2025年10月10日金曜日
119エマージェンシーコール (2025)
今年の1月~3月にフジテレビで放送されたドラマなので、ご覧になった方もいることと思います。自分も横浜市が舞台だったこともあり、興味を持って見出したのですが、あのフジテレビ関連の大スキャンダルが発生したため、放送日程や、ロケ撮影に多大な影響が出て、ある意味最も割を食ったドラマだったのではないでしょうか。
横浜市消防局が全面的に協力して制作されたのですが、スキャンダル以後、協力のクレジットを表示しなくなり、屋外のロケも大々的に縮小されて、スタジオでの撮影が中心になりました。
新人指令管制員の粕原雪(清野奈名)は、こどものときに家が火事になり、119番の電話で指令管制員の声に励まされたことが今でも強く記憶に残っています。指令管制員の仕事は、ただ通報を受けるだけでなく、想像力をフル活用して少しでも要救助者を助けたいという信念を持っていました。
雪の教育係である兼下睦夫(瀬戸康史)は、元消防隊員でしたが、現場で自分の行動のせいで後輩に重い怪我を負わせたことで、指令管制に移動になりました。雪が自分の手配の結果などを確認するため後で現場に出向くことに批判的で、指令管制員は現場に指令を出すだけでいいんだと頑なな姿勢を崩そうとしません。
司令課3係には、粕原、兼下の他に係長の高千穂一葉(中村ゆり)、新島沙良(見上愛)、救命救急士の資格も持っている与呉心之介(一ノ瀬颯)、箕輪健介(前原滉)などとともに大ベテランの堂島信一(佐藤浩市)らが所属していました。
主人公たちは消防局の指令管制員であり、119番の通報を最初に受けて、適切に消防車や救急車を手配する役目を担っています。各個人の想いに関連した話とさまざまな現代の都会で遭遇する可能性のある事案を取り上げ、けっこう骨太なテーマとエンタメ性が両立したドラマとして成立していると思います。
スキャンダルの影響で屋外での撮影シーンが減っても、むしろ電話の声だけを頼りに様々な対応をする心理的な緊迫感はより強調されたと思いました。もちろんドラマですから、それぞれのキャラクターにはストーリー性が描かれていますが、かなり現実の状況を反映できているだろうと想像できます。
出演者の方々も、いろいろな制約の中で不安がいっぱいの撮影だったと思いますが、少なくとも良質な作品を世に送り出したことは称賛されてよいと思います。横浜市は消防局クレジット表記こそ取りやめましたが、最後まで実質的な協力は続けたことは良かったと思いました。