ピューリッツァー賞(Pulitzer Prize)は、アメリカの新聞王ジョセフ・ピューリッツァーの遺志に基づき1917年に創設された権威のある賞で、誰もが一度は見たことがある報道写真などが受賞作品として有名です。ただし、M.ミッチェルの「風と共に去りぬ」やE.ヘミングウェイの「老人と海」のような文学作品も受賞しています。
また、実は音楽部門というのもあって、そのほとんどがクラシック音楽関係の受賞でしたが、数人のジャズ畑からの受賞者もいて、特に驚かされるのは2018年にラッパーのケンドリック・ラマーが受賞していることでしょうか。
そして、我らがボブ・ディランも、2008年に部門からは離れて特別賞を受賞しました。特別賞は、優れた功績を残した人物が対象で、ディランの場合はポピュラー音楽やアメリカの文化に多大な影響を与えてきたことが評価されたものです。特別賞は、過去にはジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク、デューク・エリントンといったジャズの巨匠が受賞しています。
これに対してディランは・・・ノーコメントを貫きました。日頃から他人による自分の評価に対しては、(自分が不調の時を除いて)ほとんど知らんぷりを決め込んでいるディランですから、らしいと言えばらしいわけで、その時でも淡々とツアーを続けていました。
秋頃になって、映画監督のオリヴィエ・ダアンから、映画の主題歌の書き下ろしの依頼が来ます(出演ではありません)。映画は「My Own Love Song」というタイトルのレネー・ゼルウィガー主演のロード・ムービーで、引き受けたディランは早速グレイトフル・デッド専属の作詞家ロバート・ハンターに協力を依頼して「Life Is Hard」を書き上げ、12月にスタジオで録音を行いました。
すると、あれよあれよという間に、次々にアイデアが湧いてきてアルバムが作れるほどになりました。これは、よほどセッションの雰囲気が良かったということらしい。ハンターと共作するのは「Down in the Groove」以来でしたが、1曲を除いてすべてが共作になっています。
ツアーのレギュラー・バンドのメンバーの他に、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのマイク・キャンベルのギターとロス・ロボスのデヴィッド・ヒダルゴのアコーディオンが効果的にフィーチャーされました。プロデューサーはジャック・フロスト(ディランの偽名)です。
前2作のようなオールド・アメリカン再発見という趣向は薄まりましたが、モダン・ブルース、モダン・ロックンロールというような古くて新しい雰囲気に統一されたアルバムになりました。2009年4月に発売されると、音楽各誌は高い評価をし、ビルボード誌でも週間1位に輝く成功を収めました。発売形態は、1枚組CDと2枚組LPレコードでしたが、ディラン出演のラジオ番組の音声と元マネージャーへのインタビューを収録した3枚組CDのデラックス版も作られました。
スタートはラテン調で、映画の主題歌「Life Is Hard」は2曲目の哀愁漂うカントリー調のバラードです。続いては「妻の故郷は地獄」というブラックなブルース。全体的にはミディアム・テンポで、落ち着いた大人の音楽という感じで、都会的だったり泥臭かったりと雰囲気で一気に最後まで聞かせます。
Beyond Here Lies Nothin'
Life Is Hard
My Wife's Home Town
If You Ever Go to Houston
Forgetful Heart
Jolene
This Dream of You
Shake Shake Mama
I Feel a Change Comin' On
It's All Good
Bob Dylan (vo, g, key)
Mike Campbell (g, mandolin), Tony Garnier (b)
Donnie Herron (steel guitar, banjo, mandolin, trumpet)
Donnie Herron (steel guitar, banjo, mandolin, trumpet)
David Hidalgo (accordion, g), George Receli (ds)
December 2008, Jackson Browne Studio, Los Angeles
☆☆☆☆☆☆☆・・・
December 2008, Jackson Browne Studio, Los Angeles
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