2026年5月2日土曜日

Pink Floyd / Aom Heart Mother (1970)


昭和40年代というのは、自分にとってはいろいろな知識を吸収して、ある意味人格を形成するのに最も大きな役割を果たした時期だと思います。

日本は、敗戦から立ち直り高度経済成長のピークを迎えていて、アメリカを中心として世界中からたくさんのカルチャーが流入してきていました。

例えば、ピーナッツ。食べる方じゃなくて、スヌーピーのピーナッツです。新書サイズの50ページほどの本で、左側にチャーリー・ブラウンとスヌーピーの仲間たちの4コマ漫画があり、セリフは英語です。そして右側にその日本語訳と、英会話のポイントがちょっとのっています。

英語を学び始めた時期だったので、これは役に立つと思ったのですが、実際はくだけた生きた英語ですから、学校で習うガチガチの英語とはまったく違うので勉強にはなりませんでした。

テレビをつけると、外国映画の2時間枠が、民放チャンネルのどれかでほぼ毎晩9時から用意されていたので、これもずいぶんと映画好きになる基盤になったようです。

またアメリカのテレビドラマもいくつも放送されいました。ただし、すべて日本語吹き替えだったので、これも映画の勉強にはなりませんでした。

そて、音楽は・・・前にもどこかで書いたんですが、最も自分に影響を与えたのは、小学校の同級生のCK君。かれはクラリネットを習っていて音楽に詳しく、家に遊びに行くと大きなステレオ装置がありました。自分の家には30cm四方くらいのモノラルのレコード・プレイヤーしか無くて、当然いつも圧倒されていました。

そして、教えてもらったのは、当然クラシック音楽だけでなく、たくさんのポップスがありました。ビートルズ、カーペンターズ、サイモン&ガーファンクルなどなど・・・これらは、今でもよく聞く音楽として、最近は大人買いで全部を揃えたりしたりしました。

その中で、当時としては異色だったのは・・・何と、ピンク・フロイド。今でも伝説のプログレッシブ・ロック・バンドとして、高い評価を受けています。CK君は、発売されたばかりのアルバムを絶賛して、自分にも強く勧めてくれたんですが、それが「原子心母」です。

そもそも「Atom Heart Mother」という原題を「原子心母」としたのは名和訳だと思います。日本語として意味が不可解なんですが、何か混沌とした凄いものが渦巻いているような印象を与えました。

すでにピンク・フロイドを知っている多くの人には、今更何をかいわんやくらい有名なアルバムです。ロックのサウンドにブラス、ストリングスのオーケストラと合唱団が加わるという、まさにサイケデリックとクラシック音楽が融合した、現代音楽風の前衛的なサウンドが23分間に渡って圧倒的に迫ってきます。

ピンク・フロイドにとっても、最初に商業的成功をもたらしたアルバムですが、自分にとっても衝撃的でした。そもそもアルバム・ジャケットで「何じゃこりゃ?」となる。草原に乳牛の写真があるだけ。わけがわからないけど、ものすごく強い印象を与えました。

そして、レコードに針を落とすと、冒頭すぐにバイクがエンジンをかける爆音が響き、なんと右から左に走り抜けていくんです。今では、誰も驚かないと思いますが、ふだんモノラルでしか音楽を聞けない環境だった自分には、CK君宅のステレオ装置でまさに立体音響の体験は驚天動地でした。

最近でもYouTubeでは、大勢の演奏者によって完全再現する動画がいくつか見ることができます。今でも、多くの音楽家や愛好者に影響を与え続けている音楽であることの証明だろうと思います。