2020年2月28日金曜日

Valery Gergiev LSO / Mahler Complete Symphonies (2007-2011)

モスクワ出身のロシア人、ヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev, 1953-)の初期の功績の一つはアンナ・ネトレプコを世に送り出したことかもしれません。日本の地方オケとも多数の共演をしてきましたが、2007年にロンドン交響楽団の首席指揮者に就任すると、すぐさまマーラーの交響曲に手をつけました。

ロンドン響は、これまでに多数のマーラー作品に関わってきましたが、同一指揮者による全集はゲルギエフが初めてです。ショルティとのプロジェクトは、ショルティがシカゴに転出したことで頓挫しています。

21世紀の全集らしく、このシリーズもSACDで高音質化が図られ、またロンドン響の自主レーベルからのライブ録音による登場です。ボックス化されても、全10枚ということからもわかるように、比較的速めの演奏。

2007年
第6番
第3番 アンナ・ラーション

2008年
第1番、第7番、第10番(アダージョのみ)
第2番 エレーナ・モシュク、ズラータ・ブルィチェワ
第4番 ラウラ・クレイコム
第8番 ヴィクトリヤ・ヤーストレボワ、アイリッシュ・タイナン、リュドミラ・ドゥディーノワ、リリ・パーシキヴィ、ズラータ・ブルィチェワ、セルゲイ・セミシクール、アレクセイ・マルコフ、エフゲニー・ニキティン

2010年 第5番
2011年 第9番

なんと、6曲は2008年に集中的に一気に収録されています。首席就任直後からのこのハイペースを、乗りに乗ったものとして良しとするのか、練り込み不足で悪いと思うのか、意見が割れるところかもしれません。

特に6番、7番当たりのテンポは、明らかに「速め」を通り過ぎた演奏で、ゲルギエフ本人は重くならないように心掛けたと語っていることがテンポに表れているようです。

ゲルギエフは、早くも2016年からは、今度はミュンヘンフィルの自主レーベルで第2番、第8番、第6番を録音していて、こちらも全集化を視野に入れているような動きになっています。だとすると、ロンドン響とのゼ週には満足していないのかもしれません。