2009年4月30日木曜日

情報の整理整豚 part 2

4月29日はドイツ、オーストリアで感染者が確認されました。そしてアメリカで初の死者が出たというのがね大きなニュースになりました。ただし、これはメキシコから来た乳児だそうです。そのメキシコの死者数は159人で、やや鈍った感はありますが、まだまだ安心できません。たぶん治療体制がだいぶ整ったということでしょう。

いまだにメキシコに圧倒的な死亡例の原因はわかっていませんが、保険制度の関係でかなり重篤になってからしか受診しないという事情が取りざたされています。

さて4月30日、今朝WHOは警戒レベルの引き上げを発表し、フェーズ5が宣言されました。もう後がありません。つぎはパンデミックです。

このGWで仕事に行かないですむことで人の動きが減るか、レジャーで大移動するかが日本の感染の大きなキーになりそうです。怖いのは豚ではありません。本当に怖いのは人間です。

初期感染は弱毒かもしれませんが、人から人への感染を起こしていくうちに強毒に変異していく可能性が指摘されています。

やはり、あまり楽観的に考えず慎重な行動が望まれるという状況だということです。

2009年4月29日水曜日

Brahms Complete Works

クラシック音楽デフレも相当な物で、だから自分のような者には助かるわけです。

もともと名盤とか言われていた演奏が廉価盤専門レーベルにライセンス供与されて限定枚数で安くなるのは当たり前。ところが、クラシック音楽のレーベルとしては老舗で、現在でも最強のグラモフォンが自らの廉価盤を出すと、そこには"超"のつく名盤が目白押しですから、注目度は俄然高くなります。

そんなわけで、突然売り出されたのがこれ、ブラームスの大全集。もっとも、完全な全集ではなく、多少ははしょってありますが、ブラームスのほぼ全てがこの1セットで揃ってしまうと言えます。自分のようにブラームスが大好きというほどではない者にはちょうどいい。

クラシックの3Bといえば、バッハ(J.S.Bach)、ベートーヴェン(Beethoven)、そしてブラームス(Brahms)となるわけですが、ブラームスはよく難しいと言われ、モーツアルトのような取っつきやすくがなく、ごつごつした無骨な玄人好みという印象があります。

実際、自分もあまり好みとは言えなかったので、値段に引かれたオピッツのピアノ独奏曲全集の1セットしか持っていませんでした。室内楽のセットも幾度となく探してみましたが、どうしても購入する決断がつかずにここまできていたのです。

ところがこのセットはCD46枚組というのに13,010円。HMVのマルチバイを利用すれば、なんと8,457円という驚きの価格で購入できます。しかもポイントも考慮すると、さらに840円値引きして実質7617円です。1枚当たり166円という、100円ショップも驚く値段。

これでカラヤンの交響曲全集、ポリーニのピアノ協奏曲、ムターのバイオリン協奏曲、アバドのセレナーデ、アマデウス四重奏団の室内楽いろいろ、ケンプらのピアノ曲など、簡単に揃ってしまいます。フィッシャー=ディースカウを中心にした歌曲物も18枚にわたって収録されているという、いたれりつくせりのセットなのです。

ほんとかどうか完全限定となっている以上、自分のようにもともとほとんどブラームスを持っていない者としては有無を言わさず買わざるを得ない。

あ~、また聴く時間も無いのにこんなものを買ってといわれてしまいそうです(誰に?)が、現在唯一の道楽なもんで許してください。ハイドンの交響曲を聴き終わって、何とか6月中には聴き始めたいと思うわけです。

情報の整理整豚

最初の日本でのニュースは4月24日、米疾病対策センターが豚インフルエンザに感染した患者が全米で7人見つかったと発表したわけです。この時点では豚と鳥のインフルエンザが豚の体内で混合して変異し、ヒトに感染するようになった新型インフルエンザと推定されていました。また毒性は弱く患者は回復しており、重大な懸念は無いとも伝えられていました。

翌25日になって、世界保健機関(WHO)がメキシコで3月末からインフルエンザによる60人の死亡があり、豚インフルエンザの疑いがあることを発表しました。さらに同日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と認定しメキシコ(死者81名)とアメリカでの感染拡大も公表され、かぜん危機感が強まったのです。

4月26日には、メキシコとアメリカで非常事態宣言。WHOはメキシコとアメリカの患者から検出されたウイルスがH1N1型の新型インフルエンザであると確定しました。メキシコの死者数は103人に増加。さらにカナダ、ニュージーランドでも感染が確認されました。このあたりから、経済界へもさまざまな影響が出始めています。

4月27日にはスペイン、イギリスでの感染が確認され、メキシコの死者数は149人とさらに拡大しました。半年後を目標にワクチンの製造が開始されたと発表され、WHOは2005年に制定された新型インフルエンザの感染拡大に対する警戒フェーズを初めて、引き上げる可能性を示唆しています。

そして実際に翌4月28日早朝にWHOが緊急委員会の結果を受けて、警戒レベルをフェーズ3からフェーズ4への引き上げを発表しました。WHOの警戒レベルの定義では、フェーズ3は新型インフルエンザの人への感染が確認された段階、フェーズ4は地域社会での人から人への感染、フェーズ5はある地域における少なくとも2カ国での人から人への感染、フェーズ6は2地域以上の世界的な感染拡大(パンデミック)を意味します。

日本でも比較的迅速に国は反応して、WHOの発表から間髪をあけずに厚労相が会見を行い、事態をメディアを通じて報告。昼には総理大臣を本部長とする対策会議を招集しました。感染地域への渡航延期を勧告、また感染地域からの入国者に対する検疫体制を強化しました。メキシコでの死者数は152人となっています。

4月29日朝の時点では、イスラエル、コスタリカでも感染確認、韓国でも疑い症例が報告されています。感染が確認された、または疑われる地域は23カ国に上っています。そしてWHOはさらにフェーズ5への引き上げの可能性にも言及しました。

ここまでの感染の拡大は大変早く、世界の人の移動の広域化・高速化が想像以上に進んでいることを意味していると考えられます。それに対する、対策の推進も現状では劣っているわけではありません。比較的素早い対応が行われているものと考えられますが、対策が始まるまでに感染した人がどの程度いるかが問題です。

早ければ、日本でGW開けまでに沈静化のめどが見えてくるのではないかと思えます。しかし、その時点でも感染の拡大傾向が続く場合には、最悪ワクチンが出回るまで流行が継続する可能性があります。実際に日本国内で発生してしまった場合には、そこからの体制についてはまだ準備不足であることは否めません。

ただ、楽観的に考えられるのは、現時点ではメキシコ以外に死者がでていないこと。メキシコだけに死者が集中している理由についてはWHOも理由は不明としていますが、ウイルス自体の毒性は比較的強くないと考えられます。またメキシコに比べて、この時期日本は湿度がありますので、真冬のような通常の流行にはなりにくいのではないかと考えることができます。

2009年4月28日火曜日

豚は飛ばない

ですから、先週メキシコで数人の死者が出ているとの報道があった後、適切な報道が続いていれば、多くの日本人はメキシコなどへの渡航を控えたかもしれませんね。

ところが、日本のニュースは芸能人の酔っぱらい事件の話でもちきり。あのNHKでさえ、9時のニュースで会見生放送のエスカレートぶり。気がついたときには、世界のあちこちに広がっているという、何とも情けない状況。

ついにWHOが新型インフルエンザのフェーズ4を宣言。今日のテレビは、いろいろなあおるようなキーワードを使いまくっていました。もう、一部の人はゴールデンウィークが始まっているわけで、外国に出かけていった方々は少なくないでしょう。

それはさておき、豚は飛ばない・・・ですよ。鳥インフルエンザの怖いのは、鳥が飛んで移動してしまうことで、いきなり遠隔地でも流行する可能性があることでしょう。豚じたいはそんなに勝手な行動はしません。怖いのは、むしろ人間。

新型インフルエンザは一般には鳥インフルエンザの変異として考えられていて、昨年から医師会でも近くの大きな病院と何度も協議を重ねていました。災害担当の仕事をしていると、多少は関係してくるので、以前に自分もブログに書いたこともあります。

実際、豚インフルエンザというのはまったくNo Careであったことは否定できません。近い将来に発生することが想像されていたことではあるにしても、豚というのは驚きですし、現実に起こってみると、いろいろな対策の遅れは否めない。

幸いなことは、繰り返しますが・・・豚は飛ばない、ということです。しっかりとした水際作戦が行われれば、かなりのウィルス拡散を防止できると考えられます。また、メキシコでは死者が出ている物の、他の国ではまだないようです。これは医療事情がだいぶ違うことが言われています。

いずれにしても、いろいろな乱れ飛ぶ情報に翻弄されてパニックにならないこと。特にメディアは、慎重に冷静に、そして客観的に報道に徹することを望みます。

2009年4月27日月曜日

リウマチ新薬の副作用

関節リウマチの治療薬の中で生物学的製剤と呼ばれる物が、しだいに主流になりつつあるわけですが、昨年発売になったのは2種類、ヒュミラアクテムラです。

5年ほどまえから、関節リウマチの新薬は発売になったあとも、全例登録という制度があり、使用した場合は副作用や効果の情報を報告する義務があります。

医者にとってはたいへんめんどうな報告書を出さないと行けないのですが、おかげで実際に使用されるようになってわかるいろいろな問題点が明確になり、使う医者にとっても使われる患者さんにとっても大変意義のあるものとなっています。

発売後半年の報告が出そろって、だいたい新薬の問題点なども見え始めてきました。

ヒュミラは2001例に使用され、有害事象の発現件数は451件で、このうち重篤な物が59件、死亡例はありませんでした。これらのうち薬との因果関係があると考えられる物は、そう多くないと思われますが、それを証明することは大変難しい。

重篤な物は肺炎と帯状疱疹が主な物で、肺炎は細菌によるものですし、帯状疱疹はウィルスによるものですから、感染症が最も重大ということになります。これは、薬の性質上予想されたことであり、医者もこのへんの対応策も十分に考えていないといけないことをあらためて確認できました。

ヒュミラは先行する他の生物学的製剤と薬理作用のターゲットは一緒で、2週間に1度皮下注射で使用するものです。それに対して、アクテムラは他のものとはターゲットが異なり、他の薬に効果の少ない患者さんへの有効性が期待できる反面、まだどのような問題が起こってくるか不明な点が多いわけです。

新聞報道でも死亡例の話が出たりしていて、正確な情報の把握が重要になっています。アクテムラは4182例に使用され、副作用の発現は1208件、このうち重篤な物は204件となっています。

死亡例はこれまでに22例報告かあり、そのうち薬との因果関係が否定できない報告されている物が13例でした。

ヒュミラに比べると問題の発生頻度が高いことがわかります。特に死亡例があることは大変重要です。これは、もともと他の薬が効かない重症度高い方に比較的使用されたということがベースにあると考えられます。

内容としてはヒュミラと同じで感染症が圧倒的に多いのは、薬の性質として当然ですが、比較的肝機能障害を起こしていることも見過ごせません。これも薬理作用からくるのではないかと想像します。

関節リウマチの診断・治療はもの凄い早さで進歩している分野で、生物学的製剤の登場は患者さんにとって多くの福音をもたらしてくれるようになっていますが、これらの薬を安全に使うためには医者のより一層の努力と患者さんの理解が不可欠です。

2009年4月26日日曜日

Dorati / Haydn Complete Symphonies

再三書いているように、自分はクラシックの中でも、どうも大がかりなオーケストラ作品はあまり好きではない。交響曲はその代表みたいなもので、どんなにベートーヴェンのピアノ・ソナタが好きでも、交響曲なら年に1回第九を聴けば十分なのです。

たぶん、ジャズなら最高な管楽器のキンキンした音が嫌なのかもしれません。もしかしたら、音量の変化がありすぎて耳がついて行かないのかも。たぶん音圧に疲れてしまうこともあるんでしょう。

ただし、ハイドンとモーツァルトの交響曲は別。ハイドンは交響曲の父みたいに言われますが、この2人の交響曲は、まだベートーヴェンのような「大作」というような完成度はなく、どちらかというと室内楽、あるいはちょっと編成の大きめのサロン・ミュージックという感じ。かなりお気楽に楽しむことができ、BGM的にも悪くない。

モーツァルトは50曲あまりの交響曲をのこし、これを全部聴くだけでもけっこう大変です。ところがハイドンは、なんと100曲を超えるといから驚きです。ですから、そんな一杯ある交響曲を一生懸命演奏しようなんて思う演奏家はほとんどいなかった。

現時点でも、副題のついたいくつかの有名なものはしばしば演奏されていますが、それは膨大な数の中からするとごくわずか。ほとんどは、最後の方の「驚愕」「軍隊」「時計」くらいでしょうか。

実際、自分も後半の交響曲のセットを3つ持っていますが、そうなってくると全部聴いてみたいと思うのは当然のこと。ところが、実際探してみると選択しは二つしかありません。HMVで探してみると、1987~2001年に録音されたフイッシャーの全集が、安くて有名なBrilliantから出ていて、CD33枚でおおよそ1万円という値段を考えればオンリーワンと思われます。

もう一つの選択肢が、その100数曲もあるすべての交響曲を初めて録音に遺したアンタル・ドラティです。1969~1972年にかけて、断片的なものも含めて全集を完成しました。当時はまだ古楽という考え方は無かったので、時代楽器などにこだわることはありませんが、曲としてのアンサンブルに重点をおいてハイドンの個性をしっかりと描き出されたものとして評価が高い。

ところが、もともと初発当時も大変高価なものだったわけですが、CDとなっても数万円するわけでちょっと買うには怖じ気づいてしまいます。じゃあ、フィッシャーにするかというと、ユーザーレヴューをくまなく読んでいて気になるのが音。ノイズがけっこうあるらしいし、宮殿の広間での録音で残響がけっこうあるようなのです。コンサートならともかく、録音として聴く場合には音の分離がしっかりしている方が好きなので、なかなか決断できないでいました。

ところが昨年末になってドラティの全集が廉価盤になって限定発売されるということがわかって、ほとんど躊躇無く予約してしまいました。しかも、値段は7000円を切るという破格の安さです。

1月末に手元に届き、HMVではすぐに販売終了となっていたので、待ち望んでいた人が多かったんでしょう。最近は別ルートから再入荷しており、まだ手に入れることができるようです。それにしても、さすがに膨大な量ですから、なかなか聴くには気合いがいります。

少しずつパソコンにMP3で落として聴いていますが、やっと30番くらいまできました。初期の作品は、曲としての完成度というと多少難はあるかもしれませんが、とにかく楽しく聴ける。ヴィバルディの協奏曲を「偉大なるワンパターン」と言うのと通じるところがありますが、これだけ楽しませてくれるなら文句の一つもありません。

2009年4月25日土曜日

くさなぎ君

今週の最も大きなニュースだったSMAPのくさなぎ君の逮捕。特別にファンというわけではない自分でも、いったいどうしたことかとびっくりしました。数日たって、だいたい最初の衝撃も薄らいで、メディアもちょっと冷静に物事を見ることができるようになったようです。

酔っぱらうところまではよしとしましょう。公園で騒いだことはまずい。そして、裸になっていたことも良いことであるわけがありません。しかし、そこからの展開は、やはり異常と言わざるを得ないと思います。

まず、逮捕。世の中には泥酔して騒いでいる奴はいくらでもいるでしょう。いちいち逮捕しているんですかね。警察が出動しても、一晩留置してお灸をすえて翌日帰って貰うというわけにはいかなかったのでしょうか。

公然わいせつと言っても、意図的にだれかにわいせつな振る舞いをしたわけでもないようです。さらに家宅捜索。酔っぱらいの家をいちいち家宅捜索する閑があったら、もっと捜査を進めて貰いたい事件は山ほどあるでしょう。

大臣は「最低の人間」と言ったかと思うと、その発言を撤回するという間抜けぶりをさらけしてしまいました。

あまりに、周囲の対応に余裕がなさ過ぎな印象を持つのは自分だけでしょうか。ちょっとののりしろを持たせておけば、ここまで大騒ぎをしないでもよかったんではないかと思います。すぐに他人の責任を追及する今の風潮の縮図を見たように思います。

日本で最も人気のあるアイドル集団のメンバーであり、確かにその言動や行動は若者に与える影響は多大です。今回の件が、普通のおじさんの泥酔とは大きな違いがあるのは否定できません。

CMの中止や出演番組への影響など、経済的損失もはかりしれない。さらに本人の、これまで作り上げてきた信用の失墜も相当なものがあるでしょう。

ただ、これまでの「いい人」的なキャラの重圧は大きかったのではないでしょうか。そういう意味で、今回のことが虚像を壊すいいチャンスになるかもしれません。より大きなタレントを見せてくれるなら、若い頃の武勇伝の一つとしてしまっておけるでしょう。

2009年4月24日金曜日

やせると死ぬ!!

最近の厚労省研究班の報告は、なかなか面白い。この前は、腹囲だけではメタボは診断できないというような、厚労省をこけにした報告がありました。

今度は、二十歳の体重より減った人の方が死亡率が高いという話。研究班のリーダーは国立がんセンターの先生。国立というところがみそ。つまり厚労省のお膝元。

9万人近い人を13年間追跡して、二十歳の時の体重から5kg以上減った人、マイナス5kgからプラス5kgの人、そして5kg以上増えた人の3つのグループに分けたそうです。

そしたら、マイナス5kgのグループでの死亡率が最も高く、体重が増えたグループでの死亡率は全体の死亡率と変わらないという結果だったということです。

つまり、これって肥満になっても死にやすいということはない、ということなんでしょうか。ある意味衝撃の結末、っていう感じです。

この数年、医療費抑制の目的で厚労省はメタボにとびつき、メタボを抑制すれば未来の病気人口を減らし医療費が削減できると訴え続けてきました。東大の某先生はまるで教祖のようにメタボ伝道師として行脚し、誇らしげに腹囲でなんでもわかると言わんばかりでした。

その結果、行政のサービスであった一般的な健康診断は中止となり、メタボだけに的を絞った特定健診が昨年から始まり、一般の方も医者も企業も右往左往させられています。

まぁ、どう考えても肥満の方が健康だというようなことはありません。肥満が様々なリスクになることは間違いないのです。ただ、今回の話もそれだけじゃない、ということを証明しているわけです。痩せすぎることは太ることよりもリスクとなり得るということなんでしょう。

まだまだ日本人の肥満は、欧米人に比べてたいしたことはないということらしいです。

ふぅ~。

2009年4月23日木曜日

高齢者向け講演会

本日は、去年も呼ばれて喋ってきたデイサービス施設での講演をやってきました。

そんなに多い聴衆がいるわけではないのですが、かえって直接聞いている方々とおしゃべりをするような感覚なのでやりやすい。

相手は高齢の方が中心ですから、やはり腰痛や膝痛についての話のリクエストになるわけですが、症状・治療法そして予防法と順番に話していくのが常套手段ではあります。

でも、いつも同じに喋っても自分も飽きてしまいますので、今日はいつもと違うアプローチをしてみました。

今日のテーマは関節痛、特に膝だったので、関節の構造と関節の老化現象の病態の説明を主眼にしてみました。少し医学的で難しかったかもしれません。

でも、病態を理解できると、自然とどういう症状がでるか想像できるわけです。そして、予防法も考えやすい。

というのは理屈ですが、もちろんそれだけでは一般の高齢の方には面白みはないでしょうから、時々脱線して小話風のものをできるだけしてみました。

いつも書いているように、こういう会は嫌いではないので、話があればできるだけ引き受けるようにしています。何回かやっているうちに、だんだん上手くなると思いますので、次回はさらに期待してください。

2009年4月22日水曜日

世襲

政治の世界で、世襲議員についての規制について議論がされているそうです。確かに今の政治の中心にいる方々はいわゆる「世襲議員」さんが大変多く、親ほどの力量があるのかないのか・・・

医者の世界も、世襲が多いことは否定できません。実際のところ、昭和には高給取りの代表みたいな職業だったことは間違いない。こどもを医者にしたくてたまらないと思ったことでしょう。また、医学部の学費があまりに高いため、誰でも簡単には入学できないということもあったのだと思います。

自分も親は内科の開業医だったわけで、世襲だと言うことになります。ブロ友のDr.Flickerも世襲なのですが、自分たちの場合、そのまま親のクリニックを受け継がなかったところが共通点。

自分の場合は、そのまま親の後を継ぐということには、大変抵抗があって、医者になることは親の意を汲んだものの、何科の医者になるかは自分の意思。

たぶん七光りみたいなものを嫌ったというとかっこいいのですが、少なくとも自分の力で勝負したいと思ったことは確か。

Dr.Flickerも似たような気持ちはあるのではないかと想像します。Dr.Mの場合も、親のクリニックを受け継いだものの、親とは違う専門科に移行していっているのも同じような気持ちからなんでしょうか。

「二代目は・・・」とか、「三代目は・・・」とかいろいろ言われることが多いので、そのまま親の地盤を受け継ぐというのは男として抵抗があるものなんですよね。

自分が大学にはいったころは、医学部人気のピークで、慶応は倍率40倍。自分の卒業した東海大ですら20倍でした。しかし、医者は余ってきたと言われ、医学部人気は急速に低下し、卒業する時には東海大の倍率は3倍程度。

このところ再び人気を盛り返していましたが、昨今の医療問題などを考えると、自分のこどもを単純に医者にしたいとは思えません。こどもがじぶんの意思で医者になりたいと思うなら、できる限りの支援をすることは当たり前ですが、これからの医者はもっともっと大変だという覚悟が必要です。

政治の世界では、まだまだおいしいところがたくさん残っているんでしょうかね。政治家になるのも国家試験資格にして、世襲する価値があることを示してみるのもいいかもしれません。

2009年4月21日火曜日

リウマチ医療

リウマチ患者さんというのは、そんなに多いわけではない。都筑区20万人の中では1200人と考えられますが、実際のところはよくわからない。と、いうようなことを最近書いたばかりです。

しかし、先週末に来院された、リウマチを心配してこられた患者さん3人が3人とも、医者として大変怪しいと思わざるを得ないというところで、大変びっくりしていました。採血した検査結果を見て、3人とも発症したばかりの関節リウマチと確信して、正直言って驚きを禁じ得ません。

クリニックに訪れる、関節リウマチを心配している患者さんの大多数はリウマチではなく、年齢的な関節の変化や、腱鞘炎、あるいは筋肉の疲労などの原因によるあちこちの痛みである場合がほとんどなのです。

今回のように、続けて3人も初発のリウマチ患者さんが受診するというのは大変珍しい。しかも、通常の初発しやすいのは30歳代から40歳代の女性と言われているわけですが、お一人は70歳代の女性、後の二人は男性というのもびっくり。

リウマチの診断は、何か一つでも決め手になる確固たる物が無いのです。怪しいと思える物を積み重ねて、少しずつ疑いを深めていくしかありません。ですから、少しでも客観性を持たせるためには、診断のための基準をしっかりと考慮することが大切です。

診断の基準を満たさないうちは、リウマチとしか考えられないような状態の患者さんを見ても確定することはできません。そのルールを守らないと、他の医者に説明するようなときに納得してもらえません。まして、皆が認める根拠なしには、危険な副作用を伴うかもしれない薬を使うことができないのです。

一般にはアメリカのリウマチ学会が作った診断のための基準がありますが、これはすでに作られてから20年以上経過しており、現在のリウマチの診断学・治療学からは意義が薄れていることは否定できません。

そこで、自分は日本の学会が作った早期基準を利用しています。これは、確定度は多少劣るものの、疑わしい患者さんを確実に拾い上げることが可能です。

もちろん、これが絶対ではありませんし、ここにレントゲンの変化や、そして自分の経験が加わることになるわけですが、少なくとも診断するために最低満たすべき条件が含まれていると考えることができるのです。

本日は、70歳代の女性の方が検査結果を聞きに再診されました。午後からは天気も悪くなって患者さんも少なかったので、30分くらいかけてゆっくりと病気の説明をすることができました。また、薬の副作用のことなどの説明にも多くの時間を使うことができました。

でも、長く話せばいいというものではありません。一度に多くを説明しても、患者さんはすべてを理解することは難しいと思います。ですから、何回かにわけて、少しずつ理解していただけるようにすることが大切だと思っています。

そして、本日もうひとかた、医者として大変がっかりするような話をお聞きしました。別の病院で、あちこちの関節が痛いという話をしたら、リウマチでしょうと言われた患者さんです。

そこでは、試しにリウマチ薬を出しましょうと言われたそうです。飲んで効けばリウマチだし、効かなければリウマチじゃないという説明だったと言うことです。

これには、正直言って自分は激怒ものです。リウマチ薬はただの痛み止めとは違うわけで、試しに飲んでみたらというような安易な使い方ができるような薬ではありません。

いくらでも、副作用で死亡する患者さんが出るような薬なのです。使う側の覚悟と使われる側の納得が不可欠です。こういう医者が、リウマチ薬の副作用を作って、患者さんの不安をさらにあおることになっているのではないかと思います。

先日、横浜市北部の地区でリウマチを専門にうたっている数人の医者の集まりに出席しました。専門医のネットワークを作るための準備のための会合です。

専門医の中での互いの不足している部分などを補っていく方法と、専門にしていない医者に対して情報を提供していくことが議題です。今回のエピソードは、できるだけ早くこのような組織作りが必要であることをあらためて感じさせてくれました。

2009年4月20日月曜日

あすなろ植物園

どこ?
富良野?

いえ、あすなろです。レースラベンダーです。去年の生き残り。何とか枯らさず、水をさしていたんですが春になって大きなプランターに植え替えたら、さすがにとたんに元気になりました。

やっぱり、植物は大きなところでひろびろと育ちたいんですよね。

あすなろ菜園2009 part1

昨年は、きゅうり、ミニトマト、サニーレタスを作りましたが、今年も暖かくなってくると、なんかやりたくなります。

と、いうわけで、種を蒔いてみました。さぁ、これが何になるかはお楽しみ。また、形になってきたら随時ご報告します。

2009年4月19日日曜日

Irina Mejoueva / ピアノ名曲150選

自分はクラシック音楽がいいと言いつつ、もっともクラシックらしい(?)大編成のオーケストラはあまり好きではないという偏屈な好みなのです。

特にピアノ独奏は、クリニックのBGMとしても使いやすいのでけっこう集めました。いつものHMVでBOX物の全集をあさるときは、検索キーワードで"comp (complete) piano"と入れてみます。そんなこんなで、けっこう有名どころはだいたい揃ったような気がしているわけです。

チコリーニが弾くスペインのアルベニス、グラナドス、ファリャの曲集。チコリーニではサティ全集もあります。隠れファンのいる超絶テクで有名なアルカン

グールドの演奏でほとんどがそろうJ.S.バッハの鍵盤曲

ピアノの新約聖書と呼ばれるベートーヴェンの32曲のピアノソナタは、一番のお気に入りで最も多い。

オーピッツのブラームス全集。アシュケナージのショパン全集。ドビッシーとラベルはモニーク・アース。クナダールのグーリク全集。ショルンスハイムのハイドンのソナタ全集。

ドヴォルザークはBlliantの廉価盤で独走全集とデュエット全集。ヤナーチェクとスメタナもBrilliant。

リストはボレットベルマンで主なところをおさえました。HMVでけっこうベストセラーになっているのはモンポウが自ら弾く全集。

モーツァルトのピアノソナタ全集も数種類。リルの弾くラフマニノフ全集。スクリャービンやサンサーンスの全集。シューベルトはケンプ。シューマンはケンプとデムス

ショスタコービッチはペトルシャンスキーの全集と、ニコラーエワの名盤。セルバーダイのシベリウス全集。ポトニコワのチャイコフスキー全集。ちょっと意外なワグナーのピアノ曲全集というのもあります。

もちろん、まだまだ聞くべきピアノ曲はやまほどあります。ノクターンの創始者といわれているジョン・フィールド、メンデルスゾーンも無言歌集以外を聴いてない。フォーレ、プーランクなども拾えていません。

ただ、現代のアブストラクトな感じの物は、どうも何がいいんだかわからない。メシアンとか有名ですが、どうも気が引けます。ベートーヴェンのソナタはまだまだいろいろな演奏を聴いてみたいと思いますし、ショパンやシューベルトも別の演奏を聴くべきでしょう。

リストはあまりに膨大でどこまで聴けばいいのかわかりません。新しいところではロマン派的なメトネルも聴きたい。そんなわけで、何を聴けばいいかよくわからん、という人のために大変すばらしいCDを見つけました。

ピアノ名曲150選というタイトルは、音楽之友社との共同企画で同じタイトルで楽譜集も出ているので、ピアノを実際に弾く方にも好都合。

この手の企画は、だいたいいろいろな人の演奏を集めてきて組んでいることが多いので、辞典的にはよくても、一つ一つの音楽を聴こうと思うと、ばらばらな感じで楽しくないことが多い。

その点、この企画の素晴らしいところは演奏者がイリーナ・メジューエワ一人というところ。メジューエワはロシア人ですが、日本在住で活動し、女性らしい繊細なタッチと強靱な打鍵が評判なのです。メトネルも得意にしていて、自分的には注目していたわけ。

そこで、メジューエワのピアノが聴けるベスト盤であり、しかも有名な曲が網羅されているという点が大変お買い得ということなのです。難易度によって、初級編中級編上級編にわかれていますが、聴く側にとっては、どこにも均等に聴いたことがある曲は入っているし、また新たな発見も含まれています。

もともと数年前に録音された音源を中心に組まれているのですが、メジューエワのファンにとって注目すべきは、かなりの数の録音が昨年新たに録り直されたり追加されていることで、全部でCD6枚に7時間を超える量は凄すぎです。

名曲と呼ばれている曲を聴きたい方、あるいは弾きたい方、メジュヘエワのピアノに耳を傾けたい方には絶好のアルバムではないでしょうか。