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2020年2月24日月曜日

David Zinman TOZ / Mahler Complete Symphonies (2006-2010)

デビッド・ジンマン(David Zinman, 1936-)は、マーラー交響曲全集を完成させたもう一人のアメリカ人指揮者。

1958年からピエール・モントゥーに師事し、モントゥーの助手を務めながら腕を磨きました。1965年以後、ネーデルラント室内管、ロチェスター・フィル、ロッテルダム・フィル、ボルティモア響などで活躍し、1995年にチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の音楽監督に就任。古楽奏法を取り入れるモダン・オーケストラに育て上げました。

マーラー交響曲全集は、大手の旧RCAでセッション録音されましたが、SACDで角笛交響響と呼ばれる1~4番を一気に2006年に収録していることから、事前に十分実演もしていて周到に準備されたものだろうと想像します。

ただ、2010年の生誕150年、2011年の没後100年に間に合わせるという意図は感じられ、スタートダッシュの急ぎすぎは否定できないところ。

ボックス化される頃にRCAがSony Classicalに吸収され、Sonyから通常CDによる廉価版ボックスが登場していますが、これは音質の低下が著しいという評判ですので注意が必要。

2006年
第1番 + 花の章
第2番 ユリアーネ・バンゼ、アンナ・ラーション
第3番 ブリギット・レンメルト
第4番 リューバ・オルゴナソヴァ
2007年 第5番、第6番
2008年 第7番
2009年
第8番 メラニー・ディーナー、ユリアーネ・バンゼ、リサ・ラーション、イヴォンヌ・ナエフ、ビルギット・レンメルト、アンソニー・ディーン・グリフィー、シュテファン・パウエル、アスカー・アブドラザコフ
第9番
2010年 第10番 カーペンター版

第1~8番は、あまり個性は感じませんが、素直な明朝体の演奏です。良好な音質によって、大変聴きやすくスタンダードな演奏になっています。

第9番は出だしが妙にゆっくりで、あれっという感じですが、途中から普通になる。第10番は全曲版としては一番多く演奏されているクック版ではなく、最も早くに発表されたカーペンター版を使っています。

国際マーラー協会は、補筆版はマーラーの意に反すると批判し、第1楽章のみを正当な物としています。特に、カーペンター版は、ほぼ総譜が完成していたアダージョ(第1楽章)もいじっていて、補筆と言うよりは編曲版と批判されることが多いもので、この録音は珍しい。