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2013年6月23日日曜日

Tal & Groethuysen / Schubert Complete Music for 4 Hands

シューベルトは、1797年オーストリア、ウィーン近郊の生まれ。

18世紀というと、イギリスで産業革命が起こり、ヨーロッパで近代化が急速に始まった時代。シューベルトが生まれた頃は、フランスではまさにフランス革命真っ只中。アメリカは独立戦争に勝利。日本では、田沼意次の改革により江戸が文化的にも最盛期を迎える。

シューベルトは聖歌隊に入って、わずか7歳頃に音楽的才能を認められます。12歳で神学校の寄宿舎に入って、友人の支えで音楽的に充実した生活を送るのです。

そして1810年、13歳のときのノートに書かれた4手ピアノのための幻想曲が、わかっている最初の作品となります。 ベートーヴェンらの影響を明らかに受けた、古典的な作風の曲ですが、ゆったりとした出だしで、しだいに手数が増えていき、スピードを変えたりといろいろな変化をつけながら、20分以上のかなりの大作といえるかもしれません。

シューベルトは多くのピアノ独奏曲を作曲していて、この分野では歴史上10本の指に入るような大作曲家として認められていると思います。しかし、最初の作品が4手ピアノ作品であった事は、実に興味深いことです。

実際、シューベルトは60曲あまりの4手ピアノ作品を作曲しているのです。この分野は、多くの有名作曲家の作品があるにもかかわらず、比較的扱われる事が少ないのです。シューベルトの場合にも、ごく一部の数曲だけが演奏されたり録音されるだけで、ほとんどの曲は聴く機会はほとんどありません。

したがって、4手ピアノ曲の全集というと、おそらくこれが唯一のものではないかと思います。 演奏しているのはタール&グロートホイゼンという男女の常設ユニット。このジャンルでは、多くの作品を残しており、息もぴったりで大変素晴らしい演奏を展開します。

自分は、シューベルトの独奏ソナタにはまっていろいろ聴き漁っていますが、実はその前に何の気なしに買ってみたのがこの全集でした。

特に晩年、有名な独奏ソナタと同じ時期の作品として、アレグロ D947は出版時に「人生の嵐」というタイトルがつけられました。まさに、そのタイトルにふさわしい内容ですが、実に晩期シューベルトらしい作品。

1827年、ベートーヴェンが死去し、そしてシューベルトも翌年、わすが31歳で亡くなりました。あまりにも短い人生ですが、その中で持てる天才を出し切った生涯だったかもしれません。