2007年5月10日木曜日

走る・走る・走る~マラソンランナーの孤独

マラソンは古来オリンピックの最後を飾る、究極のスポーツなのかもしれません。人間が生の体ひとつで、どこまでがんばれるのか、ひたすら走り続ける選手を見ていると、とにかく感動し応援しない訳にはいかないのが心情というものでしょう。ああ、思い出されるは東京オリンピック。幼稚園児だった自分は、青山通りあたりで紙の旗を振っていたらしい、と聞いたことがあります。自分でははっきり覚えていませんが、アベベ、円谷の名前はしっかり記憶に残りました。


マラソンの選手を見ていると、ある種の陶酔感にひたっているような場面をしばしば見つけられます。無表情というよりも恍惚感。彼らにとって、走れるという至福の時を、心から楽しんでいるのでしょうか。


ランニングハイという言葉があって、長距離ランナーが走っている最中に麻薬中毒のような、酔っ払ったような悦楽感を味わうことを意味しています。適度なスピードでいったん走り出し、数kmくらい走った頃に、「風」が吹く。この「風」が吹くとランナーは気持ちよくどこまでも走れるような気分になります。この状態をセカンド・ウィンドと呼びます。普通のピープルはセカンド・ウィンドを感じられても、その後に疲労が襲ってきて無風状態に陥り失速・墜落という過程をとります。


ところがテレビに映るような選手は違います。そんな一般ピープルとは比べ物にならないくらいの持久力があるのです。30分、40分と無心に走っていくうちに彼らはついにランニングハイへと到達していくのです。


医学的にはエンドルフィンという、麻薬用の生体内物質が増えてきて脳内の受容体に作用するためと考えられています。


一方、マラソンは代表的な有酸素運動です。筋肉内の糖分が分解するとATP(アデノシン3リン酸)というものが出来て、これが筋肉を動かすエネルギーの源泉となります。この過程には酸素が不要ですが、1分以内の短時間しか持続できません。従って、呼吸無しで酸素をとりこまないでできる運動を無酸素運動といい、一気に走りぬけるような短距離走のような運動があてはまります。


運動しながら呼吸をすると、酸素下でのATP合成が可能となり、持続的に運動をし続けることが可能になり、さらに筋肉内の糖分を節約して脂肪を原料としてくれます。これだけで、有酸素運動が喜ばれているのも納得できますね。街中のアスレチック・クラブで飛んだり跳ねたりしている皆さん、エアロビクスは呼吸をしながらやってくださいよ。終わってから、ハァハァしているようじゃ駄目なんです。


マラソンはいいよ、気持ちがいいし、やせれるし。なるほど、その通り。いっちょ、がんばってみますか。