日本のクラシック音楽界で、最近最も話題をさらった音楽。作曲したのは佐村河内守(さむらごうちまもる)で、その人としての話題が様々なメディアで取り上げられ、一気に知名度を上げました。
最も衆人の注目を集めた点は、佐村河内守は聴覚障害があり、耳が聞こえないということ。聴覚障害に苦しんだベートーヴェンに例えて扱われることが多く、また両親が広島で被爆した被曝二世であることもメディアの取り上げやすいポイントでした。
本人は、そういう点を表に積極的に出すことを好まず、うるさい制約にかかわりたくないという事もあって、独学で作曲を続け、コンピュータゲームの音楽なので頭角を現してきたとのこと。
でもって、確かに興味をひくわけですが、何となくてを出すのをためらっていたところ、ひょんなことからCDが手に入りました。何と、自分の母親がタワーレコードに行って買ってきた。あんたクラシック聴くみたいだから、これ聴きなさいってんで渡された。
そこで、いろいろな情報はこの際シャットアウトして、純粋に音楽として聴いてみた。
結論から言うと、・・・つまらない。
最初から最後まで、膨大な音の洪水が押し寄せては引いていき、時に不協和音が入り、なんと80分を超えるという超大作を最後まで聞き続けるのは苦痛でした。
あくまでも、個人の感想であり、好みの問題ですから、こういう残念な感想はお許しいただきたい。おそらく、これだけの音を整理して組み上げること自体は、ものすごい才能なんだろうと思います。
ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィッチなどのロマン派交響曲に近い物があり、それらには熱狂的なファンがいますので、もちろん大絶賛する方々は大勢いてもいいのですが、おそらくそういう人でも長すぎると思うことは少なくないのでは。
ひたすら音の洪水と感じてしまう自分にとっては、各楽章が10分程度であれば許容範囲かもしれません。疲れてしまって、音を楽しめないのでは音楽ではありません。
難しい内容で、簡単には理解されないようなものが、より芸術性が高いと評価されるようなところがありますが、芸術は多くの人に何らかの精神的影響を及ぼすもので、その時代に理解されなければいけない。
佐村河内守のハンディキャップのことがあるので、批判的なことは表だって書きにくい雰囲気があるのですが、少なくともオリコンの売り上げランクに登場するような音楽ではないと思います。これは、辻井くんの時もそうなんですが、メディアの取り上げ方に問題があるのでしょうね。
とにかく、佐村河内守の才能を否定するつもりはまったくありませんし、同じ日本人としても次の活躍に期待したいと思います。
それにしても、うちのおばあちゃん、これを聴いてどう思ったのかしら・・・