで後輩に重い怪我を負わせたことで、指令管制に移動になりました。雪が自分の手配の結果などを確認するため後で現場に出向くことに批判的で、指令管制員は現場に指令を出すだけでいいんだと頑なな姿勢を崩そうとしません。
司令課3係には、粕原、兼下の他に係長の高千穂一葉(中村ゆり)、新島沙良(見上愛)、救命救急士の資格も持っている与呉心之介(一ノ瀬颯)、箕輪健介(前原滉)などとともに大ベテランの堂島信一(佐藤浩市)らが所属していました。
主人公たちは消防局の指令管制員であり、119番の通報を最初に受けて、適切に消防車や救急車を手配する役目を担っています。各個人の想いに関連した話とさまざまな現代の都会で遭遇する可能性のある事案を取り上げ、けっこう骨太なテーマとエンタメ性が両立したドラマとして成立していると思います。
スキャンダルの影響で屋外での撮影シーンが減っても、むしろ電話の声だけを頼りに様々な対応をする心理的な緊迫感はより強調されたと思いました。もちろんドラマですから、それぞれのキャラクターにはストーリー性が描かれていますが、かなり現実の状況を反映できているだろうと想像できます。
出演者の方々も、いろいろな制約の中で不安がいっぱいの撮影だったと思いますが、少なくとも良質な作品を世に送り出したことは称賛されてよいと思います。横浜市は消防局クレジット表記こそ取りやめましたが、最後まで実質的な協力は続けたことは良かったと思いました。
2025年10月9日木曜日
夕焼け
昨夕は、めっちゃ綺麗な夕焼けが広がっていました。
西の空です。
こういう時は、翌日の天気は晴れになるといわれています。
でも、夕焼けの明日は雨ということも聞いたことがありますね。そのあたりのことは、勉強したことが無いのでよくわかりません。
・・・なんてことを考えながら、仕事が終わって駐車場に向かうと、何とアンラッキーな出来事が起こりました。
何と駐車券を入れたら、「このカードは無効です」ときた。カードを傷めるようなことをした覚えはまったくありません。
まじか!!
精算機の電話で事の次第を連絡すると・・・係がむかいますので30分くらいかかりますと。
OH----!! NOォ~
本当に30分も足止めされてしまいました。
どうも夕焼けはあんまりいいこと無い・・・天気は雨になるかもしれません。
2025年10月8日水曜日
防犯砂利
近くのホームセンターで売り出していましたのが「防犯砂利」というもの。
何か耳にしたことがありますが、実物は初めて見ました。
踏んでみると確かに大きめの音がしますが、普通の砂利とどのくらい違うかはよくわかりませんでした。
大きな音がするので侵入者に気がつきやすくなるということで、防犯に効果的というのが売り文句になっています。
材質は廃棄されたガラスやセラミックなどを加工したものらしく、見た目ほどは重たくないようです。
ただし良いことばかりではありません。もとがガラスですから砕けやすいので、長期間使っていると粉塵のようになるらしい。
また、普通に歩いても音がするわけですから、もしかしたら隣近所に騒音として迷惑をかけることがあるかもしれません。
でかい袋(40L)が1780円になっていましたが、ある程度厚めに撒かないと意味が無いので、その量でたぶん1m四方くらいまでいけるかいけないかという雰囲気です。いろいろとよく考えてから購入しましょう。
2025年10月7日火曜日
中秋の名月 2025
何と、前日は見えていたのに昨夜は全天曇り。まったく月が見えません。
こればかりはどうしようもない。
中秋の・・・というと10月6日だったんですが、これはあくまでも旧暦の8月15日にこだわった決めです。
月の満ち欠けを基準にしたものですが、この周期は29.5日です。半分は14.8なので、真ん中を15日とすると、ちょっとずつずれるので、必ずしも中秋=名月とはならない。
今年の満月は10月7日、今夜です。
なので、「名月」にこだわるなら、ワンチャンありますので、今夜の天気に期待したいと思います。でも、台風来ている・・・・
とりあえず、ここでは過去の写真を楽しんでいてください。
2025年10月6日月曜日
the 波乗りレストラン (2008)
ふらーっと江の島にやって来た小波健二(大泉洋)は、食べ歩きしているうちに土産物屋をやっている長塚日出夫(西村雅彦)やシラス漁とシラス丼の店をやっているロッキー(布施博)、その妻であるマドンナ(富田靖子)らと知り合いになります。健二は、海岸のはずれにある2階建ての荒れた空家を友人から借りてレストランを始めるつもりでした。
準備を始めてはみたものの、健二はいつまでたっても準備中の札を出したままで開店しようとしません。すると長塚やロッキー、マドンナまで何となく出入りするようになります。さらに記憶喪失になった女性弁護士の孝子(白石美帆)、彼女の夫で孝子を見守るナポリ(岡田善徳)らも、やって来て「人生の休業」を始めるのです。
そして、休業中にもかかわらず「波乗りレストラン」には、次から次へと生活に疲れたり、生活がうまくいかない人々が集まってくるのでした。それでも健二はなかなか店を開こうとせず、みんなの話は聞いてあげても、自分のことは語ろうとしません。そうこうしていると、マドンナは自分をリスタートしたくなり、ロッキーに離婚を申し出ます。しかし、彼女は病が発覚するのでした。
出演者は豪華。それぞれがチョイ役ですが、他には平岡祐太、柳沢慎吾、星野真里、小出恵介、仲里依紗、小松彩夏、小倉久寛、杉本哲太、賀来賢人、かとうかずこ、戸次重幸、吉田照美、奥山佳恵、サンプラザ中野くん、高橋ひとみ、吉高由里子、でんでん、安田顕、岸谷五朗、田島令子、松下由樹、深津絵里、福山雅治・・・まぁ、出てくる出てくる有名人。
ストーリーとしては面白い・・・んですが、何しろ細切れ過ぎてどうも気持ちが付いて行きません。ショートドラマですからしょうがない。誰だって長く人間やってれば、少しは人生に疲れる瞬間はあるものです。これだけいろいろなパターンを出してくると、もしかしたら自分にも当てはまるなぁと考える人がいるかもしれませんけどね。
そう思った方は、是非DVDを用意しましょう。特典に全部をまとめ上げた2時間ドラマに編集し直したバージョンが入っているので、そちらを鑑賞しましょう。ただ、それはそれで登場人物が多すぎて混乱するかもしれません。
2025年10月5日日曜日
自由民主党新総裁
昨日、現政権与党である自由民主党の総裁選挙が行われ、高市早苗氏が選出されました。
まず、最も注目される点は、初めての女性総裁ということ。それが意味するところは、群雄割拠する野党が一致団結することはなさそうですから、日本で初めての女性総理大臣が誕生することを意味しています。
女性の社会進出に対して、自分は特にマイナスの思考は持っていないつもりですので、女性総理大臣の誕生には特別な感慨はありません。政治の世界は能力至上主義だと思うので、魑魅魍魎が巣くう永田町をしっかりとまとめ上げて、すべての国民が納得できる政治運営をしてもらえるのなら、男女関係なく応援できます。
ただ、高市氏のこれまでの行動・発言などで一抹の不安を感じる方は多いだろうし、自分もその一人であることは否定できません。メディアを通じて伝わって来た高市氏のイメージは、必ずしも良いことばかりではありません。
そもそも自分は自由民主党が嫌い。派閥と称して実際はいくつもの政党の寄り合い所帯にもかかわらず、自分たちの利益のために手を握り、政治家のための政治を構築してきたのが自由民主党だと思えるし、その古い体質を具現化した最後のトップが故・安倍晋三氏だと思っています。
高市氏はおそらく自他ともに認める安倍氏の崇拝者。アベノミクスを継続しサナエノミクスと呼び、憲法の「戦争放棄」の削除、女性天皇反対、教育勅語の復活、選択的夫婦別姓反対、靖国神社参拝・・・などなど、どう考えても高市氏はかなり保守的思考の強い人物と思えます。
自民党は変われるのか?? ・・・・おそらく、党員・所属議員は最も変革できない人物をトップに選出したと思います。またそれを許す、自民党にすり寄る泡沫野党にも大きな責任があるのかもしれません。
2025年10月4日土曜日
大阪万博
大阪万国博覧会2025・・・始まるまでは、いろいろとマイナス面の報道があふれかえって、どうなることか、他人事ながら気になっていました。
始まってみると、それなりに楽しいらしく、まぁまぁな入場者数となり、いよいよあと9日で終了です。
1970年の日本万国博覧会を知っている者としては、高度経済成長のシンボルみたいな意義があったことと比較してしまうと、今回はあまり開催する大義みたいなものは感じにくく、はっきり言えば大阪のローカルなイベントという印象は拭えません。
何かのイベントで集客して経済効果を得ようと言うのは、よくある発想です。それが悪いとは言いませんが、考え方としては使い古されたもの。主導した大阪府吉村知事は、全国レベルの日本維新の会の中心人物の一人ですけど、「新しさ」を感じません。
終了間際となって、「死に券」問題とか言われていますが、細かいことはともかく少なくとも「失敗」はしなかったことは良かったとは思います。自分は興味がないので行きませんでしたが、周りには出かけた方もチラホラ。おみやげが届いたりしました。
こういうのを見ると、やはり、あくまでもローカルイベントだなと感じます。もっとも、今回は「日本」ではなく「大阪・関西万国博覧会」という名称ですから文句はありません。
ただし、費用総額は約7,600億円のうちいろいろな収益で賄えない分は約3000億円の税金で補填するわけですから、そのうちかなり分は国税からの拠出であることは忘れてはいけませんね。
2025年10月3日金曜日
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう (2025)
自分が高校生だったのは1970年代のこと。おやおや、もう半世紀以上も昔の事になってしまいました。家は東京の渋谷。それも、明治通りと青山通りと表参道に囲まれた三角地帯の中。
そう言うと、さぞかし遊び慣れした高校生だろうと思うかもしれませんが、実際はそんなことはない。繁華街の真ん中にあるにもかかわらず、ごく普通の住宅地でしたから、むしろちょっと出歩くと流行に乗ってチャラチャラした人間ばかりがいて、地元民としてはものすごく嫌で反発した生活でした。
何かにつけて買い物とかで出かけるのは、当然渋谷。高校を卒業して、見事に浪人生活に突入し、ますます渋谷にいる時間が増えました。朝、代々木ゼミナールに行きます。真面目に講義に出ると夕方までかかるわけですが、そんな疲れることをするわけがない。昼頃には、もう飽きて渋谷まで歩きます。そこそこ運動になるので、悪いことじゃない。
ジャズ喫茶は、けっこうな音量でジャズのレコードで音楽を流す店。うまくもないコーヒー1杯200円くらいでしたか。リクエストをすると、レコードの片面、約20分くらいを聞かせてくれる。居心地の良い勉強部屋として、ほぼ毎日3~4時間は居続けて、そのうち数回はリクエストがかかる。
他にもハンガーにかかった衣料品を所狭しとひっかけてある店があって、そういう服は「ぶらさがり」と呼ばれていました。その奥には、さらに浪人生には無縁のラブホテルがあり、突き当りには何故かお稲荷さんもあるという、狭い路地なのにワンダーワールドでした。
そんな生活をしていた身としては、この秋の新ドラマの中で、三谷幸喜が演劇人を夢見ていた青春時代を投影した「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」は、直感的に注目せざるをえないタイトルでした。
難解な演出で劇団から総スカンをくらう久部三成(菅田将暉)は、ストリップショーとコントを行うWS劇場に紛れ込みます。コント作家の蓬莱省吾(神木隆之介)、ダンサーの倖田リカ(二階堂ふみ)、いざなぎダンカン(小池栄子)、ジャズ喫茶のマスターの風呂須太郎(小林薫)、横町の奥にある神社の巫女をしている江頭樹里(浜辺美波)らとの交流を描く群像劇となっているらしい。
とにかく出演者がゴージャス。他には市原隼人、戸塚純貴、アンミカ、秋元才加、菊地凛子、坂東弥十郎、井上順、野間口徹などなど・・・これも三谷人脈のすごいところなのかもしれません。
舞台は1984年ということなので、自分がこのドラマの舞台となる界隈にたむろしていたのは、もう少し前のことなんですが、視覚的にこの設定は脳裏に浮かばせることができました。で、早速ですが、10月1日にもうその第1回が放送されました。
実に三谷脚本らしいと言えば、誉め言葉でありその逆でもある。たぶん、いかにもという種々雑多な雰囲気は、かなり人を選ぶ可能性が高い。1回目を見て、続けて見ようと思う人と、もういいと考える人に真っ二つに別れそう。見続ける方を選んでも、ある程度の我慢が必要かもしれません。
1回目は主要登場人物の紹介でほぼ終わっている感じで、有名俳優が多すぎて誰を中心に見るか悩みそうです。もちろん、菅田将暉が主役なのは間違いないのですが、その他の人々の絡みが複雑です。
はっきり言って、この舞台となっている「八分坂」は、実際のモデルとなった百軒店をイメージできないとかなり辛いかもしれません。実際、イメージできる人はかなり限定的でしょうから、大多数の菅田ファン、二階堂ファン、神木ファン、浜辺ファンの方々はたぶんわからない。まったく未知の世界として興味を持ってくれることを祈るしかありませんね。
2025年10月2日木曜日
マイナンバーカード更新
マイナンバーカードには有効期間があります。
カード自体の有効期間は、発行日から10回目の誕生日(18歳未満は5回目)までとなっている。ただし、内蔵される電子証明書の有効期間は、年齢問わず発行日から5回目の誕生日までとなっています。
つまり、マイナンバーカード自体は基本的に10年間有効で、10年ごとに写真を更新する必要があるということなんですが、電子証明書が無効になれば使えないので、実質的には5年ごとに更新手続きをしないとダメということになっています。
ですが、ちょっと記憶が曖昧なんですけど、自分がマイナンバーカードを取得したのは交付が始まった2016年だったと思いますが、途中で区役所に出向いて更新手続きをした覚えがあります。あれは電子証明書の更新だったようです。
もうじき10回目の誕生日となるので、今回は更新手続きの案内というものが郵送されてきましたが、封筒には「マイナンバーカード・電子証明書有効期限通知書 在中」とあります。つまりカード自体も有効期限を迎えると言う意味のようです。
とりあえず、記載されているQRコード、あるいはPCサイトから更新の手続きが行えるので、早速実行してみました。
これは実に簡単で、記入する項目も単純なものばかりで、後は写真をアップロードすれば終了です。写真は自撮りでもOKですが、背景は無地の上半身などの制約があります。
注意が必要なのは、この手続きはあくまでも「交付通知書」を受け取るための「申請」手続きです。交付通知書が手元に届くのには最大で1か月近くかかると明記されているので、少なくとも誕生日の1か月前までには申請手続きをしておく必要があります。
交付通知書が届いたら、通知書と本人確認できるものを持って、横浜市の場合は各区役所かマイナンバーカード特設センター(予約制)に出向いてカードを受け取ることになります。
結局、出向かないとダメなのは何とかならんのでしょうか。これだけ個人確認の方法がいろいろ出てきているのですから、マイナンバーカードの取得を100%にしたいのなら(現在約80%)、オンラインですべての手続きを終えて最終的に書留とかでの郵送で受け取れる仕組みを考えてもらいたいものです。
2025年10月1日水曜日
赤い羽根
10月です。
今日から「赤い羽根の募金」が始まります。始まりのニュースは毎年よく見かけますし、政治家の方々がこれ見よがしに胸に赤い羽根をつけていたりするんですが、数週間すると募金箱を見かける機会はめっきり減ってしまいます。
本当は、募金期間は翌年3月末までのようなんですが、終わりがいつかは話題にならないし、むしろ赤い羽根の事はとっくに忘れているというのが正直なところだと思います。
募金と引き換えに、赤い羽根をもらえるのは「共同募金」というもので、1947年に民間から始まったもの。
今では、社会福祉法により整備された社会福祉法人中央共同募金会の事業になっていて、それぞれの地域で、助成要望に応じて募金を配分していくものです。
募金をするともらえる赤い羽根は、アメリカにならったものですが、最近は原料入手困難になっていてシールになっています。
2025年9月30日火曜日
資格確認書と資格情報通知書
資格情報通知書というものが郵送されてきました。
比較的厚いA4サイズで、マイナンバーカードに健康保険証を紐づけした、いわゆる「マイナ保険証」を所有している方に送られてくるものです。
この通知書だけでは保険診療を受けることはできません。ただし、マイナ保険証の読み取りなどに不具合が生じた場合には、マイナ保険証と通知書をセットにして提示していただければ健康保険扱いができます。
とはいっても、これを持ち歩くというのは現実的ではないので、あまり利用価値は感じられないというのが正直なところです。
マイナ保険証を所持していない方には、資格確認書というものが送付されているはずです。呼び名が似ていて間違いやすいので、何か他のネーミングにしようと考えなかったのでしょうか。
資格確認書は従来のキャッシュカード大の保険証と、ほぼ同じ外観です。まさに、これなら今までの保険証でいいじゃないかと思うのが当たり前。せめて、呼び名は資格確認カードくらいにしてくれればわかりやすい。
マイナ保険証を持っていても、暗証番号を忘れたり、そもそもカードリーダーの操作が不可能という場合には、マイナンバーカードの写真などを見て、医療機関側が目視確認する方法も提供されていて、もう何でもありみたいな感じになっています。
ただし、目視確認はいちいちリーダーの設定を変更しなければならず、受付業務としては非常に煩雑なためとてもおいそれと対応できるものではありません。
何にしても、様々な混乱はまだまだずっと続くんでしょうね・・・・
2025年9月29日月曜日
ラッキーセブン (2012)
大泉洋の連続テレビドラマのレギュラー出演は、2005年の「救命病棟24時 Season 3」から始まり、2007年「暴れん坊ママ」で準主役、そして2008年「赤鼻のセンセイ」では主役と言う具合に出世しました。そして、2010年にはついにNHK大河ドラマ「龍馬伝」で重要な役を演じるまでになっています。2012年のこのドラマでは、主役の嵐の松本潤人気で大ヒットしましたが、準主役として瑛太と共にチームをまとめるそこそこ大事な配役を得ています。
もう一点、注目したいのは脚本チームの中心になったのが野木亜紀子というところ。2010年に脚本家デビューし、実質的にプロの脚本家として初めて参加したのがこのドラマで、全10話のうち7話に関与しています。すでに、スピーディな展開と、各登場人物のキャラクターが実に魅力的に描かれています。
北品川のラッキー探偵社は、社長が藤崎瞳子(松嶋菜々子)で、開業から瞳子をサポートする筑紫昌義(角野卓造)、ベテランの旭淳平(大泉洋)、武術の達人であり理系知識も豊富な新田輝(瑛太)、サバサバした女探偵の水野飛鳥(仲里依紗)、そして事務員ですがデジタル系に強い茅野メイ(入来茉里)というメンバー。
フリーターでセレブな女性と付き合ってヒモみたいな生活をしていた時多駿太郎(松本潤)は、ラッキー探偵社の素行調査にひっかかり金づるを失ったことで、探偵社に怒鳴り込んできますが、逆に瞳子に探偵としてスカウトされるのでした。
調査して終わりじゃ満足できない駿太郎に影響されて、問題の解決にも力を貸すようになり、チームはちぐはぐながら少しずつまとまっていくのでした。
瞳子の父は弁護士でしたが、今では大会社になった八神コーポレーションの16年前の地域開発の不正を暴こうとして、謎の死を遂げていたのです。八神の犯罪の証拠となる父の手帳を巡って、八神の手のうちの者が暗躍し始めたため、チームにも事情が知られたことで、彼らは一致団結して巨悪に立ち向かうことになるのでした。
やっぱり松本潤は喧嘩はそこそこ強いハンサム担当。瑛太とは事あるごとにぶつかり合うのですが、力では武闘派の新田に軍配が上がります。大泉の役どころはコメディ担当ですが、チームをまとめる係であり、時々はアクションも披露します。また警察の女性刑事(吹石一恵)との間に、ドラマの中で唯一のプチ・ラブラブ・パートも担当する美味しい役所です。
まぁ、大泉洋目当てでみるドラマではありませんけど、ドラマとしての完成度の高さは十分に評価されますし、松潤・瑛太のアクションも堪能できるのでお勧めです。
2025年9月28日日曜日
赤鼻のセンセイ (2009)
北海道のローカル・タレントとしては、知名度・人気が抜群に高くなったTEAM NACSのメンバーたちでしたが、2004年に初めて東京に進出し、大手芸能事務所AMUSEに所属して北海道以外でも活躍を始めました。
TEAM NACS の「切り込み隊長」、「広告塔」、「客寄せパンダ」と言えば大泉洋。瞬く間に、地上波テレビ・ドラマに出演するようになり、2008年には「アフター・スクール」で映画の初主演を果たしました。そして連続ドラマで初めて主演に起用されたのが、2009年の日本テレビのこのドラマでした。
脚本は2006年以降、大泉洋とのテレビの仕事が多い土田英生が中心となって作られていますが、モデルとなったのは昭和医科大学の院内学級を支えている副島賢和氏で、「あかはなそえじ先生」と呼ばれて病気のこどもたちから親しまれています。
石原参太朗(大泉洋)は、家電量販店の仕事をクビになっているところに、恩のある桜山総合病院の前院長(神山繁)から病院内の学校の先生に誘われます。病院の院内学級の責任者は太川絹(小林聡美)、美術担当は権田(光石研)、音楽担当は西森(平岩紙)らがいて、病気で長期療養しているこどもたの勉強を見ていました。現院長はおおらかな桜山真(上川隆也)で、小児科には若手医師で責任感が強い七瀬遥華(香椎由宇)、物静かな遠野(高橋努)医師がいました。
院内学級を利用している最年長は中学3年生の八重樫(神木龍之介)で、慢性の難治性小児喘息で長期入院を余儀なくされ、志望する高校からは受験を拒否されてしまいます。中学2年生の和田雅樹(須賀健太)は、重症の白血病。同じ中2の田中香(高良光莉)も慢性腎臓病により、退院の目途がたちませんでした。
院長の真は自らつなぎと言い、兄の優秀な幸一がアメリカから帰国すると、院内学級は不要と考えている幸一が院長になってNICU (新生児集中治療室)設置のため教室は閉鎖されることになると言うのです。
新米教師の参太朗は鼻に赤いボールをつけて、オヤジギャグを飛ばし、空気を読まず突進するためいろいろと問題を起こしますが、少しずつこどもたちも心を開くようになり、自らも命と向き合う彼らから多くの事を学んで成長していくのです。
病気で苦しむこどもたち・・・というのは、描き方によってはかなり重苦しいテーマなんですが、登場する人々全員が「明日を信じて」成長していく前向きのストーリーは、ベタですど素直に感動して共感できる。
初めて連続ドラマの座長をした大泉洋にとっても、比較的入りやすい役柄だったのではないでしょうか。そもそも、大泉をよく知る土田が最初から脚本を大泉に当て書きしたのだろうと思います。
小林聡美も参太朗に困りつつも見守り、必要な時は遠回しにアドバイスする先輩教師を好演しています。ただし太川先生の描き方だけは中途半端なところがあり、彼女の過去の話について途中で放棄してしまった感があるのは残念なところです。
参太朗は「人は笑うために生きている」という信念をもっていて、オリジナルなのか出典があるのかわかりませんでしたが、確かに「名言」だと思います。笑うことは大きな呼吸をして横隔膜を動かし、全身の血流が良くなることは明白で、新陳代謝を促し病気に対して良い方向に向かせるのです。
2025年9月27日土曜日
カメヤ演芸場物語 (2004)
浅草の亀屋という演芸場に集う人々の人情味あふれる群像劇であり、大変よくできたストーリーです。時は1970年頃の高度経済成長期で、若者の一部は体制打破を目指した学生運動に身を投じていた時代の日本です。
亀屋演芸場の支配人は佐竹(森崎博之)、事務をしているのは御所河原(山村素絵)、芸人をめざしている夏目(飯野智行)が進行係です。楽屋に出番を待つのは、やたらと高座に出たがる落語家の出船亭金朝(川井"J"竜輔)、若手のトリオ・ザ・ハイセンスの石崎(岩尾亮)、クニ(江田由紀浩)、チー子(小島達子)の三人、そしてベテラン夫婦漫才のロマン(大泉洋)・カレン(棚田佳奈子)たちです。
ロマンは酒浸りで、カレンとの間に喧嘩が絶えません。石崎は芸に真剣に取り組んでいて、真面目にネタを覚えず稽古もしないクニに厳しく当たります。そこへ、学生運動家の一斉検挙を逃れてきた秋田徹郎(音尾琢真)が逃げ込んできます。この際だから、ほとぼりが冷めるまで夏目と組んで漫才をするようにロマンから勧められます。
石崎からそんな甘いもんじゃないと言われた秋田は、意地になって夏目と漫才をしているうちに、しだいにここにも一生懸命になれるものがあることに気がつきます。酒に飲まれていたロマンは、カレンが病気で倒れたことで酒をやめてカレンをつきっきりで看病するようになりました。
ネタが飛んで途中で舞台を降りてしまったクニに石崎は激怒して、トリオ・ザ・ハイセンスはついに空中分解してしまいます。自分の余命を悟ったカレンは、チー子にカレンを継いでほしいと言い、自分の芸のすべてをチー子に教え込むのでした。
そして、二代目カレン襲名披露の日、カレンは無理を押して楽屋にやってきます。しかし、一人きりになって面白くないクニが、秋田のことを警察に知らせたため、刑事と警察が踏み込んでくるのです。佐竹らが今日のステージがどれほど大事か必死で説明し、これだけはやらせてほしいと頼み込み、前座の秋田と夏目はステージに向かいます。
ロマンは、初めてカレンと上がったステージのことを思い出していました。ロマンの話を聞きながら、カレンは静かに息を引き取るのです。ロマンは「さぁ、しっかりと聞いていてくれよ」と言うと、チー子を連れ立ってステージに向かうのでした。
よくあるストーリーなのかもしれませんが、目標は違っても何かに向かって熱くなる人々がたくさんいた時代の空気を、とてもうまく描き出した舞台だと思いました。笑うところはそこそこありますが、かなりTEAM NACSの三人に頼っているところはちょっと残念かもしれません。
2002年には、似たようなテイストの「亀屋ミュージック劇場」を上演しており、2020年には本作を再演をしていますが、そこでロマン演じたのは「水曜どうでしょう」ディレクターの藤村忠寿というのが興味深い。作者の稲田博にとっては、それなりに思い入れがあるように思います。
年に2本のペースで舞台を行っていたイナダ組に、大学卒業前から在籍していたTEAM NACSの面々にとって、ここでの経験は演技者として大きく成長する糧になったことは間違いありません。
2025年9月26日金曜日
TKG
TKG・・・と言えば、まぁ、普通は「卵かけ御飯 (Tamago Kake Gohan)」というのが、世間の相場となっている。
大好きな方はかなりの高級卵をチョイスするようです。
中にはかけるタレなんかに、ものすごくこだわる方もいらっしゃるわけですが、自分的にはこどもの頃から大好きだったTKGはこちら。
豆腐かけ御飯 (Tofu Kake Gohan)です。
絹ごし豆腐をぐちゃぐちゃに潰してご飯と混ぜる・・・と言うと、何か汚い感じがしますけど、卵の場合だって同じです。ご飯の白和えと言えば耳障りがいい感じです。
豆腐の味噌汁だったりすると、わざわざ豆腐を取り出してTKGにすることもありました。
タレは醤油オンリーで十分。変に凝ったりすると、せっかくの豆腐の美味しさが半減してしまいます。
卵はずいぶんと価格が上がってしまったので、6個入りの物だと安いものを探しても1個40円くらいはします。豆腐は小ぶりの150g×3個パックが99円。1パックで十分ですから、1食33円ですむのも嬉しい。
これからはTKGと言えばこちら、となる・・・わけはないかな。
2025年9月25日木曜日
国勢調査2025
5年に一度の国勢調査が始まっています。
国勢調査は統計法という法律に基づいて、国籍を問わず日本に居住しているすべての人(世帯)に回答義務があります。
昔は一般から募集された調査員の方が、一軒一軒に回答書を配布し、かつ回収するという方法が取られていました。
うちの家内も調査員をしたことがあるのですが、何度も何度も訪問しなければならなくなり、なおかついろいろと文句も言われて苦労していました。
今はインターネットのサイトから回答が出来るので、調査員の方もだいぶ楽になったのではないでしょうか。スマートホンでもQRコードから回答可能です。
なお、メールで回答依頼が来る場合がありますが、少なくともメールで回答依頼してくることは絶対に無いのですべて詐欺メールなので注意が必要です。
実際、オンラインでの回答をしてみると、実に簡単で時間も数分間で終わりました。あれっ? こんなに少しだっけ、という感じ。
どう考えても、日本という国が以前のような勢いが無くなってきている中で、調査の結果でそれが明らかになるのかもしれません。
それでも、その中で課題を整理してより良い国作りに役立てる大事な資料になることを願うばかりです。なお回答期限は10月8日となっています。
よれよれになってきた与党、自由民主党の総裁選挙が始まりましたが、現状では総裁が自動的に総理大臣になるのでしょうから、一般国民には投票権はありませんが無視してもらいたくないと思います。
新総裁、新総理大臣には、国勢調査の結果をしっかり吟味してもらいたいものです。
2025年9月24日水曜日
2025年9月23日火曜日
アルプス (2004)
この公演は「ロックメン」と呼ぶ札幌で活動する各劇団のメンバーで結成した演劇ユニットによる「旗揚げ公演」として行われた、戸次重幸の作・演出の舞台です。ただし、旗揚げとなっていますが、その後は活動実績はありません。メンバーは戸次以外は、劇団イナダ組から川井"J"竜輔と江田由紀浩、ff男盛りレコーズの岩尾亮、劇団RUSHの高橋逸人、そして劇団深想達嘘の城谷歩の男性6人組です。
夏だというのに、日本アルプスの3000m級の高山の頂上付近は天候か急変して猛吹雪となりました。山田登(岩尾亮)は、山小屋に飛び込んできますが誰もいる気配がありません。そこへ山川進(江田由起浩)、さらに年配の山浪歩(城谷歩)、武道修行中の山上生(川井"J"竜輔と)が避難してきます。
彼らは暖を取りたいのですが、火をつけるものを持ち合わせていない。その時、奥の部屋から全身白い毛むくじゃらのイエティ(戸次重幸)が飛び出してくる。イエティは何と言葉がわかるらしい。しかも、マッチを持っていて人間たちをからかうように無駄に燃やしてしまうのです。山上が飛びかかると、このイエティは意外と弱い。
そこに登場したのは自信が持てない修験者の山出修(高橋逸人)で、今度こそイエティに勝つと意気込むのです。だいぶ前から、何度か勝負を挑んでいたのですが、勝ったためしがないらしい。でも幸いなことに山出はライターを持っていました。山田が暖炉の薪に火をつけようとした時、イエティは「やめといた方がいいよ」と言います。イエティの言うことを無視して火をつけた途端、まぶしいくらいの光が発せられ、山小屋は時空を超えて次元を移動してしまうのです。
基本的に、遭難して山小屋に集まった者たちが、時空トラベルに巻き込まれるというシチュエーション・コメディであり、ドタバタ感が強い作品です。一応、仲間となったらお互いを思いやり大事にするというメッセージはあることはありますが、その主張は薄めで個々の欲望が優先されている部分が目立ちます。
ですから、あまり深く考えずに単なるコメディとして楽しめばいい。戸次目当てで見ると、なかなか登場しないので、ファンの方は辛抱強く待つ必要があります。それぞれの演技は安定していますが、イナダ組の二人は経験値が高いように思います。ユニット名の「ロックメン」は、メンバーの岩尾が「岩男」になって英語になったところから来ています。
ちょっと気になるのは舞台の広さ。この手の話を展開するには広すぎるような感じがします。広い一室だけで、やや閑散とした感じ。音声だけで伝える隣の部屋で起こることは、けっこう重要な部分なので、上手1/4を隣室、下て1/4を屋外とかにして使うのもよかったように思います。ただ、予算はだいぶ増えてしまいますけどね。
2025年9月22日月曜日
ESCAPER〜探し続けていた場所 (1999)
客演は初期のTEAM NACSではお馴染みの3人。劇団イナダ組から川井"J"竜輔と小島達子、そして劇団SKグループから小山めぐみが参加しています。劇団SKグループは、戸次らと同期の北海道学園大学演劇研究会のすがの公が、1998年に立ち上げた演劇ユニットです。イナダ組ともメンバーの交流が深く、当時の札幌演劇界を盛り上げていました。
舞台となるのは、近未来の地球。多くの地域が砂漠化し、そのゴミ溜めのような土地の中にエンジャイルと呼ばれる死刑囚だけを集めた刑務所がありました。そこへ新たな囚人として送られてきたタクマは、囚人たち自身で娯楽を提供するチェリーさくらんぼ劇団に入ることになります。
チェリーサクランボのリーダーはモリサキ、こどもとの再会だけを夢見るシゲ、収監されて40年たつ最古参のオオイズミ、変態芸が得意なヤスケン、そして女囚のメグミとタツコで、誰もが大量殺人の罪を犯していました。
一方、別の時間軸では、時は現代。メグミはヤスケンとの婚約を発表するために、家にタツコ、オオイズミ、シゲ、タクマらの友人たちを招待しました。扉を開けると隣の部屋からヤスケンが飛び出るサプライズのはずでしたが、そこにいたのは緑のジャージのJでした。Jが静かに退場すると、その後にはヤスケンが死んでいたのです。
エンジャイルでは、チェリーさくらんぼによるショーが行われ大盛況でした。そこへ現れたのは、モリサキへの暴力行為で半年間懲罰房に入っていたJで、彼は「次のショーを楽しみにしている」と言って去っていきます。そして、看守に頼んだこどもへの手紙が捨てられているを発見したシゲは、怒りに震えるのです。
看守がシゲが脱走したことを報告します。そして、新たに看守のJが派遣されてきます。看守のJは何故かタクマを探しているのです。ほどなくシゲの遺体が発見され、チェリーさくらんぼは解散命令を受けてしまいます。
部屋を片付けていたメグミが扉を開くと、死んだはずのヤスケン、そして緑のジャージのJが現れメグミは腰を抜かすのです。実は緑のジャージのJは死神で、明日死ぬはずだったヤスケンを間違えて早くに死なせてしまったので、とりあえず生き返しておいたと言うのです。ヤスケンとメグミは、二人の最後の夜を過ごすのでした。
チェリーさくらんぼは最後の公演の練習をしていると、看守が登場しタクマの死刑執行命令を読み上げます。連れていかれるタクマをみつめていたのは、緑のジャージのJでした。モリサキは、全力でエスケーパー(脱獄して逃げる人)の劇を始めるのです。看守のシゲはエンジャイルの囚人の扱い方に疑問を抱いていたので、タクマを逃がしますが、所長のオオイズミは看守のシゲにタクマを射殺することを命令するのでした。
それぞれのストーリーだけなら珍しいものではないかもしれませんが、死神というたった「一人」の存在をかませることで、生きることの大切さを両方からリンクさせていくというのは、森崎博之の「天才」的な発想によるものです。
また、舞台装置を初めて立体的に組み、3次元的な高低・奥行きを利用した森崎の演出も冴え渡っています。チェリーさくらんぼのショーで歌われるのはTHE BOOMの「気球に乗って」で、音尾のギターと森崎のハーモニカの伴奏で全員で歌い上げます。そして、その直後の安田の狂気はほとんどアドリブで行われているようで、舞台にいた全員がマジで笑い出している。まさに「変態安田」ここにありというエネルギーの爆発が見事です。
最後のシーンも、ステージを2つに割って照明の色を変え、左はチェリーさくらんぼの脱獄の芝居、右には実際に脱獄するオトオの行動をリンクさせるところは唸ってしまいます。そして、結末はまったく反対になる演出もさすがだと思いました。
まだまだ新米の演劇集団にもかかわらず、札幌の2か所で全20ステージを行い、そのほぼすべてを満席にするというのは、人気が先行しているだけでなく、見事なチーム・ダンスなどを含めてエンターテインメントとしての完成度がスバ抜けていることを実感できるものでした。
2025年9月21日日曜日
スマホでマイナ保険証 (運用中)
先頃お知らせした「スマホでマイナ保険証」は、無事に設定が終了し、国がシステムを開放した9月19日から当クリニックでは利用可能となりました。
昨日、初めてスマートホンで受診した患者さんがお一人いらっしゃいましたが、特に問題なく健康保険情報を確認することができました。
マイナンバーカードを利用する方法と比べて、特別に変わったことは無く、どちらを選ぶかは各人の好みです。スマートホンだから、より簡単というわけではありません。
スタート画面で「スマートフォンを利用」を選ぶと、AndroidあるいはiPhoneの機種選択画面になります。スマートホンで生体認証(FaceIDあるいは指紋認証など)を行うか、各自が設定した4桁の暗証番号を入力し、その後専用リーダーにスマートホンを近づけます。
重要な注意事項
事前準備であるスマートホンにマイナ保険証を搭載する方法については、当院ではご案内できません。個人情報の問題と、機種によって多少違いがあるため、医療機関側では対応できませんので、「スマホでマイナ保険証」を利用したい方は来院前に必ず各自で準備を完了して下さい。
厚生労働省からの案内
マイナンバーカードの健康保険証利用方法
スマートフォンのマイナ保険証利用について
2025年9月20日土曜日
へのへのもへじ
どこで覚えたものか・・・たぶん、小学生の頃かもしれません。
へ・の・へ・の・も・へ・じ・・・
順番に平仮名を紙の上に書いていくと、あらあら不思議、人の顔になっちゃいます。
これはいつから広まったものかは謎だそうで、はっきりした起源はわかっていません。
おそらく、関西が発祥で、江戸時代のなかばに関東に伝わったらしい。
文字で絵を描くという文化は、遡ること平安時代からあったらしい。貴族たちの洒落た戯れの文化です。
しだいに庶民の娯楽として、ギャグ化したものの一つが「へのへのもへじ」だと考えられています。
江戸の浮世絵師として有名な歌川広重(1797~1858)が1848年に発行された「新法狂字図句画」という本の中に「へのへのもへいじ」と題した戯画があるのが有名。
確かにきゅっと結んだ唇の下の皮膚のしわが、まさに「い」になっている。しかも、この人は侍かそこそこの商人みたいで、「茂平治」さんということなんでしょうか。
ゆとりが無いと、このような遊び心は生まれてこないもの。今だと、パソコンのキーを叩いて絵を作るのに通じるかもしれませんね。
(^_^) (*´ω`*) (*´▽`*) (≧▽≦) (๑˃́ꇴ˂̀๑) (^∀^)
2025年9月19日金曜日
ライナス (2003)
1996年に予定していた公演が中止になったため、急遽代わりに森崎博之と安田顕の大学卒業を記念した公演を行うことになり、TEAM NACSが結成され旗揚げ解散公演「LETTER〜変わり続けるベクトルの障壁」が行われたのです。森崎博之、大泉洋、戸次重幸、音尾琢真の4人は、TEAM NACSが東京進出するまで、並行してイナダ組の組員としての活動も行っていました。
本作は2003年夏の第26回公演の舞台で、稲田博の作・演出によるものです。タイトルのライナスはチャーリー・ブラウンの女友達であるルーシーの弟の名前にヒントを得たもので、ここでも主人公はブランケットを大切にしています。
松永竜一(音尾琢真)は、3歳の時に父・春夫(大泉洋)と母・陽子(棚田佳奈子)が離婚して、姉・千明(小島達子)と母子家庭で育ちます。しかし、心労から母が亡くなってからは、伯母の小坂淳子(庄本緑子)に預けられていました。竜一も結婚して、今は妻の伸子(出口綾子)と17歳の娘・まなみ(山村素絵)と3人暮らし。
まなみは竜一に反抗的で、今日も帰りが遅い。イライラする竜一でしたが、伸子は相手にしません。日付が変わる頃にやっと帰宅したまなみは、妊娠したことを言い出し、竜一と口論になります。竜一は行きつけのオカマ・バーで、ジュンちゃん(川井J龍輔)を相手に妻や娘から相手にされない愚痴を言うのでした。そして30年ほど前に、一時三鷹に住んでいたことを思い出すのです。
10年間音信不通だった春夫から、突然是非会いに来てほしいと連絡を受け、小坂の伯母に連れられて中学生の竜一(江田由紀浩)は大学生の千明と共に三鷹に着ていました。そこで出会ったのは、女装してオカマになっていた松永春夫でした。憤慨して帰ろうとする千明をなだめて、何とか食事だけでもと春夫の経営するオカマ・バーに立ち寄ります。
春夫は恋人の安西徹男(森崎博之)と店をやっていたのですが、従業員のオカマたちも混ざって宴会が始まります。酒癖の悪い小坂のおばさんが酔いつぶれ仕舞ったため、仕方がなく3人は一晩だけ泊まることになってしまいます。
翌朝竜一の姿が見えないことで、取り乱した春夫は徹男と口論になり、気が進まなかったのに何故こどもたちに会うことにしたかなどの話をしているのを、店の隅に隠れていた竜一に聞かれてしまいます。竜一は母にずっと暴力を振るわれ、何とか嫌われないように、自分を殺してきたのです。辛い記憶を出来るだけ封印して、自分の気持ちを表に出さないようにしていたのでした。
ところどころに笑いはあるものの、かなり複雑な人間模様を描いていて、一つの家族の重たい(不完全な)再生の物語です。この頃のTEAM NACSのエンターテインメントに比べると、ある意味より演劇らしい作品といえそうです。
とにかく圧倒的なのは大泉洋のオカマ。実に女性らしく、でもところどころに男であることも思い出させる素晴らしい演技です。今でこそ素晴らしい俳優だと思いますが、この頃にすでにこれだけすごい演技ができる俳優だったということに改めて気がつかされます。最終場面で、一瞬春夫が父(男性)に戻る瞬間は鳥肌ものです。
森崎博之も悪く言えば演技よりもムードメーカーという印象があったりしますが、ここでは落ち着いたきっちりとした演技をしています。音尾琢真は、大人のシーンだけでなく、過去の回想でも説明役としてずっと舞台に立ち続けています。まだ20代だったにもかかわらず、過去の辛い記憶から娘との関係に悩む父親を自然に演じているのが凄い。
登場する人々が誰もが一人になりたくないのに、どこかで一人にならざるをえなかったり、一人きりで辛い思いをしてきている。そして、それは簡単に解決できるものではないことを、強く訴えている内容です。TEAM NACSの面々の違う顔を知る作品として欠かすことはできないように思いました。
2025年9月18日木曜日
GHOOOOOST!! (2007)
その先陣の舞台を飾ったのは佐藤重幸でした。混乱しやすいのでずっと「戸次」と呼んできましたが、活動開始時から本名の佐藤を名乗っていました。2008年の年初より改名したのですが、これは2006年12月に病気で死去した母の旧姓「戸次(べっき)」をとったもので、難読なため「とつぎ」と名乗ることにしたのです。
2007年8月に行われた本作は、東京新宿と札幌市道新ホールで行われた、佐藤姓による最後の舞台です。母を亡くしたことが、少なからず影響した作品になっていると思います。佐藤重幸が自ら脚本を書き、演出はこの作品を機会に、度々TEAM NACSとの仕事をするようになる福島三郎です。
幕が開くと舞台の奥には3つの柩が横に並んでいて、真ん中の柩からでてきたのは会社社長の山田晴海(大河内浩)、右からは水木しげお(二瓶鮫一)、左からは北海太郎(野仲イサオ)が登場しますが、みんな幽霊です。水木と北海は山田に心からの謝罪を求めて責めますが、実は山田が飲酒運転で起こした交通事故の巻き添えで死んで幽霊になっていたのです。
そこにもう一人、キット(音尾琢真)という幽霊が登場します。自分もあの事故で死んだと言うのですが、そんな被害者がいたという話は誰も聞いていない。実は彼は、山田が運転していた車に搭載されたカーナビでした。山田の会社で密かに開発したAI搭載ナビで、山田が使い込んで人格が形成されていたのです。
葬儀場に現れたのは、山田の息子で副社長の手塚君彦(佐藤重幸)でした。君彦は社長が死んだので、自分が社長になって社名も変えて新たな事業を始めると言い出します。そんな勝手なことは許さんと山田が姿を現したので、他の者も一斉に見えるようになり君彦は驚くのです。
君彦は実は山田の愛人だった手塚文江(加藤たか子)のこどもでした。山田から援助が無く、文江は独りで君彦を育てるためにかなり無理をしていたため、君彦が小学生の時に亡くなっていたのです。母親が何と言おうとも、山田が会社に迎い入れてくれても、君彦は父親を許す気にはなりませんでした。
4人の幽霊は、供えてあった酒を酌み交わしているうちに意気投合して、それぞれちゃんと自己紹介しようということになります。北海は1万年以上前に地球に観光でやって来た宇宙人で、迎えが来ないために今に至ると言います。水木は600年前から妖怪の座敷童でした。
そこへ君彦が戻って来て、キットにプログラムのデータを返すように言い出します。キットを産み出した画期的なデータは、キットの仕業ですべて消去されていたのです。データを渡したら自分にも仲間を作ってくれというキットの頼みを君彦が了承したので、キットはパソコンに乗り移りデータに戻ります。
しかし、君彦はキットの学習してきたパーソナル・データについては破壊してしまうのでした。山田・北海・水木は怒り、それは殺人と同じだと言いでします。水木は自分の能力を使って、データを復元してキットを蘇えらせます。キットは怒って、君彦に乗り移ってすべての記憶を消して「人として死」なそうとしますが、乗り移って記憶を読み取った途端に元の体に戻ってしまうのです。
キットは君彦に自ら隠していたことを白状しろと詰め寄ります。実はこの事故は君彦が山田の酒に睡眠薬を入れたことで起こったのであり、すべては母親を見殺しにした山田への復讐であったと君彦は話します。さらにキットは、山田にも本当のことを話してやれと言うのです。山田が躊躇していると、その時、何と文江の幽霊が登場するのでした。
何しろ幽霊の中で元人間は一人だけで、あとは宇宙人、妖怪、そして極めつけはカーナビというかなり奇想天外な状況なんですが、不思議と見ているうちにあまり違和感を感じなくなるところは、脚本の妙というところでしょうか。特にこの頃にAI(人工知能)をもった機械を登場させると言うのは、けっこう先見の明があるなと感心します。
ところどころの笑わせる小ネタは時事ネタが多いため、今見るとあまり面白くはありませんが、根本的な設定が面白いので楽しく見ることができます。そこそこにテレビ・映画などで活躍している俳優さんばかりなので、演技に関してはまったく不安がありません。
TEAM NACSの舞台をいくつも見た後だと、良く言えば大人の舞台、悪く言うと熱量が少な目という印象ですが、SOLO PROJECTですから、いつもと同じことをしなくて当たり前なので、十分に楽しめました。
2025年9月17日水曜日
東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン (2006)
これをすぐさま映像化したのがこのスペシャル・ドラマで、「時間ですよ」、「寺内貫太郎一家」などを大ヒットさせたプロデューサーの久世光彦が、自ら切望して演出を担当、大泉洋や田中裕子のキャスティングも決めていました。脚本は「おかしなふたり」の土田英生です。
しかし、クランクイン直前に久世が急死したため、西谷弘が久世のプランを引き継いで数か月遅れで完成させました。全国に打って出て間もない大泉洋にとっては、初めて笑いを封印したシリアスな演技を主役として求められた作品です。
北九州の炭鉱町。"オカン"中川栄子(田中裕子)は息子の雅也(神木隆之介)と暮らしていましたが、夫の"オトン"弘治(蟹江敬三)は、別の場所で好き勝手な暮らしをしていて、たまに飯を食うためにやってくるだけでした。母子は、いつか東京タワーに一緒にいこうと約束していました。
東京の大学に進学した雅也(大泉洋)は、後輩の榎本(佐藤隆太)と毎日の食事にも困るような自堕落な生活をしていて、アパートも家賃を滞納して追い出されてしまいます。雅也と榎本が芝公園で野宿をしていると、東京タワーの案内係をしている真沙美(広末涼子)が友人と昼食をとっているのを見かけます。
真沙美のイキイキした様子に感化された雅也は、いろいろなバイトをするようになり、いつしか東京で絵を描く仕事をしたいという夢に向かってがんばるようになります。そして真沙美とも付き合うことが出来るようになりますが、オカンが病気になったため雅也は一緒に東京で暮らすことを提案するのです。
はじめは榎本や真沙美が訪れだけだった家に、しだいに雅也の仕事仲間や出版社の人々などがたくさん出入りするようになり、皆がオカンを囲んで楽しく食事をする毎日になりました。しかし、オカンに胃がんが見つかり入院してしまいます。
雅也はオカンのことで気持ちがいっぱいで、真沙美に別れを告げてしまいます。それでも、真沙美はオカンの見舞いをやめることはありませんでした。そしてオトンも久しぶりに駆けつけ、雅也が見守る中でオカンは息を引き取りました。オカンと一緒に行くと約束していたからと、頑なに東京タワーに行かなかった雅也は、真沙美に会うためについにタワーに上るのでした。
翌年に松岡錠司監督で映画版が公開され、大変評判がよかったのを覚えています。雅也を演じたのはオダギリジョーでオカンは樹木希林、オトンは小林薫でした。真沙美はミズエとなって松たか子が演じましたが、東京タワーでは働いていません。一番良かったのは、やはり樹木希林です。そしてオカンの若い時を演じたのが、実の娘である内田也哉子というアイデアは素晴らしかった。
テレビ版では真沙美の比率が大きく、より母と息子の関係性を際立たせている演出でしたが、映画のミズエはやや弱い存在。小林薫は寡黙な人のイメージが強く、オトンは無茶苦茶な感じは圧倒的に蟹江恵三に軍配を上げたくなります。
オダギリジョーと大泉洋は、どちらかといえばマザコン感ではオダギリジョーの勝ち。ただし、東京でのオカンとの生活と真沙美との関係性に主眼を置いたテレビ版と、オカンだけでなくオトンとの関係に着目した映画版という違いがあるようです。同じ原作でもだいぶ印象が異なりますので、出来れば両方を見てもらいたいと思います。
ちなみにフジテレビはこのスペシャル・ドラマの数か月後に倍賞美津子・速水もこみち主演で連続ドラマも放送しました。オトンは泉谷しげる、雅也の彼女は大学の同級生のマナミとなっていて香椎由宇が演じています。スペシャル・ドラマ版がベストという方は結構いるみたいです。
2025年9月16日火曜日
おかしなふたり (2006)
そして北海道テレビのバラエティ専門みたいだったテレビ出演も、2005年「救命病棟24時 Season3 (フジテレビ)」に大泉洋がレギュラー出演したのを皮切りに、戸次重幸は「1リットルの涙 (フジテレビ)」、安田顕や音尾琢真もNHKのドラマに出演ができました。2006年に放送されたこの作品は、新春スペシャルとして放送されたもので、大泉洋にとっては初めての主演ドラマとなり、森崎博之のドラマデビューにもなりました。
桜木直(大泉洋)は、学生の頃からイベント会社が大成功し結婚したものの、その後事業は行き詰まり妻はこどもを連れて去ってしまう。今では無職のまま、訳アリの人生を送る人ばかりが入居している復活荘という古いアパートで暮らしていました。
復活荘の住人は、他には男に触れるとアレルギーを起こして倒れてしまう元ホステスの奈津子(木村多江)、女性下着コレクターでブラジャーの歴史を本にしたい三田村(手塚とおる)、人生に役に立ちそうもないたくさんの資格を取ることだけが生きがいの笹山(大杉連)でした。
元妻(高岡早紀)が海外出張のため、しかたがなく直に8歳になる息子のの直史(広田亮平)は1か月間預けられることになります。直は直史と会うのは離婚以来、5年ぶりで、いいところを見せようと見栄を張りますが、賢い直史には簡単にばれてしまうのです。
しかし、直史のおかげで、下着泥棒と間違われた三田村を救ったり、復活荘の取り壊し計画を中止させたりできました。直は父親として5年分のこどもにしたかったことをできるだけ実行しようとしますが空回りの連続で、直史は「お父さん」とは呼んでくれません。
とりあえず前向きになった直を見ていて、復活荘の住人たちも少しずつ自分を変えようと考え始めるのでした。でも、直は父子の絆を取り戻せぬまま、約束の1か月がもうじき終わろうとしていました。
脚本は京都で演劇集団を主宰する土田英生。監督はすでに「ロング・バケーション」や「古畑任三郎」などで認められていた鈴木雅之で、土田の本や大泉の演技を生かすために、会話主体に長めのシーンを多用して舞台に近づけた演出を行っています。
森崎の出演シーンは高級レストランのウエイター役でほんのチョイ役でしたが、大泉が広告塔になってメンバーの仕事の幅がだんだん大きくなっていることが素直に嬉しかったようです。
ちなみに大泉にとっては「救命病棟24時」のプロデューサーだった中島久美子との再タッグの仕事であり、これを契機に2009年に中島と結婚していますから、そこそこ思い出深い仕事になったのではないでしょぅか。
2025年9月15日月曜日
ハヤシライス
・・・とタイトルをつけたものの、これ、ホントにハヤシライスと呼んでいいのでしょうか。
何を戯言を、と言われそうですが、しばしば巷で議論されているであろう「ハヤシライスとハッシュド・ビーフの違いは何?」問題というのがあります。
生きていくのにあまり関係ないので、明快な答えを確認したことがありません。
そもそもハヤシライスとは・・・
その呼び名には諸説あるようですが、料理用語として英語に「hash (ハッシュ)」というのがあり、意味は「細かく刻む、薄切りにする」ということ。ハッシュド・ポテトというのはよく知られていると思います。
そこで、明治時代にこの料理が日本に入って来て、肉を薄切りにして御飯にかけたものを「hashed beef and rice」と呼んだのが短く訛って変化したものが「ハヤシライス」となったと言うのが、最も有力な語源のようです。
ですからハッシュド・ビーフと呼ばれている料理は、はっきり言って同じもの。あえて言うなら、ハヤシライスはケチャップなどでやや甘めになっていることが多いようです。
基本的なハヤシライスのレシピは、牛肉(時に豚肉)の薄切りとタマネギのスライスをデミグラスソースで煮込むというシンプルなもの(時にマッシュルームのスライスも入ります)。
デミグラスソースは、小麦粉をバターで茶色くなるまで炒めたものに、肉(+骨)、香味野菜(タマネギ、ニンジン、セロリ)を加えてしっかりと煮詰め、ワインで仕上げたもの。いろいろな洋食で用いられます。
主としてすね肉のようなそのまま食べるには固すぎる部位を、タマネギ、ニンジン、ジャガイモなどと長時間煮込んで、デミグラスソースで味付けしたものはビーフシチューと呼ばれイギリス発祥とされています。塊肉を中心とした具材そのものを食べるのが目的で、主としてパンと共に楽しむもの。
薄切り牛肉とタマネギをデミグラスソースで煮込むものとして、ビーフストロガノフがあります。名前から想像できるようにロシア料理で、決定的な違いは最後にサワークリームを加えるところ。
似て非なる物はいろいろですが、まぁ、似たような味でどれでも美味しいので、家庭で楽しむ分には呼び方はお好みでよさそうです。
2025年9月14日日曜日
スマホでマイナ保険証 (ただいま準備中)
医療機関を受診する際に、保険診療を受けるために必要だった「保険証」は、新規の発行は停止されています。手元にある保険証は、基本的には最大で本年7月末までの有効となっていましたので、今の時点では効力のあるものはありません(ただし、あまりに多い例外あり)。
では、保険診療を受けるにはどうするか?
政府が推奨するのはマイナンバーカードに紐づけし、受診の際にはマイナンバーカードを「マイナ保険証」として提示する方法です。
マイナンバーカードへの紐づけは、各医療機関の受付に設置してある読み取り機で簡単に行うことができます。
マイナ保険証の有効期限は、マイナンバーカードの有効期限と同じになりますので、しっかりと更新手続きをする必要があります。
マイナンバーカードを取得していない、またはマイナ保険証として紐づけしていない場合には、行政から送付される「資格確認書」を使うことができます。従来の保険証と似ているので注意が必要ですが、今のところ最大令和9年9月30日まで(あるいは75歳誕生日前日まで)効力があります。
間違えやすいのは「資格情報通知書」というものも存在することです。これはマイナ保険証を保有している人へ送られてくるもので、これだけでは原則として保険診療での受診はできません。
また、マイナンバーカードの機能をお持ちのスマートホンに搭載できるようになっています。この機能を利用して、9月19日からマイナ保険証もスマートホンに組み込むことが可能になります。
うちのクリニックでも準備を進めていますが、写真のマイナ保険証読み取り機の上にあるのが、スマートホン用の読み取り機です。この場合は、マイナンバーカードを提示しなくても「マイナ保険証」の機能が使えるようなりますが、トラブル時にマイナンバーカードも持ち歩いておくことが強く推奨されます。
マイナ保険証は医療機関としては、診療上も事務作業の面でもメリットがあるところだと感じていますが、制度が短期間でいろいろと変更になり複雑で把握が難しくなっています。
各情報についてリンクを貼ってありますが、あまりにも別々のサイトに情報が収載されていて驚きます。マイナンバーに関することは、一つのサイトですべてが把握できるようにしてもらいたいものです。
2025年9月13日土曜日
the TEAM NACS perfect show 〜なんでこんな時に〜 (2014)
CSチャンネルであるフジテレビNEXTで深夜に放送されたもので、台本は数日前に渡されていたようですが、収録当日の本番12時間前に集合、衣装合わせ、番宣取材、読み合わせ、リハーサルをこなし、一発勝負のノーカットの1時間のコメディを演じるという・・・
こんなバカなこを考えた張本人は福田雄一と知れば、あーなるほどと納得です。福田雄一が脚本・演出を担当し、隣接する3つのセットをナックスの5人が2~3役をこなしながら走り回るのです。しかも観覧する一般客をスタジオに入れて、緊張を煽っています。そんなドタバタの中で、少しでも"perfect"を目指すということ。
右端の「銀行の前の道」セットからスタート。銀行強盗による立てこもり事件が発生したため、現場には吉岡刑事(森崎博之)と三鷹刑事(音尾琢真)がいて、そこへ立花巡査(大泉洋)と富田巡査(安田顕)が集まり、4人だけで突入する計画を打ち合わせます。
そして作戦開始となって真ん中の「銀行内」のセットに移動。強盗のリーダーブラック(戸次重幸)がピストルを持って人質を脅かしています。ブラックは仲間のピンク(音尾)に、逃亡用のヘリコプターを用意するように警察に伝えさせます。人質の支店長(森崎)は縛られて身動きがとれない。さらに仲間のテンパ(大泉)とホワイト(安田)も加わります。
その頃、左端の「演芸場控室」セットでは、相方が現れずに困っている芸人・水本(音尾)がいて、マネージャー女史の重田(戸次)は、こうなったらそこで掃除をしているおじさん(大泉)を相方にしたらと提案します。ピン芸人のヤマダヤマダ(森崎)が入って来て、困っているなら俺とコンビを組もう、なんならおじさんも入れてトリオでやろうと言い出します。
その頃、「銀行の前の道」にはブラックの両親(安田・戸次)が到着して、吉岡・立花に頼まれて犯人を説得し始めますがうまくいかない。水本はテレビで立てこもりのニュースを見て、現場に相方がいるのを発見し、警察官の格好をしていた富田を連れて行ってしまいます。
「銀行内」や「演芸場控室」では、いろいろ動きがありますが、結局、「銀行内」に戻って、犯人の中に潜入捜査官がいるということになる。ピンクが警察官であることがバレてしまいブラックが拳銃を撃とうとしたとき、ホワイトが俺も潜入警察官だといいブラックに銃口を向けたため、ブラックとテンパは逃げ出すのです。「演芸場控室」では、富田を連れ戻した水本が重田の前でネタを披露するのでした。
このあらすじだけでもわかると思いますが、1時間の間にナックスの5人は裏に引っ込んで大急ぎで着替えて次のセットに何度も登場するというかなりの忙しさです。当然、間に合わないときもあり、着替えの途中で登場を余儀なくされたりもします。
そもそも、当然のことながら台本が頭に入っていない。ところどころで、言い間違えたり台詞が出てこないという事態が発生しますが、何とかアドリブで乗り切れたところもあれば、完全に真っ白になってしまうところもある。そもそも、最初の突入計画の説明では、全員が計画書という名目で台本のコピーを手に持っていたり、台本を持ったままセットに登場したりするという失態ぶりです。
さすがに、笑うに笑えない部分もあって、こればかりはナックスの責任というのは忍びない。やはり福田雄一の悪ふざけの度が過ぎると言わざるを得ない。福田は映画だとふざけすぎ傾向があり、テレビでは比較的ギャグをおさえているんですが、これはCSということでやりたい放題ということでしょうか。
しっかり準備して稽古を積んだ舞台をこなしてきたTEAM NACSですが、さすがに1日では"perfect"というわけにはいきません。それでも、アドリブ力の強さでかろうじてドラマを成立させたと褒めておきたいところですが、彼らにとっては悪夢のような時間だったかもしれません。
2025年9月12日金曜日
FOUR〜求め続けた奴等の革命 (2000)
会場はルネッサンス・マリア・テアトロで、ここは当時の若手の札幌演劇界を牽引する拠点になっていた劇場です。250席ですが、12公演で3000人を動員しているので、連日満席だったことがわかり、すでにTEAM NACSの人気が高かったことがわかります。この公演で、この数か月後に「WAR〜戦い続けた兵たちの誇り」を公演することを予告していましたが、このすぐ後に会場が閉館となっています。
テレビの通販番組の収録風景をギャグにしたもの。とても誰も買いたくならないような品物を売り込みたいスポンサーが、新人MC(音尾)にムチャブリをして困らせるというもの。音尾の演技力が光ります。
カレー王が亡くなり、辛いカレーが食べられないカレー王子(音尾)、臣下のハンバーグ・カレー(大泉)、カツカレー(森崎)らと、カレー王子の命を狙うシチュー国のクリーム・シチュー(戸次)、シチュー王国からスパイとして潜入していたビーフカレーことビーフ・シチュー(安田)らがハヤシライスの秘密を巡って戦います。
物語の構成としては、一番まともに考えられている。きちんと細部を膨らませれば、通常の公演をうてるほどの内容だと思います。20周年記念企画では、朗読劇としても再演されました。
アイドル・グループ(あからさまにSMAPのパクリ)のチーム・ナックスのステージ。チームは、ラストに「ナックス・ハリケーン」を歌って楽屋に戻ります。すると戸次が「もう、アイドルはやめたい。俺は芝居をしたい」と言って、一人でステージに戻り勝手に「西遊記」を演じ始めてしまいます。連れ戻そうとメンバーがステージに出ると、芝居に巻き込もうとするのでみんなも怒ってしまう。一人になった戸次はマイナー調の悲しい雰囲気で「ナックス・ハリケーン」を歌い出すと、全員が出てきて一緒に歌うのでした。
注目は彼らのテーマ曲みたいに今でも歌い続けられている大泉洋作詞・作曲の「ナックス・ハリケーン」の原典版が登場するところ。まさにSMAPというような、イントロ(SMAPの"ダイナマイト"の流用)での激しい踊りはなかなかのもの。また、その後は伴奏は無くアカペラというのが激レア物の楽しさです。
年老いたTEAM NACSメンバーが森崎を中心に昔を懐古する話。森崎は娘と孫を交通事故で同時に失っていて、ずっと悲しみに暮れた生活をしていたのです。メンバーはそんな森崎に、楽しかった頃を思い出させて元気づけようとしますが・・・実は、すでにみんな天国に旅立っていて、森崎だけがメンバー最後の一人になっていたのです。
2008年のオムニバス映画「N43゚」で、森崎作の「AFTER」は、森崎だけが先に死んでしまうので、ある意味この話の裏返しのようになっていますので、合わせて見ると感慨深い。ただ、やはり安田作品は、この頃からやや複雑で理解しにくい所があるみたいです。
2025年9月11日木曜日
螳螂生?
螳螂生と書いて「かまきりしょうず」と読みますが、これは暦の用語で四季の「夏」の中の、二十四節季の「芒種(ぼうしゅ)」の中の、七十二候の第二十五候です。
簡単に言えば、6月5日から9日頃をさす言葉で、カマキリが卵からかえる頃ということ。
おいおい、今は9月だよ。しかも、いまだ残暑収まらず。今は本来は「白露(はくろ)」の中の「草露白(くさのつゆしろし)」で、草に梅雨が降りて白く光って見えるはずなんですが・・・
そんな中で、今年初めてカマキリに遭遇しました。
もっとも、このカマキリ、生まれたてではない。どう見ても大人。
この酷暑の中、何とか生き延びたんでしょうか。虫たちにも今の地球は住みにくい場所になっているのかしれませんね。
2025年9月10日水曜日
クリニック受付
どこでもクリニックを訪れると、まず受付があります。
そこで診療の申し込みをするわけですが、患者さん側から見ると、それなりにスッキリしているように思うかもしれませんが、けっこうゴチャゴチャしているものです。
まず、患者さんが見る景色なんですが、一番右にあるのがオンライン資格確認のためのマイナンバーカード・リーダー。一番左にあるのはクリニックの御伴、淡水魚の水槽です。その後ろにあるのが(いまだに使わされている)FAXと各種印刷をするためのプリンター。
引き戸になっている戸棚にはいろいろと種類や雑貨が入っていますが、基本的にあまり説明を要する物はありません。
じゃ、裏側を見てみましょう。
だいぶ混み入っています。
一番左はレジスター。暗くてわかりにくいのですが、その下にはビジネス用途のインクジェット・プリンターがあって、患者さんにお渡しする領収書や診療明細書などを印刷します。
電子カルテのパソコン(クライアント)は2台あって、それぞれが液晶モニター2枚を使うデュアル・ディスプレイ仕様です。その間には文具小物や電話機。その下にも各種書類を入れる引き出しの棚があります。
パソコン自体はスモール・デスクトップで机の下に収納していますが、左モニターの後ろには、さらにオンライン資格確認用のモニターレスのミニ・デスクトップが隠れています。
一番右、水槽の下にちょっと見えているのはオーディオで、BGMを流したりします。水槽の奥の部分は問診票などを記入していただくスペースとして利用しています。
狭いながらもスタッフがいろいろ考えて、何とか効率的に使えるように収納しています。日々の仕事の最前線ですので、時にはバタバタしてしまいますが、少しでもてきぱきできるように頑張っています。
2025年9月9日火曜日
水曜天幕團 蟹頭十郎太 (2003)
「水曜どうでしょう」のレギュラー放送は2002年9月に終了していますが、その後は不定期に特番が作られていました。この企画もその一つです。
原作は「水曜どうでしょう」ディレクターの嬉野雅道、演出は同じく藤村忠寿、脚本は嬉野・藤村と社員の四宮康雅が担当し、戦国時代を舞台にしたファンタジー活劇となっています。出演はTEAM NACS 5人とCreative Office Cueタレント、そしてヒロインには三輪ひとみを招いています。三輪ひとみは、ナックスとの関りがある三輪明日美の姉。
下総の鷲頭領は隣国の騙し討ちの策略により滅ぼされ、13歳の世継ぎ小十郎は3歳の妹・綾姫を連れて城から脱出します。父は小十郎に名刀・備前長船を授け、「ひとを斬ってはならぬ。この刀は大切なものを守るために使え」と言い遺したのです。逃亡の途中で、隣国の組頭・弥七に発見されますが、弥七は「人間らしく生きろ」と言って彼らを逃がします。そして、小十郎は綾姫のために水を取りに川に降りた一瞬の隙に、綾姫は姿を消してしまったのでした。
小十郎は綾姫を探す旅を続け、髪の毛がぼさぼさになりまるで蟹のように見えたため、いつしか蟹頭十郎太(大泉洋)と名乗る浪人者になり13年が経とうとしていました。蟹頭十郎太は、人々が平穏に暮らす神州の地にいました。通りすがりの安藤源八(音尾琢真)と野盗を捕らえますが、源八は刀を抜かない十郎太を不思議に思います。
領主の神州無二斎(森崎博之)には、先妻の間の子・桜姫(三輪ひとみ)、そして後妻の築山(宮崎奈緒美)との間に赤子の千代丸がいました。桜姫が明日で16歳になるため、婿取りの儀を行なうことなっていました。その夜、十郎太は不思議な法師に出会い、「城にかかっている不気味な雲が災いをもたらす」と告げられます。母が亡くなってから10年間、白龍神社への毎日の参拝を欠かすことが無い桜姫は、長い参道で急に気を失ったところを源八に助けられます。
婿取りの儀では、最後の二人に残った十郎太と源八が翌日に真剣勝負をすることになり、二人は城の天守閣に泊まることになりました。話をしているうちに、源八が安藤弥七の息子であることがわかり、弥七は小十郎と綾姫を逃がした罪で打ち首になっていたのでした。十郎太も本名を名乗り、妹を探していることを告白します。
その頃、最近家臣になった黒龍丸(安田顕)は、千代丸がいながらどこの馬の骨ともわからぬものに城をわたそうという無二斎を殺してしまえと築山に迫っていました。そして、自分は桜姫を殺すため寝所に忍び込みます。築山は無二斎に毒を飲ませようとしますが、どうしてもできず自害してしまいます。そして、侍女(小橋亜樹)の知らせて十郎太と源八は桜姫を救出します。
母親から実の子ではないことを聞いていた桜姫は、初めて十郎太の手を握ってお互いに兄妹であることを感じ取ります。しかし黒龍丸が襲ってきたため、源八に桜姫をたくし十郎太はついに備前長船を抜くのです。死闘を制した十郎太は、新たな探し物を見つけるために旅立っていくのでした。
感心したのは、冒頭、物語のベースになる兄妹が別れ別れになるまでを、ほぼ大泉洋の講談調の一人語りで見せ切るところ。約20分続くこの場面は、芝居人・大泉の真骨頂が発揮されています。また音尾琢真の舞台での演技力の高さは、出演者の中でも群を抜いていることがよくわかります。
メイキングで初日前日のゲネプロ後に、終わり方がよくないとかなりの部分を削除しているようです。たしかに黒龍丸との闘いが最後の盛り上がる場面なので、その後は付け足しみたいなところがあるのかもしれません。しかし、そのためなのか、決戦中の台詞とかがあまり生きていないように感じます。直前の変更は混乱だけで、あまり良い作戦ではなかったのかもしれません。
また、ナックス・メンバーのギャグに頼り過ぎていて、大泉洋のけっこうな尺を使う物まねコーナーなどは冗漫ですし、やたらと出てくる音尾琢真の「魚顔」ネタもしつこすぎてうるさい感じ。テレビの専門家が、そのまま舞台の演出家として優れているとは言えないということでしょうか。
2025年9月8日月曜日
四国 R-14 (2000)
そして初めてメンバー5人全員が揃ってテレビに登場したのが、「水曜どうでしょう」の特別企画であるこの連続ドラマ(全4回)でした。
「水曜どうでしょう」は大泉以外は、ナックスの所属しているCreative Office Cueの社長である鈴井貴之と番組ディレクター2人がレギュラーで、メンバーの安田顕が準レギュラーでしたが、鈴井が第1回監督作品である映画「man-hole」の製作のためしばらく休みになったため企画されたものです。
「水曜どうでしょう」で2000年3月に収録された四国八十八か所巡りの中で、ある寺のところで、撮影カメラに異常をきたす怪奇現象(現実には単なる故障らしい)に見舞われたことを元ネタにして、ディレクターの藤村忠寿が監督、主として撮影を担当していた嬉野雅道が脚本を担当しました。
編成部長(安田顕)から低予算のドラマ制作を打診された藤木ディレクター(森崎博之)は、一緒に番組制作に携わる上島ディレクター(音尾琢真)に相談します。二人はローカルタレントの大沼陽(大泉洋)と四国お遍路の旅をしたときに、ある寺で怪奇現象が起こったことを検証することを思いつきます。
藤木・上島・大沼の三人は、再び四国にむかい、あの時と同じ時間帯に寺を訪問しました。すると、またもや不思議が減少が発生し、何かが迫ってくる気配を感じてその場を逃げ出します。
その時に録画していた映像を確認すると、どこかの田舎道の映像が映り込んでいて、藤木はどこかで見た場所だと思いますが思い出せません。上島は大沼の様子がどこかおかしいことが気になります。藤木がもう一度四国に行って、謎を明らかにしたいと言うため、上島は大沼の携帯に電話しますが通じない。そして、偶然に半年前の録画された衝撃的なニュース映像を見てしまうのでした。
ほとんどバカ騒ぎ的な番組であるのに、まったく笑いを廃した純粋なホラーに仕上がっていて、当時の番組の視聴者も相当混乱したらしい。まぁ、全体で90分程度のドラマとしては、うまくできている方だとは思います。ただし、さすがに低予算で涙ぐましい努力が繰り広げられているようですが、怖さはイマイチというところでしょうか。
タイトルは四国八十八か所巡りで撮影したビデオ・テープの14本目(ロール14)という意味。14歳未満視聴不可という意味ではありません。
本来は準レギュラーだった安田が上島役のはずでしたが、安田は鈴井映画の主演者の一人だったため、出番は少ない役になっています。また、メンバーの戸次重幸は、役が無いため、その他のエキストラ全部ということになっていて、顔がはっきりわかるのはその中でも数秒だけです。戸次の登場回数を当てるクイズも行われました。
まぁ、ナックス揃っての初テレビ出演という記念ではありますが、初ドラマですから舞台との違いが大きく、メンバーはまだまだ馴れていない感がたくさんあります。彼らの若い時の記録の一つとして、楽しめればいいんではないでしょうか。
2025年9月7日日曜日
タヒチ風キーマ・カレー
タヒチって・・・遠いですね。南太平洋、フランス領ホリネシアで、地球儀でいったらハワイのずーっと下の方。
タヒチアン・カレーというのありますが、実はこれは日本製で、タヒチをイメージしてココナッツ・ミルク、マンゴー、バナナなどを使ったもの。
タヒチアン・カレーの店として超有名なのが湘南にある珊瑚礁で、特にキーマカレーは代表的な人気商品になっています。昔、食べたことはありますが、何しろ渋滞の激しい湘南の海岸道路に行く元気は無いので、今回は自分で再現してみました。
さすがにそのものズバリというレシピはネットでも見つけられませんでしたが、いくつかのヒントは得ることができました。ポイントは、使うのはマンゴーチャツネ、使わないのはココナッツミルクということらしい。
まずは挽肉を炒めます。大事なのはしっかりと焦げ目をつけること。フライパンに広げたら、しばらくいじらない。焼き色がついたら何度かひっくり返して、全体に焦げ目がつくまで行います。
次は、例によって飴色タマネギ作り。ただし、今回は多めに、かつかなり入念に飴色にします。かなり茶色が濃くなるまで、いつもの倍近い時間をかけました。挽肉とタマネギをしっかり茶色くすることで、全体の色合いが決まります。3人前くらいで、挽肉は300~400g、タマネギは大2個使いました。
ニンニクとショウガは、それぞれチューブで大さじ1くらい。トマト缶は1/2の200gです。ここで、いつもなら煮詰めてペーストにするのですが、今回はキーマカレーなので、ざっと混ぜるだけ。
スパイスはいつもと同じ。ただし、ターメリック、コリアンダー、クミンは大さじ1.5くらいで、多めにして深みをだします。カイエンペッパーは大さじ1/2ですが、むしろ少な目でもいいかもしれない。塩を適量入れて味を整えます。
先ほど炒めた挽肉を入れて、マンゴーチャツネを50g程度投入。数分間煮ると出来上がりです。お店の真似でレタスを横に盛り付けた御飯の上にかければ珊瑚礁風のタヒチ風キーマカレーの完成です。
フルーティな甘さとスパイスの深みが際立つ、南国をイメージできる美味しさです。
2025年9月6日土曜日
TEAM NACSのはじまり
多くの劇団がある中で、TEAM NACSが今のような「最もチケットが取れない」と言われるような人気を得るようになった理由を知るためには、やはり彼らのスタート・ダッシュを理解しておくことが必要です・・・というわけで、簡単に彼らのアーリー・ヒストリーをまとめてみました。
森崎博之。1971年、北海道のほぼ中央、上川郡東川町で生まれ、旭川西高校をへて1990年に北海道学園大学に入学し演劇研究会に所属しました。1993年から稲田博主宰の劇団イナダ組と鈴木貴之主宰のOOPARTSに参加。なお、イナダ組はOOPARTSから独立した劇団です。
安田顕。1973年、室蘭市に生まれ、室蘭栄高校をへて1992年に北海道学園大学に入学。当初ジャズ研に在籍するも、レベルが高すぎたため退部。12月に演劇研究会に所属します。1993年に辞める森崎に代わってOOPARTSに参加。
戸次重幸。1973年、札幌市手稲区生まれ、本名は佐藤重幸。手稲高校をへて、1浪して1993年に北海道学園大学に入学し演劇研究会に入会。1994年にイナダ組参加。
大泉洋。1973年、江別市生まれ。札幌藻岩高校卒業後、2浪して1994年に北海道学園大学に入学し演劇研究会に入会。1995年にイナダ組参加。
音尾琢真。1976年、旭川市で生まれ、旭川西高校(森崎の後輩)をへて1994年に現役で北海道学園大学に入学し演劇研究会に入会しました。なお、高校では新体操部部長を務めました。彼も1995年にイナダ組に参加しました。
1995年10月、大泉がOOPARTSの紹介で北海道テレビの深夜番組「モザイクな夜V3」に「二代目元気くん」として出演し、話題になります。この時、芸能活動のために鈴井貴之が1992年に設立したCreative Office Cueに安田と伴に所属しました。またこの頃、「ガメラ2 レギオン襲来(大映/東宝)」に安田、大泉が端役で映画初出演をはたしています(鈴井も出演)。
森崎と安田が1996年3月に大学卒業が決まりますが、ちょうどその時期に予定されていたイナダ組の公演が中止となったため、その会場を利用していつもつるんで遊んでいた5人はTEAM NACSを結成し旗揚げと同時に解散公演を行うことにしました。それが、今では幻の第1回公演とされる「LETTER〜変わり続けるベクトルの障壁〜」でした。
森崎作品としては演劇研究会の公演として「CHAIR〜立ち続けることは苦しいから〜」、「DOOR〜在り続けるためのプロセス〜」というタイトルがあるので3作目にカウントされます。森崎作品のタイトルは、「~R」で終わる英単語と「~続ける(続けた)~」という副題が付くというのはスタートからでした。
森崎と安田が抜けて、当然チームは解散となりますが、大泉は1996年10月に北海道テレビでスタートした「水曜どうでしょう」のレギュラーとして鈴井と共に出演することになります。鈴井と大泉の二人が出たとこ勝負で無理矢理に旅をするだけの番組でしたが、大泉のトーク力が爆発し人気番組となっていきました。
東京で就職した森崎と安田は、芝居をやりたい気持ちが捨てきれず10ヵ月で二人とも退職し、北海道に戻ってきます。そして戸次、大泉、音尾に連絡を取りチームを再結成し、1997年8月に復活公園と銘打って「RECOVER〜描き続けるもう一つの結論」を成功させました。さらに1998年3月には大泉の卒業を機に、プロの劇団としてやっていく決意をもって卒業公演「FEVER〜眺め続けた展望の行方」を上演します。
大泉のテレビ露出により知名度がどんどん上がったことが功を奏し、舞台は回を追うごとに集客数が増加。1998年4月のデヴュー公演「再演DOOR〜在り続けるためのプロセス〜」で収益が黒字となります。1999年3月に戸次・音尾が大学を卒業し、冒険公演「ESCAPER〜探し続けていた場所」を成功させ、森崎・戸次・音尾もCreative Office Cue所属となり、名実ともに職業俳優ユニットとしてスタートしたのです。
少ない北海道テレビ独自のバラエティ枠は、鈴井らの企画がしばしば登場し、タレントとしてTEAM NACSのメンバーが起用される機会が増えたことで「北のSMAP」と呼ばれるようにもなり、人気を不動のものにしていったのでした。
2025年9月5日金曜日
LOVER〜想い続けたキミへの贈り物 (2001)
リーダーの森崎博之による脚本・演出ですが、ナックスとしては珍しい恋愛コメディになっているので、サポート・キャストとして、当時メンバーが親しくしていたSKグルーブから小山めぐみ、福村澄江の二人、劇団イナダ組から小島達子、山村素絵、川井J竜輔の三人が参加しています。
始まっていきなりウェディングドレスを着たメンバーが、自己紹介を兼ねて一人ずつ飛び出してきます。中でも、"平成の怪物"安田顕の期待にたがわない裸同然の姿は嬉しい。それにも増して、戸次重幸が日本刀を振り回して出てくるところはまったく意味不明ですが、何か凄い。
まず恋人同士の戸次と素絵の別れのシーンから物語がスタート。振られた戸次を慰める大泉洋と音尾琢真でしたが、そこに大泉の携帯に電話がかかってきます。素絵も友人のめぐみと達子に慰められていたのですが、達子の発案で合コンをやることになり、めぐみが知り合いの大泉に人集めを頼んできたのです。
大泉とめぐみは4年前からともだち以上恋人未満が続いていて、お互いに好意を持っているものの進展が無いままでした。大泉と戸次、音尾以外に仕事場の部長の森崎、主任の安田が加わり待ち合わせた店に行きます。めぐみ、達子、澄江の三人が先に到着していましたが、4人目に登場したのは強烈な個性が爆発する順子(川井)でした。それより遅れて5人目として登場したのが素絵だったため、戸次は凍り付いてしまいます。
それでも、森崎・素絵、音尾・達子、戸次・澄江、そして安田・順子というペアができます。男性5人にはときめきを応援するときめきマンがそれぞれについていて、森崎にはピンク(戸次)、安田にはイエロー(音尾)、戸次にはブルー(安田)、音尾にはグリーン(森崎)がついていて、ときめくほど風船が膨らみ、ときめきが無くなると風船が割れてときめきマンも消えてしまうのです。何故か大泉についたときめきマンのレッドは大泉自身が演じます。
めぐみは昔からの夢だったデザイナーになるため、もうじきイタリアに移り住む決心をしていたのです。告白をしようかと思っていた大泉は、先にその話を聞かされ意気消沈して持っていた風船がしぼんでしまうのでした。
大泉以外の4組はいろいろあって結局はうまくいきません。それぞれのときめきマンは、レッドを復活させるために、めぐみの出発に合わせて大泉を飛行場に連れ出すのです。大泉は惠のもとに駆け寄ると「愛してる~」と絶叫。その途端に、ものすごい量の風船が舞台になだれ込んでくるのでした。
という、ほぼ王道のラブコメで、作者の森崎の引き出しの多さに感心しました。女子5人の一人に女装の川井を混ぜて、ナックスメンバーだけに頼らずに笑いを入れ込んでいます。舞台はシンプルですが、やはり照明をうまく使って、細かく場面をいろいろな場所に作るのは森崎演出の得意技です。
女子組との対比の仕方も、ちょっと凝り過ぎ感はあるものの、当時の若者たちの文化・情景が目に浮かんできます。準備期間が少な目で用意された舞台としては、傑作とは言わないまでも楽しく見れる作品です。