2020年2月8日土曜日

吉村作治×栗本薫「ピラミッド・ミステリーを語る」

わざわざ、昔買った本を再度購入するなんてことはめったにありません。

一つの場合は、好きだった本が手元にすでに無いというケース。何かのきっかけで、もう一度読んでみたくなったという時に買いなおすことがある。

もう一つの場合は、今でも所有しているのですが、扱いが悪かったのか、あるいはページを何度も開いているうちに傷みが激しくなったようなケース。

前者は、現在は持っていないわけですから、再購入はしょうがない。記憶にあるのは、高校生の時に感動した吉村昭の黒部第3ダムにまつわる話を小説化した「高熱隧道」で、映画「黒部の太陽」のブルーレイ発売でもう一度読みたくなりました。

後者は、汚くなったとはいえ今も手元にあるわけですから、読む読まないにかかわらずよほどのお気に入りでないと再購入までするということはない。

例えば、マイルス・デイビスの自叙伝。文庫本で上下巻の2冊で読みましたが、文庫は字が小さくてしんどいのと、2冊に分かれているのが嫌でした。そこで、全一冊の単行本をわざわざ後に買いなおしました。

そして、ヒッチコックとトリフォーの対談「映画術」は、まさにヒッチコック映画ファンにはバイブルのような本で、何度も開いているうちにボロボロになったのと、少しだけ文章が追加された「定本」版が登場していたのでもた買っちゃいました。

そして、最近気がついて買いなおしたのが吉村作治・栗本薫「ピラミッド・ミステリーを語る」という朝日出版社1987年初版の本。

吉村作治は一頃テレビにもたくさん出演していたので知っている人も多い早稲田大学のエジプト学者で、栗本薫は残念ながらすでに亡くなりましたが中島梓名義でも有名なSF小説家。早稲田つながりの二人が、ピラミッドについて語りつくすというもの。

何の気なしに手に取った本でしたが、写真・図版がたくさんあって視覚的にも古代エジプトの面白さが垣間見えて買ったのが30数年前。古代エジプトの面白さはこの本から始まり、他の本もずいぶん読んだのですが、違う本を読む前に再び戻ってくるというアンカー・ブックになりました。

吉村先生がまだメディアに毒される前のもので、生徒の栗本薫に講義をするような対談形式になっていて、文章にも堅苦しさが無く大変わかりやすい。ピラミッドが中心ですが、古代エジプト全般に話題は及んでいて、興味が広がります。

すでにページはばらけてしまい、こぼした珈琲の染みができて読めなくないけど、かなり状態は劣化してしまいました。自分だけで楽しむなら我慢できるところなんですが、今度エジプト旅行をするという知人に貸すことにしたのでアマゾンで買いなおしました。

何かエジプトの本を貸してほしいと頼まれ・・・さすがに人に貸すには、これは汚すぎる。定価は2000円でしたが、さすがに古いそれほど話題にならなかった一般向けの本ですから、アマゾンの古本としてはただ同然の値段だったので気楽です。