2007年5月1日火曜日

手のしびれ~鐘が鳴ります手根管

お寺とかで大きな金を撞かせてもらえるところがあります。この時とばかりに、思い切りボーン、その後手がびりびり。それとは関係ありませんが、手のしびれる病気でシュコンカン症候群というのがあるんですね。これについて、さぁ、考えてみよう。

シュコンカンは手根管と書きます。まさしく、手の根っこのところの管。手の平の手首に近いところを見てください。親指側のふくらみと小指側のふくらみがあるでしょう。その間の谷のところ、ここにあるんです。骨に囲まれた半円の空間で、上を強靭な靭帯組織で蓋をしたような構造をしています。この管の中を指を曲げるための筋肉の腱と一本の神経がすし詰め状態で通ります。

何らかの原因で、この神経が圧迫されると親指、人差し指、中指、そして薬指の親指側にしびれが出てきます。いたずらされる神経の名前は正中神経、しびれた状態を手根管症候群と呼びます。

正中神経は手関節部分ではほとんど知覚に関する働きしかしないのですが、唯一親指を手の中のほうに折りたむ力になる筋肉の刺激をする運動関係の働きがあります。このため、症状が進むと親指を中に入れられなくなり、他の指との間で行うつまみ動作ができなくなってしまいます。

原因ははっきりしないことが多く、中年女性に突然起こってくることが多いのですが、中には明らかに神経を圧迫する腫瘍ができていたり、関節リウマチが関与していたりする場合があります。血液透析をしている方に多いこともいわれています。手の使いすぎや性ホルモンの何らかの影響が関係しているともいわれています。

治療としては、軽ければ局所の安静と消炎鎮痛薬の外用薬で様子を見ますが、効果が無ければステロイド剤を局所に注射します。それでも駄目か、親指の筋肉の麻痺があるなら、手術を検討します。手術では、手根管の上蓋の役目をしている靭帯組織を切開して手根管の空間を広げ、神経への圧迫を減らしてあげます。最近は明らかな原因がない場合には、関節鏡というのぞき道具を利用することで、小さな傷でできる方法が広まってきました。腫瘍がある場合は、ちゃんと開いて腫瘍そのものを摘出する必要がありますし、リウマチの場合にはあちこちでべたべたくっついているのでしっかり開けないと危険です。

普通は早くに治療を開始すれば、直りの良い病気ですから心配はありません。しかし麻痺が進むと回復しずらくなります。またしびれの原因が首にあると、区別するのが大変難しいことがしばしばあるので注意が必要ですね。