2020年2月25日火曜日

Jonathan Nott Bamberger SO / Mahler Complete Symphonies (2003-2011)

ジョナサン・ノット(Jonathan Nott, 1962-)はイギリス人。詳しい活躍の情報はあまり見当たらないのですが、2000年にバンベルク交響楽団の首席指揮者となり、マーラーの交響響全集を完成させました。2014年からは東京交響楽団の音楽監督に就任しているので日本では比較的知名度が高まっています。

ちなみに、マーラー物でおなじみの東京都交響楽団(略して都響)とは別物の団体で、映画会社の東宝が作ったもので略する時は東響とするようです。

21世紀のクラシック音楽業界のこの手のプロジェクトは、もうSACDが当たり前になっている感があります。ただし、昨今のご時世を見ていると、特別なハードを必要とするSACDよりも、ハイレゾ配信の方が盛んになっているように思います。

それはさておき、バンベルク響は第2次世界大戦後に、ドイツからチェコに逃れていた音楽家を中心に結成されたオケで、ある意味マーラー演奏の伝統が無い分、実直にノットのマーラー解釈を現実化させているということのようです。

そのノットの解釈ですが、基本的には楽譜をしっかりと読み込み、マーラーの細かい指示の意味を実践しているようです。けして感情に走る演奏ではなく、丁寧に音を積み上げていく感じ。ただし、そこから全集を作る価値、または独自性を出すことは難しい。ちょっと間違えれば、音質が良いだけの音楽になってしまいます。

全体的には、特に演奏時間が長いわけではないのですが、比較的ゆったりした感じの演奏で、各楽器のそれぞれの音がわかりやすい。マーラーがしばしば指示に使った"nicht eilen (急がない)"を実践しているのだろうと思いました。

2003年 第5番
2006年 第4番 モイカ・エルトマン
2008年
第1番、第6番、第9番
第2番 アンネ・シュヴァネヴィルムス、リオバ・ブラウン
2010年
第3番 藤村実穂子
第8番 ヤニナ・ベヒレ、ミハエラ・カウネ、マリソル・モンタルヴォ、マヌエラ・ウール、リオバ・ブラウン、シュテファン・フィンケ、ミハエル・ナジ、アルベルト・ドーメン
2011年 第7番

個人的には第3番で藤村実穂子が登場しているのが嬉しい限りです。

第10番は含まれませんが、全集ボックス完成後の2018年にアダージョのみの東響との演奏が登場しています。

「大地の歌」は2016年に、すでに紹介したヨナス・カウフマンの独唱、ウィーンフィルによるものも評判になりましたが、同じ2016年にバンベルク響とのものも最近登場しました。こちらはスティーヴン・ガッド(Br)、ロベルト・サッカ(T)というよくある組み合わせです。