実は大泉には「前科」がある。2003年に所属しているCREATIVE OFFICE CUEの社長、鈴井貴之の企画する北海道テレビの「ドラバラ鈴井の巣」で、大泉の原案・脚本の「山田家の人々」というドラマが作られたとき、ギリギリを超えても仕上がらない大泉の脚本で大迷惑をかけたのです。
今回も心配されたことだと思いますが、とりあえず間に合いました。ただし、稽古が始まるとチーム内で意見がぶつかることが増え、大泉は一時は脱退も考えたりしたようです。
大泉は五人が揃うことを客が喜んでくれるのなら、いっそのこと皆が兄弟だと面白いと思ったというところから始めました。森崎作品と比べると、さすがにコメディ色が強くなっていますが、家族をテーマにして今まで以上にチームとしての結束力を高めた作品になっています。
下新井家は男5人兄弟で、長男が大造(森崎博之)、次男が大洋(音尾琢真)、三男が剛助(安田顕)、四男が健二(大泉洋)、そして五男が修一(戸次重幸)です。20年前に高校生だった大洋は父親と喧嘩して飛び出してから音信不通。修一はそのころからずっと引きこもり生活。10年前に父が亡くなり、以後大造が父のギター教室を引き継いでいますが、生活は楽ではありません。
物語は父親の法事のために、妻の加代(戸次)を伴った剛助が家に戻ってきました。剛助は、高額な借金返済のため、加代にたきつけられ大造を説得して家を売りたいと考えていました。剛助は、おくてで独身の大造に加代の知り合いの女性を紹介して家を売るように仕向けるつもりなのです。
一方、同じく久しぶり戻ってきた修一は、婚約者の城ケ崎郁代(音尾)を大造に合わせようとしていました。家中に盗聴器を仕掛けて家族の動向をすべて把握していたのが健二で、これらの裏話を聴いた健二は、大造に修二が見合い相手を連れてくると嘘をつきます。
郁代が見合い相手だと勘違いした大造は舞い上がってしまいますが、修二に間違いを指摘され意気消沈して部屋に引っ込んでしまいました。剛助が加代の友人、鬼塚藍(森崎)を連れてきますが、そこへ突然にやくざ風の大洋が姿を現します。
全員が大騒ぎになっていると、大造が今日はもう気分が悪いと言って今日は帰ってくださいと言い、兄弟5人を残してその場はいったん落ち着きます。大造は何しに戻ってきたと大洋を問い詰めますが、大洋はのらりくらりとちゃんと答えようとはしません。そして、突然家に2発の銃弾が撃ち込まれるのです。
何か、こうやってあらすじを抜き出していると支離滅裂なドタバタのような感じがしますが、その奇想天外な設定の中でちゃんとすじが通っているところが、大泉の天才というところなんでしょうか。それにしても開幕と同時に登場する安田顕は、さらなる天才ぶりを発揮しています。これは見るしかないアイデアで、一気に舞台にくぎ付けになること間違いない。
大洋が現れて大騒ぎになるとき、舞台には鬼塚に扮する森崎がいるわけで、当分大造の森崎は出てこないとたかをくくっていたら、なんととんでもない方法で登場するところもこれまでのTEAM NACSには無い手法です。
今回も一幕の舞台ですが、これまでの比較的抽象的なセットではなく、よくある家のリビングが主体となっていて、ある意味往年のドリフターズのコントのような舞台になっています(まさにドリフと言いたくなる場面もありますが)。これらは彼らの進歩というよりは、TEAM NACSが今まで見せなかった別の面という感じがします。
ストーリーはこの後、なぜ大洋が家を出たのかという理由が判明し、家族とは何だろうというテーマが語られていくわけですが、ちゃんと誰もが納得できる着地点を用意してあることはさすがと言えます。
大洋が現れて大騒ぎになるとき、舞台には鬼塚に扮する森崎がいるわけで、当分大造の森崎は出てこないとたかをくくっていたら、なんととんでもない方法で登場するところもこれまでのTEAM NACSには無い手法です。
今回も一幕の舞台ですが、これまでの比較的抽象的なセットではなく、よくある家のリビングが主体となっていて、ある意味往年のドリフターズのコントのような舞台になっています(まさにドリフと言いたくなる場面もありますが)。これらは彼らの進歩というよりは、TEAM NACSが今まで見せなかった別の面という感じがします。
ストーリーはこの後、なぜ大洋が家を出たのかという理由が判明し、家族とは何だろうというテーマが語られていくわけですが、ちゃんと誰もが納得できる着地点を用意してあることはさすがと言えます。