2025年9月28日日曜日
赤鼻のセンセイ (2009)
北海道のローカル・タレントとしては、知名度・人気が抜群に高くなったTEAM NACSのメンバーたちでしたが、2004年に初めて東京に進出し、大手芸能事務所AMUSEに所属して北海道以外でも活躍を始めました。
TEAM NACS の「切り込み隊長」、「広告塔」、「客寄せパンダ」と言えば大泉洋。瞬く間に、地上波テレビ・ドラマに出演するようになり、2008年には「アフター・スクール」で映画の初主演を果たしました。そして連続ドラマで初めて主演に起用されたのが、2009年の日本テレビのこのドラマでした。
脚本は2006年以降、大泉洋とのテレビの仕事が多い土田英生が中心となって作られていますが、モデルとなったのは昭和医科大学の院内学級を支えている副島賢和氏で、「あかはなそえじ先生」と呼ばれて病気のこどもたちから親しまれています。
石原参太朗(大泉洋)は、家電量販店の仕事をクビになっているところに、恩のある桜山総合病院の前院長(神山繁)から病院内の学校の先生に誘われます。病院の院内学級の責任者は太川絹(小林聡美)、美術担当は権田(光石研)、音楽担当は西森(平岩紙)らがいて、病気で長期療養しているこどもたの勉強を見ていました。現院長はおおらかな桜山真(上川隆也)で、小児科には若手医師で責任感が強い七瀬遥華(香椎由宇)、物静かな遠野(高橋努)医師がいました。
院内学級を利用している最年長は中学3年生の八重樫(神木龍之介)で、慢性の難治性小児喘息で長期入院を余儀なくされ、志望する高校からは受験を拒否されてしまいます。中学2年生の和田雅樹(須賀健太)は、重症の白血病。同じ中2の田中香(高良光莉)も慢性腎臓病により、退院の目途がたちませんでした。
院長の真は自らつなぎと言い、兄の優秀な幸一がアメリカから帰国すると、院内学級は不要と考えている幸一が院長になってNICU (新生児集中治療室)設置のため教室は閉鎖されることになると言うのです。
新米教師の参太朗は鼻に赤いボールをつけて、オヤジギャグを飛ばし、空気を読まず突進するためいろいろと問題を起こしますが、少しずつこどもたちも心を開くようになり、自らも命と向き合う彼らから多くの事を学んで成長していくのです。
病気で苦しむこどもたち・・・というのは、描き方によってはかなり重苦しいテーマなんですが、登場する人々全員が「明日を信じて」成長していく前向きのストーリーは、ベタですど素直に感動して共感できる。
初めて連続ドラマの座長をした大泉洋にとっても、比較的入りやすい役柄だったのではないでしょうか。そもそも、大泉をよく知る土田が最初から脚本を大泉に当て書きしたのだろうと思います。
小林聡美も参太朗に困りつつも見守り、必要な時は遠回しにアドバイスする先輩教師を好演しています。ただし太川先生の描き方だけは中途半端なところがあり、彼女の過去の話について途中で放棄してしまった感があるのは残念なところです。
参太朗は「人は笑うために生きている」という信念をもっていて、オリジナルなのか出典があるのかわかりませんでしたが、確かに「名言」だと思います。笑うことは大きな呼吸をして横隔膜を動かし、全身の血流が良くなることは明白で、新陳代謝を促し病気に対して良い方向に向かせるのです。