夏季臨時休診のお知らせ

8月15日(金)~8月20日(水)は臨時休診となります ご迷惑をおかけしますが、お間違いないようにご注意ください

2025年7月19日土曜日

ビブリア古書堂の事件手帖 (2018)

三上延によるミステリが原作ですが、2013年に剛力彩芽主演でテレビ・ドラマとして放送されています。実は、ちょっと魅力的なタイトルだったので、リアルタイムに第一回を見ましたが、当時は女優さんに魅力が感じられなかったため(ゴメンナサイ)、2回目以降は見ませんでした。原作を知っている人からも、あまりに主人公のイメージが違い過ぎると批評されていたと思います。

映画化では、黒木華が主人公を演じて、今回は小説から浮かび上がってくるイメージにかなり近い形に寄せているようです。脚本は「3月のライオン」の渡部亮平、監督は「しあわせのパン」の三島有紀子です。

北鎌倉でビブリア古書堂という古本屋を営んでいるのは、祖父から店を受け継いだ篠川栞子(黒木華)で、ふだんは人と話すのが不得意ですが、本に関する古今東西の知識は圧倒的で、本の事となると人が変わったように饒舌になります。数か月前に路地の階段で転落し、今は松葉杖を使っています。

五浦大輔(野村周平)は、昔大好きな祖母が大切にしていた夏目漱石全集を触れたことで祖母から強く叱られ、以来かつじを見ると気分が悪くなり本がまともに読めなくなっていました。その祖母が亡くなり、あらためて遺品の夏目漱石全集をみていたところ、「それから」の最後に「夏目漱石 田中嘉雄様」というサインを見つけます。

大輔は、漱石の直筆か鑑定を栞子に依頼します。栞子は、漱石のサインは偽物であり、大輔がかつて祖母に強く叱られたこと、大輔という名(「それから」の主人公は代助)は祖母が付けたこと、「それから」が禁断の恋愛をテーマにしているなどから、祖母の絹子(夏帆)が夫いる身で小説家志望の田中嘉雄(東出昌大)と不倫に走ったことを推察するのです。

就活中だった大輔はビブリア古書堂でバイトをすることにして、自分で読めない「それから」を栞子に代読してもらうことにします。しばらくして、実は栞子の怪我は、栞子が所有している貴重な太宰治の初めての作品集「晩年」を狙う大庭と名乗る人物によって階段を突き落とされたものであることがわかります。

栞子と大輔が古書競売に出かけると、本のことに詳しい稲垣(成田凌)と知り合いになります。栞子は本の話題が通じることで、いつになく饒舌に会話をしているので、大輔はやや面白くない。稲垣と大輔は大庭という謎の人物から栞子を守ることにして、「晩年」初版本は大輔は預かることにします。しかし、その夜、大輔は襲われて「晩年」を奪われてしまうのでした。

原作をすでに読破していると理解できるのかもしれませんが、「晩年」に執着する大庭の動機がよく理解できない。いちいち出てくる60年ほど前の絹子と田中嘉雄のシーンが多すぎて、どちらのストーリーがメインなのかよくわからなくなります。

古書に残された様々な痕跡から、これまでの持ち主の人生を推理するという発想は独創的で素晴らしいのですが、それは原作の手柄です。映画としてはその部分についてはうまく表現できていると思いますし、黒木華の演技によるものが大きいように思いますが、野村周平はちょっと柔らかすぎるかもしれません。

成田凌は当時は売り出し中で注目される若手という感じでしたが、積極的に近づいてきた稲垣が怪しいことはかなり露骨に匂わせすぎなので、結末の驚きはかなり控えめになってしまいます(というか、ほとんどありません)。どうせキャラがネタバレするなら、むしろ稲垣の視点から描くというような思い切った改変もあっても良かったかもしれません。

2025年7月18日金曜日

梅雨明け(らしい)


おいおい、気象庁、いったいいつまで関東の梅雨明けを伸ばせばきがすむんだい・・・

今年は、そんなことを思っていたあなた、いやいや自分もそうなんですけどね。

何しろ西から開けてきた梅雨は東海まできてストップ。東海の梅雨明けは、7月4日に平年よりも2週間早く開けました。ところがいつまでたっても関東の梅雨明け宣言がない。

早く空けたって、また天気が悪くなれば「戻り梅雨」という言葉もあるんだから、いいんじゃないと思っていたんですけど、確かに今週は月曜日から台風もあって悪天候が続きました。

天気図だと、東から高気圧の勢力が強くなっていて、梅雨前線は北西に押し上げられているんですが、消えたわけではないようです。

どっちにしても、しばらく真夏の灼熱の太陽が照り付けるようですから、本日いよいよ関東も梅雨明けと発表される・・・らしいですから、一応2025年の梅雨は平年並みで明けたものとしておきましょう。

2025年7月17日木曜日

参議院議員選挙


国政選挙の一つである参議院議員選挙がもうじき行われます。

日本の議会制度では衆議院と参議院の2つがありますが、衆議院が国民の意見を直接的にかつ迅速に反映していくのに対して、参議院は衆議院の暴走を防ぐために、長期的な視点から衆議院の決定を審議することが基本的な役割と云えます。

衆議院は定数465議席で議員の任期は4年、途中で解散となる場合があります。参議院は定数は248議席で任期は6年、3年ごとに半数が改選されます。ですから、参議院議員選挙は3年ごとに124議席を争うことなります。

現在、衆議院は自由民主党と公明党の連立与党が占める議席数は220で過半数に達しません。一方、参議院は連立与党は140議席で過半数を超えています。かろうじて与党は衆議院で野党に政策を押し切られても参議院で踏みとどまることが可能になっているわけです。

しかし7月28日に任期満了となる参議院議員は117名で、そのうち与党は65議席です。つまり140から65減って、今回の選挙で最低50議席を獲得しないと、参議院でも優位性が保てなくなる計算になります。

各野党が共闘して政権を奪取する気概があれば、政権交代は夢ではなくなりますが、もっかのところ野党は群雄割拠で「俺が、俺が」状態ですからそれは難しい。ただし、野党全体で過半数を占めることができれば、自民党を中心とした旧態然とした政治システムに歯止めがかけられることは間違いなく、そういう意味でも近年注目度が高くなっている選挙ということが言えます。

投票日を7月20日に決めたのは与党。多くの人が三連休となる真ん中で、かつ夏休みに入る人も多いわけで、自民党としては不確定要素の浮動票を減らして有利に選挙戦を戦いたいという腹積もりなのではと勘繰ってしまいます。しかし、裏金問題、物価高、低収入、少子化、貿易問題、外国人問題・・・次から次へと出てくる自民党に対する政治不信には、投票率が高いとは言えない若者たちですら大きな危機感を感じているようです。

真偽不明の物が入り乱れるSNSの時代で、若者もたちも自分たちの将来のために情報に反応するようになってきているようです。予想以上に期日前投票の数が伸びていて、選挙結果の予想は混沌としてきており、一人一人の一票の重みを感じる選挙になりそうです。

2025年7月16日水曜日

朝顔


ドラマしゃなくて、ほんとのアサガオ。

昔は夏休みの宿題で「観察日記」のテーマとして定番でしたが、今はどうなんでしょうか。

種蒔きして、双葉が発芽して、どんどん伸びていく変化がわかりやすいので、学習素材としてぴったりなんでしょうね。

しかも、わかりやすい花がぱっと咲いているのを見ることができるのは朝のうちだけとくれば、早起きをしないといけないので、だらだらしているわけにはいきません。

名前からして日本的ですし、季節の様相は変化してきている感じがしますが、夏の風物詩として長く続いてもらいたいものです。

2025年7月15日火曜日

チャンネルはそのまま! (2018)

ローカルテレビ局の北海道テレビが、開局50周年記念で制作したドラマ。実際のテレビ局内を舞台にして、新入社員の奮闘ぶりをコミカルに描いて、ローカルテレビ局の仕事もよくわかる内容になっています。原作は北海道出身の佐々木 倫子のマンガです。

ローカル局である北海道★(ほし)テレビの今年の新入社員は5人。報道局に配属された頭の回転が速く何でもこなせる山根一(飯島寛騎)、アナウンス部に配属された美人で抜群の国語力を持つ花枝まき(宮下かな子)、編成部に配属された超ベテランのような落ち着きのある北上隼人(長田拓郎)、営業部に配属されクライアント受けのよい服部哲太郎(島太星)・・・そして報道局にはもう一人超問題児がいました。

それが雪丸花子(芳根京子)で、やることなすことトンチンカン。バカ正直で真っすぐなんですが、猪突猛進で上司を悩ますことばかりを引き起こしていました。どうやら非公式に設けられている「バカ枠」ということらしく、大化けして大金星をあげるかもしれない・・・というわけのわからない採用理由でした。

案の定、雪丸は同期の活躍に比べるとなかなか結果が出せずにいましたが、そんなことでくよくよしないのが良い所(?)とでも言いましょうか、かえって武器であるバカ正直であちこちで人の心をつかみ、同期の失敗も意図せずリカバーしていたのです。ライバルの札幌ヒグマテレビの情報部長の香取(安田顕)は、そんな雪丸の存在を密かに警戒していたのです。

NPO法人スプラウトまいんどの代表を務める蒲原正義(大泉洋)は、荒れた土地を再生して、再び農作物を育てられるようにする事業を通して農家の人々に頼られる存在になっていました。雪丸はたまたま別の取材中に蒲原と知り合い、蒲原は雪丸の純粋さに感心します。山根は初めての自分の特集として蒲原を取材しようとしますが、最初は断られたものの雪丸の同期であることがわかるとOKしてくれました。

農家を応援したいと言う蒲原の特集は大好評で、山根もホッとしますが、それも束の間。蒲原は国からの補助金の私的流用の疑いが発覚したため雲隠れしてしまい、蒲原を讃えるような番組を放送した北海道★テレビにはクレームが殺到するのでした。

母親が北海道出身と言う縁で主演に抜擢されたのが芳根京子ですが、実にはまり役で、生き生きと演じています。安田、大泉以外に雪丸の父親役で森崎博之、農家の人として音尾琢真、蒲原を捜査する刑事として戸次重幸らが登場してTeam Nacsが全面協力しています。これは北海道テレビの看板番組であった「水曜どうでしょう」が、Team Nacsが人気者になることに大きく関与したこともあっての協力だと思います。

実際、「水曜どうでしょう」のディレクターだった藤野忠寿、嬉野雅道がこのドラマでも、製作・監督として参加しており、藤野は先輩「バカ枠」として出演もしています。総監督としてクレジットされているのは、「踊る大捜査線」の本広克行です。

北海道テレビが新社屋への移転をしたばかりだったのて、旧社屋を思う存分舞台にしています。テレビの各部署の仕事や他局との視聴率争い、中央のキー局との関係なども描かれていて、テレビ界の実情もうまく描き込まれているのが面白い。雪丸を中心としたいわゆる「お仕事ドラマ」ですが、全5回で実にテンポよくだれることがないコメディとしてもよく出来ていると思います。

2025年7月14日月曜日

南インドの魚カレー


インドと一言で呼んでますが、北と南ではだいぶ文化が違う。北と南ではスパイスも多少変わります。南は海が近いので、魚はよく使われます。

今回はメカジキを使い南インド風を作ってみました。

最初に使うのは、マスタード・シード。あの粒々のマスタードです。

油に入れて温めて、泡が出てきたら香りが油に移ります。タマネギはみじん切りから飴色まで炒めるのではなく、薄くスライスして炒めて使います。

トマトは少な目でよく炒める。しっかり炒めて水分を飛ばすことで、酸味を減らします。

次にスパイス。いつものクミン、コリアンダー、ターメリック、チリ・パウダーです。

魚の切り身を一口大に切って入れ、ひが通ってきたら水・・・・ではなく、ココナッツ・ミルクを入れます。とろみがつきすぎるので、適量の水をいれてのばします。

塩味を調節してパクチーを散らして出来上がり。

ほぼタイカレーみたいな感じですが、これはこれでめちゃめちゃ美味しいです。

2025年7月13日日曜日

252 生存者あり (2008)

驚異的な自然災害によって崩壊した東京の地下鉄新橋駅に取り残された人々と、命がけで彼らを助けようとする東京消防庁ハイパーレスキューの活躍を描くパニック映画です。原案は小森陽一で、「海猿」シリーズでも原案を担当しています。しかも主演が伊藤英明とくれば、陸に上がった海猿・・・とも言えなくない。監督は水田伸生、脚本は「スマホを落としただけなのに」の大石哲也です。

小笠原諸島で起こった大地震でマグマが噴出、海水温が急上昇し巨大台風が発生しました。東京には大津波と暴風雨が押し寄せ壊滅的な被害が発生する中で、元レスキュー隊員の篠原祐司(伊藤英明)は、娘のしおり(大森絢音)、研修医の重村(山田孝之)、中小企業社長の藤井(木村祐一)、韓国から来たコンパニオンのキム・スミン(MINJI)らと共に旧銀座線新橋駅ホームに逃げ込み閉じ込められてしまいます。

外ではハイパーレスキュー隊が生存者を探して懸命な救出作業を行っていましたが、気象庁予防部の海野(香椎由宇)の進言により二次被害の懸念が高まり、思うように行動ができない状況でした。祐司の兄である隊長の篠原静馬(内野聖陽)は、崩壊寸前の地下の奥から何かを叩く音を検知し、それが消防庁で使われている「要救護者あり」を意味する「2・5・2」のコードであることから、祐司の存在を確信します。

静馬は台風の目が通過する18分間にすべてを賭け、爆薬によって穴をあけヘリコプターでいっきに救出する作戦を開始するのでした。

・・・と、まぁ、閉じ込められた人それぞれにも取って付けたようないろいろなドラマも描かれ、地上では祐司の妻(桜井幸子)と静馬のやり取り、冷静な副隊長(山本太郎)、隊員の安全を第一に考える本部長(杉本哲太)などのエピソードを絡めて、そこそこ話を盛り上げようとしているのはわかります。

出だしはすでに災害が起こった後から始まり、何でそうなったという本編が遅れて始まります。承起転結という見ているものをいきなり映画の世界に引き込むためによく使われる手法ではあるんですが、あまりに情報なしで見せられるのでむしろ混乱するだけであまり成功しているようには思えません。

冒頭の大津波ではお台場のフジテレビ本社ビルが破壊されるシーンがあるのですが、この映画は日本テレビ系の製作であることを考えるとなかなか意味深な印象です。フジテレビの象徴であるビルの球体部分が吹き飛ばされるような津波ですから、そもそも新橋だけに被害が集中するはずはなく、難を逃れた人々が新橋のビル街に避難しているというのはどうなんでしょうか。

重傷を負っているキムに重村がそこらにあるので輸血をするのは、かなり強引な設定。いくら元レスキュー隊員がいるからと言って、非難した場所の頭の上で爆薬を使うというのも、あまりに一か八かすぎやしませんか。するなら、こっちからも何らかの信号を送るなりのことをするように思います。

これだけの大災害なのに、警察も自衛隊も出てこないし、ましてや政府も音沙汰無し・・・まぁ、突っ込見所はたくさんあるんですけど、コード・ブルーで山P呼んだらいいのにとか、今なら東京MERで鈴木亮平が駆けつけてくれるよねとか、余計な事ばかり考えてしまう映画です。


2025年7月12日土曜日

冬瓜


冬瓜(とうがん)今が旬の野菜の一つ・・・なのに名称に「冬」ってついているやん。

これは、そのまま冬まで保存が可能であることからついた名前で、英語でもWinter Melonと呼ばれたりするんだそうです。

大きく育てれば長さが80cmくらいまでになるのですが、そんなに大きいと重たくて運搬にも不便ですから、こちらのあたりで見かけるのはだいたい30cm未満のものが主流です。

はっきり言って、味はほとんど無い。ですから、どんな味付でも馴染むと言ってよいのですが、だいたい和風のつゆの味で煮物にするのがスタンダードでしょうか。

一緒にホタテの貝柱を入れても風味が増してGOODです。鶏そぼろの餡掛けでもいける。

この時期に一度は食べておきたい野菜です。

2025年7月11日金曜日

東京ワイン会ピープル (2019)

金田一少年の事件簿・・・というと、一頃ジャニーズ若手の売り出し企画ドラマみたいになっていたマンガですが、これを書いたのは天樹征丸という人で、実はいろいろな名前を使っていろいろなジャンルにも手を出すマルチな才能を持った方らしい。

亜樹直という名前で書いた「神の雫」はワインを題材に深く深く掘り下げたマンガとして大ヒットして、亀梨和也主演でドラマ化もされています。小説を書くときに使っていた名前の一つが樹林伸で、同じくワインをテーマにした作品が「東京ワイン会ピープル」です。

映画化では主演が乃木坂46の松村沙友里で、いわゆるアイドル映画みたいなところはあるんですが、とにかくワインにまつわるウンチクがたくさん詰まった映画になっていて、少しだけワインをたしなむ自分としてはなかなか楽しめる作品です。監督が変わっていて、東大卒で映画を作りたいから医者をやっているという和田秀樹です。

桜木柴野(松村沙友里)は、ワイン好きの会社の上司に誘われて、友人の雨宮千秋(大野いと)と一緒に合コン気分で初めてのワイン会に参加しました。次から次に出てくる高級ワインに驚く二人でしたが、千秋はイケメン歯科医と懇意になります。

柴野がワインの味を独特の言葉で表現をするので、IT業界で注目される織田一志(小野塚勇人)は自分のちいさなワイン会に誘います。しかし、その当日織田は会社の粉飾決済の疑いで逮捕されてしまうのです。柴野は織田の希望もありワイン会に参加すると、織田の仲間たちは柴野の的確にワインを表現する柴野の言葉に感心するのでした。

なんで準主役が逮捕されて消えてしまう? っていう何とも釈然としない展開なんですが、その後の柴野は独りでいろいろなワイン会に参加していろいろな人々と出会うことになります。千秋は歯科医にポイ捨てされて荒れてしまうのですが、そこは本物でも不味いワインもあれば、偽物でも最高なワインもあるというオチがついていて、ただただ高級ワインだけを紹介しているわけじゃない。

まぁ、中身的にはあまりどうのこうのと言う映画ではないので、ワインが好きな人、松村沙友里のファンの方が見ればいいのかなと思います。普段1000円クラスのワインばかりで満足して、5000円でびっくりしている立場としては、この映画の世界は現実離れしているとしか言いようがないのですが、本当にこんな会があちこちで開催されているなら招待してもらいたいものです。

2025年7月10日木曜日

ゴーヤのカレー


苦瓜・・・一般にはゴーヤの名称で知られる、今が旬の夏野菜の一つ。

名前の通り、苦みが強いので苦手の人が多いのですが、苦みの減らし方がいろいろと紹介されていいます。

ふだん自分が実践しているのは、とにかく綿の部分を徹底的に取る・・・だけなんですが、スプーンなどでしっかりとかき出せば、そのままおひたし風でもいけます。

ゴーヤはカレーにも合う。この場合は、確実に苦みを減らす良い方法があります。

まず、普通に綿を取り除いて、普通に食べやすくスライスします。

そこにカレーで使うターメリック(うこん)をパラパラ。塩をパラパラ。そしてレモン汁をさっとかけ回す。あとはよく混ぜて、30分ほどおいておく。使う前に水で洗い流せばOKです。

そうやって用意したゴーヤを、いつもの手順で入れれば最高に美味しいカレーが出来上がります。

いつもの手順というのは、カレールーを使う方なら煮込む最後の数分間で投入すればよい。早くに入れすぎるとゴーヤがへなへなになりすぎて美味しくありません。

スパイスカレー、スパイスのみで作る場合は基本のチキンカレーの作り方と同じ。

1個分の飴色タマネギを作ったら、ニンニク・ショウガを大さじ1程度追加。カットトマトを200gくらい入れて水分をしっかり飛ばすように炒めます。クミン・コリアンダー・ターメリックをそれぞれ大さじ1、チリパウダー大さじ1/2(お好みで)、少な目の塩を入れて全体を馴染ませます。カットした鶏肉をお好みで入れてかるく炒めたら、水250ml程度入れて数分間煮込んで塩味を調節したら出来上がりです。

ゴーヤを入れるのは、水を加えてちょっとしてから。煮込む時間は数分間程度です。

こんなに美味しくゴーヤを食べることができると驚くと思います。チャンプル以外にレシピを思いつかない方は、一度は試してみることをお勧めします。

2025年7月9日水曜日

Fukushima 50 (2020)

門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」が原作で、2011年の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故を、最後まで残って対応した50名の作業員たちを描く作品です。事故の最も危険な時期についての映画としては、すでに首相官邸を中心に描かれた「太陽の蓋」がありますが、事故の現場の状況についての描写はほとんどありませんでした。

吉田昌郎氏は事故当時の所長で、最も現場に近い場所で陣頭指揮を執った人物で、その後の収束作業にもあたっていましたが、2011年11月に食道がんを発症し闘病の末2013年7月8日に亡くなっています。その他の登場人物も、基本的にモデルとなる実在の人物がいて、吉田を演じた渡辺謙と共にW主演となった佐藤浩市が演じた伊崎利夫は、当直長の伊沢郁夫と曳田史郎が当てられています。

監督は「ホワイトアウト」、「沈まぬ太陽」の若松節朗、脚本は大河ドラマ「軍師官兵衛」の前川洋一です。「太陽の蓋」と違って大手の松竹/KADOKAWAの製作なので、いわゆる商業映画、つまりエンターテイメントの要素がかなり加味されおり、有名俳優がたくさん登場してなかなか見応えのある画面がたくさん出てきます。

その点が、評価を二分する原因になっているわけで、未曽有の災害・事故を扱っているためにエンタメ化している点に拒否反応を示す視聴者も少なからずいるようです。もちろん最悪東日本全体に壊滅的被害が及んだかもしれない原発事故に、命がけで立ち向かった所員の方々に対して敬意を払うのは当然だと思いますが、ヒーロー扱いするようなところは賛否が分かれることになります。

これは、多分に原作にも問題があるらしい。後に公開されたさまざまな資料や映像と比較して詳細に検討している方も多いのですが、原作では吉田所長の言動・行動はかなり改変が加えられているらしい。映画はそれらをそのまま転用しているため、自然とエンタメ志向が強まったようです。

現実に、1週間程度で完全にすべてが沈静化したわけでは無く、14年たった今でもその傷跡はしっかりと開いていて、多くの方々が普通の生活に戻れていません。これが架空のパニック映画であれば楽しめたかもしれませんが、多くの人がリアルタイムに体験した「事実」に基づいているからには、誇張された表現は慎むべきだったのではないでしょうか。

東京電力については「太陽の蓋」は東日電力、「Fukushima 50」では東都電力と名称が変更されています。しかし、「太陽の蓋」の方が、少なくとも官邸の人々については実名を使用していることで強いリアリティが生まれています。映画を作るのにも多くのスポンサーが必要ですから、おそらくこの辺りが大資本映画の限界のようなところかもしれません。

「Fukushima 50」では総理大臣の佐野史郎にかなりエキセントリックな演技をさせていて、官邸を悪者にしているようなところがあるのですが(実名を使っていないところにずるさを感じますが)、両者に共通なのは一番事態を混乱させたのは東京電力本社だというところ。官邸にはいい顔をして、現場には無理難題を押し通そうとして、会社としての体面を保とうとしていたらしいところが見て取れます。

いずれにしても両者は視点・切り口が異なるので、2つの映画を見た上で自分があの時経験したことの隠れていた部分を判断する必要がありそうです。なお、この同じ原作を利用したNetflixドラマが「THE DAYS」で、吉田所長に役所広司、当直長に竹野内豊を配して、映画にも負けないくらいの重厚感で描いています。しかし、全体の流れは同じで「Fukushima 50」と同じ問題点を露呈していると言わざるを得ません。

原子力発電の是非という大きな課題に対しても、生活に電力が必要だからというだけで肯定する、あるいはこのような破滅的な事故が起こるから否定するというような単純な結論ではなく、地球温暖化問題なども含めてしっかりとした議論がまだまだ必要だと感じました。少なくとも、これらの作品は、そういう意識のきっかけにはなるのかもしれません。

2025年7月8日火曜日

太陽の蓋 (2016)

2011年3月11日、午後2時46分。宮城県沖を震源とする東日本大震災と巨大津波は、2万人以上の死者を出した、戦後日本で起こった最も大規模な自然災害でした。しかも、直後に発生した津波による福島第1原子力発電所の破壊は、さらに大きな影響を人々の生活に強いることになります。

首都圏にいた自分たちは、大きな揺れに驚き、津波の甚大な被害に恐怖しましたが、地震そのものはある程度離れた場所のことと思っていたところがありました。しかし、原発事故の影響は周辺で非難した人は10万人を超え、首都圏でも放射線レベルの上昇と共に計画停電による落ち着かない日々を過ごすことになりました。

当時の自民党から政権を奪取した民主党は菅直人総理を筆頭に、この災害・事故への対処を巡って批判にさらされ続け、自民党・安倍政権が取って代わってからは、次々にその「無能」振りを暴露されたような印象です。そして、民主党政権によってすべての原子力発電所が稼働停止したものを、安倍政権は次から次へと再稼働に舵を切ったのです。

おそらくこれらの一連の出来事を最初に映画にしたのは、2013年の「朝日のあたる家」だと思いますが、これは離散した家族の苦悩を描く物でした。「太陽の蓋」はその次に作られたものだと思いますが、初めて原子力発電所事故を真っ向から取り上げ、多くの報告書などから綿密に可能な限り事実の基づいて最初の5日間を首相官邸サイドを中心に描いたものです。監督は佐藤太、脚本は長谷川隆です。

まず最初に驚かされるのは、当時の首相だった菅直人氏をはじめ主だった閣僚・官僚は実名で登場する点です。三田村邦彦の菅直人はややかっこ良過ぎですが、枝野官房長官の菅野大吉はそっくりです。このことによって、映画のノンフィクション感が一気に強くなり、当時ニュースなどでしか状況がわからなかった自分たちは、再び「あの時」を強く思い出すことになるのです。

基本的には官邸記者クラブの鍋島(北村有起哉)を中心にストーリーが展開するのですが、その時にリアルタイムに記者が知りえた話と、後に関係者に取材してまわって得た情報によって映画は組み立てられています。発電所を何とかしたい現場と、できるだ穏便に事を処理したい電力会社本社、そしてなかなか情報が上がって来ずに後手後手に回る官邸という構図が見て取れます。

後日、元官房副長官(神尾佑)は、鍋島の取材に「とにかく本社が情報をあげてくれなかった」と証言し、鍋島は「じゃあ、情報があればあの時何かできたんですか」と問い返します。確かに、誰にもこれだけの事故を簡単に納めることはできなかったと思いますし、民主党だから、菅直人が首相だったからという問題ではないように思います。

ただ、公表されている事実をかなり忠実に再現しているらしいのですが、映画では民主党政権にやや味方しすぎのような印象は拭えません。現在でも、派生した数々の問題が山積している状況は続いているわけですが、そもそも電力を使いたいと欲しているのは一人一人の国民ですから、まだまだ忘れてしまうのは早すぎると感じました。

2025年7月7日月曜日

ハイビスカス


 熱帯・亜熱帯原産の植物で、鮮やかな花が美しいのは?

そう、ハイビスカスです。

もはや日本でも、問題なく楽しめるわけで、このあたりでも日本は温帯地域ではなくなったと感じるところです。

大きな花弁が特徴ですが、実際のところ、赤色と対照的な黄色い花粉が差し色として効果を上げているように思います。

ハワイ州花となっているんですが、実は鹿児島県、沖縄県の多くの自治体でも地域の花となっていて、けっこう昔から日本でも馴染み深い花になっているようです。

今日は七夕。髪飾りにハイビスカスをつけて出かける・・・・なんてことはしないですかね。

2025年7月6日日曜日

にじいろカルテ (2021)


岡田恵和は、映画では「いま、会いにゆきます」、「おっぱいバレー」、「メタモルフォーゼの縁側」などがあり、ドラマでも「ちゅらさん」、「ひよっこ、」、「最後から二番目の恋」シリーズなど、原作物からオリジナルまで多くのヒット作を生み出した脚本家で、安定した高い評価を受けています。

本作はテレビ朝日の連続ドラマで、患者になった女医が田舎の村に赴任して、村全体が「家族」のように互いを支え合っていく中で、本当の自分の居場所を見つけていくというストーリー。恋愛物でも、医療物でもなく、「病とともに生きる」をテーマにしたヒューマン・コメディという表現が一番似合います。

紅野真空(高畑充希)は、東京の病院で有能な内科救命医として働いていましたが、多発性筋炎を発症したため、救急の激務をこなすことが困難になり、上司から「我々が必要なのは医者であって患者ではない」と言われてしまいます。

真空は仕事を続けたくて、偶然に知った虹ノ村診療所の内科医募集で採用され住み込みで働くことになりました。到着するなり村唯一の売店兼寄合所「にじいろ商店」で、多くの村民から大歓迎され驚きます。虹ノ村診療所のスタッフは、いつもハイテンションで口が悪い外科医の浅黄朔(井浦新)と短気で真面目過ぎる看護師の蒼山太陽(北村匠海)で、3人の遠慮のない共同生活が始まるのでした。

初めは採用取り消しを恐れて病気のことを隠していた真空でしたが、検診のため東京に月に一度行かなければならず、その理由を説明すると朔は「医者で患者は最強じゃん」、太陽は「仲間に嘘はつくな」とだけ言い許します。村の人々も、まったく問題ないとしてあらためて歓迎するのでした。

にじいろ商店は橙田雪乃(安達祐実)と橙田晴信(眞島秀和)の夫婦が営んでいましたが、雪乃はまだら認知症で、数か月ごとに自分の事がわからなくなってしまいます。そんな時は、村役場の霧ヶ谷桂(光石研)の妻である氷月(西田尚美)と村役場で働くシングル・マザーの緑川嵐(水野美紀)が、雪乃の生い立ちから順を追って説明をして元の生活に戻れるようにサポートするのでした。

教師をしていた桃井佐和子(水野久美)は、高齢の一人暮らしでたくさんの不安を隠して生活していましたが、真空がいつでも携帯電話をかけていいと言ってくれたことで元気をだします。

朔がこの村に来たのは妻の沙織(佐々木希)が野菜作りが大好きだったからですが、亡くなった時に助けることができなかった後悔をずっと引きづていたのです。太陽は、誰もが生きていくうえで何かしら抱えているものがあるのに、自分には何もなく「普通」すぎることに引け目を感じていました。

膠原病の一つで難病指定されている多発性筋炎は、自分の筋肉や皮膚に対してアレルギーを起こしてしまう病気で、倦怠感、筋力低下などにより日常生活に支障をきたすことがあります。ステロイド剤や免疫抑制剤による薬物治療が効果的ですが、肺などの合併症により生命予後を悪くする場合があります。

主人公の病状の描写は概ね間違っていないと感じました。さすがに救急医療を担うのは困難かと思いますが、通常の診療科であればスタッフの人数が多い大病院の方が働きやすいように思います。しかし、それはあくまで調子が悪ければ「代わりに仕事をしてあげる」というものであって、精神的な負担を増やすかもしれません。

肉体的には村の診療所の方が激務かもしれませんが、患者さんから精神的に支えられるというのはまさに「病とともに生きる」充実感と勇気をもらうことにつながっています。そういう意味では、病気の有無に関係なく地域医療の大切さも描いているドラマだと思います。

他人の干渉を嫌がる人が多いとは思いますし、自分もそのように考える一人なのかもしれません。しかし、このドラマでは過度の干渉のように見えて、お互いの事を理解した上での節度を保っているところが嫌味にはなっていないのがよく出来ている点だと感じました。

2025年7月5日土曜日

室町無頼 (2025)

コメディ系の印象が強い大泉洋にとって、大泉洋史上最高にかっこいい演技が見れる映画・・・という触れ込みは伊達ではありませんでした。よくある江戸時代よりも古く、さらに戦国時代に突入する前の室町時代中期の時代劇です。

第8代征夷大将軍である足利義政の悪政のもと、民衆は貧しさを極め、折からの大飢饉によって餓死するものが続出するなかで、寛正3年(1462年)、蓮田兵衛を首魁とする京の都を急襲する「寛正の土一揆」が発生しました。このエピソードを膨らませた垣根涼介による歴史小説を原作として、「あんのこと」の入江悠の脚本・監督により映画化された作品です。

民の飢えと貧困が極限に達しようかという時代、将軍、大名は富をむさぼりつづけていました。傭兵を率いて都の警備を請け負っていた骨川道賢(堤真一)は、悪徳金貸しの用心棒をしていた才蔵(長尾謙杜)を捕えたものの、若すぎて扱いづらいため、古い悪友である蓮田兵衛(大泉洋)に引き渡します。

浪人者の兵衛は、腕も立ちますが、あちこちで貧しく苦しむ農民たちを助けて回っていて、時が来れば一斉蜂起するべく準備をしていたのです。棒術が得意だった才蔵は兵衛についていくことを決意しますが、兵衛はまだまだ未熟な才蔵を自分の師匠、唐崎の老人(柄本明)に預けます。

1年間の辛く危険な修行の末、才蔵は立派な兵法者となり兵衛のもとに戻って来ます。兵衛はいよいよ立ち上がる時が来たと感じ、慕ってきた多くの浪人者、これまでひたすら我慢に我慢を重ねてきた農民らを率いて一揆を起こすことを決断します。これらの不穏な動きはスパイによって幕府にも知らされ、骨川道賢は兵衛のもとを訪れ事を起こせば容赦はしないと伝えるのでした。

兵衛は道賢に一揆の日時を教えますが、農民たちの借金の証文を焼くことが一番の目的であるから、自分たちと戦うのは少しだけ待ってほしいと頼みます。しかし、兵衛は予告した日時よりもさらに早くに立ち上がり、一揆の群衆は京の町になだれ込むのでした。

兵衛を慕う高級遊女に松本若菜、足利義政に中村蒼、民を人とも思わない悪大名に北村一輝らが登場しています。江戸時代がジョン・ウェインの正統派西部劇ならば、まだ形が定まらない混沌とした室町の世界は、まさにマカロニ・ウェスタンです。ひたすら搾取される民衆のために立ち上がる「荒野の用心棒」の姿が、まさに兵衛に他なりません。

とにかく大泉洋がかっこいい。それに尽きる。大勢のぐちゃぐちゃの中を駆け抜ける兵衛と才蔵の殺陣のすさまじいことといったら、他ではあまり見たことがありません。佐藤健の剣心は現代風のスタイリッシュな殺陣でしたが、ここでは泥臭いけど疾風のような殺陣は「木枯らし紋次郎」に近いかもしれません。

しかし、そのあとでしっかりと兵衛と道賢の一対一の勝負にも決着がつくところもなかなかグッとくる。本当に「こんな時代劇を見たかった」と手を打ちたくなる作品でした。

2025年7月4日金曜日

曲がれ! スプーン (2009)

もともとは劇団ヨーロッパ企画の上田誠による舞台劇「冬のユリゲラー」が原作で、上田誠自ら映画用脚本を担当し、「踊る大捜査線」の本広克行が監督をしました。舞台を演じた俳優と、これまでの本広作品に登場した俳優が、入り乱れてのシチュエーション・コメディで、舞台では脇役だったテレビ局の女性ADを中心に展開します。

テレビで超常現象バラエティ「あすなろサイキック」を担当しているADの桜井米(長澤まさみ)は、こどもの頃から超常現象に強い興味を持っていて、日頃から自らもスプーン曲げに挑戦しているのです。しかし、番組に登場するのはインチキ臭い者ばかりであったため、上司から局に寄せられた多くの投書を検証して本物のエスパーを探すようにいわれます。

今日はクリスマスイブで、喫茶店「カフェde念力」には本物のエスパーが集まってパーティをすることにしていました。マスター(志賀廣太郎)自身は超能力を持っていませんが、昔エスパーに助けられた恩義があるということで、彼らが気楽に集える場所にしていたのです。

マスターは、サイコキネシスの河岡(諏訪雅)、エレキネシスの井出(川島潤哉)、透視の筧(中川晴樹)、テレパシーの椎名(辻修)らに「今日は新入りが来る」と言ってお使いに出ます。そこへやってきたのは桜井と待ち合わせしていた神田(岩井秀人)ですが、彼はテレビに出たいだけのインチキエスパーなのです。

そんなことも知らずに4人は自分の能力を神田に見せてしまいますが、遅れて登場したのが今回が初参加のテレポートの小山(三宅弘城)でした。神田にエスパーである秘密をばらされると困るため、神田の処遇をどうするか困っているところに、桜井が店にやってきます。

神田は技を桜井に披露するのですが、超能力とはとても言えるものではないため桜井はがっかりして帰ろうとします。ところが、筧が透視で桜井の持ち物の中に毒蜘蛛が紛れ込んでいることを見てしまったため、自分たちの超能力で何とか毒蜘蛛を退治しようということになるのでした。

映画化に際して桜井米が町をあちこちエスパーを探して歩き回るシーンなどが追加されてはいるものの、基本が喫茶店の中だけで起こる舞台劇ですから、あまり背景に奥行きは感じられません。正直、作者ではない別の映画専門の脚本家に任せた方が面白かったのかもしれません。

また、監督の本広もそんな脚本を尊重してか、時間の経過やストーリーの転換点で暗転する舞台的な編集を多用していて、いちいちCMでも入るのかと言いたくなるようなぶつ切り感があるのも残念なところ。せっかく舞台と違って、エスパーを信じている長澤まさみをメインに仕立てたのですから、彼女の主観で進行する形はできなかったのかと思いました。

結局、長澤まさみであってもなくてもいいような流れの中に、上田・本広の作品を細かく知っているマニアがクスっと笑うような小ネタ満載の映画なのかもしれません。

2025年7月3日木曜日

もっちゅりん


謎のお菓子・・・もっちゅりん。

mister donutsの55周年を記念して6月に発売された新作なんですが、売れ切れ続出で、並んでもなかなか手に入れるのが難しいらしい。

しかも、すでに販売を終了した店舗も多いらしく、HPからは情報が削除されています。

国産のもち粉と米粉の配合にこだわった生地を揚げて、表面にオリジナルのコーティングしたもの。今までになかった「もちもち」を超えた「もっちゅり食感」を味わえるということらしくて、大好評だそうです。

センター南では、先週末まではまだ売っていましたよ。まだ未体験の方は急ぐべし!!

2025年7月2日水曜日

サグカレー


インド料理でよく目にするのものの一つに、青汁入れたんかい!っと突っ込みたくなる緑色のカレーがあります。

ほうれん草を用いたものが多いみたいで、サグカレーと呼ばれています。ただし、サグというのは青菜のことなので、必ずしもほうれん草でなくてもOK。

冷蔵庫に安い時に買った小松菜が余り気味だったので、今回はこれを使うことにしました。

やることは基本のチキンカレーとたいして変わらない。追加でひと手間増えるだけです。

飴色たまねぎを作り、トマトを入れて煮詰め、スパイスパウダー(クミン、ターメリック、コリアンダー)と塩を混ぜたら、チキンを入れてある程度火が通ったら水を入れる・・・

このタイミングで青菜を入れるだけ。ただし、あらかじめ軽く茹でてブレンダーでペースト状にしておくというのが、ちょっと面倒かもしれません。

彩を良くするために仕上げにヨーグルトをかけましたが、もちろん無くてもかまいません。小松菜の風味が立って、スパイス感をマイルドにしてくれます。

2025年7月1日火曜日

こんな夜更けにバナナかよ (2018)

鹿野靖明氏は北海道で1959年に生まれ、12歳の時に筋ジストロフィーと診断されました。筋ジストロフィーという病気は、四肢の筋肉の力が衰え、最後は呼吸するための筋肉にも影響し成人まで生きるのが難しいといわれています。鹿野氏は1982年に「自立」した生活を始めます。1987年には結婚しますが、残念ながら1992年に離婚。以後、多くのボランティアと共に生活を続けますが、1995年からは人工呼吸器が必須となり、2002年に亡くなっています。

北海道在住のノンフィクション作家、渡辺一史が2003年に鹿野氏とボランティアの方々の話をまとめた本を発表し、この映画はそれを原作とする実話をもとにした作品です。脚本は「ビリギャル」の橋本裕志、監督は「大名倒産」、「九十歳。何がめでたい」などの前田哲です。

筋ジストロフィーのため口と手しか動かすことができない鹿野靖明(大泉洋)は、医大生のボランティアである田中久(三浦春馬)の様子を見に来た久の彼女である安藤美咲(高畑充希)を気に入り、強引にボランティアの一人にしてしまいます。夜中に急に「バナナを食べたい」と言い出し、美咲は街中を走り回ることになったりして、そのわがままな態度に美咲ははじめは反発します。

しかし、そんな鹿野を田中をはじめ、リーダーの高村(萩原聖人)、前木(渡辺真起子)、塚田(宇野祥平)らは嫌な顔をせず面倒を見ているのでした。主治医の野原(原田美枝子)は、鹿野のわがままを許すわけでは無いものの、自立した生活を望む鹿野のことを認めていました。

久は病院長である父親との関係に悩んでいて、美咲ともちょっとした行き違いでギクシャクしてしまい、しだいに自分の進むべき道に自信を無くしてしまうのです。しかし、鹿野がついに人工呼吸器を装着しなければならない状態になり、それでも自分の夢を追いかけ意志を貫こうとする姿勢を見ているうちに何かが変わっていくのでした。

自分がかつて勤務した病院は、内科は神経・筋肉疾患、整形外科は脊髄損傷の患者さんばかりが入院していました。脊髄損傷の患者さんは若者が多く、リハビリテーションによってある程度の生活能力を獲得して退院していくのですが、内科の患者さんはほとんどが進行性の病気により確実に死が訪れる方々ばかりでした。

当直のときには、何度も内科病棟でのトラブルに呼び出されることが多くありましたが、未来が無い病棟の雰囲気はとても重々しいものだったことを覚えています。そこからは、これらの患者さんが自立して一般社会の中で暮らすということは現実的に想像すらできませんでした。

同じ時期に、鹿野氏が自立しようと努力していたことは驚くしかありません。当然、そこにはボランティアの方々の「献身的な支え」があるわけですが、鹿野氏の場合自立を支えていたのはそんな上から目線のようなきれいごとではなく、わがままを含めてすべてをさらけ出すことで、対等な人間関係を築いていたところがすごい。それはある意味、疑似的な「家族」を形成したと言うことができるのかもしれません。

映画としては、美咲が最初は視聴者の代弁者として鹿野のわがままぶりに反感を持つのですが、しだいに鹿野を愛おしく思うようになっていく過程がやや急ぎすぎのように思いました。そこの描き込みが足りないために、鹿野に共感していく部分に苦労します。最終的には鹿野は亡くなるわけですが、そこは積極的に描かず久と美咲が鹿野から「自立する」とはどういうことなのかを学び取ったところで止めたのはよかったと思います。

2025年6月30日月曜日

スーパーで手に入るスパイス


本気のスパイスカレーを作ろうと思ったら、けっこう敷居が高いと思う人が多いかもしれません。

でも、そこらのスーパーで簡単に必要なスパイスは手に入ります。比較的種類が豊富なのは、日本のものだとS&B食品、そして海外ブランドならGABAN(日本の代理店はハウス食品)が定番というところでしょうか。

うちのスパイスは、写真のようなものが以前から並んでいます。これ以外では、ブラックペッパーもGABANのホールをミル容器に移して使う時に挽いています。唐辛子は「鷹の爪 輪切り」を常備しています。

他にはローズマリーは庭に植えてあるので、使いたいときに適当にとってくるし、バジル、イタリアン・パセリは、使いたいときに買います。

スパイスカレーを作る時必要なものは、ほぼ下の段のものが左から必要で、足りないのはカイエンペッパーくらいですが、鷹の爪でもOKですし、スーパーに青唐辛子を見つけた時は長持ちするので買っておくと良いと思います。

とりあえず試してみたい場合は、ターメリック、クミン、コリアンダー、そして一味唐辛子だけ用意すれば、何とか様になります。

これらはすべてパウダー・タイプなので、焦がしては風味が落ちるので、比較的投入するのは後の方です。クミン、カルダモンなどはホールも手に入れやすいのですが、その場合は初めに熱した油で最初に香りを油に移すという使い方をします。

ある程度慣れてきたら、さすがに100g単位とかの袋詰めになったものがネットで各種売っているので、そちらの方が経済的です。しっかり密閉して保管すれば、常温でも2年程度は問題無いので、自分のスタイルに合わせて用意するのがおすすめです。

2025年6月29日日曜日

同期のサクラ (2019)


遊川和彦は、「家政婦のミタ」、「女王の教室」などのたいへん話題になったドラマのオリジナル脚本を書いたかたで、高畑充希とは「過保護のカホコ」に続いてのオリジナル作品です。連続ドラマとして、最初から全体の構成がしっかりと考えられていて、全10話に無駄がありません。

開始早々、主人公はベッドに昏睡状態で寝ていて、いつ目覚めるのかわからないという状態。そこへ仲間らしき4人が心配で集まってきているのですが、何故そんな状況になっているのかの説明はないままに、初めて彼らが出会った時のことを回想するのです。

2009年に大手ゼネコンの花村建設に、5人の若者が入社します。主人公である北野サクラ(高畑充希)は新潟県の離島の出身で、本土との間に橋を架けることを夢見て上京しました。ものすごく頑固な性格で、曲がったことが大嫌いでおかしいと思ったことは口に出さずにはいられません。忖度ということと無縁で、空気を読むことを知らない「面倒くさい」人でした。

新入社員研修で同じグループになったのは、月村百合(橋本愛)、木島葵(新田真剣佑)、清水菊夫(竜星涼)、土井蓮太郎(岡山天音)で、サクラのマイペースに振り回されながらも同期として仕事に頑張ることになります。

しかし、パワハラやセクハラ、社内のいじめなど、さまざまな問題に直面し、それぞれが挫折しそうになった時、同期の仲間として嘘偽りのない態度で励ますサクラの力によって、彼らは何とか試練を乗り越えていくのです。サクラの影響力は先輩の火野すみれ(相武紗季)にまで及び、誰もがサクラを中心に結束力を高めていきました。

実はサクラも、忖度無しの発言や行動で問題を起こし、いつも「大人になれ」と言われ続けていたのです。サクラの心を支えていたのは、上京以来ずっと島にいる祖父(津嘉山正種)との毎日のファックスのやり取りで、人として大事なことを伝えられていたのでした。悩み苦しむ同期たちをどうやって応援するのかわからず自分の非力さを感じていたのですが、祖父の言葉が大きな力を与えていたのです。

ドラマではそれぞれがサクラの病床に見舞いに来て回想する形で進行し、その回想は各話ごとに1年ずつ時がたっている構成になっています。

そして2015年、故郷の橋の建設が決まり、住民説明会のためサクラも島に帰ることになりました。しかし、最低限の基準は満たしていましたが、できるだけ早く安く完成させるために手を抜いた設計であることを知っているサクラは、悩んだ末に説明会で「この橋を作ってはいけない」と言ってしまいます。さらに心の支えだった祖父が心臓病で急死してしまうことで、ついにサクラの心は壊れてしまうのでした。

引きこもり生活を続け、出社しなくなって1年近くがたち、解雇期限が迫る中、同期の仲間たちは何とかサクラを立ち直らせようと、かつての祖父からのファックスを真似たメッセージを送ります。やっと仲間と会いたいと思えたサクラは外に出ますが、隣人のこどもを助けようとして交通事故にあい脳挫傷のため昏睡状態になってしまうのでした(2019年3月31日)。

最初はサクラのかなりとがったキャラに見ている側も振り回される感じがしますが、しだいにその特異なキャラに慣れ、そして応援したくなる作りはよくできています。一見奇抜なんですが、ぶれない芯が通った人物像というのは、高畑充希にとっては一番得意な役柄なのかもしれません。

放送は2019年第4クールでしたので、ドラマの中の時間は第9話でリアルタイムに追い付きます。再び同期の絆を固め、新たなステージに向けて飛び立つ彼らを追いかけます。

とても良質などらまだと思いますが、唯一残念なのはタイトル。古い軍歌の中でも「同期の桜」はかなり有名ですが、それでも若者にはあまり知られているとは言い難い。幅広い年代に興味をもたせようという趣旨なのかもしれませんが、軍国主義を真っ先に想像させる感じが「なんかなぁ」という気持ちにさせました。

2025年6月28日土曜日

ひまわり


関東はまだまだですが、西日本が一斉に梅雨明けになり、夏がぐっと近づいてきた感があります。

とは言え、すでに30゚cを超える日があり、実質的に夏みたいなもんですけど。

夏らしい花・・・というと「ひまわり」はまさに夏を代表する花の一つ。

ひまわりは「日廻」と書ける。一般に感じだと「向日葵」と書き「コウジツキ」と読むこともあります。

人の身長よりも大きく育って太陽に向かって大きな花が咲くひまわりは、とてもインパクトがある。でも、大きすぎてあまり一般の住居では育てにくい。

でも近年は、高さが数10cm程度の鑑賞用の小さいひまわりが栽培されるようになって、わりと手軽に楽しめるようになっています。

ちょっと玄関に置いてみましたが、急に華やいだ感じがして楽しいです。

2025年6月27日金曜日

バンクーバーの朝日 (2014)

昭和のはじめ、夢を抱いて多くの日本人が外国に出ていきました。その中で、カナダのバンクーバーには日本人街が作られ、多くの日本人が働いていたのです。彼らは、低賃金で自分たちの仕事を取られたと考える多くのカナダ人から、虐げられ苦しい生活を強いられていました。

彼らの気持ちを代弁し、勇気を与え、そしてカナダ人にもその存在を認めさせたのが、アサヒという野球チームでした。この映画は、アサヒの実話を元にして、フジテレビが開局55周年記念として映画化した物で、脚本は最新作「国宝」であらためて注目される奥寺佐渡子、監督は「舟を編む」の石井裕也です。

レジー笠原(妻夫木聡)は、父親の清二(佐藤浩市)、母親の和子(石田えり)、そして妹のエミー(高畑充希)の4人家族でしたが、清二は出稼ぎばかりで家に寄り付かず、自分は外国で成功していると思われたくて稼ぎは全部日本に送ってしまうのでした。

レジーは日本人だけの野球チーム「アサヒ」に入ってショートを守っていましたが、体格差があるカナダ人相手にまったく歯が立たない。仲間には、ピッチャーのロイ永西(亀梨和也)、キャッチャーのトム三宅(上地雄輔)、セカンドのケイ北本(勝地涼)、サードのフランク野島(池松壮亮)らがいました。

何とか勝つにはどうすればいいのか考え込むレジーは、ある日の試合でセーフティバントを試みます。巨体のカナダ人の意表を突くこの作戦は成功し、さらに盗塁も決め、ついにホームベースに戻ってくることができたのです。試合に負けたものの、点を取ったことで町の人々も大いに喜びます。

そして、機動力を生かした野球によって初勝利をつかみ、カナダ人も頭脳的な戦略を用いるアサヒノの戦いを感心するようになるのです。審判による明らかにアサヒに不公平な判定に対しても、カナダ人から批判の声が聞かれるようになりました。

しかし、レジーが頭にデッドボールを受けたことで、ロイは相手ピッチャーの元に走り寄ります。これが両軍入り乱れての乱闘になってしまい、アサヒだけが出場停止になってしまうのでした。

妻夫木以外は野球経験者で固めていますので、さぞかし手に汗握る試合シーンがあるかと思うと意外と大したことはありません。実際は迫害されている日系人というのがテーマですから、カナダに溶け込めず家族との関わり方が下手糞な父親とか、理不審な扱いを受けても何とかカナダという国を好きでいたいと願う妹、そしてさまざまな忍耐を強いられている町の人々などのある種群像劇的な雰囲気でストーリーは進みます。

主役の妻夫木、助演の亀梨などもいいんですが、実は最も大事なところを任されているのは高畑充希です。出場停止処分がカナダ人からのクレームによって解除され、再び士気を高める集まりで、すべての町の日系人の気持ちを代弁する長いシーンは、一番の見所になっていると思います。

バンクーバーでのロケもされていますが、最も素晴らしいのは国内で組まれた日本人街の広大なセットです。当然、CGなども使われているとは思いますが、役者が走り回る様子は相当な面積で本当に町一つを作り上げたのかと思ってしまいます。

内容としては日系人は虐げられる被害者という立ち位置ばかりなので、ちょっと同法に味方のし過ぎではないかと感じる部分もありますが、移民として現地の人々と真に心を通じさせるところまで描くには132分の尺では厳しいようです。そういう意味で、ちょっと物足りない印象を持ってしまいました。

2025年6月26日木曜日

スパイスカレーのカロリー


ごく標準的な日本のカレーライスの場合、茶碗一杯分のご飯が150gで234kcalで、カレー自体は具材によりますが平均的には400kcal前後と言われています。合計すると普通盛で600kcalちょっと、大盛だと800kcal近くになるかもしれません。

じゃあ、スパイスカレーは?

気になりますが、カレールゥを使う場合と比べると、小麦粉を使わないのでそこそこカロリーは少ないように思います。そこで、調べてみました。

まずタマネギ。だいたい1玉で62kcal。一人分は1/2玉とすると、32kcalになります。
続いてトマト。タマネギの半分くらいです。多めでも一人分(2/3玉)は100g程度で、20kcal。
ニンニクは一人分に1片5g程度で6kcal。ショウガも同じくらいの5gでせいぜい2kcal。

問題はスパイス。いろいろとレシピによって使うスパイスは異なりますが、一応どれも一人前小さじ1杯2g使うとして考えてみます。だいたい100g当たり300~500kcalとされていますので、一種類につき6~10kcalです。

基本の4種、クミン、ターメリック、コリアンダー、チリペッパーだと、24~40kcalです。鶏もも肉を皮を取り除いて、一人前100g使うと113kcalなので、チキンカレーは合計で一人前で200kcal程度と考えられます。

インド米であるバスティマライスは、米の状態では日本米よりカロリーは少な目ですが、炊き上がった状態では茶碗一杯分150gが272kcalとやや多めになります。ですから、あくまでも概算のイメージとしては、日本のカレーライスと比べるとスパイスカレーは150kcal程度少な目というとらえ方でよさそうです。

なお、バスティマライスはGI値が低い(血糖があがりにくい)ので、ダイエットには有利と言われています。また、普通サイズ(100g)のナンは262kcalなので、ライスをやめてナンで食べても同じくらいになります。

カレーライスと比べると予想通りスパイスカレーのカロリーは低めで、ダイエットに有利なことがわかりました。ただし、食べる量や使う具材にもよって大きな差がでるので、あまり過大な期待はしないほうがよさそうですね。

2025年6月25日水曜日

はたらく細胞 (2024)

監督・武内英樹、脚本・徳永友一のコンビによる清水茜原作のマンガの実写化映画。ヴィジュアル的には、キャラクターの再現度が高いことで評判になりました。

体内の様々な細胞を擬人化した表現が大変面白いわけですが、原作やテレビアニメ版と比べると、やはり内容を詰め込み過ぎたせいか物足りない感じは否めません。

体内だけにとどまらず、体の持ち主の人間ドラマをからめたところが映画としてのセールスポイントです。日胡(芦田愛菜)は医学部を目指す高校生で、母親を早くに病気で亡くし、不健康な生活をしている父親、茂(阿部サダヲ)が心配でしょうがない。

日胡の体内にいる、ドジな新米赤血球(永野芽郁)は酸素を運ぶ仕事に慣れるのに精いっぱいで、外敵を排除する仕事をしている白血球(佐藤健)に助けられてばかり。茂の体内は場末のドヤ街の様相を呈していて、新米赤血球(板垣李光人)は、先輩赤血球(加藤諒)に助けられて何とか仕事をしています。

しかし日胡が急性白血病を発症したことで事態は急変します。新しい血球が減ってしまい、次から次へと白血病細胞が臓器を侵食していくのです。治療のために抗がん剤投与と放射線照査によって、白血病細胞だけでなく正常細胞も大きなダメージを受けていくのでした。

最近では主演女優さんのスキャンダルのせいで、すでに忘れ去られた作品になりそうな感じなんですが、見るべきものは佐藤健の「るろうに剣心」を彷彿とさせるアクションとSEKAI NO OWARIのFukaseの悪役振りというところでしょうか。

他にもちょっとずつ出てくる豪華出演陣も見物。山本耕史、仲里依紗、松本若菜、染谷将太、片岡愛之助、小沢真珠、深田恭子、加藤清史郎、DK.KOOなどなどが、どこで出てくるのか探すのも楽しみになっています。内容的にはアニメ版を見たほうが面白いし、よくわかると思います。

2025年6月24日火曜日

もしも徳川家康が総理大臣になったら (2024)

眞邊明人による小説が原作で、「翔んで埼玉」の徳永友一が脚本、「のだめカンタービレ」、「翔んで埼玉」の武内英樹が監督をしました。

新型コロナウィルスのパンデミックにより日本では総理大臣が亡くなり、政府は人工知能IZUMOを使って歴史上の偉人をホログラムにより現代に蘇らせ、1年という期限付きで彼らによる偉人内閣を発足させました。

内閣総理大臣には徳川家康(野村萬斎)、内閣官房長官には坂本龍馬(赤楚衛二)、経済産業大臣には織田信長(GACKT)、財務大臣には豊臣秀吉(竹中直人)がつき、その他の要職には徳川吉宗(髙嶋政宏)、北条政子(江口のりこ)、徳川綱吉(池田鉄洋)、足利義満(小手伸也)、聖徳太子(長井短)、紫式部(観月ありさ)、石田三成(音尾琢真)、土方歳三(山本耕史)らが就任しました。

テレビ局の新人記者西村理沙(浜辺美波)は、坂本龍馬に直接話を聞くことができたため順調に記事を書くことができました。はじめは、国民の誰もが期待していなかったのですが、家康はすぐに鎖国(つまり都市のロックダウン)を断行し、それによって困窮する人々に信長・秀吉の号令の元で手厚い見舞金を支給することで、世界の中で最も早く感染を封じ込めることに成功します。

この結果に国民は手のひらを返したように内閣を支持するようになったため、信長・秀吉らの急進派は解散総選挙により1年という期限を反故にしようと考えます。慎重派の家康が熟考しているうちに、信長のプログラムが何者かによって破壊され、実質的に暗殺されてしまうのです。

秀吉は家康が信長抹殺の犯人だと世間に拡散し、この世界を救えるのは自分だけだと宣伝をするのです。もはや国民は秀吉を崇拝するようになり、秀吉の言葉を疑うものはいなくなってしまいます。何か大きな裏があると感じていた理沙は、坂本龍馬と共に真実を追求することになるのでした。

さすがにコロナ禍をギャグにするには、ちよっと早すぎるというのが第一印象。平和ボケした日本人が政治に興味を無くしている現状を憂いているところはわかりますが、コロナ禍をきっかけにしなくても面白いストーリーは作れたと思います。

そもそもホログラムのはずなのに、偉人たちがどこにでも好きなように行動することへの違和感がつきまといます。タイムワープしてきたというならわかるけど、何か設定からして無理があり過ぎる。

それ以上の感想を言うほどの映画ではないように思いますが、唯一感心したのはGACKTの織田信長は様になっているというところくらいでしょうか。

2025年6月23日月曜日

スパイスカレーとは


インド発祥と言われている「カレー」なる食文化が日本に入ってきたのは19世紀半ば、横浜港が開港しカレー粉が入ってきた時からといわれています。その後、中国料理の「ラーメン」と共に、「カレーライス」として独自の発展により今や国民食として確固たる地位を築いていることは誰もが認めるところ。

典型的なカレーライスは、牛・豚・鶏のいずれかの肉とタマネギ・ジャガイモ・ニンジンをあらかじめ調合されたカレー粉を入れて煮込み、小麦粉でとろみをつけて御飯にかけて食するわけですが、ひとまとめになったカレールゥを使うのが一般的。

ルゥはフランス語で油と小麦粉を混ぜてスープのつなぎに使う物の事で、このことからもカレーライスはいわゆる「欧風カレー」の日本独自の改訂版という趣があります。これに対して、カレー粉に複雑に配合された香辛料 - スパイスを、本家インドのやり方にならってバラバラに加えて仕上げるのが「スパイスカレー」と呼ばれるものです。

90年代初めに大阪の店で始まったとされていますが、「スパイスカレー」という呼び名は水野仁輔さんが2010年に著書で言葉を使ったのが最初で、以後その活動が広まり昨今の「ブーム」に発展したと言われています。

スパイスの基本的な組み合わせはありますが、インドでさえ調理人の裁量によって多種多様なレシピが存在するのと同じで、日本人がスパイスカレーと呼んでいる料理もその中の一つであり、日本独自の発展形と言うこともできます。

スパイスカレーは肝であるスパイスを除くと、驚くほど潔いくらいシンプルです。味付けも塩だけで、ほぼフライパン(あるいは鍋)一つ、コンロ一つあればできてしまいます。時間も早いもので15分、長くても30分以内で完成し、「翌日が旨い」などとまどろっこしいことを考える必要はありません。

ですから、慣れてくるとその日の気分でまったく新しいレシピができるかもしれない。一番美味しいと思うレシピにたどり着いたと思っても、それが正解とは限らないところが面白い。

そこが食べ歩きしたくなったり、趣味としていろいろ作って探求したくなるポイントになっているように思います。

2025年6月22日日曜日

チキンのキーマカレー


よく言われていることらしいのですが、インドには「カレー(curry)」という料理は存在しないらしい。インドの言語でスープを意味するカリ(kari)が語源で、スパイスをふんだんに使った料理がヨーロッパに紹介された過程で生まれた言葉のようです。

ネットでいろいろレシピを探してみると、困ったことに一定の料理名が使われていません。これは、インドが南北、さらには東西で複雑な文化を形成しているため、それぞれの地域でこれが定番というのがまちまち出てくることに加えて、そもそもカレー料理が各家庭で独自の味付けがされていることが原因かもしれません。

ある料理人が「これが決定版!!」と言っていても、他の料理人だと違うレシピがでてきたいりするので、何をどうすれば「本格的」なのかがつかみにくい。ただし、スパイスの基本的な組み合わせはだいたい共通なので、最低限のルールを知ったら、自分の好みに応用すればそれが「本格的」なカレーになるのかもしれません。

キーマカレーは、日本では挽肉を使うカレー料理で、一般に汁は少な目です。ですから、ここで作ったキーマカレーは、湘南海岸あたりで食べるものとはだいぶ違うものになります。注意したいのは肉の種類。インドでは宗教上の理由で牛肉は絶対に口にしません。豚肉もまれで、ほとんどの場合は鶏肉か山羊の肉です。山羊は日本では簡単には手に入りませんから、基本的には鶏肉を使うことになります。

今回はホールのクミンシードを使いました。油を熱して、クミンシードを小さじ1程度いれます。泡が出てきて、香りが油に移ってきたら、みじん切りタマネギ(1/2個分)を入れ炒めます。

やや飴色になったら、ニンニクとショウガのペーストをそれぞれ小さじ1程度入れて軽く炒めます。つぎにトマト缶200g(1/2缶)を入れ、しっかり炒めることでトマトの酸味を飛ばします。

固めのペースト状になったら、ターメリック、コリアンダー、クミンのパウダーをそれぞれ小さじ1、チリ・ペッパー(赤トウガラシ)を小さじ1/2入れたら、よく混ぜながら軽く炒める。スパイスは焦がさないことが大事。ここまでだいたい15分くらいです。

鶏ひき肉は今回は300g程度使いました。水100mlと塩を小さじ1を入れて中火で10分くらい焦がさないように煮込めば出来上がりです。今回は彩を良くするために、緑色のカスメリティを上に散らしました。

ほとんど基本的なチキンカレーと作り方は大差ないので、一度手順を覚えればたいして難しいことはありません。4~5種類くらいの基本スパイスは、普通のスーパーでも簡単に手に入ります。よくある大きさだと、1回購入すれば3~4回は作れますので、是非お試しください。

2025年6月21日土曜日

ワイルド7 (2011)

自分の少年時代・・・って、まぁ半世紀以上も昔の事ですが、こども向けの月刊誌といえば「少年」とか「冒険王」、週刊誌といえば「少年マガジン」、「少年サンデー」、そして「少年キング」の5つが定番でした。いまだに「マガジン」、「サンデー」が生き残っていることは驚異的なことかもしれませんが、当時からキングは三番手に甘んじていた印象で70年代末には自然消滅した印象です。

でも少年キングで最大のヒット作は何? と聞かれれば、望月三起也の「ワイルド7」と答える人は多いのではないかと思います。ロボット、アンドロイド、宇宙人、未来人などなどの超人的な主人公が活躍するマンガばかりの時代に、現代人が悪を退治する活躍をするのですから、まさに「痛快」なアクション物として人気を博しました。

それが映画になったというだけで、大人になったかつての少年としてはワクワクする気持ちはあるのですが、正直に言えば今の時代にそのまま持ってきても「どうなの?」という不安もかなりあります。監督は「海猿」や「暗殺教室」の羽住英一郎、脚本は2時間ドラマ専門みたいな深沢正樹です。

ワイルド7は、草波警視正(中井貴一)が犯罪者の中から選抜した「悪をもって悪を征する」ことを目的とした特殊な警察組織で、通常の警察が手を焼く凶悪犯を「抹殺」することを使命としています。隊員は飛葉(瑛太)、セカイ(椎名桔平)、パイロウ(丸山隆平)、ソックス(阿部力)、オヤブン(宇梶剛士)、ヘボピー(平山祐介)、BBQ(松本実)の7人。

新聞記者の藤堂(要潤)は、超法規的な行動する警察が存在する噂を追いかけていて、新人記者の岩下こずえ(本仮屋ユイカ)と取材を続けていました。テロリストのM108号が国家が秘密裏に開発していた細菌兵器を奪い、東京にばらまくと脅迫してくる事件が発生し、藤堂らも事件に関わっていくことになります。

解決を委ねられた草波は公安調査庁情報機関、通称PSUに出向き最高統括者である桐生(吉田鋼太郎)に協力を頼みます。PSUでは、国民一人一人の個人情報をすべて把握していて、膨大なカメラによってその行動すらリアルタイムに監視することが可能でした。PSUの協力で犯人グループを追い詰めたワイルド7でしたが、何者かによって犯人が射殺されてしまいます。

飛葉に接触してきた本間ユキ(深田恭子)は、両親の復讐としてM108号を追いかけ、すでに何人かを処刑していて今回の射殺のユキの仕業だったのです。飛葉はもう復讐はやめるように強く説得しますが、ユキはあきらめません。

草波は、PSUが今回の細菌兵器強奪事件の初動を遅らせるため、意図的に報告をしていなかった疑いを持ちます。そしてその間隙に桐生が株取引で大きな利益を上げていること、そしてこれまでにも同じような事案が何度もあることを突きとめました。草波に知られた桐生は、ワイルド7を凶悪犯罪集団に仕立て上げ世間に公開し、その首謀者として草波を逮捕させるのでした。地下に潜ったワイルド7のメンバーは、PSUとの対決を決意するのでした。

・・・まぁ、よくある感じのストーリーです。見かけは悪でも実は正義のワイルド7と見かけは正義ですが実態は悪という桐生・・・なんですが、PSUという組織全体ならともかく悪役が桐生一人で、その動機も私利私欲という設定はショボい。巨悪に挑むみたいな映画にするだけのモチベーションが感じにくい。

主役瑛太はそれなりにかっこいいんですが、見た目はともかくやはり原作の飛葉との印象が違うように思います。それにもまして、ワイルド7というばバイクを中心としたカーアクションなんですが、最初の紹介エピソードとPSU突入くらいで、ほとんどが人間アクションになっているのも今一つピンと来ないポイントになってしまいました。

最大の原因は、最大の見せ場で相手がPSUをガードする正規の警官隊というところにありそうです。問答無用で悪を退治するのがワイルド7の醍醐味なんですが、警察官を退治するわけにいかないのでなんともむず痒い感じです。まぁ、峰不二子ばりの深キョンのわずかな活躍だけが見所かもしれません。

2025年6月20日金曜日

屋上のあるアパート (2011)


阿川佐和子の小説が原作のTBSのスペシャル・ドラマ。脚本 は「Dr.コトー診療所」などの吉田紀子、演出は吉田秋生です。

桂木麻子(長澤まさみ)は、何となく生きてきて、やっと就職した小さな出版社が倒産して無職になってしまいました。取材先の料理教室の山本涼子(秋野暢子)には、生きていくことの大変さを知らないと指摘された麻子は、これを機会に一人住まいをする決心をします。

麻子が選んだのは、屋上が皆で使える共用スペースになっているアパートで、早速隣の猪熊マキ(坂井真紀)と仲良くなります。元社長の岡村実 (近藤芳正)は、麻子に後輩の工藤俊太郎(吉田栄作)の広告会社への再就職を世話します。

そこへ、親友で半年前に結婚した片岡由香(芦名星)が突然やって来て、麻子のアパートに居候し始めるのです。麻子とは対照的に、何事にも積極的な由香でしたが、結婚に失敗したのです。しかし、奔放な由香の生活態度に、麻子は少しずつイラ立ちを覚えるのです。

麻子の両親が持ってきた見合いの話で出会った田中幸二(加藤晴彦)は、自分には恋人がいるのでこの話を断ってほしいといいだします。工藤は麻子の仕事ぶりをしだいに信頼するだけでなく、好意を抱くようになります。また田中も、恋人に逃げられたと連絡してきます。

独り暮らしを始めた女性が、見かけ上は自由を手に入れたはずなのに、少しずつ自分を束縛することが増えていく。特に目的がなかった生活がだんだん窮屈になっていくことで、むしろ自分が何をしたいのかがはっきりと見えてくるという内容を適度なユーモアを交えつつ描いている作品ということだと思います。

テレビドラマですから、さすがにあまり派手派手な演出はありませんが、逆に会話劇として面白さが見えてきます。すでに人気が高まっていた長澤まさみとしては、演技者として開眼した時期の作品の一つということもできそうで、ファンの方は必見です(現在TVerで公開中)。

2025年6月19日木曜日

ドジャース公式飲料


大谷選手、ついにマウンドに上がりましたね。

1回だけでしたけど・・・自責点1点ついてますけど・・・2年弱振りですから、投手として復活しただけでも拍手喝采。後半戦は、ローテーション入りの期待が高まりました。

今年はドジャースの開幕戦は日本で行われましたが、それを記念して発売されたのがこれ。

セブンイレブンが独占販売したPRIMEというスポーツ飲料で、ドジャース公式飲料とされました。ボールの縫い目がデザインされていて、いかにもという感じです。

さぞかし人気で、数量限定だったのですぐに売れきれたのかと思ったら、今頃売れ残りの割引販売が行われていました。

そりゃそうだ。定価税込み300円ですよ。いくら何でも強気すぎる価格設定です。

ちなみに割引で180円。このくらいなら、興味本位で買ってもよいかなと・・・

で、飲んでみた。

もう、二度と買わない。何故かというと、めちゃめちゃ甘い。いくら何でも甘すぎる。スポーツ中でも、これはきついんじゃないかとおじさんは思った。

まぁ、人の好みはいろいろですからね。気に入った方はセブンに急げ!!

2025年6月18日水曜日

水槽の引っ越し


うちのクリニックの受付で、けっこうな存在感があるのが水槽です。

もう10年以上前に始めた熱帯魚のためのものなんですが、今ではほとんど管理というほどのことはせず、必ずしも綺麗なアクアリウムとは呼べない状態ですが、患者さんの中にはそれなりに楽しんでくれる方もいたりします。

先日、受付がなんと「大洪水」状態になり、大騒ぎになりました。調べたら、水槽のガラスの継ぎ目の接着が経年劣化によりもろくなったための水漏れという結論になりました。

30L水槽でしたが、満水にするとさすがに一人で簡単に移動できる重さじゃない。それなりの水圧がかかり続けるわけですから、そりゃいつかは継ぎ目はダメになるのは当然といえば当然のこと。

この際、水槽を完全に撤去するという選択肢もあったんですが、それも寂しいことなので、10数年ぶりに水槽を新調しました。

引っ越しはなかなか大変です。完全に新しい水にすると魚へのダメージが心配ですし、そもそも水槽内のバクテリアがゼロになるのは避けたい。

そこで古い方から水を半分くらい移し替えてから魚を移しましたが、これも魚にとってはかなりのストレスだろうと思います。

今度は何とか一人でも動かせる20L水槽に格下げしました。小さくはなりましたが、引き続き楽しんでもらえればと思います。

2025年6月17日火曜日

本格インド・カレー

 


スパイスといえばカレー。

昨日のスパイスを見れば、勘のいい人はすぐ「あー、カレー作るんだ」とわかったと思います。

実は、けっこう昔からカレーは割とこだわって作っていたんです。ですから、今でもスパイス類は割とそろっていて、ふだんのルゥを使って作るにしても、いろいろ追加するんです。

ニンニクとショウガは絶対に追加しますし、クミン、カルダモン、コリアンダーは必須。

いろいろ混ぜて、オリジナルのカレー粉から作ったこともあります。

ただ、何でも入れればいいじゃんという感じだったので、この際、本格的なインドのカレーを作ってみることにしました。

YouTubeなどにたくさん動画がありますが、とりあえず家に買い置きがあるスパイスはすべてパウダーだったので、やや簡略化したレシピになっていると思います。

まずは「飴色タマネギ」作り。どれを見ても、ここを手を抜いてはいけないということらしい。出来たら、ニンニクとショウガ(チューブを使用)を入れて馴染ませる。

そしてカットトマトです。しっかりと水分を蒸発させて、温度を上げることで酸味を抑えられるので、全体がペーストになるまでしっかり炒めます。ここで塩を入れて味を調えます。

用意したスパイスをすべて投入して、塩・コショウで軽く下味をつけておいた鶏モモ肉を入れてよく混ぜる。後は水を入れて10分ほど煮込めば完成です。

今回はより本格を目指して、ライスはインドの長粒米であるバスマティライスを使いました。バスマティライスは炊くというより煮る調理法です。

30分ほど水につけておいて、あとは10分ほど煮る。笊にあけたら湯を切って鍋に戻し、10分くらい蒸しておけばOKです。実に簡単。独特の匂いがありますが、カレーとの相性はさすがにバッチリです。

タマネギとトマトを多めにしたので、思ったほどサラサラではなく、大変食べやすい。今回は鷹の爪を細かくしたものを入れたんですが、辛さはちょっと物足りない感じでした。でも、思った以上にカレーでした。

「ちゃんと」作ると、お家カレーが何段階もバージョンアップした感じです。スパイスさえ揃えば、やることはそんなに難しくないので、誰でもチャレンジできると思います。

2025年6月16日月曜日

スパイス


料理は科学だ!!

・・・と、声高に言える立場ではないことは重々承知なんですが、医学も同じで理屈だけでは割り切れない部分があるのも間違いありません。

特に料理では、「匙加減」という言葉があって、作るの人の直感で同じ材料を使っても出来上がりはピンキリです。

一番その匙加減が出来るところが、調味料じゃないでしょうか。調味料と言えば、真っ先に思い浮かぶのは砂糖・塩・酢・醤油・味噌などですが、その次に味を大きく左右するのがスパイスじゃないかと。

一般に香辛料と言っているのは、スパイスとハーブです。ハーブは主として植物の葉で香草とも呼び、スパイスは種子とか根・茎・皮とかというところが使われます。

・・・と、まぁ、前置きはこのくらいにして、さて、これは何でしょう?

スパイスです。

下から時計回りにクミン、コリアンダー、カルダモン、ターメリック、クローブです。

何に使うんでしょうか?

楽しみ、楽しみ。

2025年6月15日日曜日

浜の朝日の嘘つきどもと (2020)


あれ、ちょっと前にこのタイトルあったやん!! と思った方、ちょっと違います。ちょっと前のは2021年で、今回は2020年。正確には、ちょっと前のは映画版で2021年9月公開で、今回のはテレビ・ドラマ版で2020年10月の福島を皮切りに、2021年1月までに全国のローカル局で順次放送されました。

どちらも福島中央テレビの開局50周年として製作されていて、監督・脚本はどちらもタナダユキ。映画版は主役は高畑充希、準主役として大久保佳代子が重要な役で登場しました。ドラマ版では、高畑充希と竹原ピストルのW主演という形になっています。ストーリーの時系列では映画が先で、そのラストシーンがドラマ版の導入部につながっています。

福島県南相馬にある朝日座は古い映画館。突然やって来た茂木莉子と名乗る女性(高畑充希)の活躍で、何とか閉館の危機をくい止めることができましたが、困難な経営が続いています。ある日、朝日座の前に一人の男性が立っていました。彼は川島健二(竹原ピストル)という無名の映画監督で、唯一任された商業映画が大コケして、失意のあまり死に場所を探していたのです。

ここでもう一度だけ映画を見て感動したら死ぬのをやめようと思う川島に対して、莉子は900円の入場料のところを3500円とふっかけ、いい加減な嘘を織り交ぜてなんで高いのか説明します。川島は「もう俺はお金はいらない」と言い1万円を置いて館内に入るのでした。

映画を見終わって「感動しなかった」川島が出てくると、支配人の森田(柳家喬太郎)が話しかけてきます。川島は問われるがままに、何でここに来たのか話ます。そこへコンビニに行っていた莉子が戻って来て、皆で死に場所を探しに行こうということになります。しかし、山でも海でもしっくりこないという二人に振り回される川島でした。

最後に二人は、朝日座常連で映画愛が強い資産家未亡人の秀子(吉行和子)を川島に紹介します。秀子は川島の唯一の作品を見たことがあるといい、ダメな映画だったけど主人公が「本当にやりたいことをしなさい」というところだけは素晴らしいと褒めました。実はその場面だけが、川島が自分の意見を通したシーンだったのです。

秀子は「朝日座を使う」、「この町のためになる」、そして「自分がやりたいことをやる」という条件を出して、自分がスポンサーになって川島に映画製作を依頼します。莉子、森田、秀子らのぼんやりした説得により死ぬのをやめた川島でしたが、そう簡単には映画にするようなストーリーを思いつかず、それはそれで苦しむことになるのです。

公開順だとこのドラマが先ですが、これだけだと設定が謎だらけ。皆いい人なんですが、言っていることをどこまで信じていいのかわからないくらい自然な嘘を並べ立てています。このあと、前日譚となる映画を見ることで、すべてのやり取りに合点がいくという仕掛けになっている。自分は先に映画を見てしまったんですが、そうするとドラマのやり取りは自然で、むしろセリフにはない深い所を感じることかできて、それはそれで楽しい。

タイトルの「浜の朝日」は莉子の本名である浜野あさひと朝日座のことですが、「嘘つきども」というのは登場人物全員のことで、嘘をつくのは「映画の本質」ということです。町の人々は辛い現実を乗り越えるために「嘘」を使い、人生そのものをあたかも一本の「映画」のように楽しんでいるのかもしれません。

これは是非、ドラマと映画をセットで見るべき作品だと思います。それは、どちらもタイトルが同じというところにも、タナダ監督の強い意図が見て取れます。現在でも、ブルーレイ・ディスクあるいは各種の配信で視聴可能なので、コロナ禍で埋もれさせてはいけない優れた作品として強くお勧めします。

ちなみに川島が朝日座を始めて訪れた時に、上映していたのは「天使にラブソングを」と「ベルリン 天使の詩」の二本立て。このチョイスは映画好きならうなってしまうこと請け合い。どちらも生・死・嘘のキーワードが浮かんでくるところに監督のセンスが光ります。

2025年6月14日土曜日

68歳の新入社員 (2018)

フジテレビの2時間枠の単発ドラマですが、高畑充希と草刈正雄のW主演、オリジナル脚本は岡田惠和。岡田は多くのNHKテレビ小説をはじめ、「最後から二番目の恋」シリーズ、多くの映画を担当したヒットメーカーです。

以前の会社でたまたまヒット企画を出したことで周囲から妬まれ居づらくなった工藤繭子(高畑充希)は、老舗和菓子会社の羊堂本舗の社長(丸山智己)にヘッドハンティングされ、顧客層拡大のための新たに立ち上げられたチームのリーダーとして、会社のイメージアップのためのアイテム開発などの業務を行っていました。

アイテム自体は好評なのですが、和菓子の売り上げ増には直結していないことから、社長は和菓子そのものとの連携した企画を早急に提出して欲しいと言ってきます。しかし、菓子部門の上司は繭子のやっていることに否定的で、顔を見れば嫌味ばかりでとても協力できる雰囲気ではありませんでした。繭子は家に帰ると同居している恋人の小野諒(小瀧望)にぐちを言う毎日で、諒もがんばりすぎる繭子を心配するのです。

8年前に羊堂本舗を定年退職した68歳になる仁井本和夫(草刈正雄)もまた、日々の生きがいを見いだせず妻の文子(原田美枝子)にぐちを言う毎日。たまたま昔の同僚たちと話をしていると、それを聞いていた社長にすすめられて再就職することになりました。

仁井本はかつていた総務部復帰するのかと思っていたら、配属されたのは繭子の部署でした。初対面から繭子は「昔の自慢をして楽しみたいのか、まったくの新人として一から仕事を覚えたいのかどっちですか」と厳しい扱いをします。しかし、仁井本は不慣れなパソコンなども積極的に使えるように勉強して、こどもと同じような年齢の繭子や同僚たちから少しずつ信頼されるようになります。

新しい企画の〆切が近づくものの一向にアイデアがまとまらない繭子は、家に帰ると口癖のように言っていた「疲れた、疲れた」すら言えないくらい追い詰められていました。再び上司に呼び出され、企画はどうなんだと責められ、社長に媚びを売っているんだろうと言われる繭子でしたが、仁井本のことまで悪口を言われついに「ゲス野郎!」と怒鳴って殴ってしまうのでした。

定年後の人生をどう過ごすかは人それぞれだと思いますが、中には仁井本のように生活の張り合いをなくしてしまう人もいるかもしれません。そういう方が、新しい環境で働く場合、やはり「過去の栄光」を表立って持ち出すことは戒めないといけない。でも、「過去の栄光」はその人のベースとして、偉大な経験値になっているわけで、時代が変わってもいろいろな場面で役に立つことを教えてくれる作品です。

繭子は実力はありますが、経験は少なく自分に対しても絶対的な自信を持っているわけではありません。ですから、自分に対する誹謗中傷はいくらでも耐えることができるのですが、その矛先が自分以外に向いた時はそれをはっきりと否定する正義感を持っています。そして、詰め込み過ぎる思いを、うまく吐き出し受け止めてくれる恋人の設定が絶妙です。

性別、年齢、立場などが対照的な二人の主人公を通して、少しだけ生きていくためのヒントみたいなものを感じ取れれば十分に見る価値のあるドラマです。連続テレビドラマほど長すぎず、映画ほど気負っていないので、てきぱきとした進行がちょうどよい作品になっています。

2025年6月13日金曜日

忘却のサチコ (2018)

テレビ東京製作のドラマですが、まず2018年1月に1時間の単発ドラマが放送され、10月から1話30分の全12回の連続ドラマが放送されました。もともとは阿部潤によるグルメ・マンガが原作で、人気の「孤独のグルメ」系のドラマです。脚本は大島里美、狗飼恭子、山岸聖太が共同で担当し、主として山岸聖太が監督を務めています。

出版社の中学館で文芸誌「さらら」編集部に勤めている佐々木幸子(高畑充希)は、几帳面で冗談とは無縁、一切仕事で手を抜いたりせず、食事も栄養ドリンクで済ましてしまう生活。しかし、担当した小説家には全力で協力を惜しまないので、厚い信頼を得ていました。

そんな幸子にも彼氏がいて、恋人の俊吾(早乙女太一)とのいよいよ結婚式の日になりました。しかし、お色直しの間に俊吾は「すまない」というメモを残していなくなってしまうのです。鋼の心を持っているはずだった幸子も、さすがにショックが大きく仕事でミスをするようになってしまうのです。

幸子は「精神的につらくてもお腹は減るのだわ」と、通りかかった食堂に入ると鯖の味噌煮定食を頼みます。そして、これまで食に興味が無かった幸子は、あまりの美味しさに「美味しい物を食べれば一時辛いことを忘れることができる」ことに気がつきます。

それ以来、幸子は一癖も二癖もある小説家とのやり取りでストレスがたまった時、街中で俊吾っぽい人を見かけて心が乱れる時などには美味しい物を求めるようになるのでした。そして、本当に幸せそうに障子をする幸子を見て、誰もが幸子のファンになっていくのです。

編集長は吹越満、同僚は逢沢りな、重岡獏、上地春奈、生意気な後輩に葉山奨之、幸子の母親にふせえりなどがレギュラーで出演しています。小説家には、鹿賀丈史、長谷川朝晴、池田鉄平、大和田伸也らが登場します。

「孤独のグルメ」よりはドラマ寄りの進行ですが、登場する店は実在のもので、どれもが食べて見たくなるものばかりです。近江牛のすき焼き、刀削麺、温玉カレー、マグロ丼、ナポリタンなどの他、宮崎県に出かけてのご当地グルメなどなどが紹介され、よだれダラダラ請け合いです。

行方不明になった俊吾と再会し、恋の結末はいかに?! というストーリーも十分に楽しめます。それにしても、こういう際立ったキャラクターの女子を演じさせると、高畑充希の右に出る者はなかなか見つけられないくらい、突き抜けた演技はなかなか見事です。

2025年6月12日木曜日

浜の朝日の嘘つきどもと (2021)

最初は2020年に1時間もののテレビドラマとして福島中央テレビが開局50周年記念として製作した物。大震災によって経営困難になった地元の小さな映画館で、集まってきた人々の映画に対する愛をドラマ化しました。

モデルになったのは朝日座という実在する映画館ですが、実際には1991年に閉館していますが、震災後も地域の人々の数少ない娯楽として建物が存続し、いろいろな催事が行われています。

映画は、スタッフや出演者は同じで、テレビドラマの前日譚として朝日座が取り壊される計画を何とか阻止しようというストーリーになっています。監督と脚本は「マイ・ブロークン・マリコ」のタナダユキです。

南相馬の高校2年生の浜野あさひ(高畑充希)は、父親が震災成金と非難され家族がバラバラになってしまいました。ともだちも離れてしまい、東京に引っ越すことになったあさひは、学校の屋上で飛び降りるか悩んでいるところを、教師の田中茉利子(大久保佳代子)に止められます。茉利子はどうせ百年後には死んでいるんだから、ここで急ぐことはないと言って、あさひに自分が好きな映画の楽しみを語るのでした。

東京で母親はノイローゼになり、あさひも何で地元にいられなくなったのか知れ渡ってしまい、登校できなくなってしまうのでした。あさひは家出して、今は郡山にいる茉利子のもとを訪れ同居するようになります。茉利子は男にはだらしがなく、すぐに好きになってはふられてしまうのでした。

しかし、娘が家出したと評判になることを恐れた母親が警察に被害届を出したため、誘拐の疑いで茉利子が捕まってしまい、しかたがなくあさひは東京に戻ることにします。茉利子はあさひに高卒の資格を取って絶対に大学に行くようにすすめました。そして映画会社に就職したあさひのもとに、茉利子が病で余命宣告されたという連絡がはいります。

茉利子は南相馬の映画館は、自分が落ち込んだ時に光をもらえた場所で、経営難らしいから何とか立て直してほしいとあさひに頼みます。あさひも食べるものが一番大事だけど、その大事なものを作る農家の人たちにちょっとでも心が休まる時間を提供できる映画館は絶対に必要だと考えていました。

そして、茉利子が亡くなり、その遺志を実行するためにあさひは南相馬に戻ってきました。しかし、支配人の森田(柳家喬太郎)は続ける意欲を無くして映画館はすでに取り壊しが決まっていたのです。あさひは茂木莉子と名乗り、クラウドファンディングを立ち上げたり、町の人々を説得したり行動を開始するのでした。

最近はネット配給の映画が勢いを増し、映画館の存続は厳しい状況になっていますが、東北では大震災による人口減少、その上コロナ禍という絶望的な状況に置かれたことは容易に想像できます。いわゆる活動写真と呼ばれていた時代を知る人もほとんどいなくなり、他にも多種多様の娯楽が増えたことも大いに関係しています。しかし、確かに映画館という非日常的な場所で映画を鑑賞することは、そう簡単には消えない意義があることも否定できません。

そんな映画館の存亡をモチーフにして、東北の再興、そして家族の在り方を考えさせる優れた作品に仕上がっています。この映画もコロナ禍の最中に公開されたため、興行的にはまったく振るわない結果になっていますが、そんな時期でも制作をストップしなかった関係者の方々には敬意を払いたいと思います。これらの良作が埋もれてしまわないように、新作ばかりに注目せず、再評価できる流れがあっても良いと思いました。

ここでも演技者として高畑充希はさすがです。それにも増して印象深いのは大久保佳代子さんで、ふだんのバラエティのイメージも残しつつ、なかなか味のある役所を好演していますので見所になっています。

2025年6月11日水曜日

梅雨入り

 


昨日、関東地方も梅雨入りしたとみられる・・・という気象庁からの発表がありました。

毎年、ブログを書いているとネタ増しの作戦の一つとして、梅雨入りは必ず書くようにしているのです。

この何年かで言えば、この時期の梅雨入りはほぼ例年並みというところではないでしょうか。

ところが気象庁は「遅い」ということらしいのですが、数日の違いですから、あまり気にする必要は無いレベル。ちなみに去年は6月21日だったので、これはさすがに遅かった。

しばらくは洗濯物を干すにもいろいろと悩ましいわけですが、その後はきっと酷暑が待っていると思うと、それはそれでもっと気持ちが萎える。

雨なら雨で、何か楽しむようにできると人生の1/15くらいの時間が楽しくなるんでしょうけど、なかなかそこまで達観できません。

2025年6月10日火曜日

植物図鑑 運命の恋、ひろいました (2016)

有川浩の小説が原作で、高畑充希にとっては映画初主演作です。脚本は渡辺千穂で、「旅猫リポート」の三木康一郎が監督をしました。

不動産会社に勤める河野さやか(高畑充希)は、自分の事を幸運とは縁が無い女だと考えていて、仕事でミスをして上司に怒鳴られる生活を送っていました。料理は苦手で、昼もコンビニ弁当で済ませてしまっています。

2月のある日、今日も暗い気持ちでアパートに帰ってくると、駐輪場に男性(岩田剛典)が倒れていました。声をかけると、彼は「お腹が空いて動けません。噛んだりしません。しつけのできた良い子ですから、拾ってくれませんか」と言うのです。部屋にあげてカップ麺を食べさすと、3分待たずに固いまま頬張る姿にさやかは笑みがこぼれました。

翌朝、美味しい匂いで目を覚ますと、彼は朝食を用意していました。誰かにご飯を用意してもらうという初めての経験に感動したさやかは、しばらくここにいたらどうかと言うのです。彼は樹と名乗りましたが、苗字は嫌いだからと言いませんでした。樹は半年間同居させてもらうことになりますが、ちょうど半年後の8月15日はさやかの誕生日でした。

樹はさやかが帰るとコンビニでの夜勤のバイトに出るようになりますが、朝食とさやかの昼の弁当だけは毎日用意してくれました。そして、バイト代で購入した2台の自転車で、さやかを「狩り」と呼んで河川敷に連れ出すのです。そこで、樹は写真を撮りながらさまざまな雑草の名前を教えてくれて、食べれる草を持ち帰るのでした。

ある日、狩りで片足を濡らしてしまったさやかに、樹は冷えるからとハンカチを取り出して靴の中に入れました。それは女性物のハンカチで樹はバイト仲間にもらったと説明します。気持ちが乱れたさやかは、思わずバイト先を見に行ってしまいます。すると女性店員が樹のことを「日下部君」と呼んでいるのを聞いてしまいます。

さやかは帰ってきた樹に、「私は何にもあなたの事を知らなくて、あなたのことが好きだから悔しいけど、どうせただの同居人ですよね」と言ってしまいます。樹は「引き金を引いたね。僕が君を好きなことを見せないようにどれほど努力してきたと思っているんだ」と言うとさやかを抱きしめるのでした。

8月15日、約束の半年。さやかは不安な気持ちで家に帰ると、電気がついていません。でも、家に入ると電気がついて手作りの誕生日ケーキと立派な植物図鑑を用意した樹が待っていました。しかし、翌朝、机の上にはさやかを写した写真と狩りの成果のレシピノートが置かれ、樹の姿はどこにもありませんでした。

・・・もちろん安心してください。ハッピーエンドが用意されています。高畑充希と岩田剛典のW主演という形ですが、基本的にさやかの主観でストーリーは進行します。高畑充希はめちゃめちゃ可愛いし、草食系イケメンの代表格の岩田剛典とくれば、どう頑張ってもギドギドした展開はあり得ません。恋愛ドラマの王道みたいな作品です。

堅苦しいことを考えるような映画ではありませんから、素直に見て拍手したくなる佳作です。

2025年6月9日月曜日

ヲタクに恋は難しい (2020)

高畑充希主演の恋愛ミュージカル映画・・・ですか? これ。何かハチャメチャな設定のふじた原作の漫画が原作のコメディで、脇役で佐藤二朗とムロツヨシが登場する・・・といえば、そう、監督・脚本は福田雄一。福田流のギャグ(あまり好みじゃないけど)は、やや封印されヲタクがメインでその存在で笑わせる感じです。

桃瀬成海(高畑充希)はゲーム・ヲタクで、それが元で彼氏にふられ。前の会社も居ずらくなって転職。新しい職場には、偶然幼馴染でゲーム友達だった二藤宏崇(山崎賢人)いました。再びゲームで盛り上がり、付き合うことになります。

成海はゲーム以外でも、声優、コスプレも好きで自ら同人誌を作ってコミケで販売するヲタクっぷりですが、今回は職場で失敗したくないので周囲には隠していました。宏崇はゲーヲタを隠していませんが、周りから超陰性キャラと思われています。

ハワイへの出張のため、激コワ上司の樺倉(斎藤工)の元でいろいろミスをしてしまう成海は、宏崇に助けを求めたいのですが、突然連絡が取れなくなってしまいます。宏崇ははじめは成海のヲタク度を消すように協力するつもりだったのですが、むしろ一緒に楽しむために専門外の声優ヲタクになるための特訓をしていたのでした。

・・・という、まぁ、どうでもいいようなストーリーなんですが、一番は出演者の歌と踊り。高畑充希は、もともとミュージカルは得意ジャンルなので、まったく問題なくこなしています。驚くのは山崎賢人も1曲ソロがあり、踊りのシーンもある。さすがに歌はそれほどじゃないけど、ファンにはこたえられない。他に宏崇の上司で登場する菜々緒も、斎藤工も歌って踊るという大サービス。

宏崇の同僚でアニメ・ヲタクは賀来賢人で、例によってハイ・テンションの演技をしています。成海の同僚でちょっとだけ登場するのは、ブレーク前の今田美桜。後はその道では有名らしい声優さんとか、コスプレイヤーが大挙して登場しているらしいのですが・・・よくわかりません。

まぁ、どうでもいいと言うと語弊がありますが、高畑充希のミュージカル・スターとしての力量を再確認するには丁度良い作品というところでしょうか。

2025年6月8日日曜日

過保護のカホコ (2017)

高畑充希の初主演テレビ・ドラマ。高畑充希は高校生の時にミュージカル「ピーターパン」で歌唱力・演技力を評価され、2016年にNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、全国的に知られるようにかりました。

日本テレビ制作のこのドラマは、「家政婦のミタ」の遊川和彦のオリジナル脚本で、過保護に育てられ何でも母親の言う通りに生きてきた主人公が、少しずつ自立していく「親離れ」を描いていますが、同時に母親の「子離れ」もテーマであり、大袈裟に言えば「家族再生」のコメディです。

両親に溺愛され育てられた大学生の根本加穂子(高畑充希)は、就活を始めたもののなかなか内定がきまらない。母親の泉(黒木瞳)は、何から何まで加穂子の生活を支配していて、誰に対しても主導権を譲らない性格。父親の正高(時任三郎)は、娘可愛さから母親に思っていることをまったく意見できません。

泉には二人の妹がいて、次女の環(中島ひろ子)は病気がちで、警察官の衛(佐藤二朗)と結婚したのも数年前でこどもはいません。弁当屋で働く三女の節(西尾まり)は看護師の厚司(夙川アトム)との間に娘の糸(久保田紗友)がいて、チェロ奏者として海外留学したい糸が生きがいでした。

三人姉妹の母親は大らかな並木初代(三田佳子)、父親はにぎやかですぐにすねる福士(西岡德馬)で、誰かの誕生日や祝い事があると、全員が並木家に揃って賑やかに食事会をするのを常としていました。正高の父親は根本正興(平泉成)でほとんど居眠りばかりをして、話しかけても「明日な」とはぐらかすのが口癖。母親の多枝(梅沢昌代)も正興にはあきれていますが、一番の心配事は出戻りで、無計画でいい加減な娘の教子(濱田マリ)のこと。

加穂子は大学のキャンパスで、画家を目指している麦野初(竹内涼真)と知り合います。初はこどものときに父親は亡くなり、母親は黙って出て行ってしまったため施設で長く生活していたのです。初はあまりに主体性が無い加穂子に対して、今まで誰も言わなかった意見をずばずばと言うので、加穂子は初めて「考える」ことを始めるのです。一方、加穂子は初の描くスケッチが人を感動させる力があるとお世辞抜きで褒めるのでした。

物語は糸が手の病気になり、チェロが弾けなくなったことから大きく動き出します。糸は家族全員が揃うのは嫌でしょうがない、何でこんな貧乏の家に生まれた、そして加穂子にもあんたみたいな苦労知らずは大嫌いだったと言うのです。母親にも親とは思っていないと言って、悪い仲間と遊ぶようになってしまうのでした。

それぞれの家族との関係がしだいに崩れていくことが悲しくてしょうがない加穂子は、まっすぐに何とかしようと動き出すのです。初代も加穂子の笑顔にはみんなをまとめる力があると応援します。お互いに好意を持ち始めた加穂子と初の関係も、次から次へと起こる家族トラブルの中で揺れ動くのでした。

というようなコメディとしては、ドタバタ調なところもありますが、とにかく高畑充希の突き抜けた演技がめちゃくちゃ楽しいドラマです。もちろん落ち込むときはあるのですが、回復が早く何事にもポジティブな加穂子の活躍は、見ていてすがすがしさを感じます。

こどもの意志を尊重して子育てをしてきたつもりの自分としても、いろいろと身につまされる部分があって、かなりデフォルメされているとはいえどこの家庭でも当てはまる話だろうと感じます。笑いの中に家族のエッセンスみたいなものが、ほどよく描かれているストーリーになっているのでお勧めです。

2025年6月7日土曜日

豆腐ハンバーグ


これもYouTubeネタを参考にしたレシピです。

最初に告白すると、はっきり言って失敗作です。

最初に一丁の木綿豆腐を用意して、上からまな板をおいて水分を抜きます。豆腐は、けっこう中に水が残っていますから、30分くらい放置しておきます。

ある程度水が抜けた木綿豆腐をビニール袋にいれます。さらにみじん切りのタマネギ1/4個、生卵1個、塩、コショウ、小麦粉大さじ1、ナツメグ少々を追加します。

袋の中で、全部をしっかり混ぜ合わせます。あとはそれなりの形にフライパンに絞り出して焼くだけ。

何しろ豆腐は大豆からできていて、大豆と言えば代替ミートの代表ですから、それなりのものになることは間違いない・・・・はずだったんです。

でも、とても完成作品をお見せできませんでした。

YouTubeはつくねみたいな感じだったので、ハンバーグとは多少違うのですが、それでもけっこうそれなりの出来になっていたんですけどね。

とにかく形がまとまらない。ひっくり返すときに、どうやってもバラバラになってしまいました。ですから、出来上がりは、ただただ豆腐を崩した中途半端なそぼろみたいな感じで、まったく美味しそうに見えませんでした。

だからと言って、小麦粉とかをおおめに入れるのも抵抗あるしなぁ・・・・

味としては、まぁ、こんなもんかという感じ。見た目が悪すぎて、箸が進みませんでした。

2025年6月6日金曜日

つばめ発見


ここは、クリニックのビルの地下駐車場。

機械式の立体駐車場になっているので、天井がけっこう高い。先日、急に黒い影が飛び回っていました。

つばめです。

とにかく動きが早いので、写真ではわかりにくい。

主として東南アジアで冬を過ごし、4月ごろには日本で巣作り、卵を産んで子育てをするのが一般的。

このようなコンクリートの壁でも平気で巣を作ることが可能で、数年前にもこの駐車場に巣が作られたことがありました。

今回は、見回してみても巣がありませんでしたが、おそらくそんなに遠くない場所にあるんだろうと思います。

きっと子つばめが大きな口を開けて親を待っているんでしょう。すくすく育って、無事に飛び立ってほしいものです。

2025年6月5日木曜日

ニュータンタンメン スタミナ玉子飯


ニュータンタンタメンは、たびたび登場する・・・けっこうはまる食べ物なんですが、いわゆる担々麵とは違い、たぶんニンニクがきいた鶏ガラベースに麻辣醤を混ぜて、パラパラのひき肉と卵とじが入ったスープが超くせになる。

近くの店が閉店してしまったので、家で再現に挑戦したこともあるんですが、カップ麺が出た時は残念感が強かった。袋麺はかなりの再現度で大満足だったのですが、スーパーに並んでいたのは一時だけで、その後見かけなくなってしまいました。

今回見つけたのは「スタミナ玉子飯」ということで、ご飯にかけて食べるバージョンのレトルトです。

そもそも、店のニュータンタンメンも、最後にスープを残してご飯を入れて食べ終えるのが定番で、これが最高に旨い。

レトルトですから、味には問題ないと思い、早速食してみました。

御飯にかけると、量的には十分。色、香りはまさにニュータンタンメン。期待が膨らみます。

・・・モグモグ、・・・パクパク。

うん? 何か違う。何だろう。確かにニュータンタンメンの味・・・なんですが、何か足りない。

そう、優等生すぎる。麺やトッピングがごちゃごちゃに混ざった残りスープじゃないんです。あのB級グルメ感が無くなって、このためにクリアに作りましたという味なんです。

まぁ、しょうがないかな。やっぱり、お店の味はお店でないと堪能できないということだと思いました。

2025年6月4日水曜日

背番号3


長嶋茂雄さんが亡くなりました。

自分は、どっぷり「巨人・大鵬・玉子焼き」世代(これがわかる人は年がばれる)。そして、その時の巨人はON時代であり、王と長嶋は少年たちほぼ全員の憧れのスターです。

男の子は全員が野球少年。まだサッカーは、走り回っているだけの疲れる華のないスポーツです。長嶋選手の引退は、本当に困民的セレモニーで、誰もがその一言一言を心に刻んだのでした。

自分が女子医科大学の膠原病リウマチ痛風センターに在籍していた時、長嶋さんは病棟にしていた青山病院に脳梗塞で極秘入院してきました。厳重な箝口令がしかれていたようで、我々の下っ端は噂を囁きあっていました。重篤であったため、より高度な治療をするため転院になったのも、秘密裏に行われたようです。

あれから20年以上、不自由な体でも野球のためにできることを惜しまずにご尽力されてきたことには、本当に頭が下がります。しかし、ついにこの日が来たのかと思うと、寂しさが湧いてくることを止めることはできません。

合掌

2025年6月3日火曜日

クレイジークルーズ (2023)


企画・製作はNetflixで、2023年に配信された映画。「大豆田とわ子と三人の元夫」でペアを組んだ監督の瀧悠輔と脚本の坂元裕二が担当しています。

豪華客船のバトラー(執事)として様々な接客を行っている冲方優(吉沢亮)は、横浜に寄港して恋人が乗船してくるのを楽しみにしていました。しかし、横浜で乗り込んできたのは盤若千弦(宮崎あおい)で、冲方にあなたの恋人と私の恋人が浮気していると告げ、証拠のSNSのやり取りを見せるのです。

映画プロデューサーの保里川藍那(菊地凛子)は若手俳優の井吹真太郎(永山絢斗)と不倫旅行中。ヤクザの組長の娘である萩原汐里(蒔田彩珠)は、元組員の湯沢龍輝(泉澤祐希)と駆け落ち。そして医療界で絶大な権力を持つ久留間宗平(長谷川初範)は、息子夫婦(安田顕、高岡早紀)と孫娘の玲奈(大貝瑠美華)、家政婦の佐久本桂子(菜葉菜)とその息子で玲奈の相手をする奏翔(潤浩)を引き連れての学会旅行です。

冲方の恋人は、直前に仕事が入ったと嘘の連絡をして船には乗りませんでした。そのことを知った千弦は船を降りようとしますが、船はすでに横浜を出港してしまいました。

暗くなって、嫁にプールサイドに連れだされた宗平は、嫁が不貞をして産んだ子が玲奈であることを知っていると伝えると、嫁は発作的に宗平をプールに突き落としてしまいます。そのすぐ後に保里川、井吹、汐里、湯沢の四人、そして千弦と奏翔がプールに行くと、丁度誰かが悲鳴と共にプールに落ちてしまうのを目撃してしまいます。

宗平の息子は宗平の遺言状に遺産はすべて佐久本に譲るとなっていることを知っていたので、宗平の遺体を部屋に隠し、冷房を強くして何とか発覚を遅らせようとするのでした。冲方は船長(吉田羊)に、誰かがプールに落ちて死んだようだと報告しますが、事件があって横浜に帰ることになると困るので、全員が何も見ていないと証言するのです。

混乱を招いた冲方は謹慎処分を受けてしまいますが、それをいいことに、千弦と共に事件解明のため自由に行動することにしました。

一見、犯人が分かっている殺人事件ですが、そこはなかなか一筋縄ではいかないストーリーの展開になっていてますが、ミステリーとしてはそれほど上等な物とは言えません。どちらかというと、それぞれのカップルの利害打算がそこそこ面白く、どんどんカップルが入れ替わったりするのが楽しい仕掛けになっています。

中心になっているのは冲方と千弦の浮気された同志が、事件解明と言う共同作業を通じて段々惹かれあっていくところ。ちょっとしゃれた感じのセリフのやり取りが、気が利いていてよく考えられている脚本だと思います。

ですから、あくまでも犯人捜しよりもロマンスの行方を気にして見たほうがよさそうな作品です。つまりどちらかというラブコメと考えれば、、そこそこ面白い作品です。どうせ船長に吉田羊をもってきたのなら、女船長にもロマンスがあってもよかったかもしれません。それにしても多くの登場人物の名前が簡単に読めないのが辛い。

2025年6月2日月曜日

ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜 (2023)


躍進目覚ましいNetflix映画。原作は、麻生羽呂・原作、高田康太郎・作画による日本のマンガで、脚本・三嶋龍朗、監督・石田雄介で実写化されました。タイトルが示す通り、ゾンビが出てくるんですが、邦画で似たような作品で思い出すのが、やはりマンガ原作の「アイアムヒーロー(2016)」です。両者を見て日本のゾンビ映画も完成度が高くなったと思いますが、こちらはどちらかとコメディに寄せていて、怖さより楽しさが勝っている感じです。

アキラ(赤楚衛二)がやっと就職した会社は超の上に超がつくブラック広告代理店でした。上司の小杉(北村一輝)はスーパーパワハラ人間で、アキラは次第に小杉に逆らえない人間になっていくのです。

ところが、ある日突然に街中で人間がゾンビと化し、襲われて噛まれた人間もゾンビになってしまうというパニックが発生します。アキラはゾンビから逃げながらも、これで会社に行かなくてもよくなったと喜んでしまうのでした。どうせ自分もゾンビになってしまうのなら、いっそのことできるだけやりたいことをやってやろうと思い立ち、ノートに「ゾンビになるまでにしたい100のこと」を書き始めるのです。

コンビニで偶然出会ったシズカ(白石麻衣)は、生き延びるために独力で自分を守ると言い、やりたいことをするために無鉄砲に突進するアキラにあきれてしまいます。親友のケンチョ(柳俊太郎)をゾンビに囲まれた部屋から助け出し、アキラは昔からなりたかったスーパーヒーローになるため、茨城の水族館にある、噛まれても大丈夫なサメの皮膚で作ったスーツをもらいに行くと言い出します。

二人でドンキホーテで必要な物資を調達することにしますが、店の前にはゾンビの群れが集まっていて、しかもそこに逃げる人々の乗ったバスが突っ込んでくるのでした。ゾンビに襲われたバスにはシズカも乗っていて、バスは茨城の水族館が食料もたっぷりあって安全だというので向かうところだったと話します。

何とかゾンビを撃退した3人は、キャンピングカーで茨城に向かうことにします。途中で、アキラがしたいと思っていた温泉に入ったり、パラグライダーを楽しんだりするうちに、しだいに彼らの間には仲間意識が芽生えていくのでした。しかし、やっと到着した水族館は、何と偶然そこで仕事をしていて助かった小杉が、逃げてきた人々を言葉の暴力で支配するブラックな状況だったのです。

いつものように原作は未見なのですが、少なくとも映画ではゾンビ化の原因とかは触れられていません。ゾンビを倒すことが主眼のストーリーでは無いので、それはそれで良しとします。つまり、ブラックな環境で考えることを停止してしまったアキラが、再び人間性を取り戻し、本当にやりたかったことをやれる自分に成長するというところがテーマです。

シズカの素性についても、ほとんで触れられていませんが、何らかの理由で勉強を辞めてしまった医学生?らしい。シズカは、アキラと対照的にズケズケと物が言えるのに、生きるためにできるだけ忍耐を選んでいました。しかし、どんどん前向きなアキラと行動を共にしていくうちに、彼女もまた成長していくのです。

ちょっと優しさが強めのアキラ役の赤楚衛二はぴったりですし、北村一輝も顔が濃くて声に威圧感があるので(ゴメンナサイ)、この強面上司ははまっています。市川由衣や筧美和子といった美人系女優さんがゾンビ化してしまうのも見どころになっているかもしれません。

2025年6月1日日曜日

新幹線大爆破 (2025)


新幹線大爆破」は50年前、1975年に名優・高倉健の主演で作られた映画で、任侠路線からの転換を模索していた高倉が、安いギャラでもいいから出演したいと熱望して犯人役を演じたもの。当時ハリウッドで流行していたパニック物を日本に持ち込んだ先駆けとしても評価され、JR(当時の国鉄)が協力拒否したものの、佐藤純爾監督らの様々なアイデアによって、かなりのリアリティを再現できたことも評価されています。

すでに安全神話が成立していた新幹線が、制御不能の恐怖の走る箱と化すというアイデアは監督を中心としたスタッフの話し合いで煮詰まっていきました。新幹線の速さが革新的で日本の高度成長の到達点のような憧れを持って喜ばれていた時代ですから、80km/h以下にスピードを落とすと爆発するという、もう止まることができない状況は多くの日本人に根源的な恐怖を植え付けたのでした。

今回、半世紀を経て再び同じタイトルでNetflixがリブートしたわけですが、今風の雰囲気を取り込んだ単純なリメイク作であれば、二番煎じ以上の評価はされなかったかもしれません。しかし、一見、前作と同じように事件が進行するものの、以前の事件が新たな事件の引き金となっている内容で続編的な色を濃くしたこと、そして今回はJRが全面的に協力したことで高く評価できる作品になっています。

監督は「シン・ゴジラ」、「シン・ウルトラマン」の樋口真嗣、脚本は中川和博・大庭功睦です。また草彅剛、のんという、ある意味芸能界で一度排斥されながら、地道に活動し再評価された二人の出演も話題性だけでなく評価されるポイントになっています。

前作では高倉を主演に迎えたこともあり、犯人側の視点が盛り込まれ、高度成長の日本の中でその波に乗り切れなかった人々の悲しみが取り上げられていました。しかし、今作の特徴は、東北新幹線が100km/h以下になると爆発するという究極の恐怖に集中するため、あえて人物像には深入りしていないところにあります。

人を描いていないという批判はおそらく監督らは覚悟していたと思いますが、確かに前作をしらない人に対しては「何故新たに同じような事件が起きたのか」という情報不足は否めない。本編の中でも昔の事件について最小限の紹介はされていますが、そこを理解するためには数分間のあらすじの挿入では不十分ですから、はっきり言うと前作を絶対に見てから本作を見ることを強くお勧めします。

緊迫した事態に対応する実直(すぎるくらい)な車掌に草彅剛、スピードを緩められずジェットコースターのような車両の運転手にのん、危機管理能力と決断力がある総括司令長に斎藤工、乗客にはスキャンダルからの復活を狙う国会議員に尾野真千子、SNS成金のYouTuberに要潤、修学旅行の帰りの女子高校生に豊嶋花、ヘリコプター墜落事故で多数の死傷者を出して社会的に糾弾される社長に松尾諭などが出演しています。

JRの協力もありますが、CGなどの映像技術の進歩により、止まれない密室となった新幹線の映像は迫力があり、それは前作の比ではありません。俳優たちの演技も素晴らしく、ドラマとしての格を何段階も上げることに成功しています。

ただし、やはり前作を知っている者からすれば、それを超えているとまでは言えないし、見ていない者には理解しずらいところが多い作品だとは思います。それはある程度しょうがない部分で、現代風のエンターテイメントとしては評価されることは間違いありません。

2025年5月31日土曜日

くらしのこよみ


暦の上で、期間の分け方は四季しか知らなかったが、10年ほど前の自分。ところが、「季節」と言うくらいで、4つの「季」だけでなく「節」も、それも24もあるわけで、さらに細分化した「候」もある。

そもそも日本人なら知っているはずの「四季・二十四節季・七十二候」を知るきっかけになったのが、「くらしのこよみ」というアプリで、5から6日ごとに変わっていく候を美しい写真と簡潔ですが内容のある文章で紹介するというもの。

残念ながらアプリは昨年、配信が終了してしまったのですが、内容はそのまま書籍化され平凡社から発売されています。編集したのは「うつくしいくらしかた研究所」というところでHPではまだ閲覧できるようです。

パソコン・スマホ大好きとは言っても、しょせん昭和人ですから、アナログな「本」というものは一番重宝しているので、すぐに購入しました。今となっては買ってて良かったこよみ本という感じです。

それぞれの季・節・候の説明、それに関連した文化・文明のトピック、旬の食材などの話はとてもわかりやすく、目から鱗のようにすっきりさせてくれます。

また、楽しみなのは「和漢三才図会」という、18世紀はじめに寺島良安に作られた(日本で初めての?)百科事典の挿絵などがたくさん使われているところ。

以前も、ブログの中で七十二候を追いかけたのですが、今の時期である「麦秋至」からスタートしています。季節感が崩れてきている昨今ですが、だからこそまた暦を積極的に意識してみたいなと思いました。