関節リウマチの治療薬の値段というのは、皆さん当然気になるところ。現状では多くの患者さんは一生付き合っていかないといけないわけですから、病気にかかる医療費というのも無視することはできません。今日は、とりあえず薬の値段について、ちょっとだけ考えてみます。
主な内服薬の値段を列挙してみましょう。
リウマトレックス 2mg
344.4円/カプセル 通常の3カプセル/週で使うと4週間で4132.8円(3割負担で1240円)
アザルフィジンEN 500mg
78.6円/錠 通常の2錠/日で使うと4週間で4401.6円(3割負担で1320円)
リマチル 100mg
80.2円/錠 通常の2錠/日で使うと4週間で4491.2円(3割負担で1347円)
プログラフ 1mg
905.2円/カプセル 通常の3かぷセル/日で使うと4週間で76036.8円(3割負担で22811円)
こうしてみると、現在最も多く使われているリウマトレックスというのは、一番薬代も安いということがわかります。ただし、量が増えることはいくらでもありますので、いつでもというわけではありません。またプログラフは、ずば抜けて高い薬であることがわかります。
対費用効果という考え方からすれば、リウマトレックスは最も効果的と考えられます。多くの患者さんがこの薬でコントロールがつくことが、国の医療費の問題にも優しいかもしれません。
ところが、日本の保険医療は制度としては大変素晴らしいのですが、そのかわり現実の治療方針に沿った治療からするとかなり遅れた考え方の上に成り立っています。
大半の最新の治療は保険がききません。薬にしても、決められた用法・用量以外の使用はまったく認められていません。リウマトレックスのような薬を、もっと自由に使えれば患者さんだけでなく、国にも大変恩恵があるだろう事は容易に想像できますが、実際には許されていないのです。
そこで、より新しい強力な効果が期待できる生物学的製剤を使うことになり、実はより多くの医療費がかかるというのが現実なのです。
では、生物学的製剤の値段を列挙してみます。
レミケード 100mg
100285円/本 体重60kg以下のかたは8週間ごとに2本を点滴しますので4週間なら1本分(3割負担で30086円)
ただし、点滴料などは含みません
エンブレル 25mg
15309円/本 2本/週で皮下注射しますので、4週間で122472円(3割負担で36742円)
ヒュミラ 40mg
71097円/本 2週間に一度皮下注射しますので、4週間で142194円(3割負担で42658円)
アクテムラ 200mg
59380円/本 体重50kg以下のかたは4週間に一度2本使って点滴します(3割負担で35628円)
ただし、点滴料などは含みません
これに通常の診察料や指導管理料、そして検査料などが加わりますので、実際にかかる医療費は人によって様々です。事情が許せば、生物学的製剤の効果は内服薬の比ではないので、社会活動の大幅な改善からくる経済効果ははかりしれません。
とはいえ、やはり高いですよね。すぐに使いますとはなかなか言いにくい値段です。高額療養費制度があってもほとんど恩恵はありません。社会保険の方でも、以前比べ自己負担限度額は引き上げられているようで、なかなか大変です。
リウマトレックスのような内服薬を可能な限り高用量で用いて、効果がないならできるだけ早期に生物学的製剤へ移行するというのが、理想的な治療戦略であると考えられます。しかし、現実には保険制度の壁と薬の値段の高さが、治療のボトルネックになっていることは間違いありません。
2014年9月1日 追記
このエントリーへのアクセスが多いので、最近の薬の価格などについて新たに書き込んでいますので、 そちらも参照していただければと思います。