♪こーわくないっ、ア・アン・アン。当時の大人はこの歌詞にどぎもを抜かれたという。山口百恵と同学年の自分は、友達同士の中で自然とアイドルの担当が振り分けられていたのです。
桜田淳子担当に付き合って、所沢の西武園までファンの集いに行き、友人が握手をするところを写真に収め、かわりに千葉県のマザー牧場で初めて行われた山口百恵ファンの集いに一緒に来てもらいました。
2作目の青い果実で大ブレークをして、3作目の春風のいたずらが出るのに合わせて行われたイベントでした。なんか、コートを着ていった覚えがあるので、そんな季節でしょう。
ファンクラブはまだそんなに大きくはなく数千人規模だったと思います。バス数台で行けたくらいですから。屋外の簡易特設ステージでの新曲披露のなかで、最初のテレビドラマ「顔で笑って」の主題歌を百恵ちゃんと一緒に歌うコーナーがありました。
この曲は宇津井健さんと親子でのデュエットという設定になっており、宇津井さんのパートはお父さんの歌詞ですから、これを中高生のファンに歌わせるというのも、随分な企画です。
司会のヒトの「歌いたい人!」の掛け声で、皆が一斉に手を上げるわけで、そんな純真な少年の一人に自分も混ざっていました。しかも、「ハイ、君」と指されたのが自分ですから、そこからは宙に舞う気分で、よく覚えていません。
なんとか歌ってステージから降りてきて、友人に「写真とってくれた?」と聞いたら、「あっ、忘れてた!」というわけで、今となっては証拠はありません。青春の1ページというやつですかね。
その後は、引退するまでしっかりファンをやって、レコードも随分買いました。山口百恵はだんだんよくなってくるんですね。最初の頃は千家和也作詞・阿久悠作曲でアイドル歌謡曲の王道という感じですが、世間でも知られているように阿木曜子作詞・宇崎竜童作曲になって、POPSとしての娯楽性と音楽としての芸術性が加わり、まさに歌謡会最強のトリオだったと思います。
そういう意味で、自分のベストは最後のシングル曲「さよならの向こう側」です。CD持っている人は、今日は是非引っ張り出して聞いてみましょう。