現代のマーラー振りで、マリス・ヤンソンスの名前を忘れてはいけません。昨年(2019年)、ヤンソンスの訃報はマーラー・ファンならずとも多くのクラシック音楽愛好者を残念がらせました。
マリス・ヤンソンス(Marris JAnssons 1943-2019)はラトビアに生まれ、レニングラード、ウイーンで音楽を学びました。1971年にカラヤン国際指揮者コンクールで準優勝し注目され、レニングラードフィルでムラヴィンスキーのもとで頭角を現します。
1979年からオスロフィルの首席指揮者、さらに1992年からロンドンフィル、1997年ピッツバーグ響、2003年からバイエルン放送響などの首席を歴任。2004年からはコンセルトヘボウにも常任指揮者として連ねます。
オスロ以後、マーラーの演奏を積極的に開始しましたが、実は遅咲きのヤンソンスは、まとまったマーラーの全集の録音は残していません。ざっと見渡したところ、「大地の歌」が欠落してしまいますが、オケをまたいで交響曲第1~9番は集めることが可能です。
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
第1番 2007年
第2番 2009年 ビデオあり ベルナルダ・フィンク、リカルダ・メルベス
第3番 2011年 ビデオあり ベルナルダ・フィンク
第4番 2015年 ドロシア・ラッシュマン
第5番 2008年
第6番 2006年
第7番 2018年
第8番 2011年 ビデオあり
バイエルン放送交響楽団
第1番 2007年
第2番 2011年 ビデオあり ベルナルダ・フィンク、アーニャ・ハルテロス
第2番 2018年
第5番 2016年
第7番 2007年
第9番 2016年
オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
第1番
第2番 ? フェリシティ・ロット、、ジュリア・ハマリ
第3番 2001年
第7番 2000年
第9番 2000年
ロンドン交響楽団
第6番 2002年
オスロでは少なくとも演奏としては全曲行っているようですし、コンセルトヘボウで第9番をやっていないわけがない・・・思うんですが、バイエルンではおそらく全集にする気持ちがあったように思います。
ヤンソンスが鍛え上げたオスロは、もう二流とは言わせないという気概が感じられる勢いがあります。コンセルトヘボウとのライブは、いずれもさすがにマーラー慣れしたオケですから、間違いない所。一番長いバイエルンは、まさにヤンソンスの手兵。
ヤンソンスの指揮は、変なことはしない。自然に素直に音楽が流れていく感じです。逆に特徴が探しにくいということも言えますが、安心して聴ける堅実な演奏です。
ビデオを見ていると、きりっとした指揮中の顔から、終わった後のくしゃくしゃとなる笑顔がなかなかいいですよね。あと5年は活躍してもらいたかったと思います。