2025年9月6日土曜日

TEAM NACSのはじまり


多くの劇団がある中で、TEAM NACSが今のような「最もチケットが取れない」と言われるような人気を得るようになった理由を知るためには、やはり彼らのスタート・ダッシュを理解しておくことが必要です・・・というわけで、簡単に彼らのアーリー・ヒストリーをまとめてみました。

森崎博之。1971年、北海道のほぼ中央、上川郡東川町で生まれ、旭川西高校をへて1990年に北海道学園大学に入学し演劇研究会に所属しました。1993年から稲田博主宰の劇団イナダ組と鈴木貴之主宰のOOPARTSに参加。なお、イナダ組はOOPARTSから独立した劇団です。

安田顕。1973年、室蘭市に生まれ、室蘭栄高校をへて1992年に北海道学園大学に入学。当初ジャズ研に在籍するも、レベルが高すぎたため退部。12月に演劇研究会に所属します。1993年に辞める森崎に代わってOOPARTSに参加。

戸次重幸。1973年、札幌市手稲区生まれ、本名は佐藤重幸。手稲高校をへて、1浪して1993年に北海道学園大学に入学し演劇研究会に入会。1994年にイナダ組参加。

大泉洋。1973年、江別市生まれ。札幌藻岩高校卒業後、2浪して1994年に北海道学園大学に入学し演劇研究会に入会。1995年にイナダ組参加。

音尾琢真。1976年、旭川市で生まれ、旭川西高校(森崎の後輩)をへて1994年に現役で北海道学園大学に入学し演劇研究会に入会しました。なお、高校では新体操部部長を務めました。彼も1995年にイナダ組に参加しました。

1995年10月、大泉がOOPARTSの紹介で北海道テレビの深夜番組「モザイクな夜V3」に「二代目元気くん」として出演し、話題になります。この時、芸能活動のために鈴井貴之が1992年に設立したCreative Office Cueに安田と伴に所属しました。またこの頃、「ガメラ2 レギオン襲来(大映/東宝)」に安田、大泉が端役で映画初出演をはたしています(鈴井も出演)。

森崎と安田が1996年3月に大学卒業が決まりますが、ちょうどその時期に予定されていたイナダ組の公演が中止となったため、その会場を利用していつもつるんで遊んでいた5人はTEAM NACSを結成し旗揚げと同時に解散公演を行うことにしました。それが、今では幻の第1回公演とされる「LETTER〜変わり続けるベクトルの障壁〜」でした。

森崎作品としては演劇研究会の公演として「CHAIR〜立ち続けることは苦しいから〜」、「DOOR〜在り続けるためのプロセス〜」というタイトルがあるので3作目にカウントされます。森崎作品のタイトルは、「~R」で終わる英単語と「~続ける(続けた)~」という副題が付くというのはスタートからでした。

森崎と安田が抜けて、当然チームは解散となりますが、大泉は1996年10月に北海道テレビでスタートした「水曜どうでしょう」のレギュラーとして鈴井と共に出演することになります。鈴井と大泉の二人が出たとこ勝負で無理矢理に旅をするだけの番組でしたが、大泉のトーク力が爆発し人気番組となっていきました。

東京で就職した森崎と安田は、芝居をやりたい気持ちが捨てきれず10ヵ月で二人とも退職し、北海道に戻ってきます。そして戸次、大泉、音尾に連絡を取りチームを再結成し、1997年8月に復活公園と銘打って「RECOVER〜描き続けるもう一つの結論」を成功させました。さらに1998年3月には大泉の卒業を機に、プロの劇団としてやっていく決意をもって卒業公演「FEVER〜眺め続けた展望の行方」を上演します。

大泉のテレビ露出により知名度がどんどん上がったことが功を奏し、舞台は回を追うごとに集客数が増加。1998年4月のデヴュー公演「再演DOOR〜在り続けるためのプロセス〜」で収益が黒字となります。1999年3月に戸次・音尾が大学を卒業し、冒険公演「ESCAPER〜探し続けていた場所」を成功させ、森崎・戸次・音尾もCreative Office Cue所属となり、名実ともに職業俳優ユニットとしてスタートしたのです。

少ない北海道テレビ独自のバラエティ枠は、鈴井らの企画がしばしば登場し、タレントとしてTEAM NACSのメンバーが起用される機会が増えたことで「北のSMAP」と呼ばれるようにもなり、人気を不動のものにしていったのでした。

2025年9月5日金曜日

LOVER〜想い続けたキミへの贈り物 (2001)

TEAM NACSの第7回公演ですが、「ときめき公演」としています。本来は2002年に上演した「WAR〜戦い続けた兵たちの誇り」が予定されていましたが、会場の閉館により急遽こちらに差し替えになっています。

リーダーの森崎博之による脚本・演出ですが、ナックスとしては珍しい恋愛コメディになっているので、サポート・キャストとして、当時メンバーが親しくしていたSKグルーブから小山めぐみ、福村澄江の二人、劇団イナダ組から小島達子、山村素絵、川井J竜輔の三人が参加しています。

始まっていきなりウェディングドレスを着たメンバーが、自己紹介を兼ねて一人ずつ飛び出してきます。中でも、"平成の怪物"安田顕の期待にたがわない裸同然の姿は嬉しい。それにも増して、戸次重幸が日本刀を振り回して出てくるところはまったく意味不明ですが、何か凄い。

まず恋人同士の戸次と素絵の別れのシーンから物語がスタート。振られた戸次を慰める大泉洋と音尾琢真でしたが、そこに大泉の携帯に電話がかかってきます。素絵も友人のめぐみと達子に慰められていたのですが、達子の発案で合コンをやることになり、めぐみが知り合いの大泉に人集めを頼んできたのです。

大泉とめぐみは4年前からともだち以上恋人未満が続いていて、お互いに好意を持っているものの進展が無いままでした。大泉と戸次、音尾以外に仕事場の部長の森崎、主任の安田が加わり待ち合わせた店に行きます。めぐみ、達子、澄江の三人が先に到着していましたが、4人目に登場したのは強烈な個性が爆発する順子(川井)でした。それより遅れて5人目として登場したのが素絵だったため、戸次は凍り付いてしまいます。

それでも、森崎・素絵、音尾・達子、戸次・澄江、そして安田・順子というペアができます。男性5人にはときめきを応援するときめきマンがそれぞれについていて、森崎にはピンク(戸次)、安田にはイエロー(音尾)、戸次にはブルー(安田)、音尾にはグリーン(森崎)がついていて、ときめくほど風船が膨らみ、ときめきが無くなると風船が割れてときめきマンも消えてしまうのです。何故か大泉についたときめきマンのレッドは大泉自身が演じます。

めぐみは昔からの夢だったデザイナーになるため、もうじきイタリアに移り住む決心をしていたのです。告白をしようかと思っていた大泉は、先にその話を聞かされ意気消沈して持っていた風船がしぼんでしまうのでした。

大泉以外の4組はいろいろあって結局はうまくいきません。それぞれのときめきマンは、レッドを復活させるために、めぐみの出発に合わせて大泉を飛行場に連れ出すのです。大泉は惠のもとに駆け寄ると「愛してる~」と絶叫。その途端に、ものすごい量の風船が舞台になだれ込んでくるのでした。

という、ほぼ王道のラブコメで、作者の森崎の引き出しの多さに感心しました。女子5人の一人に女装の川井を混ぜて、ナックスメンバーだけに頼らずに笑いを入れ込んでいます。舞台はシンプルですが、やはり照明をうまく使って、細かく場面をいろいろな場所に作るのは森崎演出の得意技です。

女子組との対比の仕方も、ちょっと凝り過ぎ感はあるものの、当時の若者たちの文化・情景が目に浮かんできます。準備期間が少な目で用意された舞台としては、傑作とは言わないまでも楽しく見れる作品です。

2025年9月4日木曜日

パキスタン風無水カレー


パキスタンは、インドの西隣の国で、しばしばインドとの争いがニュースになります。この国のカレーは一般に水気が少ないものが多いらしい。札幌にカラバトカリーというパキスタンカレーの有名な店があって、それを真似たレシピをネットで公開している人がいたりします。

それを参考にして作ってみました。

基本的なパターンは一緒なんですが、一番の特徴は水を加えないので、トマト缶は通常の2倍量を使います。また、パキスタンはスパイスが多めらしいので、スパイスの量は多めで種類も増えています。

飴色タマネギ作りは同じ。ニンニク、ショウガはやや多め。トマト缶はいつもは2~3人前で1/2缶(200g)を使いますが、今回は1缶全部利用します。炒め煮はしないで、スパイスを投入します。

ターメリック 大さじ1、クミン 大さじ1、コリアンダー 大さじ1.5、カイエンペッパー 大さじ1/2。さらに今回はクローブ 小さじ1、ナツメグ 少々を追加しています。

ここで鶏むね肉を入れますが、ポイントはこれを全部煮崩してホロホロにしていくこと。最初に5cm角くらいに切っておいて投入します。ここからは、水を追加せずに蓋をして弱火で煮込んでいきます。ここで塩を加えますが、味は薄めにしておく。

20~30分もすると、肉の線維がほぐれてくるのでヘラで軽く潰すようにしてバラバラにします。蓋は外してさらに10分ほど煮込むと、だいたい出来上がり。

御飯にのせて旨みの凝縮したカレーを美味しく食べましょう。

2025年9月3日水曜日

雅楽戦隊ホワイトストーンズ 〜最終章 呪われし神々の行方 (2003)

熱烈な要望を受けて、「ドラバラ 鈴井の巣」の「雅楽戦隊」シリーズ第3弾・・・なんですが、どうやらスポンサーからの要望が強かったらしい。ところが、スタッフは困った。というのも、前作で主人公の一人、南郷が死んでしまい、物語も一定の解決をしています。

ただし、最終シーンで何者かがカギとなる巻物を拾うシーンが挿入されていたことから、これは企画した鈴井貴之の確信犯的なところがありそうです。前作から5年後ということにして、南郷の代わりに息子の大志が加わることで、ホワイトストーンズを復活させました。

あの戦いから5年後、北郷(戸次重幸)は、皆の溜まり場である喫茶店HEROのマスターになっていました。本郷(安田顕)は、バカでも強くなれることを書いた本がベストセラーになり東京大学の講師として教壇に立っています。そして、大門は故郷の礼文島に帰り、漁師になっていました。恋人の富子(小野優子、HTBアナウンサー)がいたものの、洗脳された妹は元に戻らないまま亡くなっていました。

宮城県白石で爆弾テロ事件が発生します。札幌市白石区は宮城県白石の人々が明治の初めに入植してきた場所なのです(これは本当)。嫌な予感がした本郷は急遽戻って北郷と共に怪しいビール工場に潜入すると、二人の首領をトップにしたネオ悪の秘密結社に襲われます。しかし、二人だけではホワイトストーンズに変身できないため、逃げるので精一杯でした。

そして、白石区でも爆弾テロが起こり、南郷の息子の大志(北野雄大)と母親(北川久仁子)が巻き込まれ、母親が亡くなります。大志は母親の仇を討つためホワイトストーンズに加わるのでした。しかしまだこどもの大志は爆弾怪人に倒され、大志もまた川北博士(音尾琢真)の改造手術でより強くなって蘇るのです。

大門は「あなたを必要とする人がいる場所に戻って戦って」という富子の言葉により、ついに再び立ち上がります。川北博士も自分に責任がある悲劇の連鎖を止めるため、自らを改造したポプラーマンに変身しますが爆弾怪人と共倒れになってしまう。川北博士は、巻物を拾って白龍神社に隠したことを言い遺しました。

大門は白龍神社で巻物と共に伝説の剣と鏡を発見しますが、そこへホワイトストーンズが駆け付け、ネオ悪の結社の二人の首領(安田・戸次)も現れます。二人のボスは本郷と北郷に瓜二つの姿で、戦ってもまったく同じ力を持っているのでした。大門は善と悪は表裏一体であることに気がつき、剣で鏡を割ると強力な光によって二人の首領を倒すことに成功します。そして巻物は火を放って燃え、白鳥となって飛び立っていくのでした。

ヤマトタケルの東北遠征伝説を織り交ぜて、一見、壮大なストーリーになっているんですが、かなり無理矢理感は否めない。ただ、理詰めで見るようなものではないので、単純にどうでもいいようなストーリーを楽しめばいいだけです。

ドラバラの凄い所は、芝居だけでなく強引にナックスのメンバーに歌も作らせているところで、ふざけた歌詞もありますがけっこう良い曲がたくさん出てくる。彼らが鼻歌的に作ったメロディを、採譜して曲に仕上げるター・ナー・カー氏の技量には脱帽です。これらはTEAM NACSの結束力や技術的な底上げに大きく役立っていると思われ、かれらのアマチュアからプロへの脱皮を助けたことは間違いありません。

2025年9月2日火曜日

雅楽戦隊ホワイトストーンズ 〜白き伝説よ永遠に (2002)

「ドラバラ 鈴井の巣」で放送された「雅楽戦隊ホワイトストーンズ」シリーズの第2弾。札幌市白石区だけを守る戦隊物で、基本的には完結編です。

南郷進(鈴井貴之)は、兄を悪の秘密結社に誘拐され、国際秘密諜報員の大門通(大泉洋)は妹を誘拐されている。悪の秘密結社は再び、白石区を狙って暗躍し始めました。彼らはこどもさらって改造し戦闘員として育成していたのです。

幼稚園バスを襲って大勢の園児を誘拐します。こどもたちを助けるため、南郷、本郷(安田顕)、北郷(戸次重幸)はホワイトストーンズに変身します。建設中の札幌コンベンションセンターが悪の秘密結社のアジトであることを突き止めた大門は先に潜入しますが、女性戦闘員に動揺して捕らえられてしまうのです。

後から駆け付けたホワイトストーンズは、雑魚を倒しながら奥に進み大門を救出しますが、大門は女性戦闘員をかばって逃がしてしまうのです。その女性戦闘員は、実は洗脳された大門の妹だったのです。捕らえられた幼稚園児を助け出すと、その中に別れて暮らしていた南郷の息子・大志も混ざっていました。

悪の秘密結社の首領(鈴井貴之 2役)は、さらなる人体改造の方法が記された巻物の半分を持っており、白龍神社に安置している残り半分の巻物を狙っていました。危険を察知した宮司(森崎博之)は、川北博士(音尾琢真)に頼んで人間爆弾に改造してもらうのです。20年前に溺れた南郷・本郷・北郷と共に助けようとした宮司も溺死していたのですが、川北博士によってサイボーグとして蘇生していたのです。

宮司は神社を襲ってきた怪人化した首領に抱きついて自爆しますが、首領を倒すことができません。南郷は首領の正体が兄であることに気がつき、取り押さえようと飛び出します。その時二つの巻物がつながり、巨大な白龍が飛び出してきたのです。白龍の力によって首領は爆死し、南郷も息を引き取るのでした。

オフィース・キュー社長の鈴井貴之は、もともと劇団を主宰していたんですが、わざとかもしれませんが多少疑問を感じる演技力です。もっとも、まだまだ駆け出しのナックスのメンバーも似たり寄ったりのところはあるので、あまりツッコミを入れてはいけないところかもしれません。

ただし、第1弾と合わせて見ると、それなりに辻褄が合っていてストーリーの骨格はよくできている。原作・脚本を担当した鈴井の力量はそれなりに評価されるべきです。当然、白石区の中だけの話なので、ローカル・ネタに精通していれば、かなり楽しめるだろうと思います。

2025年9月1日月曜日

雅楽戦隊ホワイトストーンズ 〜雅やかな愛の戦士たち (2002)

北海道テレビで放送された「ドラバラ 鈴井の巣」は、ドラマとバラエティ(メイキング)を同時進行で放送するという変わった趣向の番組でした。鈴井というのは、北海道のローカル芸能プロダクションであるCreative Office Cueの社長である鈴井貴之で、主たる出演者は鈴井とTEAM NACSの大泉洋と安田顕の3人。

実際は他のメンバー、森崎博之・戸次重幸・音尾琢真も登場していて、オフィース・キューに所属するタレント総出演で作られています。

基本の3人で順番に企画・脚本を回していくという構想でしたが、その第1回作品となったのが「雅楽戦隊ホワイトストーンズ」でした。もともとはローカル局のバラエティなのに全国的に人気となった「水曜どうでしょう」の前身とも言える「モザイクな夜」で始まったもので、基本的なコンセプトは札幌市白石区だけの平和を守る戦隊物です。

悪の秘密結社により祖父を殺され、そして兄を連れ去られた南郷進(鈴井)は、本郷隆(安田)と北郷誠(戸次)と共に雅楽の楽器を奏でることで雅楽戦隊ホワイトストーンに変身するのです。20年前に、三人が川で溺れて死んでしまったところを、悪の秘密結社から逃げ出した川北博士(音尾)の手術で改造人間として蘇った体だったのです。

悪の秘密結社は、白石区の下水道処理場から毒ガスをばらまき区民を混乱に陥れます。妹を連れ去られ両親を殺された大門通(大泉)は、国際秘密諜報員となって悪の秘密結社を追っていましたが、毒ガス事件でホワイトストーンズと協力して対決することになります。

悪の秘密結社首領(鈴井 二役)は、部下のナメリン大佐(滑川まさみ)にホワイトストーンズを倒すように命令します。ナメリンは怪人レンガレンガを使って、さらなる毒ガス散布をしようとしますが、川北博士の作った特殊爆弾によってレンガレンガを倒したのでした。南郷は瀕死の重傷を負いますが、川北博士により回復し、そして白石区の平和は守られたのです。

往年の戦隊物を彷彿とさせる王道の展開ですが、怪人の巨大化、それに伴う巨大メカの登場はありません。かなりバカバカしいストーリーですが、正規の戦隊物も冷静に見ればかなり無理を通しているので、笑いのネタだけ増えたと思えばすんなり受け入れられそうです。