2025年8月31日日曜日
無題 2
昨日はネタ切れ。
当然、今日もネタ切れ。
8月も今日で終わりですけど、連日の残暑・・・暦の上では残暑と言いますが、実質的には盛夏がずっと続いている状態。昨日も37゚cになってました。
こうなるとクリニックは「夏枯れ」で暇になるところなんですが、お盆期間に休みを頂いた影響で、その前後には患者さんが集中してしまうので、あまりお気楽なことは言っていられない。
しばしば患者さんから「ここは空いていて、すぐ呼ばれるからいいわね」とか言われるようなクリニックですから、もう患者さんを待合室で30分以上待たせているとあせりまくってしまいます。
この前、川釣りをしている人を見かけました。
フライフィッシングでしょうか。何が釣れるのかわかりませんが、熱中症にならないようにしてもらいたいものです。アスファルトの地面のような反射熱はないでしょうけど、長時間は注意が必要ですよね。
2025年8月30日土曜日
2025年8月29日金曜日
WAR ~戦い続けた兵たちの誇り (2002)
TEAM NACSによる「約束公演」と呼ばれた、実質的には第8回公演です。2年前にこの演目を予告していたものの、予定していた会場が閉館してしまったため1年延ばしになったもので、観客との「約束」を守るという意味合いが含まれていました。
ナックスの5人以外に、交流のあった劇団イナダ組や大学の後輩、ナックスの所属していたオフィース・キューの芸人である藤尾仁志・河野真也ら15人が客演する舞台となりました。
北海道のローカル・テレビ局で中継され、後にビデオ・デーブが限定発売されています。現在はニコニコ動画を根気よく探すと、分割された形で視聴が可能です。ただし、画質・音質はかなり状態が悪いので、出演者の判別や台詞の聞き取りはかなり制約を受けることは覚悟しないといけません。
NSF (Never Stateless Force)に参加する男たちの物語。NSFは無国籍軍という意味で、世界各国から参加した兵士によって、リチャード総帥(森崎博之)のもと、世界から戦争を無くすために戦争を仕掛けるという集団です。彼らはサハリンを支配下におくと、次なる標的を日本に定めます。
ホーク中尉(大泉洋)はエースパイロットで、自信過剰で自分が隊長に選ばれないことに強い不満を持っています。ロイ隊長(音尾琢真)は人格者ですが、人を殺したことが無い。そのため、敵を殺せずに部下を死なせた過去に苦しんでいる。
マイク(戸次重幸)はホークの部下で、話すことができせんが視力は抜群。捕虜になって拷問を受けて死んでしまいます。ロイ隊長は死んだマイクを前に、「我々は復讐のためではなく、誇りのために戦うのだ」と声を上げます。
ハイド(安田顕)は、NSFの公用語の英語がうまくないため無口。マイクとは唯一心が通じる仲間でした。生真面目な性格で「何のために生きるのか」を真剣に考えている。彼が目を覚ますと・・・日本人の普通の若者、モリ、オオイズミ、シゲ、オトオらの仲間からヤスケンと呼ばれ、普通にバカ騒ぎするのが好き。
ヤスケンはリアルな戦争の夢を見たと話します。そこは、誰もが本気で死と向き合って、生きるために必死になっている世界でした。今の自分に疑問をもったヤスケンは酒をあおり寝込んでしまうと、再び彼はNSFのハイドになっていたのです。
ナックスの5人以外に、交流のあった劇団イナダ組や大学の後輩、ナックスの所属していたオフィース・キューの芸人である藤尾仁志・河野真也ら15人が客演する舞台となりました。
北海道のローカル・テレビ局で中継され、後にビデオ・デーブが限定発売されています。現在はニコニコ動画を根気よく探すと、分割された形で視聴が可能です。ただし、画質・音質はかなり状態が悪いので、出演者の判別や台詞の聞き取りはかなり制約を受けることは覚悟しないといけません。
NSF (Never Stateless Force)に参加する男たちの物語。NSFは無国籍軍という意味で、世界各国から参加した兵士によって、リチャード総帥(森崎博之)のもと、世界から戦争を無くすために戦争を仕掛けるという集団です。彼らはサハリンを支配下におくと、次なる標的を日本に定めます。
ホーク中尉(大泉洋)はエースパイロットで、自信過剰で自分が隊長に選ばれないことに強い不満を持っています。ロイ隊長(音尾琢真)は人格者ですが、人を殺したことが無い。そのため、敵を殺せずに部下を死なせた過去に苦しんでいる。
マイク(戸次重幸)はホークの部下で、話すことができせんが視力は抜群。捕虜になって拷問を受けて死んでしまいます。ロイ隊長は死んだマイクを前に、「我々は復讐のためではなく、誇りのために戦うのだ」と声を上げます。
ハイド(安田顕)は、NSFの公用語の英語がうまくないため無口。マイクとは唯一心が通じる仲間でした。生真面目な性格で「何のために生きるのか」を真剣に考えている。彼が目を覚ますと・・・日本人の普通の若者、モリ、オオイズミ、シゲ、オトオらの仲間からヤスケンと呼ばれ、普通にバカ騒ぎするのが好き。
ヤスケンはリアルな戦争の夢を見たと話します。そこは、誰もが本気で死と向き合って、生きるために必死になっている世界でした。今の自分に疑問をもったヤスケンは酒をあおり寝込んでしまうと、再び彼はNSFのハイドになっていたのです。
NSFの日本侵攻は成功したかに見えましたが、舞台内にドイツが送り込んだ裏切り者のシュバルツ(戸次重幸)によって、一気に形勢が逆転します。そして、ハイドは旧日本軍が開発した特攻兵器である桜花を発見し、ハリス(戸次重幸)の操縦する飛行機から切り離され突撃していくのでした。
まず最初に目を引くのは、リーダー森崎の演出。舞台は全体に斜面になっていて、一番奥に中央だけが空いたパネルが並んでいるだけです。斜めになっていることで、奥行きが広がりいろいろな場面設定に利用されています。
そして、その場面を象徴的に表現するために使われているのが照明です。この照明の使い方が天才的としか言いようがない。ダイナミックに動かして、色を変えることで状況を説明するだけでなく、登場人物の心情なども表している。時には、真っ暗な中で大勢が懐中電灯の光を使って光の動きを表現する辺りは素晴らしい。
小道具として拳銃、小銃までは使いますが、当然飛行機は舞台に出てこない。しかし、役者が操縦桿を握って中腰になるポーズで飛行機の動きを表現するのですが、見えない機体がまるでそこに飛んでいるような錯覚を起こさせるのは見事です。
全員が複数の役をこなしています。中心となるナックスのメンバーは2~3役で、比較的わかりやすいのですが、全体の人数が多い舞台では混乱してわかりにくいところ。特に戸次は死ぬ度にハイドに寄り添う別の役で再登場するので、集中していないとわからなくなります(意図的に狙っている?)。
内容はNSFという架空の軍隊にいる若者たちと、現代日本の若者たちを対比させて、「生きる意味」をあぶり出していくというのがテーマ。戦争がヤスケンの夢なのか、あるいはハイドの夢が今の日本なのか、あるいはもしかしたらハイド(HIDEのカタカナ読みは日本名ヒデ)の回想なのかと思わせることで視聴者に考えさせています。まだアマチュア劇団の域を脱していない感じはしますが、若さの勢いみたいなものは十分に発散していて、最近の円熟した舞台よりも熱い思いがあふれているように思います。
まず最初に目を引くのは、リーダー森崎の演出。舞台は全体に斜面になっていて、一番奥に中央だけが空いたパネルが並んでいるだけです。斜めになっていることで、奥行きが広がりいろいろな場面設定に利用されています。
そして、その場面を象徴的に表現するために使われているのが照明です。この照明の使い方が天才的としか言いようがない。ダイナミックに動かして、色を変えることで状況を説明するだけでなく、登場人物の心情なども表している。時には、真っ暗な中で大勢が懐中電灯の光を使って光の動きを表現する辺りは素晴らしい。
小道具として拳銃、小銃までは使いますが、当然飛行機は舞台に出てこない。しかし、役者が操縦桿を握って中腰になるポーズで飛行機の動きを表現するのですが、見えない機体がまるでそこに飛んでいるような錯覚を起こさせるのは見事です。
全員が複数の役をこなしています。中心となるナックスのメンバーは2~3役で、比較的わかりやすいのですが、全体の人数が多い舞台では混乱してわかりにくいところ。特に戸次は死ぬ度にハイドに寄り添う別の役で再登場するので、集中していないとわからなくなります(意図的に狙っている?)。
内容はNSFという架空の軍隊にいる若者たちと、現代日本の若者たちを対比させて、「生きる意味」をあぶり出していくというのがテーマ。戦争がヤスケンの夢なのか、あるいはハイドの夢が今の日本なのか、あるいはもしかしたらハイド(HIDEのカタカナ読みは日本名ヒデ)の回想なのかと思わせることで視聴者に考えさせています。まだアマチュア劇団の域を脱していない感じはしますが、若さの勢いみたいなものは十分に発散していて、最近の円熟した舞台よりも熱い思いがあふれているように思います。
2025年8月28日木曜日
ラストマン-全盲の捜査官 (2023)
話題になった邦画で、「グランメゾン・パリ」、「キングダム」など、テレビドラマで「TOKYO MERシリーズ」、「ストロベリー・ナイト」などなど、多くの脚本を手掛けているのが黒岩勉です。主にフジテレビ関連の仕事を中心に、ミステリー色のある作品が多く、近年はオリジナル作品も注目されます。
このドラマは、2023年にTBS「日曜劇場」で放送されました。全盲のFBI捜査官と警視庁刑事が異色のバディになるという斬新な設定と、福山雅治と大泉洋というW主演が話題になりました。2025年秋には劇場版の公開を控えています。
相互協定によりFBIの捜査官である皆実広見(福山雅治)が来日しました。もともとは日本人である皆実は、10歳のときに両親を強盗殺人事件で亡くし、自らもその時の怪我が原因で失明してしまいました。大学で心理学に長けていたためFBIにプロファイラーとしてスカウトされ、難事件を最後に解決できる「ラストマン」として活躍していたのです。
皆実の世話役に指名されたのは、警視庁の護道心太朗(大泉洋)で、祖父は元警視庁長官の清二(寺尾聡)、兄は次期警視庁長官確実と言われている京吾(上川隆也)、甥は捜査一課佐久良班の正義感の強い泉(永瀬廉)という名門警察一家の中にいて、警察ノンキャリアの道を選ぶ高い検挙率を誇る変わり者です。心太朗は、実は護道家の養子で、実の父は皆実の両親を殺害した犯人として服役中で、その事件を担当した管理官が護道清二でした。
皆実は最新テクノロジーを駆使して、視力が無くても多くの情報を音声化して驚異的な速さで取り込むのです。佐久良主任(吉田羊)は、当初は事件に勝手に首を突っ込む皆実と心太朗を苦々しく思っていましたが、少しずつ協力するようになります。アメリカでの皆実の活躍に勇気づけられた過去がある吾妻(今田美桜)もIT支援で皆実をサポートします。
物語は41年前の皆実家の事件の謎を主軸として進行していきます。日米の警察が協力するためお互いに人材交流をするというのはあり得る話だとは思いますが、いくら優秀だとは言え全盲の皆実が最初のメンバーというのが、もちろん父親の事件の謎を解き明かしたい皆実の作為があっての人選なのですが、設定的には強引な印象を持ちます。
また、皆実がハイテク機器で常人並み、時にはそれ以上に肉体的な活躍をするのはちょっとやり過ぎのような感じ。その辺りを受け入れられるのであれば、過去の事件と絡み合った人間関係がしだいに解き明かされていく過程はよくできています。
コメディ色の強い大泉洋は頑ななどちらかというと暗いキャラで、むしろ福山が軽めに笑いを取るようなところは新鮮です。また大泉との共演が多い吉田羊とのコンビも楽しいところだと思います。
2025年8月27日水曜日
スマホは2時間まで
スマホは2時間まで、という条例案が話題になっています。
愛知県豊明市の話。
仕事や学業などでの使用を除いて、隙間時間における使用に限定してスマートホンの使用は1日に2時間以内にすることというもの。
罰則はありません。というか、そもそも2時間以上使ったかどうかを他人が客観的に判断する方法はありませんよね。
ということは、努力目標としての条例であり、「なるべく、こうした方がいいんじゃないですか」という意見を公的に発表したという程度のものということ。
いろいろと賛否両論出ているみたいですけど、基本的な主旨には賛成です。
ひたすら動画みているとか、SNSをチェックしているだけとか、まぁ、生産性はあまりなさそうな時間がたくさんあることはプラスにはならない。
でも、隙間時間の潰し方の方法が変わっただけで、ちょっと前ならテレビをずっと見ているという人も多かったはず。これも同じと言えば同じ。健康面のリスクも形態が変われば、違うものが出てくるというもの。
1日24時間、ずっと意味のある作業をし続けるというのも、精神的にかなりきついものでしょうから、ある程度の息抜きは大事というものです。
スマホに限定した話ではなく、適度の息抜きをした上で、充実した時間をすごすことができる状況が必要で、そのような環境が整備されることが望ましいのかもしれません。
2025年8月26日火曜日
ミハル (2003)
TEAM NACSの本公演は、1996年から始まり2021年までに17回を数えています。一般にDVD等で入手して視聴可能なのは2004年の第10回「LOOSER」からで、それ以前のものは基本的に見ることはできない・・・のですが、ナックス沼にはまった方は、是非にも見たいものだと思うかも、いや思うはず。
1996年の第1回は解散公演とされ、森崎博之・安田顕の大学卒業・就職記念としてTEAM NACSの旗揚げと同時に解散するものでした。1997年の第2回は、演劇の夢を捨てきれなかった森崎・安田が戻って来た復活公演です。
そして1998年の第3回公演からは、彼らはアマチュアからの卒業を決意し、舞台の様子は撮影・編集され、ビデオ(VHS)として限定的に販売するようになります。今やネット時代となり、それらのビデオテープの映像は動画配信サイトで運が良ければ見つけることが出来るかもしれません。
さて、第9回公演となったのは脚本・演出が戸次重幸による「ミハル」でした。
暗い舞台の中にスポットライトで浮かび上がる二人の男。一人はしゃがみこみ、もう一人は拳銃を相手の頭に向けています。全体の照明が点灯すると、そこはホテルの一室。ピンポンと音がして、ホテルのベルボーイの小宮(戸次重幸)が入ってくると、目の前の光景に動転し興奮して電話にかけより110番にかける。すると拳銃を構えていた安藤(音尾琢真)の携帯につながり、二人が刑事でありもう一人は後輩の岡田(大泉洋)と判明します。
安藤は匂いで相手の嘘を見抜く力があり、岡田は痛みの刺激で相手の過去の記憶を読み取る力があるという。岡田は小宮があまりに疑うので、小学校の時に好きな女の子の縦笛を盗んで今でも大事にしていることを読み取って驚かせます。
そこに撮影日を間違えたカリスマAV男優のキノコ山本(安田顕)が登場します。さらに売れない小説家でドラマの脚本を書くためにホテルに缶詰めになっていた長峰源五郎(森崎博之)も入って来て、やたらと刑事たちにちよっかいを出すのです。山本は実は引退した殺し屋、長峰はかつて恋人を殺した過去があることが明らかになります。
3か月前に、警察に突入された3人の実行犯が人質全員を殺害するという銀行強盗事件が発生しました。その場を指揮を執ったのは安藤で、彼は発砲許可が出る前に犯人を射殺したのです。安藤は幼い時に目の前で強盗に家族を殺された過去があり、犯人が生きて捕まっても遺族の苦しみが減るわけでは無いと考えていたのです。
銀行強盗事件では1億5千万円が消えていて、重傷を負った唯一の生存者である警備員の田中を怪しむ安藤は、彼を監視するためにこのホテルに滞在していたのでした。
高低差の無い一室を舞台にしたシチュエイション・コメディですが、戸次作品でもメンバーそれぞれのキャラクターを生かした配役とギャグがさく裂します。タイトルの「ミハル」は女性名ではなく、向かいの建物にいる容疑者を「見張る」という意味。
出だしは爆笑の嵐で、少しずつシリアスな展開となり、緊張感が途切れずにラストまでもっていく構成はなかなかよく出来ている作品だと思います。後年の「悪童」につながるような舞台で、一人一役でわかりやすいと思います。
特殊能力で過去のトラウマをあぶり出すというのはやや安易なところがあり、本来はしっかりと台詞と演技で少しずつ明らかにしていくべきかもしれません。ただし、上演時間の節約と笑いを取るネタとして機能しているので、TEAM NACSの作品としてはありなのかもしれません。
1996年の第1回は解散公演とされ、森崎博之・安田顕の大学卒業・就職記念としてTEAM NACSの旗揚げと同時に解散するものでした。1997年の第2回は、演劇の夢を捨てきれなかった森崎・安田が戻って来た復活公演です。
そして1998年の第3回公演からは、彼らはアマチュアからの卒業を決意し、舞台の様子は撮影・編集され、ビデオ(VHS)として限定的に販売するようになります。今やネット時代となり、それらのビデオテープの映像は動画配信サイトで運が良ければ見つけることが出来るかもしれません。
さて、第9回公演となったのは脚本・演出が戸次重幸による「ミハル」でした。
暗い舞台の中にスポットライトで浮かび上がる二人の男。一人はしゃがみこみ、もう一人は拳銃を相手の頭に向けています。全体の照明が点灯すると、そこはホテルの一室。ピンポンと音がして、ホテルのベルボーイの小宮(戸次重幸)が入ってくると、目の前の光景に動転し興奮して電話にかけより110番にかける。すると拳銃を構えていた安藤(音尾琢真)の携帯につながり、二人が刑事でありもう一人は後輩の岡田(大泉洋)と判明します。
安藤は匂いで相手の嘘を見抜く力があり、岡田は痛みの刺激で相手の過去の記憶を読み取る力があるという。岡田は小宮があまりに疑うので、小学校の時に好きな女の子の縦笛を盗んで今でも大事にしていることを読み取って驚かせます。
そこに撮影日を間違えたカリスマAV男優のキノコ山本(安田顕)が登場します。さらに売れない小説家でドラマの脚本を書くためにホテルに缶詰めになっていた長峰源五郎(森崎博之)も入って来て、やたらと刑事たちにちよっかいを出すのです。山本は実は引退した殺し屋、長峰はかつて恋人を殺した過去があることが明らかになります。
3か月前に、警察に突入された3人の実行犯が人質全員を殺害するという銀行強盗事件が発生しました。その場を指揮を執ったのは安藤で、彼は発砲許可が出る前に犯人を射殺したのです。安藤は幼い時に目の前で強盗に家族を殺された過去があり、犯人が生きて捕まっても遺族の苦しみが減るわけでは無いと考えていたのです。
銀行強盗事件では1億5千万円が消えていて、重傷を負った唯一の生存者である警備員の田中を怪しむ安藤は、彼を監視するためにこのホテルに滞在していたのでした。
高低差の無い一室を舞台にしたシチュエイション・コメディですが、戸次作品でもメンバーそれぞれのキャラクターを生かした配役とギャグがさく裂します。タイトルの「ミハル」は女性名ではなく、向かいの建物にいる容疑者を「見張る」という意味。
出だしは爆笑の嵐で、少しずつシリアスな展開となり、緊張感が途切れずにラストまでもっていく構成はなかなかよく出来ている作品だと思います。後年の「悪童」につながるような舞台で、一人一役でわかりやすいと思います。
特殊能力で過去のトラウマをあぶり出すというのはやや安易なところがあり、本来はしっかりと台詞と演技で少しずつ明らかにしていくべきかもしれません。ただし、上演時間の節約と笑いを取るネタとして機能しているので、TEAM NACSの作品としてはありなのかもしれません。
2025年8月25日月曜日
2025年8月24日日曜日
自動ドアの故障
長年クリニックをやっていると、あちこちで壊れるものが出てくるのはしょうがない。医療機器の場合はたいてい保守契約しているので、壊れたらどこに連絡するかははっきりしているものです。
今回、故障したのは自動ドア。
クリニックの入口には自動ドアが設置されています。閉めるのは上に設置してある赤外線センサー(たぶん)で、人の遠ざかりを感知するタイプ。外から入ってくるときは、赤外線ビームセンサーを手で遮断するスイッチでドアが開きます。
一方、中から出る時は、縦長のボタンを押す方式になっています。突然反応しなくなったのはこのスイッチ。つまり、入って来ることはできますが、出ることができない・・・
自動ドアが壊れたら・・・どこに連絡すんだ??
自分で注文したわけでもなく、どこかと保守契約しているわけてもない。頭真っ白とはこのことか、というところ。
しかたがないので、内装工事を請け負った会社に電話してみました。そしたら、幸運なことに丁度うちの担当だった人が電話に出てくれました。そしたら、ここに連絡してみたらと教えてくれたのが・・・「日本自動ドア株式会社」
早速HPを探してみたら、24時間修理受付もしている。電話もありましたが、メールでの問い合わせをしてみました。
何と、2時間後くらいには向こうから電話がかかってきました。状況を再度説明すると、カバーを外して、中に入っている電池を交換してみろというアドバイスをもらいました。
言われた通りにやってみると、何と単4電池2本が入っていて、これでマイクロスイッチを駆動していたようです。電池を交換すると、まったく問題なく復旧しました。
30分後くらいに、確認の電話がかかって来て、無事完了を報告して一件落着です。素早く適切な対応をしていただき感謝しかありません。日本自動ドア様様です。
それにしても、この電池(普通にみかけるアルカリ乾電池)・・・20年近く使えていたことに驚きました。
今回、故障したのは自動ドア。
クリニックの入口には自動ドアが設置されています。閉めるのは上に設置してある赤外線センサー(たぶん)で、人の遠ざかりを感知するタイプ。外から入ってくるときは、赤外線ビームセンサーを手で遮断するスイッチでドアが開きます。
一方、中から出る時は、縦長のボタンを押す方式になっています。突然反応しなくなったのはこのスイッチ。つまり、入って来ることはできますが、出ることができない・・・
自動ドアが壊れたら・・・どこに連絡すんだ??
自分で注文したわけでもなく、どこかと保守契約しているわけてもない。頭真っ白とはこのことか、というところ。
しかたがないので、内装工事を請け負った会社に電話してみました。そしたら、幸運なことに丁度うちの担当だった人が電話に出てくれました。そしたら、ここに連絡してみたらと教えてくれたのが・・・「日本自動ドア株式会社」
早速HPを探してみたら、24時間修理受付もしている。電話もありましたが、メールでの問い合わせをしてみました。
何と、2時間後くらいには向こうから電話がかかってきました。状況を再度説明すると、カバーを外して、中に入っている電池を交換してみろというアドバイスをもらいました。
言われた通りにやってみると、何と単4電池2本が入っていて、これでマイクロスイッチを駆動していたようです。電池を交換すると、まったく問題なく復旧しました。
30分後くらいに、確認の電話がかかって来て、無事完了を報告して一件落着です。素早く適切な対応をしていただき感謝しかありません。日本自動ドア様様です。
それにしても、この電池(普通にみかけるアルカリ乾電池)・・・20年近く使えていたことに驚きました。
2025年8月23日土曜日
LOOSER 2022 (2022)
TEAM NACSの結成25周年記念プロジェクトの最後を飾るのは、何と全国進出の足掛かりとなった2004年の第10回公演「LOOSER〜失い続けてしまうアルバム」のリメイクです。しかも、ただ再演するなんて安易なものではありません。
多くのテレビ・ドラマや映画で活躍する脚本・田中眞一、監督・木村ひさしを迎えて、舞台作品のテイストを生かしつつ、まったくの新しい映像作品として再構築されました。完成された映像は 配信と舞台挨拶付き劇場上映という形で公開されました。
登場するのはメンバー5人ですが、一人一人が18年前の舞台よりより多くの役柄をこなすことになりました。
森崎博之 = チンピラ2、事務所マネージャー、近藤勇、宮部鼎蔵、松平容保、原田左之助、斬られる長州藩士
安田顕 = 時空警察、相手の侍、芹沢鴨、古高俊太郎、永倉新八、北添佶摩
戸次重幸 = シゲ、山南敬助、吉田稔麿、池田屋惣兵衛
大泉洋 = チンピラ1、監督、謎の男、土方歳三、坂本龍馬、藤堂平助
音尾琢真 = 時空警察、沖田総司、桂小五郎
もう、何だこりゃという感じなんですが、カットごとに撮影された映像作品なので舞台と違い役の入れ替えは容易です。一番役が多いのはリーダーの森崎博之ですが、どれを演じても森崎なところがいかにもという安心感があります。逆に、安田顕は、6役をしっかり演じ分けているのには感心します(そのうち3役は死んじゃうのに)。
音尾琢真の沖田と桂の二役は舞台と同じでどちらも重要な役所ですが、18年前と比べると気負いがなく楽しんでいる感じ。同じく大泉洋も土方と坂本の入れ替わりの謎が早くに明かされていて、いずれの役も苦み走った顔が超かっこいい。最後にちょっと出る藤堂で、いかにもそれらしいおちゃらけをちょっとだけ見ることができます。
このストーリーの主人公はここでも戸次重幸で、現代人のシゲは中年になっても売れない役者。さすがに役者を続けることに嫌気がさしていて、借金取りのチンピラに追いかけられるわ、妻には去られてしまうわの散々な人生を送っています。小さい神社のお供えの饅頭をくすねた途端に、社の中に吸い込まれてしまいます。
シゲは気がつくと160年前、青い新選組の羽織を着た山南敬助になっていました。事態が飲み込めないシゲは、皆から訝しがられます。あちこちで問題を起こす芹沢を粛清することになり、土方が芹沢を介錯するところを目撃します。様子がおかしい山南を見て、土方は山南が未来人だと見抜き、着ていた赤い羽織を裏返しに着直し自分が坂本龍馬であることを教えます。そして、荒廃したさらなる未来から、池田屋事件を新選組の失敗に導き未来を変えるためにやって来たというのでした。
竜馬の剣が山南に振り下ろされた途端に、シゲは光の中に吸い込まれ気がつくと現代に戻っていたのです。不思議な夢を見ていたのかと思うシゲでしたが、少しだけ幕末の歴史を勉強してみます。そして、まるで死んでいるかのように生きている今より、あの夢の中の時代に惹かれ始めていることに気がつくシゲなのです。呼び出されたかのように再びあの神社の前に立つと、再び光の中に吸い込まれていくのです。
気がつくと、今度は長州藩邸にいるシゲ。桂小五郎らからは吉田稔麿と呼ばれ、来ている羽織の色が違う。彼らと料亭に向かうと、そこへ坂本竜馬が現れ尊王攘夷の演説を行い京都焼き討ちの詳細は池田屋で相談すると言いますが、シゲは勇気を振り絞って、今は敵対している薩摩と薩長同盟を結び新しい日本を作るのが桂のすべきことであり、京を混乱に陥れ天皇を拉致することはかえって批判されるだけだと異を唱えるのです。
ここで坂本竜馬、いや実は土方でもある未来人の謎の男は、吉田が山南、いやシゲであること気がつくのです。その時、近藤率いる新選組が改めのため登場します。桂らを裏から逃がすと素早く羽織を裏返し土方になる坂本龍馬。逃げそこなったシゲも羽織を裏返すと、再び山南と呼ばれるのです。土方は捕えた古高を拷問しますが、古高は池田屋での決起集会のことは口を割りません。しかし、土方は日時も場所も知っていると言い古高を切り捨てるのでした。
そして、ついに池田屋に集まる攘夷派を一網打尽にするため新選組は店の周囲を固めるのです。シゲは、羽織の着方で新選組にも長州藩士にもなれるなら、羽織を着なければ? と思いつき、何とかこの争いを回避するため、羽織を脱いで池田屋の主人になりきるのでした。しかし、一度動き出した歴史の歯車は誰にも止めることはできないのです。
映像作品ですから、いくらでもロケやセットを組んでリアリティを出すことは可能なはずですが、ここでは撮影所の中の存在しないはずのステージが舞台と言う設定。周りには現実的な撮影機材などが置かれ、セットとして組まれたのは1つの屋敷だけ。これを場面ごとに異なる場所として利用していくという、まさに演劇的手法が用いられています。
またいくらでもメンバー以外の客演を入れることが可能であるはずなのに、細かい役所までTEAM NACSに振り分けています。大勢がいるはずの場面でも、「いる体」で押し切ってしまうところが、いかにも舞台を見ているような錯覚を起こさせます。しかし、映画的な処理によって、舞台(やそのDVD)よりもより臨場感のある場面が展開します。
2004年版では「チョンマゲもチャンバラもない」が売りになっていましたが、今回は殺陣のシーンがあるのも興味深い。やはり実際に(演技として)斬り合うというのは、緊張感が一気に増しています。またそれぞれの台詞もはっきりと聞き取れることも、舞台とは違う良さかもとれません。
リメイクとは言え、そもそも何で土方と坂本が同一人物なのかという点が、大きく改変されていて、シゲのタイムスリップを含めて合理的な理由付けがされているところが素晴らしい。オリジナルをしっかりとリスペクトしつつ、さまざまな役を経験してメンバー5人が確実に大物に成長したことを実感させてくれる作品に仕上がっていると思います。
2025年8月22日金曜日
マスターピース〜傑作を君に〜 (2021)
TEAM NACSは、大学の演劇研究会の仲間5人組で結成され、1996年に旗揚げ公演を行いました。2005年まではほぼ毎年新しいステージを行っていましたが、全国を回るようになって毎年というのは無理が出てきました。以後は2~3年毎の公演日程が組まれるようになって、ついに結成25周年となる記念すべき2021年に第17回本公演を迎えることになりました。
しかし、2000年初頭から始まったコロナ禍は、エンタメ業界には大きな影響を及ぼし、多くの舞台やコンサートが開催目前で中止せざるを得ないことになりました。この本公演も、少なくとも2年前には計画が始まり、各地の会場をおさえたりしていたはずなので、メンバーおよび関係者は本当に開催できるのか本当に心配したことでしょう。
幸い文化・芸能活動の自粛は2021年2月に一定の条件下で解除され、3月初めに稽古が開始されました。何度も何度もPCR検査を行い安全を確認しつつ、4月5日の初日から6月6日の千秋楽までメンバー、スタッフ、そして観客に何事もなく駆け抜けたことは、ある意味賞賛に値するものだったのかもしれません。
成功の理由の一つとしては、今回は出演者はメンバー5人だけの会話劇だったこともあるかもしれません。脚本は、自身も俳優として活躍し映画・テレビの脚本を手掛けている喜安浩平に依頼され、「悪童」の時に関わったマギーが2度目の演出を行いました。昭和20年代後半の熱海の旅館を舞台に、TEAM NACSとしては得意なジャンルのコメディに仕上げられ、暗い雰囲気が覆う時勢に元気を届けられたのかもしれません。
昭和27年の年末に、熱海の温泉宿に新作映画の脚本を執筆するために、温泉を楽しむだけでなかなか筆が進まない諸澤(森崎博之)、ベテランだが不運にも関係した映画が完成したことが無い乙骨(安田顕)、真面目で恋愛経験の乏して灰島(大泉洋)、そして彼らのお目付け役としてプロデューサー見習いの茶山(戸次重幸)が集まりました。
彼らは恋愛物の時代劇を共同執筆しなければならないのですが、一向にアイデアが浮かばない。以前俳優を志しましたがあきらめて旅館の風呂番になった猫屋(音尾琢真)は、彼らの仕事がはかどるように協力(邪魔?)をするのでした。
灰田は、協力的な旅館の女中のアキ(安田顕)に、できたところまでの読み合わせなどを手伝ってもらううちに、しだいに惹かれていきます。大晦日になって、茶山の元に1月3日までに脚本ができないならこの企画は中止するという電報が着ます。
ちょうど同じ旅館の離れにも、同じように籠り切りで姿を見せない同業者がいることに気がつきます。それが偶然に「羅生門」で成功を収めた黒澤明監督であることがわかり、彼らは俄然負けていられないとはりきる・・・のですが、やはりいつまでたっても終わりが見えてこないのです。
メンバーは主たる配役以外に全員女中としても登場しますが、同時にステージにいることができないことが笑いどころになっています。主役は大泉洋ですが、自分の恋愛感情と書いている脚本の内容が少しずつリンクしていくところが本題と言えそうです。そして相変わらず驚愕の演技を見せるのが安田顕で、今回は主演女優賞を差し上げたいくらいです。特に何か仕掛けでもあるのか疑いたくなる女声は驚くしかありません。
随所に黒澤監督に対するオマージュが散りばめられていますが、コミカルな場面としっとりした場面のバランスが良いのは脚本・演出の賜物。途中で全員で枕投げをするところで、ほとんど本気で投げ合っているのは、まさにTEAM NACSらしさ全開で嬉しくなりました。
しかし、2000年初頭から始まったコロナ禍は、エンタメ業界には大きな影響を及ぼし、多くの舞台やコンサートが開催目前で中止せざるを得ないことになりました。この本公演も、少なくとも2年前には計画が始まり、各地の会場をおさえたりしていたはずなので、メンバーおよび関係者は本当に開催できるのか本当に心配したことでしょう。
幸い文化・芸能活動の自粛は2021年2月に一定の条件下で解除され、3月初めに稽古が開始されました。何度も何度もPCR検査を行い安全を確認しつつ、4月5日の初日から6月6日の千秋楽までメンバー、スタッフ、そして観客に何事もなく駆け抜けたことは、ある意味賞賛に値するものだったのかもしれません。
成功の理由の一つとしては、今回は出演者はメンバー5人だけの会話劇だったこともあるかもしれません。脚本は、自身も俳優として活躍し映画・テレビの脚本を手掛けている喜安浩平に依頼され、「悪童」の時に関わったマギーが2度目の演出を行いました。昭和20年代後半の熱海の旅館を舞台に、TEAM NACSとしては得意なジャンルのコメディに仕上げられ、暗い雰囲気が覆う時勢に元気を届けられたのかもしれません。
昭和27年の年末に、熱海の温泉宿に新作映画の脚本を執筆するために、温泉を楽しむだけでなかなか筆が進まない諸澤(森崎博之)、ベテランだが不運にも関係した映画が完成したことが無い乙骨(安田顕)、真面目で恋愛経験の乏して灰島(大泉洋)、そして彼らのお目付け役としてプロデューサー見習いの茶山(戸次重幸)が集まりました。
彼らは恋愛物の時代劇を共同執筆しなければならないのですが、一向にアイデアが浮かばない。以前俳優を志しましたがあきらめて旅館の風呂番になった猫屋(音尾琢真)は、彼らの仕事がはかどるように協力(邪魔?)をするのでした。
灰田は、協力的な旅館の女中のアキ(安田顕)に、できたところまでの読み合わせなどを手伝ってもらううちに、しだいに惹かれていきます。大晦日になって、茶山の元に1月3日までに脚本ができないならこの企画は中止するという電報が着ます。
ちょうど同じ旅館の離れにも、同じように籠り切りで姿を見せない同業者がいることに気がつきます。それが偶然に「羅生門」で成功を収めた黒澤明監督であることがわかり、彼らは俄然負けていられないとはりきる・・・のですが、やはりいつまでたっても終わりが見えてこないのです。
メンバーは主たる配役以外に全員女中としても登場しますが、同時にステージにいることができないことが笑いどころになっています。主役は大泉洋ですが、自分の恋愛感情と書いている脚本の内容が少しずつリンクしていくところが本題と言えそうです。そして相変わらず驚愕の演技を見せるのが安田顕で、今回は主演女優賞を差し上げたいくらいです。特に何か仕掛けでもあるのか疑いたくなる女声は驚くしかありません。
随所に黒澤監督に対するオマージュが散りばめられていますが、コミカルな場面としっとりした場面のバランスが良いのは脚本・演出の賜物。途中で全員で枕投げをするところで、ほとんど本気で投げ合っているのは、まさにTEAM NACSらしさ全開で嬉しくなりました。
2025年8月21日木曜日
がんばれ!TEAM NACS (2021)
結成25周年を迎えたTEAM NACSが記念プロジェクトとして、WOWWOW開局30周年とタッグを組んだ企画です。2021年6月に、1回30分全9回で連続ドラマとして放送され、9月には再編集された劇場版が映画としても公開されています。
2020年はコロナ禍の自粛期間中で、当然目立ったステージ活動は不可能でした。TEAM NACSが所属するOFFICE CUEのタレント総出の2年ごとのお祭り「CUE DREAM JAMBOREE」も2020年は中止になっています。しかし、25年目の爪痕を残したい彼らはまずはバラエティ仕立てのドラマという形でファンを喜ばせくれました。
25周年企画として音尾琢真がWOWWOWに売り込んだのは、彼が長年温めてきた「バック・トゥ・ザ・戦隊・フューチャーズ」でした。音尾が監督となり、ドクレッドに森崎博之、ドクブルーに大泉洋、ドクピンクに戸次重幸がキャスティングされ、吉田羊演じる女帝デロリアンとその部下である安田顕演じる馬糞男と戦うというストーリー。しかし、こだわり過ぎる音尾は、吉田羊には馬糞の泥の中に入らせようとします。
さらに、3人のヒーローには10m以上の高さの時計塔からロープを伝って滑り落ちるように指示します。3人はさすがに危険すぎるとごねるので、音尾は危険が無いことを証明するため自ら時計塔に上ってテストをすることにしますが、その結果顔から馬糞溜に落ちて音尾は怪我をしてしまい企画は頓挫するのです。
TEAM NACSはミーティングを行い、音尾案に代わる企画を考えるのですが、大泉は記念となる北海道を元気にする曲を作ってミュージック・ビデオを作ろうといい、戸次は新メンバーを募集するオーディションを行いたいと言い出します。
戸次の仕切るオーディションには、大黒摩季、コロッケ、タカアンドトシ、武田真治、菊地亜美などなどの有名人も参加し大喜利状態。結局、戸次好みのバストの大きな女性ばかり20人を合格させてしまいます。大泉は、瑛人、山口一郎(サカナクション)、そして細川たかしらに曲を依頼するものの、なかなか意図が伝わらず、結局自分で作るしかなくなります。
メンバーはそれぞれの意見を尊重したいものの、各人のわがままもエスカレートして、雰囲気はどんどん悪くなる一方です。ついにそれぞれが後に引けなくなり、解散するしか選択肢は無くなってしまうのです。リーダーの森崎はこの状況に苦悩するのでした。
何の予備知識無しに見ると、脚本が無いドキュメンタリーと思うような作りです。そして、メンバー同士の仲が悪くなっていくことを、本当に心配すること必至です。
これは逆に5人のメンバーのお互いのリスペクトがあるからこそできる内容で、彼らの仲の良さを逆手にとってキャラクターを前面に押し出している面白さがあります。
ただし作り込んだステージと比べれば、緊張感は少ない。純粋なバラエティと比べれば、突き抜けた感が足りない。TEAM NACSのコアなファンでないと、テレビ版だと270分は長いし、映画版で155分でも辛いかもしれません。
つまり、この作品を楽しむためには、TEAM NACSが大好き、あるいはメンバーの最低一人のファンである必要があります。それさえクリアできれば、そこそこ面白い。結成25周年を迎えても変わらない彼らの関係性がよくわかる作品になっています。記念プロジェクトはさらに続きます。
2020年はコロナ禍の自粛期間中で、当然目立ったステージ活動は不可能でした。TEAM NACSが所属するOFFICE CUEのタレント総出の2年ごとのお祭り「CUE DREAM JAMBOREE」も2020年は中止になっています。しかし、25年目の爪痕を残したい彼らはまずはバラエティ仕立てのドラマという形でファンを喜ばせくれました。
25周年企画として音尾琢真がWOWWOWに売り込んだのは、彼が長年温めてきた「バック・トゥ・ザ・戦隊・フューチャーズ」でした。音尾が監督となり、ドクレッドに森崎博之、ドクブルーに大泉洋、ドクピンクに戸次重幸がキャスティングされ、吉田羊演じる女帝デロリアンとその部下である安田顕演じる馬糞男と戦うというストーリー。しかし、こだわり過ぎる音尾は、吉田羊には馬糞の泥の中に入らせようとします。
さらに、3人のヒーローには10m以上の高さの時計塔からロープを伝って滑り落ちるように指示します。3人はさすがに危険すぎるとごねるので、音尾は危険が無いことを証明するため自ら時計塔に上ってテストをすることにしますが、その結果顔から馬糞溜に落ちて音尾は怪我をしてしまい企画は頓挫するのです。
TEAM NACSはミーティングを行い、音尾案に代わる企画を考えるのですが、大泉は記念となる北海道を元気にする曲を作ってミュージック・ビデオを作ろうといい、戸次は新メンバーを募集するオーディションを行いたいと言い出します。
戸次の仕切るオーディションには、大黒摩季、コロッケ、タカアンドトシ、武田真治、菊地亜美などなどの有名人も参加し大喜利状態。結局、戸次好みのバストの大きな女性ばかり20人を合格させてしまいます。大泉は、瑛人、山口一郎(サカナクション)、そして細川たかしらに曲を依頼するものの、なかなか意図が伝わらず、結局自分で作るしかなくなります。
メンバーはそれぞれの意見を尊重したいものの、各人のわがままもエスカレートして、雰囲気はどんどん悪くなる一方です。ついにそれぞれが後に引けなくなり、解散するしか選択肢は無くなってしまうのです。リーダーの森崎はこの状況に苦悩するのでした。
何の予備知識無しに見ると、脚本が無いドキュメンタリーと思うような作りです。そして、メンバー同士の仲が悪くなっていくことを、本当に心配すること必至です。
これは逆に5人のメンバーのお互いのリスペクトがあるからこそできる内容で、彼らの仲の良さを逆手にとってキャラクターを前面に押し出している面白さがあります。
ただし作り込んだステージと比べれば、緊張感は少ない。純粋なバラエティと比べれば、突き抜けた感が足りない。TEAM NACSのコアなファンでないと、テレビ版だと270分は長いし、映画版で155分でも辛いかもしれません。
つまり、この作品を楽しむためには、TEAM NACSが大好き、あるいはメンバーの最低一人のファンである必要があります。それさえクリアできれば、そこそこ面白い。結成25周年を迎えても変わらない彼らの関係性がよくわかる作品になっています。記念プロジェクトはさらに続きます。
2025年8月20日水曜日
2025年8月19日火曜日
PARAMUSHIR〜信じ続けた士魂の旗を掲げて (2018)
昭和20年8月15日、日本は降伏し戦争は終結・・・していなかった。この事実は、ほとんど語られることがありません。しかし、その結果として、いわゆる「北方領土問題」が生じたことについては、自分を含めて多くの日本人が問題の根源については理解不足かもしれません。
1945年4月、当時のソビエト連邦は「日ソ中立条約」を一方的に破棄し、8月8日に日本への宣戦布告をしました。これは日本の敗戦が濃厚になったことで、自国の領土獲得を狙ったものであることは明らかでした。まず満州から樺太に侵攻したソ連軍は、8月14日の「ポツダム宣言」受諾後も攻撃を続け、8月18日にはカムチャッカ半島に最も近い占守島(しゅむしゅとう)に上陸し、日本守備隊と交戦しました。その後もその隣の幌筵島(ぱらむしるとう)から千島列島を南下し、択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島までを9月5日までに占領したのです。
TEAM NACSのリーダー、森崎博之は「HONOR〜守り続けた痛みと共に(2007)」の事前調査中に、旧日本軍の戦車「チハ」の写真を見つけたことから、今回の原案を掘り起こしました。TEAM NACSの舞台としては、初めてまだまだ歴史という記録の中に埋もれていないはずの、人々の中に記憶が残る題材が用いられました。太平洋戦争の中でも最終局面に突如始まったソ連侵攻による北海道割譲危機は、北海道出身で北海道で育ったメンバーにだからこそ伝えたいメッセージとなりました。
今回は脚本は重鎮、林民夫に依頼され、演出は森崎博之が担当しました。ここで語られる占守島・幌筵島における戦闘は、通常取り上げられる戦争とは意味合いが全く違っていました。大多数の戦争物は「お国のために」、「天皇陛下」のために命を捨てる覚悟で戦い、玉音放送によって終了します。しかし、この戦いは玉音放送から始まり、戦う大義を失ったにも関わらずもう一度戦わなければならなくなった兵士たちが、何のために戦えばいいのか、何のために命をかければいいのかを探ることになるのです。
軍人一家の落ちこぼれの小宮勝四郎少尉(森崎博之)は、何とか家名を残せという重圧の中で、実戦経験を伴わない空回りをしています。人間味豊かな水島哲軍曹(大泉洋)は、戦争が終わったと聞いて家族の元に帰りたい。本土の空襲で家族を亡くし戦う意味を失った桜庭仁平上等兵(安田顕)は、幌筵島の勤労女子たちが避難できるまで何としてでも防衛線を死守すると決意します。
こどもが産まれたばかりの若い田中誠二等兵は、戦闘は怖くて仕方がないが、家族と再会するためには戦わなければならないと決心します。そして、臆病だった自分を責める死んだ仲間の亡霊に悩まされる矢野正三整備兵(音尾琢真)は、戦車チハを通してかつての仲間への贖罪としたいのです。
彼ら5人はソ連侵攻による混乱の中で、たまたま出会い、一時の休息の中でお互いを語り合うことで、最初はバカにされていた小宮はしだいに認められるようになります。水島は戦わなければならない気持ちと家族の元に帰りたい気持ちの間で揺れ動くのですが、ついに桜庭の決意に同意し、帰るためにはまず戦うという選択をするのです。
今回の公演では若手俳優たちが15人客演しました。5人だけでも演じれるかもしれませんが、戦闘場面がある以上、舞台で大きな迫力を見せるために大人数は効果的です。またそのうち3人は女性で、桜庭の決意に説得力を出しています。また最終局面で戦闘により一人一人が倒れていく4分間にも及ぶ台詞の無い異例のシーンは、女性3人の合唱が入ることで見る者の心を大きく揺さぶるのです。
今回の主役はおそらく桜庭を演じた安田顕だと思いますが、エピローグ・シーンでは役者としての天才をいかんなく発揮して大注目です。外部の脚本ではギャグは少なくなり、また今回のテーマが大変重たいため笑いどころはほとんどありませんが、主として森崎と戸次が台詞の端々にときどき小ネタを挟み込んでいて、全体の雰囲気を崩さない程度に息抜きの間も用意されています。
いつも数か月間で60回近い公演を行う彼らの健康面の強靭さに驚くと書いたばかりでしたが、実は今回はかなり苦労があったようです。1か月弱の短めの稽古期間中に音尾とアンサンブルキャスト数人がインフルエンザに罹患してしまいました。また大雪により稽古を切り上げざるをえなかった日もありました。森崎と戸次はプチぎっくり腰です。
中でも一番大きかったのは、初日1週間前に大泉が右ふくらはぎの肉離れを起こしたこと。あの大泉洋が完全に笑いを忘れる事件で、普通に動けるには3週間程度かかるところを、何とか初日に間に合わせたことには敬意を表します。
結成時20~25歳だったメンバーも、この公演では42~47歳。加齢による衰えは隠せないのでしょうが、その分いろいろなテクニックは身につけ、いまだに新しいものに挑戦している姿勢は素晴らしい。一つ終わっても、また次という具合に期待が膨らみます。
1945年4月、当時のソビエト連邦は「日ソ中立条約」を一方的に破棄し、8月8日に日本への宣戦布告をしました。これは日本の敗戦が濃厚になったことで、自国の領土獲得を狙ったものであることは明らかでした。まず満州から樺太に侵攻したソ連軍は、8月14日の「ポツダム宣言」受諾後も攻撃を続け、8月18日にはカムチャッカ半島に最も近い占守島(しゅむしゅとう)に上陸し、日本守備隊と交戦しました。その後もその隣の幌筵島(ぱらむしるとう)から千島列島を南下し、択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島までを9月5日までに占領したのです。
TEAM NACSのリーダー、森崎博之は「HONOR〜守り続けた痛みと共に(2007)」の事前調査中に、旧日本軍の戦車「チハ」の写真を見つけたことから、今回の原案を掘り起こしました。TEAM NACSの舞台としては、初めてまだまだ歴史という記録の中に埋もれていないはずの、人々の中に記憶が残る題材が用いられました。太平洋戦争の中でも最終局面に突如始まったソ連侵攻による北海道割譲危機は、北海道出身で北海道で育ったメンバーにだからこそ伝えたいメッセージとなりました。
今回は脚本は重鎮、林民夫に依頼され、演出は森崎博之が担当しました。ここで語られる占守島・幌筵島における戦闘は、通常取り上げられる戦争とは意味合いが全く違っていました。大多数の戦争物は「お国のために」、「天皇陛下」のために命を捨てる覚悟で戦い、玉音放送によって終了します。しかし、この戦いは玉音放送から始まり、戦う大義を失ったにも関わらずもう一度戦わなければならなくなった兵士たちが、何のために戦えばいいのか、何のために命をかければいいのかを探ることになるのです。
軍人一家の落ちこぼれの小宮勝四郎少尉(森崎博之)は、何とか家名を残せという重圧の中で、実戦経験を伴わない空回りをしています。人間味豊かな水島哲軍曹(大泉洋)は、戦争が終わったと聞いて家族の元に帰りたい。本土の空襲で家族を亡くし戦う意味を失った桜庭仁平上等兵(安田顕)は、幌筵島の勤労女子たちが避難できるまで何としてでも防衛線を死守すると決意します。
こどもが産まれたばかりの若い田中誠二等兵は、戦闘は怖くて仕方がないが、家族と再会するためには戦わなければならないと決心します。そして、臆病だった自分を責める死んだ仲間の亡霊に悩まされる矢野正三整備兵(音尾琢真)は、戦車チハを通してかつての仲間への贖罪としたいのです。
彼ら5人はソ連侵攻による混乱の中で、たまたま出会い、一時の休息の中でお互いを語り合うことで、最初はバカにされていた小宮はしだいに認められるようになります。水島は戦わなければならない気持ちと家族の元に帰りたい気持ちの間で揺れ動くのですが、ついに桜庭の決意に同意し、帰るためにはまず戦うという選択をするのです。
今回の公演では若手俳優たちが15人客演しました。5人だけでも演じれるかもしれませんが、戦闘場面がある以上、舞台で大きな迫力を見せるために大人数は効果的です。またそのうち3人は女性で、桜庭の決意に説得力を出しています。また最終局面で戦闘により一人一人が倒れていく4分間にも及ぶ台詞の無い異例のシーンは、女性3人の合唱が入ることで見る者の心を大きく揺さぶるのです。
今回の主役はおそらく桜庭を演じた安田顕だと思いますが、エピローグ・シーンでは役者としての天才をいかんなく発揮して大注目です。外部の脚本ではギャグは少なくなり、また今回のテーマが大変重たいため笑いどころはほとんどありませんが、主として森崎と戸次が台詞の端々にときどき小ネタを挟み込んでいて、全体の雰囲気を崩さない程度に息抜きの間も用意されています。
いつも数か月間で60回近い公演を行う彼らの健康面の強靭さに驚くと書いたばかりでしたが、実は今回はかなり苦労があったようです。1か月弱の短めの稽古期間中に音尾とアンサンブルキャスト数人がインフルエンザに罹患してしまいました。また大雪により稽古を切り上げざるをえなかった日もありました。森崎と戸次はプチぎっくり腰です。
中でも一番大きかったのは、初日1週間前に大泉が右ふくらはぎの肉離れを起こしたこと。あの大泉洋が完全に笑いを忘れる事件で、普通に動けるには3週間程度かかるところを、何とか初日に間に合わせたことには敬意を表します。
結成時20~25歳だったメンバーも、この公演では42~47歳。加齢による衰えは隠せないのでしょうが、その分いろいろなテクニックは身につけ、いまだに新しいものに挑戦している姿勢は素晴らしい。一つ終わっても、また次という具合に期待が膨らみます。
2025年8月18日月曜日
悪童 (2015)
TEAM NACSにとっては、第15回となる本公演。
それにしても気がついたのは、「COMPOSER ~響き続ける旋律の調べ (2005)」以降は全国を回って「ツアー」をしていて、数年ごとに約60ステージをこなしているわけですが、誰も病気したり怪我して休むことが無いというのが凄い。基本的に5人という少ない人数の演劇集団で、しかも一人で何役もこなしたりするので、一人欠けたら休演するしかありません。
今回の「悪童」では、TEAM NACSはまた新たな挑戦をしています。前作「WARRIOR~唄い続ける侍ロマン(2012)」では、原案はリーダー森崎ですが、初めて外部の脚本家を入れました。そして、今作では脚本は映画「探偵はBARにいる」シリーズ、テレビ「リーガルハイ」、「コンフィデンスマンJP」などで大人気の古沢良太にオリジナル脚本を依頼、さらに演出は俳優としても活躍しているマギーに依頼しました。
マギーはTEAM NACSに先駆けて6人組の演劇ユニット、ジョビジョバを主宰しており、学生だったTEAM NACSメンバーも憧れる存在だったようです。完全に外部の脚本・演出を入れたことで、メンバーの負担が軽減し、演技に集中できたことは大きい。また演技を客観的に指導されることも、彼らの新しい魅力を引き出すことに役立ったようです。
今や廃墟となり明日から取り壊しが決まっているレジャー施設、竜宮に吉村雄太郎、通称チャック(戸次重幸)が立てこもりました。中学校の卓球部でチャックと仲間だった市役所職員の西崎直樹、通称ニシ(音尾琢真)は説得するため廃墟に入りましたが、チャックは部長の紺野治、通称コンちゃん(森崎博之)、幽霊部員だった江口幸一、通称エロっち(大泉洋)、副部長の巻光博(安田顕)、そして転校してしまった左和哉、通称とん平を連れてこいと言うのでした。
チャックはとん平以外の集まった4人に理由を説明します。皆、この竜宮で楽しそうに遊んでいたが、存在感の薄い自分は母親からも禁止されていたため来たことが無い。卒業したら皆で一緒に遊びに来ると約束してくれたがいまだにその約束が果たされていない。自分は病気になって明日をも知らぬ体なので、今日はあの時の約束を守って、一緒に遊んでもらいたいというのでした。
皆がそんなことに付き合えるかと言い出すのですが、チャックは誰だってやりたかったことがあるはずだと言うので、一人一人が当時を思い出していくのです。そして、コンちゃんの口から、とん平が転校したのは飛び降り自殺未遂のせいだったことが語られます。コンちゃんは、病院で飛び降りた原因は卓球部の仲間のせいだけど、それが誰かは詮索しないでほしいと言われたというのです。
話をしていくうちに、それぞれの悪行が明らかになっていきます。とん平からお金を巻き上げていたエロっち、ゲームでからかっていたチャック、ごみクズと呼んで厳しく当たっていた巻、それを見て見ぬふりをしていたコンちゃん、そして幼馴染だったとん平をそんな過酷な環境に仲間入りさせてしまったニシ。話しているうちに、全員がとん平が辛い思いをする原因を持っていることがわかるのです。
一人一役で、それぞれのキャラクターを作り上げていく会話劇というスタイルは、TEAM NACSとしては初めての試みです。セルフ・プロデュースではないのでギャグは少な目なので、TEAM NACSらしさが物足りないと感じるかもしれませんが、トータルとしての面白さは彼らならではのものだと思います。
しだいに見えてくる事柄が真実なのか否かという、ある種のサスペンスがとても面白い。このあたりのパズルは、さすがの古沢良太の面目躍如というところでしょう。古沢も「スタンド・バイ・ミー」のように事件が起こっても結局たいしたことではなかったというスタイルを目指したそうで、ちょっとしたことが小さなどんでん返しを何度も起こすうちに大きな山崩れになりそうな一歩手前で大どんでん返しをします。
いずれにしても、結成して20年近くなろうという彼らの、いまだに新しい一面を見ることができることは興味深い。また、年月がたったからこそ、それを可能としている彼らの貪欲さには驚かされる。5人だからこそできる、5人でないとできない芝居はまだまだ尽きることはなさそうです。
ちなみに、「CUE DREAM JAMBOREE 2016」では、大泉洋脚本による「悪童 Episode 0」が演じられています。登場人物の中学校時代、本公演で語られた卓球部員だった時の「思い出」を中心としたストーリーと立て籠もり事件から5年後を組み合わせた内容です。ただし、これはあくまでもお遊びなので、見ないと困るというほどのものではありません。
それにしても気がついたのは、「COMPOSER ~響き続ける旋律の調べ (2005)」以降は全国を回って「ツアー」をしていて、数年ごとに約60ステージをこなしているわけですが、誰も病気したり怪我して休むことが無いというのが凄い。基本的に5人という少ない人数の演劇集団で、しかも一人で何役もこなしたりするので、一人欠けたら休演するしかありません。
今回の「悪童」では、TEAM NACSはまた新たな挑戦をしています。前作「WARRIOR~唄い続ける侍ロマン(2012)」では、原案はリーダー森崎ですが、初めて外部の脚本家を入れました。そして、今作では脚本は映画「探偵はBARにいる」シリーズ、テレビ「リーガルハイ」、「コンフィデンスマンJP」などで大人気の古沢良太にオリジナル脚本を依頼、さらに演出は俳優としても活躍しているマギーに依頼しました。
マギーはTEAM NACSに先駆けて6人組の演劇ユニット、ジョビジョバを主宰しており、学生だったTEAM NACSメンバーも憧れる存在だったようです。完全に外部の脚本・演出を入れたことで、メンバーの負担が軽減し、演技に集中できたことは大きい。また演技を客観的に指導されることも、彼らの新しい魅力を引き出すことに役立ったようです。
今や廃墟となり明日から取り壊しが決まっているレジャー施設、竜宮に吉村雄太郎、通称チャック(戸次重幸)が立てこもりました。中学校の卓球部でチャックと仲間だった市役所職員の西崎直樹、通称ニシ(音尾琢真)は説得するため廃墟に入りましたが、チャックは部長の紺野治、通称コンちゃん(森崎博之)、幽霊部員だった江口幸一、通称エロっち(大泉洋)、副部長の巻光博(安田顕)、そして転校してしまった左和哉、通称とん平を連れてこいと言うのでした。
チャックはとん平以外の集まった4人に理由を説明します。皆、この竜宮で楽しそうに遊んでいたが、存在感の薄い自分は母親からも禁止されていたため来たことが無い。卒業したら皆で一緒に遊びに来ると約束してくれたがいまだにその約束が果たされていない。自分は病気になって明日をも知らぬ体なので、今日はあの時の約束を守って、一緒に遊んでもらいたいというのでした。
皆がそんなことに付き合えるかと言い出すのですが、チャックは誰だってやりたかったことがあるはずだと言うので、一人一人が当時を思い出していくのです。そして、コンちゃんの口から、とん平が転校したのは飛び降り自殺未遂のせいだったことが語られます。コンちゃんは、病院で飛び降りた原因は卓球部の仲間のせいだけど、それが誰かは詮索しないでほしいと言われたというのです。
話をしていくうちに、それぞれの悪行が明らかになっていきます。とん平からお金を巻き上げていたエロっち、ゲームでからかっていたチャック、ごみクズと呼んで厳しく当たっていた巻、それを見て見ぬふりをしていたコンちゃん、そして幼馴染だったとん平をそんな過酷な環境に仲間入りさせてしまったニシ。話しているうちに、全員がとん平が辛い思いをする原因を持っていることがわかるのです。
一人一役で、それぞれのキャラクターを作り上げていく会話劇というスタイルは、TEAM NACSとしては初めての試みです。セルフ・プロデュースではないのでギャグは少な目なので、TEAM NACSらしさが物足りないと感じるかもしれませんが、トータルとしての面白さは彼らならではのものだと思います。
しだいに見えてくる事柄が真実なのか否かという、ある種のサスペンスがとても面白い。このあたりのパズルは、さすがの古沢良太の面目躍如というところでしょう。古沢も「スタンド・バイ・ミー」のように事件が起こっても結局たいしたことではなかったというスタイルを目指したそうで、ちょっとしたことが小さなどんでん返しを何度も起こすうちに大きな山崩れになりそうな一歩手前で大どんでん返しをします。
いずれにしても、結成して20年近くなろうという彼らの、いまだに新しい一面を見ることができることは興味深い。また、年月がたったからこそ、それを可能としている彼らの貪欲さには驚かされる。5人だからこそできる、5人でないとできない芝居はまだまだ尽きることはなさそうです。
ちなみに、「CUE DREAM JAMBOREE 2016」では、大泉洋脚本による「悪童 Episode 0」が演じられています。登場人物の中学校時代、本公演で語られた卓球部員だった時の「思い出」を中心としたストーリーと立て籠もり事件から5年後を組み合わせた内容です。ただし、これはあくまでもお遊びなので、見ないと困るというほどのものではありません。
登録:
投稿 (Atom)