2020年2月17日月曜日

Emil Tabakov Sophia PO / Mahler Complete Symphonies (1987-1993)

エミール・タバコフ(Emil Tabakov 1947-)は、ブルガリアの指揮者。ソフィア・フィルハーモニー管弦楽団は、ブルガリアの国立オーケストラですが、両者とも日本語の情報はほとんど見つけられません。

タバコフはコントラバス奏者出身で、作曲家としての活動の方に重点をおいているようで、自作の交響曲はすでに10番まであるようです。

この全集は、数ある中で一番低価格と評判。独唱者は全部確認できていませんが、ブルガリア純国産マーラー全集という意味での価値があるセットです。

1987年 第2番、第10番(アダージョ)
1988年 第5番
1989年 第1番、第7番
1990年 第4番、第3番
1991年 第9番、第8番
1993年 第6番

ぶっちゃけ、残念ながらこのセットはあまり話題に上らない。好きな演奏のランキングみたいなもので無視されていることも珍しくありません。

一つは、指揮者、オーケストラの知名度の問題がある。そして、もう一つは、録音の問題が大きいと思いますが、マイクが遠く、ダイナミック・レンジが狭い。ホールの最深部で聴いている感じで、オケまでの距離がかなりある印象。ただし打楽器は強めというバランスの問題はありそう。

マーラーは舞台裏にバンダと呼ばれるオケの別動隊を用意して、音の遠近感をうまく出す手法を用います。第1番は、オケ全体がバンダになってしまい、ずっと朝もやが晴れずに進行。最終楽章でやっと目が覚めるというところ。第2番でも音が遠い。特に管楽器。

全体に速めの設定で、てきぱき進んでいく演奏です。ところどころで演奏は平坦な感じがしますが、逆に第6番には凸凹感が強いところもあります。

第9番だけは、思い切り遅い演奏です。91分越えは、下手するとバーンスタイン以上。

オケの技術的なことを云々する批評が散見されますが、少なくとも商品として成立するレベルでしょうし、それなりの頑張りは感じられます。おそらくタバコフの表情付けが強いところがあり、聴いていて違和感を感じることが多々あることが関係しているのかもしれません。