2020年2月11日火曜日

Michael Gielen SWRSO / Mahler Complete Symphonies (1988-2003)

ミヒャエル・ギーレン(Michael Gielen, 1927-2019)は、ユダヤ系のドイツの指揮者で、1950年頃から頭角を現し、スウェーデン、ベルギー、フランクフルト、ロンドン、シンシナティなどのトップを歴任し、1986年から南西ドイツ放送交響楽団の首席に就任し活躍しました。

基本的には冷静さを保ち、きっちりと音楽を積み上げていくタイプのようで、マーラーについてもあまり特徴的な所はありませんが、レベルが高いとはいいにくい南西ドイツ放送響をうまくまとめ上げて、堅実な音楽を聞かせてくれます。

一部は21世紀にかかって完成したHansslerの全集ボックスには、以下が含まれます。

1988年 第4番 クリスティーネ・ウィットルジー(S)
1989年 第10番(アダージョのみ)
1993年 第7番
1996年 第2番 ジュリアン・バンス(S) コルネリア・カリッシュ(Ms)
1997年 第3番 コルネリア・カリッシュ(Ms)
1998年 第8番
1999年 第6番
2002年 第1番
2003年 第5番、第9番

ギーレン全集の第6集として登場した現行ボックスでは、CD4枚、DVD1枚が追加された「完全版」になっています。追加収録されたものは以下の通り。

1992年、2001年 大地の歌 コルネリア・カリッシュ(Ms) ジークフリート・イェルザレム(T)
1998年 さすらう若人の歌 ペーテル・マッテイ(Br)、亡き子をしのぶ歌 コルネリア・カリッシュ(Ms)
2005年 第10番(クックによる補筆完成版)
2009年 花の章
2009年、2011年 少年の魔法の角笛(12曲) + 原光 + 天井の生活 クリスティアーネ・イヴェン(S) ハンノ・ミュラー=ブラッハマン(Br)
2012年 リュッケルト歌曲集 エリザベス・クルマン(Ms)

DVDは2003年の第9番のライブ映像が収録されています。

独唱者として登場するカリッシュは、比較的聴きやすい安定した歌唱です。ただし、第4番のウィットルジーは残念。声質もいまいちですが、やはりソプラノで歌われるとキンキンしてしまう。

ギーレンは昨年亡くなりましたが、追悼盤として第6番の1971年と2013年の新旧ライブを収録されたアルバムが発売されています。同じオケによる3つの録音は、演奏時間に如実に違いが出ています。

1971年 21:04 - 12:02(Schrzo) - 13:15(Andante) - 27:36
1999年 25:01 - 14:36(Schrzo) - 14:46(Andante) - 30:40
2013年 27:45 - 15:31(Andante) - 16:09(Scherzo) - 34:40

冷静沈着なギーレンでも、年を重ねるたびにテンポが遅くなる「巨匠化現象」があるようです。ただ遅くすると間延びした演奏になってしまうので、やはり主観的・主情的な部分が強調されてきているということかもしれません。

いずれにしても、ドライなんだけどホットなマーラーとして定番と呼べる演奏です。