実質的に2007年に結成された当初は、バンド名は日本語表記の「世界の終わり」で、Fukaseがボーカルとギター、Saoriがピアノ、Nakajinがドラム、そしてDJ LOVEがベースというよくあるメンバー構成でした。しかしDJ LOVEが2008年に脱退し、裏方などで活動を手伝っていた二代目DJ LOVEが加入したとたん、音楽事務所との契約ができました。
それまで自分たちの手作りのライブハウス「Club Earth」だけが活動拠点でしたが、2010年のインディーズ・デヴューにより対外的なライブを行うようになり、11月から12月にかけて初めてのワンマン・ライブ・ツアーを行うことになります。
その最終日、12月23日の東京・渋谷でのライブが初めて映像作品として発売されました。C.C.Lemon Hallというのは、渋谷公会堂のことで2005年~2011年にサントリーが命名権を保持した時期の期間限定の呼称です。キャパシティは2000人程度ですが、国内外のアーティストにとってはここでの成功が未来に大きく関与するするといわれた重要なホールです。
ここでは、メジャー・デヴュー直前、まだ多くの人々に知られるようになる前の彼らのステージを見ることができます。ステージ上手から、Saori、Fukase、DJ LOVE、Nakajinが並ぶわけですが、第一印象としては、やはりベースとドラムがいないのは違和感を禁じえません。だからと言って音がしないわけではない。
当然、ベースとドラムは、打ち込みによるサウンドが使われているわけで、DJ LOVEがそれらをコントロールしている(?)のでしょうか。手元が映る映像は多くはないので、はっきりはしませんが、そうだとするとあらかじめプログラミングされていてライブ感というのは減ってしまうかもしれない。その一方で、意外にもNakajinのギターソロがあったりして、舞台構成が絶妙に計算されているのはインディーズ・バンドとしてはなかなかのものかもしれません。
どは言え、最初の「ファンタジー」が始まると、いろいろな心配は吹き飛ぶ楽しさです。この曲はこの頃の彼らのスターティング・チューンとしては、もっとも観客の心を掴みやすい。ところが、ここから彼らの深遠なる世界が続いていくわけで、2曲目の「虹色の戦争」ではアップテンポの陽気な曲調にもかかわらず、歌われていることは「あらゆる生き物を殺してはいけない」とかなり辛辣です。
3曲目は「世界平和」という、あまりお目にかからないダイレクトなタイトルで、内容も偽善を糾弾するような厳しいものです。そうかと思うと次の「白日の夢」はかなり内省的な歌。さらに「天使と悪魔」では、正義という不確かなものを歌い、「死の魔法」では生と死に入り込んでいくのです。
インディーズ・デヴュー曲の「幻の命」は、死んだこどもがUFOに乗って銀河の彼方に消えていくというファンタジー色があるものの、それを「僕らのこども」、「(英語で)2005年4月30日、幻の命の名前はツクシ」と歌うのは、かなり現実感がある内容で、凄みさえ感じてしまいます。そして、哲学的で自分には内容が理解できない「青い太陽」と続きます。そして最後に、再び「インスタントラジオ」で楽しいファンタジーに戻って終わります。
彼らの曲自体はそれほど複雑なものはありませんが、聞き流せる単なる恋愛ソングは一つもなく、とにかく独特の歌詞を無視することができない稀有な音楽だと言えます。DVDの最後に男女の若者たちが「セカオワ最高!!」などとメッセージを送っているんですが、そんな安直なものではないと思います。相当、本腰を入れて聴いて見ていかないといけないバンドだと感じました。
