2013年6月12日水曜日

Andrew Manze / Tartini Devil's Sonata

すごいタイトルです。クラシック音楽の世界に、こんな扇情的な曲名があるというのも驚きですが、なにしろ大バッハと同じ時代の作曲家、タルティーニの代表作。ヴァイオリンソナタという扱いですが、悪魔のソナタ(Devil's Sonata)、または悪魔のトリル(Devil's Trill)と呼ばれています。

まぁ、タルティーニの夢枕に悪魔が登場して、演奏したヴァイオリンのメロディを思い出して作曲したという有名な逸話が残っています。バロック期の音楽なので、通常は鍵盤楽器と通奏低音つきのトリオで演奏される。

以前に発表されたものでは、女王ムターの演奏がありますが、オーケストラ版で、主役のバイオリンは普通の感じで、あまり凄さを実感しませんでした。最近では若手のベネディティが、ピアノ伴奏で収録していました。

アンドリュー・マンゼは、ピノックの後を受けて古楽器演奏をするイングリッシュ・コンサートを率いる、古楽器バイオリンの名手。ここでは、なんと、無伴奏で悪魔のソナタを弾ききるのです。

無伴奏ヴァイオリンというと、バッハのパルティータやパガニーニのカブリースがすぐに思い出されますが、それらでもヴァイオリン奏者としては高度のテクニックを要求されます。しかし、ここではその上をいく超絶テクニックが必要。

無伴奏は、もともとタルティーニ自身が想定した演奏形態だそうで、ここでのマンゼはもともと響きの少ない古楽器のみで、とにかくものすごい演奏を展開します。この曲の録音としては、もう間違いなく決定版であり、マンゼのアルバムとしても代表作でしょぅ。