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2013年6月22日土曜日

G.Wallisch / Schubert Incomplete Sonatas

以前にも書いたみたのですが、あらためてシューベルトのピアノ・ソナタについて整理してみます。なんで、そんなことをするかというと、第21番まであるソナタですが、実に未完成が多く、断片・断章が入り乱れて、混乱しまくっているということなんです。

第1番 ホ長調 1815年 D157
第4楽章を欠く3楽章構成。スケッチとして、D154があるが未完。

第2番 ハ長調 1815年 D279
これも第4楽章が欠落。アレグレットD346が第4楽章という説がある。

第3番 ホ長調 1816年 D459
もともとソナタとしてはっきりしているのは最初の2楽章だけ。D459Aとしてあと3つが加えられ、5つのピアノ小品として死後に出版された。現在は5楽章のソナタとして扱われている。

第4番  イ短調 1817年 D537 作品164
初めて全3楽章として完成したソナタ。第2楽章は、第20番の終楽章主題へ転用されている。

第5番 変イ長調 1817年 D557
全体が短く、3楽章構成。第4楽章が欠落という説もある。

第6番  ホ短調 1817年 D566
2楽章まで、または3楽章構成。ロンドD506が最終楽章として扱われることがある。

第7番 変ホ長調 1817年 D568 作品122
4楽章構成で完成。異稿としてニ長調D567がある。D567を第7番、D568を第8番とする場合がある。

第8番  嬰ヘ短調 1817年 D571
第1楽章の途中までのみ。

第9番 ロ長調 1817年 D575 作品147
4楽章構成で完成。

第10番 ハ長調 1818年 D613
2楽章のみで断片のみ。アダージョD612を間に入れて、全3楽章として構成する場合がある。

第11番  ヘ短調 1818年 D625
3楽章構成。アダージョD506を第3楽章にもってくる場合がある。

第12番 嬰ハ短調 1819年 D655
第1楽章の途中までのみ。

第13番 イ長調 1819年 D664 作品120
3楽章構成で完成。

第14番 イ短調 1823年 D784 作品143
3楽章構成で完成。

第15番 ハ長調 「レリーク」 1825年 D840
第2楽章まで完成。第3楽章と第4楽章は途中まで。補筆完成版がいくつかある。

第16番 イ短調 1825年 D845 作品42
4楽章構成で完成。ピアノ・ソナタとしては、初めて出版された。

第17番 ニ長調 1825年 D850 作品53
4楽章構成で完成。

第18番  ト長調 「幻想」 1826年 D894 作品78
4楽章構成で完成。

第19番 ハ短調 1828年 D958
4楽章構成で完成。

第20番 イ長調 1828年 D959
4楽章構成で完成。

第21番 変ロ長調 1828年 D960
4楽章構成で完成。

以上ですが、青色のものが完成しているもの。いやはや、ずいぶんと長々とした、もったいつけた前置きです。

D157(No.1), D279(No.2), D459(No.3), D557(No.5), D566(No.6), D567(No.7a), D571+D604(No.8), D625(No.11), D655(No.12), D769a(D994), D840(No.15)・・・こんだけのものを録音したピアニストがいます。

よ~く見てもらうとわかりますが、要するにまさに未完のものばかり、途中で終わっているものは途中までという、なんとも快挙というか、無謀というか。

もう、マニアによるマニアのための録音。音楽鑑賞という趣味の中では、完成したものだけでも十分すぎるくらい楽しめるのに・・・いや、十分楽しんだからこそ、それ以外のものを聴いてみたくなるってもんです。

演奏したのはゴットリーブ・ヴォリッシュという人。比較的、Bランクの量産メーカー・・・というと失礼ですが、NAXOSレーベルからCD3枚にわたって出されたもの。

まぁ、内容はともかく、こんなのもクラシック音楽を楽しむ一つの方法かもしれませんね。