2025年6月25日水曜日

はたらく細胞 (2024)

監督・武内英樹、脚本・徳永友一のコンビによる清水茜原作のマンガの実写化映画。ヴィジュアル的には、キャラクターの再現度が高いことで評判になりました。

体内の様々な細胞を擬人化した表現が大変面白いわけですが、原作やテレビアニメ版と比べると、やはり内容を詰め込み過ぎたせいか物足りない感じは否めません。

体内だけにとどまらず、体の持ち主の人間ドラマをからめたところが映画としてのセールスポイントです。日胡(芦田愛菜)は医学部を目指す高校生で、母親を早くに病気で亡くし、不健康な生活をしている父親、茂(阿部サダヲ)が心配でしょうがない。

日胡の体内にいる、ドジな新米赤血球(永野芽郁)は酸素を運ぶ仕事に慣れるのに精いっぱいで、外敵を排除する仕事をしている白血球(佐藤健)に助けられてばかり。茂の体内は場末のドヤ街の様相を呈していて、新米赤血球(板垣李光人)は、先輩赤血球(加藤諒)に助けられて何とか仕事をしています。

しかし日胡が急性白血病を発症したことで事態は急変します。新しい血球が減ってしまい、次から次へと白血病細胞が臓器を侵食していくのです。治療のために抗がん剤投与と放射線照査によって、白血病細胞だけでなく正常細胞も大きなダメージを受けていくのでした。

最近では主演女優さんのスキャンダルのせいで、すでに忘れ去られた作品になりそうな感じなんですが、見るべきものは佐藤健の「るろうに剣心」を彷彿とさせるアクションとSEKAI NO OWARIのFukaseの悪役振りというところでしょうか。

他にもちょっとずつ出てくる豪華出演陣も見物。山本耕史、仲里依紗、松本若菜、染谷将太、片岡愛之助、小沢真珠、深田恭子、加藤清史郎、DK.KOOなどなどが、どこで出てくるのか探すのも楽しみになっています。内容的にはアニメ版を見たほうが面白いし、よくわかると思います。

2025年6月24日火曜日

もしも徳川家康が総理大臣になったら (2024)

眞邊明人による小説が原作で、「翔んで埼玉」の徳永友一が脚本、「のだめカンタービレ」、「翔んで埼玉」の武内英樹が監督をしました。

新型コロナウィルスのパンデミックにより日本では総理大臣が亡くなり、政府は人工知能IZUMOを使って歴史上の偉人をホログラムにより現代に蘇らせ、1年という期限付きで彼らによる偉人内閣を発足させました。

内閣総理大臣には徳川家康(野村萬斎)、内閣官房長官には坂本龍馬(赤楚衛二)、経済産業大臣には織田信長(GACKT)、財務大臣には豊臣秀吉(竹中直人)がつき、その他の要職には徳川吉宗(髙嶋政宏)、北条政子(江口のりこ)、徳川綱吉(池田鉄洋)、足利義満(小手伸也)、聖徳太子(長井短)、紫式部(観月ありさ)、石田三成(音尾琢真)、土方歳三(山本耕史)らが就任しました。

テレビ局の新人記者西村理沙(浜辺美波)は、坂本龍馬に直接話を聞くことができたため順調に記事を書くことができました。はじめは、国民の誰もが期待していなかったのですが、家康はすぐに鎖国(つまり都市のロックダウン)を断行し、それによって困窮する人々に信長・秀吉の号令の元で手厚い見舞金を支給することで、世界の中で最も早く感染を封じ込めることに成功します。

この結果に国民は手のひらを返したように内閣を支持するようになったため、信長・秀吉らの急進派は解散総選挙により1年という期限を反故にしようと考えます。慎重派の家康が熟考しているうちに、信長のプログラムが何者かによって破壊され、実質的に暗殺されてしまうのです。

秀吉は家康が信長抹殺の犯人だと世間に拡散し、この世界を救えるのは自分だけだと宣伝をするのです。もはや国民は秀吉を崇拝するようになり、秀吉の言葉を疑うものはいなくなってしまいます。何か大きな裏があると感じていた理沙は、坂本龍馬と共に真実を追求することになるのでした。

さすがにコロナ禍をギャグにするには、ちよっと早すぎるというのが第一印象。平和ボケした日本人が政治に興味を無くしている現状を憂いているところはわかりますが、コロナ禍をきっかけにしなくても面白いストーリーは作れたと思います。

そもそもホログラムのはずなのに、偉人たちがどこにでも好きなように行動することへの違和感がつきまといます。タイムワープしてきたというならわかるけど、何か設定からして無理があり過ぎる。

それ以上の感想を言うほどの映画ではないように思いますが、唯一感心したのはGACKTの織田信長は様になっているというところくらいでしょうか。

2025年6月23日月曜日

スパイスカレーとは


インド発祥と言われている「カレー」なる食文化が日本に入ってきたのは19世紀半ば、横浜港が開港しカレー粉が入ってきた時からといわれています。その後、中国料理の「ラーメン」と共に、「カレーライス」として独自の発展により今や国民食として確固たる地位を築いていることは誰もが認めるところ。

典型的なカレーライスは、牛・豚・鶏のいずれかの肉とタマネギ・ジャガイモ・ニンジンをあらかじめ調合されたカレー粉を入れて煮込み、小麦粉でとろみをつけて御飯にかけて食するわけですが、ひとまとめになったカレールゥを使うのが一般的。

ルゥはフランス語で油と小麦粉を混ぜてスープのつなぎに使う物の事で、このことからもカレーライスはいわゆる「欧風カレー」の日本独自の改訂版という趣があります。これに対して、カレー粉に複雑に配合された香辛料 - スパイスを、本家インドのやり方にならってバラバラに加えて仕上げるのが「スパイスカレー」と呼ばれるものです。

90年代初めに大阪の店で始まったとされていますが、「スパイスカレー」という呼び名は水野仁輔さんが2010年に著書で言葉を使ったのが最初で、以後その活動が広まり昨今の「ブーム」に発展したと言われています。

スパイスの基本的な組み合わせはありますが、インドでさえ調理人の裁量によって多種多様なレシピが存在するのと同じで、日本人がスパイスカレーと呼んでいる料理もその中の一つであり、日本独自の発展形と言うこともできます。

スパイスカレーは肝であるスパイスを除くと、驚くほど潔いくらいシンプルです。味付けも塩だけで、ほぼフライパン(あるいは鍋)一つ、コンロ一つあればできてしまいます。時間も早いもので15分、長くても30分以内で完成し、「翌日が旨い」などとまどろっこしいことを考える必要はありません。

ですから、慣れてくるとその日の気分でまったく新しいレシピができるかもしれない。一番美味しいと思うレシピにたどり着いたと思っても、それが正解とは限らないところが面白い。

そこが食べ歩きしたくなったり、趣味としていろいろ作って探求したくなるポイントになっているように思います。

2025年6月22日日曜日

チキンのキーマカレー


よく言われていることらしいのですが、インドには「カレー(curry)」という料理は存在しないらしい。インドの言語でスープを意味するカリ(kari)が語源で、スパイスをふんだんに使った料理がヨーロッパに紹介された過程で生まれた言葉のようです。

ネットでいろいろレシピを探してみると、困ったことに一定の料理名が使われていません。これは、インドが南北、さらには東西で複雑な文化を形成しているため、それぞれの地域でこれが定番というのがまちまち出てくることに加えて、そもそもカレー料理が各家庭で独自の味付けがされていることが原因かもしれません。

ある料理人が「これが決定版!!」と言っていても、他の料理人だと違うレシピがでてきたいりするので、何をどうすれば「本格的」なのかがつかみにくい。ただし、スパイスの基本的な組み合わせはだいたい共通なので、最低限のルールを知ったら、自分の好みに応用すればそれが「本格的」なカレーになるのかもしれません。

キーマカレーは、日本では挽肉を使うカレー料理で、一般に汁は少な目です。ですから、ここで作ったキーマカレーは、湘南海岸あたりで食べるものとはだいぶ違うものになります。注意したいのは肉の種類。インドでは宗教上の理由で牛肉は絶対に口にしません。豚肉もまれで、ほとんどの場合は鶏肉か山羊の肉です。山羊は日本では簡単には手に入りませんから、基本的には鶏肉を使うことになります。

今回はホールのクミンシードを使いました。油を熱して、クミンシードを小さじ1程度いれます。泡が出てきて、香りが油に移ってきたら、みじん切りタマネギ(1/2個分)を入れ炒めます。

やや飴色になったら、ニンニクとショウガのペーストをそれぞれ小さじ1程度入れて軽く炒めます。つぎにトマト缶200g(1/2缶)を入れ、しっかり炒めることでトマトの酸味を飛ばします。

固めのペースト状になったら、ターメリック、コリアンダー、クミンのパウダーをそれぞれ小さじ1、チリ・ペッパー(赤トウガラシ)を小さじ1/2入れたら、よく混ぜながら軽く炒める。スパイスは焦がさないことが大事。ここまでだいたい15分くらいです。

鶏ひき肉は今回は300g程度使いました。水100mlと塩を小さじ1を入れて中火で10分くらい焦がさないように煮込めば出来上がりです。今回は彩を良くするために、緑色のカスメリティを上に散らしました。

ほとんど基本的なチキンカレーと作り方は大差ないので、一度手順を覚えればたいして難しいことはありません。4~5種類くらいの基本スパイスは、普通のスーパーでも簡単に手に入ります。よくある大きさだと、1回購入すれば3~4回は作れますので、是非お試しください。

2025年6月21日土曜日

ワイルド7 (2011)

自分の少年時代・・・って、まぁ半世紀以上も昔の事ですが、こども向けの月刊誌といえば「少年」とか「冒険王」、週刊誌といえば「少年マガジン」、「少年サンデー」、そして「少年キング」の5つが定番でした。いまだに「マガジン」、「サンデー」が生き残っていることは驚異的なことかもしれませんが、当時からキングは三番手に甘んじていた印象で70年代末には自然消滅した印象です。

でも少年キングで最大のヒット作は何? と聞かれれば、望月三起也の「ワイルド7」と答える人は多いのではないかと思います。ロボット、アンドロイド、宇宙人、未来人などなどの超人的な主人公が活躍するマンガばかりの時代に、現代人が悪を退治する活躍をするのですから、まさに「痛快」なアクション物として人気を博しました。

それが映画になったというだけで、大人になったかつての少年としてはワクワクする気持ちはあるのですが、正直に言えば今の時代にそのまま持ってきても「どうなの?」という不安もかなりあります。監督は「海猿」や「暗殺教室」の羽住英一郎、脚本は2時間ドラマ専門みたいな深沢正樹です。

ワイルド7は、草波警視正(中井貴一)が犯罪者の中から選抜した「悪をもって悪を征する」ことを目的とした特殊な警察組織で、通常の警察が手を焼く凶悪犯を「抹殺」することを使命としています。隊員は飛葉(瑛太)、セカイ(椎名桔平)、パイロウ(丸山隆平)、ソックス(阿部力)、オヤブン(宇梶剛士)、ヘボピー(平山祐介)、BBQ(松本実)の7人。

新聞記者の藤堂(要潤)は、超法規的な行動する警察が存在する噂を追いかけていて、新人記者の岩下こずえ(本仮屋ユイカ)と取材を続けていました。テロリストのM108号が国家が秘密裏に開発していた細菌兵器を奪い、東京にばらまくと脅迫してくる事件が発生し、藤堂らも事件に関わっていくことになります。

解決を委ねられた草波は公安調査庁情報機関、通称PSUに出向き最高統括者である桐生(吉田鋼太郎)に協力を頼みます。PSUでは、国民一人一人の個人情報をすべて把握していて、膨大なカメラによってその行動すらリアルタイムに監視することが可能でした。PSUの協力で犯人グループを追い詰めたワイルド7でしたが、何者かによって犯人が射殺されてしまいます。

飛葉に接触してきた本間ユキ(深田恭子)は、両親の復讐としてM108号を追いかけ、すでに何人かを処刑していて今回の射殺のユキの仕業だったのです。飛葉はもう復讐はやめるように強く説得しますが、ユキはあきらめません。

草波は、PSUが今回の細菌兵器強奪事件の初動を遅らせるため、意図的に報告をしていなかった疑いを持ちます。そしてその間隙に桐生が株取引で大きな利益を上げていること、そしてこれまでにも同じような事案が何度もあることを突きとめました。草波に知られた桐生は、ワイルド7を凶悪犯罪集団に仕立て上げ世間に公開し、その首謀者として草波を逮捕させるのでした。地下に潜ったワイルド7のメンバーは、PSUとの対決を決意するのでした。

・・・まぁ、よくある感じのストーリーです。見かけは悪でも実は正義のワイルド7と見かけは正義ですが実態は悪という桐生・・・なんですが、PSUという組織全体ならともかく悪役が桐生一人で、その動機も私利私欲という設定はショボい。巨悪に挑むみたいな映画にするだけのモチベーションが感じにくい。

主役瑛太はそれなりにかっこいいんですが、見た目はともかくやはり原作の飛葉との印象が違うように思います。それにもまして、ワイルド7というばバイクを中心としたカーアクションなんですが、最初の紹介エピソードとPSU突入くらいで、ほとんどが人間アクションになっているのも今一つピンと来ないポイントになってしまいました。

最大の原因は、最大の見せ場で相手がPSUをガードする正規の警官隊というところにありそうです。問答無用で悪を退治するのがワイルド7の醍醐味なんですが、警察官を退治するわけにいかないのでなんともむず痒い感じです。まぁ、峰不二子ばりの深キョンのわずかな活躍だけが見所かもしれません。

2025年6月20日金曜日

屋上のあるアパート (2011)


阿川佐和子の小説が原作のTBSのスペシャル・ドラマ。脚本 は「Dr.コトー診療所」などの吉田紀子、演出は吉田秋生です。

桂木麻子(長澤まさみ)は、何となく生きてきて、やっと就職した小さな出版社が倒産して無職になってしまいました。取材先の料理教室の山本涼子(秋野暢子)には、生きていくことの大変さを知らないと指摘された麻子は、これを機会に一人住まいをする決心をします。

麻子が選んだのは、屋上が皆で使える共用スペースになっているアパートで、早速隣の猪熊マキ(坂井真紀)と仲良くなります。元社長の岡村実 (近藤芳正)は、麻子に後輩の工藤俊太郎(吉田栄作)の広告会社への再就職を世話します。

そこへ、親友で半年前に結婚した片岡由香(芦名星)が突然やって来て、麻子のアパートに居候し始めるのです。麻子とは対照的に、何事にも積極的な由香でしたが、結婚に失敗したのです。しかし、奔放な由香の生活態度に、麻子は少しずつイラ立ちを覚えるのです。

麻子の両親が持ってきた見合いの話で出会った田中幸二(加藤晴彦)は、自分には恋人がいるのでこの話を断ってほしいといいだします。工藤は麻子の仕事ぶりをしだいに信頼するだけでなく、好意を抱くようになります。また田中も、恋人に逃げられたと連絡してきます。

独り暮らしを始めた女性が、見かけ上は自由を手に入れたはずなのに、少しずつ自分を束縛することが増えていく。特に目的がなかった生活がだんだん窮屈になっていくことで、むしろ自分が何をしたいのかがはっきりと見えてくるという内容を適度なユーモアを交えつつ描いている作品ということだと思います。

テレビドラマですから、さすがにあまり派手派手な演出はありませんが、逆に会話劇として面白さが見えてきます。すでに人気が高まっていた長澤まさみとしては、演技者として開眼した時期の作品の一つということもできそうで、ファンの方は必見です(現在TVerで公開中)。

2025年6月19日木曜日

ドジャース公式飲料


大谷選手、ついにマウンドに上がりましたね。

1回だけでしたけど・・・自責点1点ついてますけど・・・2年弱振りですから、投手として復活しただけでも拍手喝采。後半戦は、ローテーション入りの期待が高まりました。

今年はドジャースの開幕戦は日本で行われましたが、それを記念して発売されたのがこれ。

セブンイレブンが独占販売したPRIMEというスポーツ飲料で、ドジャース公式飲料とされました。ボールの縫い目がデザインされていて、いかにもという感じです。

さぞかし人気で、数量限定だったのですぐに売れきれたのかと思ったら、今頃売れ残りの割引販売が行われていました。

そりゃそうだ。定価税込み300円ですよ。いくら何でも強気すぎる価格設定です。

ちなみに割引で180円。このくらいなら、興味本位で買ってもよいかなと・・・

で、飲んでみた。

もう、二度と買わない。何故かというと、めちゃめちゃ甘い。いくら何でも甘すぎる。スポーツ中でも、これはきついんじゃないかとおじさんは思った。

まぁ、人の好みはいろいろですからね。気に入った方はセブンに急げ!!

2025年6月18日水曜日

水槽の引っ越し


うちのクリニックの受付で、けっこうな存在感があるのが水槽です。

もう10年以上前に始めた熱帯魚のためのものなんですが、今ではほとんど管理というほどのことはせず、必ずしも綺麗なアクアリウムとは呼べない状態ですが、患者さんの中にはそれなりに楽しんでくれる方もいたりします。

先日、受付がなんと「大洪水」状態になり、大騒ぎになりました。調べたら、水槽のガラスの継ぎ目の接着が経年劣化によりもろくなったための水漏れという結論になりました。

30L水槽でしたが、満水にするとさすがに一人で簡単に移動できる重さじゃない。それなりの水圧がかかり続けるわけですから、そりゃいつかは継ぎ目はダメになるのは当然といえば当然のこと。

この際、水槽を完全に撤去するという選択肢もあったんですが、それも寂しいことなので、10数年ぶりに水槽を新調しました。

引っ越しはなかなか大変です。完全に新しい水にすると魚へのダメージが心配ですし、そもそも水槽内のバクテリアがゼロになるのは避けたい。

そこで古い方から水を半分くらい移し替えてから魚を移しましたが、これも魚にとってはかなりのストレスだろうと思います。

今度は何とか一人でも動かせる20L水槽に格下げしました。小さくはなりましたが、引き続き楽しんでもらえればと思います。

2025年6月17日火曜日

本格インド・カレー

 


スパイスといえばカレー。

昨日のスパイスを見れば、勘のいい人はすぐ「あー、カレー作るんだ」とわかったと思います。

実は、けっこう昔からカレーは割とこだわって作っていたんです。ですから、今でもスパイス類は割とそろっていて、ふだんのルゥを使って作るにしても、いろいろ追加するんです。

ニンニクとショウガは絶対に追加しますし、クミン、カルダモン、コリアンダーは必須。

いろいろ混ぜて、オリジナルのカレー粉から作ったこともあります。

ただ、何でも入れればいいじゃんという感じだったので、この際、本格的なインドのカレーを作ってみることにしました。

YouTubeなどにたくさん動画がありますが、とりあえず家に買い置きがあるスパイスはすべてパウダーだったので、やや簡略化したレシピになっていると思います。

まずは「飴色タマネギ」作り。どれを見ても、ここを手を抜いてはいけないということらしい。出来たら、ニンニクとショウガ(チューブを使用)を入れて馴染ませる。

そしてカットトマトです。しっかりと水分を蒸発させて、温度を上げることで酸味を抑えられるので、全体がペーストになるまでしっかり炒めます。ここで塩を入れて味を調えます。

用意したスパイスをすべて投入して、塩・コショウで軽く下味をつけておいた鶏モモ肉を入れてよく混ぜる。後は水を入れて10分ほど煮込めば完成です。

今回はより本格を目指して、ライスはインドの長粒米であるバスマティライスを使いました。バスマティライスは炊くというより煮る調理法です。

30分ほど水につけておいて、あとは10分ほど煮る。笊にあけたら湯を切って鍋に戻し、10分くらい蒸しておけばOKです。実に簡単。独特の匂いがありますが、カレーとの相性はさすがにバッチリです。

タマネギとトマトを多めにしたので、思ったほどサラサラではなく、大変食べやすい。今回は鷹の爪を細かくしたものを入れたんですが、辛さはちょっと物足りない感じでした。でも、思った以上にカレーでした。

「ちゃんと」作ると、お家カレーが何段階もバージョンアップした感じです。スパイスさえ揃えば、やることはそんなに難しくないので、誰でもチャレンジできると思います。

2025年6月16日月曜日

スパイス


料理は科学だ!!

・・・と、声高に言える立場ではないことは重々承知なんですが、医学も同じで理屈だけでは割り切れない部分があるのも間違いありません。

特に料理では、「匙加減」という言葉があって、作るの人の直感で同じ材料を使っても出来上がりはピンキリです。

一番その匙加減が出来るところが、調味料じゃないでしょうか。調味料と言えば、真っ先に思い浮かぶのは砂糖・塩・酢・醤油・味噌などですが、その次に味を大きく左右するのがスパイスじゃないかと。

一般に香辛料と言っているのは、スパイスとハーブです。ハーブは主として植物の葉で香草とも呼び、スパイスは種子とか根・茎・皮とかというところが使われます。

・・・と、まぁ、前置きはこのくらいにして、さて、これは何でしょう?

スパイスです。

下から時計回りにクミン、コリアンダー、カルダモン、ターメリック、クローブです。

何に使うんでしょうか?

楽しみ、楽しみ。

2025年6月15日日曜日

浜の朝日の嘘つきどもと (2020)


あれ、ちょっと前にこのタイトルあったやん!! と思った方、ちょっと違います。ちょっと前のは2021年で、今回は2020年。正確には、ちょっと前のは映画版で2021年9月公開で、今回のはテレビ・ドラマ版で2020年10月の福島を皮切りに、2021年1月までに全国のローカル局で順次放送されました。

どちらも福島中央テレビの開局50周年として製作されていて、監督・脚本はどちらもタナダユキ。映画版は主役は高畑充希、準主役として大久保佳代子が重要な役で登場しました。ドラマ版では、高畑充希と竹原ピストルのW主演という形になっています。ストーリーの時系列では映画が先で、そのラストシーンがドラマ版の導入部につながっています。

福島県南相馬にある朝日座は古い映画館。突然やって来た茂木莉子と名乗る女性(高畑充希)の活躍で、何とか閉館の危機をくい止めることができましたが、困難な経営が続いています。ある日、朝日座の前に一人の男性が立っていました。彼は川島健二(竹原ピストル)という無名の映画監督で、唯一任された商業映画が大コケして、失意のあまり死に場所を探していたのです。

ここでもう一度だけ映画を見て感動したら死ぬのをやめようと思う川島に対して、莉子は900円の入場料のところを3500円とふっかけ、いい加減な嘘を織り交ぜてなんで高いのか説明します。川島は「もう俺はお金はいらない」と言い1万円を置いて館内に入るのでした。

映画を見終わって「感動しなかった」川島が出てくると、支配人の森田(柳家喬太郎)が話しかけてきます。川島は問われるがままに、何でここに来たのか話ます。そこへコンビニに行っていた莉子が戻って来て、皆で死に場所を探しに行こうということになります。しかし、山でも海でもしっくりこないという二人に振り回される川島でした。

最後に二人は、朝日座常連で映画愛が強い資産家未亡人の秀子(吉行和子)を川島に紹介します。秀子は川島の唯一の作品を見たことがあるといい、ダメな映画だったけど主人公が「本当にやりたいことをしなさい」というところだけは素晴らしいと褒めました。実はその場面だけが、川島が自分の意見を通したシーンだったのです。

秀子は「朝日座を使う」、「この町のためになる」、そして「自分がやりたいことをやる」という条件を出して、自分がスポンサーになって川島に映画製作を依頼します。莉子、森田、秀子らのぼんやりした説得により死ぬのをやめた川島でしたが、そう簡単には映画にするようなストーリーを思いつかず、それはそれで苦しむことになるのです。

公開順だとこのドラマが先ですが、これだけだと設定が謎だらけ。皆いい人なんですが、言っていることをどこまで信じていいのかわからないくらい自然な嘘を並べ立てています。このあと、前日譚となる映画を見ることで、すべてのやり取りに合点がいくという仕掛けになっている。自分は先に映画を見てしまったんですが、そうするとドラマのやり取りは自然で、むしろセリフにはない深い所を感じることかできて、それはそれで楽しい。

タイトルの「浜の朝日」は莉子の本名である浜野あさひと朝日座のことですが、「嘘つきども」というのは登場人物全員のことで、嘘をつくのは「映画の本質」ということです。町の人々は辛い現実を乗り越えるために「嘘」を使い、人生そのものをあたかも一本の「映画」のように楽しんでいるのかもしれません。

これは是非、ドラマと映画をセットで見るべき作品だと思います。それは、どちらもタイトルが同じというところにも、タナダ監督の強い意図が見て取れます。現在でも、ブルーレイ・ディスクあるいは各種の配信で視聴可能なので、コロナ禍で埋もれさせてはいけない優れた作品として強くお勧めします。

ちなみに川島が朝日座を始めて訪れた時に、上映していたのは「天使にラブソングを」と「ベルリン 天使の詩」の二本立て。このチョイスは映画好きならうなってしまうこと請け合い。どちらも生・死・嘘のキーワードが浮かんでくるところに監督のセンスが光ります。

2025年6月14日土曜日

68歳の新入社員 (2018)

フジテレビの2時間枠の単発ドラマですが、高畑充希と草刈正雄のW主演、オリジナル脚本は岡田惠和。岡田は多くのNHKテレビ小説をはじめ、「最後から二番目の恋」シリーズ、多くの映画を担当したヒットメーカーです。

以前の会社でたまたまヒット企画を出したことで周囲から妬まれ居づらくなった工藤繭子(高畑充希)は、老舗和菓子会社の羊堂本舗の社長(丸山智己)にヘッドハンティングされ、顧客層拡大のための新たに立ち上げられたチームのリーダーとして、会社のイメージアップのためのアイテム開発などの業務を行っていました。

アイテム自体は好評なのですが、和菓子の売り上げ増には直結していないことから、社長は和菓子そのものとの連携した企画を早急に提出して欲しいと言ってきます。しかし、菓子部門の上司は繭子のやっていることに否定的で、顔を見れば嫌味ばかりでとても協力できる雰囲気ではありませんでした。繭子は家に帰ると同居している恋人の小野諒(小瀧望)にぐちを言う毎日で、諒もがんばりすぎる繭子を心配するのです。

8年前に羊堂本舗を定年退職した68歳になる仁井本和夫(草刈正雄)もまた、日々の生きがいを見いだせず妻の文子(原田美枝子)にぐちを言う毎日。たまたま昔の同僚たちと話をしていると、それを聞いていた社長にすすめられて再就職することになりました。

仁井本はかつていた総務部復帰するのかと思っていたら、配属されたのは繭子の部署でした。初対面から繭子は「昔の自慢をして楽しみたいのか、まったくの新人として一から仕事を覚えたいのかどっちですか」と厳しい扱いをします。しかし、仁井本は不慣れなパソコンなども積極的に使えるように勉強して、こどもと同じような年齢の繭子や同僚たちから少しずつ信頼されるようになります。

新しい企画の〆切が近づくものの一向にアイデアがまとまらない繭子は、家に帰ると口癖のように言っていた「疲れた、疲れた」すら言えないくらい追い詰められていました。再び上司に呼び出され、企画はどうなんだと責められ、社長に媚びを売っているんだろうと言われる繭子でしたが、仁井本のことまで悪口を言われついに「ゲス野郎!」と怒鳴って殴ってしまうのでした。

定年後の人生をどう過ごすかは人それぞれだと思いますが、中には仁井本のように生活の張り合いをなくしてしまう人もいるかもしれません。そういう方が、新しい環境で働く場合、やはり「過去の栄光」を表立って持ち出すことは戒めないといけない。でも、「過去の栄光」はその人のベースとして、偉大な経験値になっているわけで、時代が変わってもいろいろな場面で役に立つことを教えてくれる作品です。

繭子は実力はありますが、経験は少なく自分に対しても絶対的な自信を持っているわけではありません。ですから、自分に対する誹謗中傷はいくらでも耐えることができるのですが、その矛先が自分以外に向いた時はそれをはっきりと否定する正義感を持っています。そして、詰め込み過ぎる思いを、うまく吐き出し受け止めてくれる恋人の設定が絶妙です。

性別、年齢、立場などが対照的な二人の主人公を通して、少しだけ生きていくためのヒントみたいなものを感じ取れれば十分に見る価値のあるドラマです。連続テレビドラマほど長すぎず、映画ほど気負っていないので、てきぱきとした進行がちょうどよい作品になっています。

2025年6月13日金曜日

忘却のサチコ (2018)

テレビ東京製作のドラマですが、まず2018年1月に1時間の単発ドラマが放送され、10月から1話30分の全12回の連続ドラマが放送されました。もともとは阿部潤によるグルメ・マンガが原作で、人気の「孤独のグルメ」系のドラマです。脚本は大島里美、狗飼恭子、山岸聖太が共同で担当し、主として山岸聖太が監督を務めています。

出版社の中学館で文芸誌「さらら」編集部に勤めている佐々木幸子(高畑充希)は、几帳面で冗談とは無縁、一切仕事で手を抜いたりせず、食事も栄養ドリンクで済ましてしまう生活。しかし、担当した小説家には全力で協力を惜しまないので、厚い信頼を得ていました。

そんな幸子にも彼氏がいて、恋人の俊吾(早乙女太一)とのいよいよ結婚式の日になりました。しかし、お色直しの間に俊吾は「すまない」というメモを残していなくなってしまうのです。鋼の心を持っているはずだった幸子も、さすがにショックが大きく仕事でミスをするようになってしまうのです。

幸子は「精神的につらくてもお腹は減るのだわ」と、通りかかった食堂に入ると鯖の味噌煮定食を頼みます。そして、これまで食に興味が無かった幸子は、あまりの美味しさに「美味しい物を食べれば一時辛いことを忘れることができる」ことに気がつきます。

それ以来、幸子は一癖も二癖もある小説家とのやり取りでストレスがたまった時、街中で俊吾っぽい人を見かけて心が乱れる時などには美味しい物を求めるようになるのでした。そして、本当に幸せそうに障子をする幸子を見て、誰もが幸子のファンになっていくのです。

編集長は吹越満、同僚は逢沢りな、重岡獏、上地春奈、生意気な後輩に葉山奨之、幸子の母親にふせえりなどがレギュラーで出演しています。小説家には、鹿賀丈史、長谷川朝晴、池田鉄平、大和田伸也らが登場します。

「孤独のグルメ」よりはドラマ寄りの進行ですが、登場する店は実在のもので、どれもが食べて見たくなるものばかりです。近江牛のすき焼き、刀削麺、温玉カレー、マグロ丼、ナポリタンなどの他、宮崎県に出かけてのご当地グルメなどなどが紹介され、よだれダラダラ請け合いです。

行方不明になった俊吾と再会し、恋の結末はいかに?! というストーリーも十分に楽しめます。それにしても、こういう際立ったキャラクターの女子を演じさせると、高畑充希の右に出る者はなかなか見つけられないくらい、突き抜けた演技はなかなか見事です。

2025年6月12日木曜日

浜の朝日の嘘つきどもと (2021)

最初は2020年に1時間もののテレビドラマとして福島中央テレビが開局50周年記念として製作した物。大震災によって経営困難になった地元の小さな映画館で、集まってきた人々の映画に対する愛をドラマ化しました。

モデルになったのは朝日座という実在する映画館ですが、実際には1991年に閉館していますが、震災後も地域の人々の数少ない娯楽として建物が存続し、いろいろな催事が行われています。

映画は、スタッフや出演者は同じで、テレビドラマの前日譚として朝日座が取り壊される計画を何とか阻止しようというストーリーになっています。監督と脚本は「マイ・ブロークン・マリコ」のタナダユキです。

南相馬の高校2年生の浜野あさひ(高畑充希)は、父親が震災成金と非難され家族がバラバラになってしまいました。ともだちも離れてしまい、東京に引っ越すことになったあさひは、学校の屋上で飛び降りるか悩んでいるところを、教師の田中茉利子(大久保佳代子)に止められます。茉利子はどうせ百年後には死んでいるんだから、ここで急ぐことはないと言って、あさひに自分が好きな映画の楽しみを語るのでした。

東京で母親はノイローゼになり、あさひも何で地元にいられなくなったのか知れ渡ってしまい、登校できなくなってしまうのでした。あさひは家出して、今は郡山にいる茉利子のもとを訪れ同居するようになります。茉利子は男にはだらしがなく、すぐに好きになってはふられてしまうのでした。

しかし、娘が家出したと評判になることを恐れた母親が警察に被害届を出したため、誘拐の疑いで茉利子が捕まってしまい、しかたがなくあさひは東京に戻ることにします。茉利子はあさひに高卒の資格を取って絶対に大学に行くようにすすめました。そして映画会社に就職したあさひのもとに、茉利子が病で余命宣告されたという連絡がはいります。

茉利子は南相馬の映画館は、自分が落ち込んだ時に光をもらえた場所で、経営難らしいから何とか立て直してほしいとあさひに頼みます。あさひも食べるものが一番大事だけど、その大事なものを作る農家の人たちにちょっとでも心が休まる時間を提供できる映画館は絶対に必要だと考えていました。

そして、茉利子が亡くなり、その遺志を実行するためにあさひは南相馬に戻ってきました。しかし、支配人の森田(柳家喬太郎)は続ける意欲を無くして映画館はすでに取り壊しが決まっていたのです。あさひは茂木莉子と名乗り、クラウドファンディングを立ち上げたり、町の人々を説得したり行動を開始するのでした。

最近はネット配給の映画が勢いを増し、映画館の存続は厳しい状況になっていますが、東北では大震災による人口減少、その上コロナ禍という絶望的な状況に置かれたことは容易に想像できます。いわゆる活動写真と呼ばれていた時代を知る人もほとんどいなくなり、他にも多種多様の娯楽が増えたことも大いに関係しています。しかし、確かに映画館という非日常的な場所で映画を鑑賞することは、そう簡単には消えない意義があることも否定できません。

そんな映画館の存亡をモチーフにして、東北の再興、そして家族の在り方を考えさせる優れた作品に仕上がっています。この映画もコロナ禍の最中に公開されたため、興行的にはまったく振るわない結果になっていますが、そんな時期でも制作をストップしなかった関係者の方々には敬意を払いたいと思います。これらの良作が埋もれてしまわないように、新作ばかりに注目せず、再評価できる流れがあっても良いと思いました。

ここでも演技者として高畑充希はさすがです。それにも増して印象深いのは大久保佳代子さんで、ふだんのバラエティのイメージも残しつつ、なかなか味のある役所を好演していますので見所になっています。