2025年12月23日火曜日

正月飾り


毎年、クリニックで飾っているもの。

X'masツリーみたいです。本物の松ではありませんが、それっぽい作りになっています。これに縁起物の飾りをぶら下げています。

毎年、12月25日にX'masツリーを片付け、こちらの正月飾りに入れ替えていました。

ただ、それだと年内数日、年明け数日しか来院した方々に見てもらえないので、何か寂しい感じがしていました。

「正月事始め」という言い方があって、このは12月13日のことだそうです。つまり、正月事始めをもって、新年を迎える準備を始めましょうということで、松飾などが解禁されるようです。

それだったら、X'masツリーは先週の始めに出したので、こちらの正月飾りも週明けに出してしまいました。これなら、ゆっくり見ていただけるかなと思います。


2025年12月22日月曜日

ニュータンタンメン再現


元祖ニュータンタンメン本舗は、川崎のソウルフードとも呼ばれていますが、期間限定?的に、袋麺やカップ麺が登場していて、横浜と言ってもあと少しで川崎に住んでいる自分としても、大好きな味であることにかわりない。

タンタンメンと言うからには担々麵の仲間だとしばらく思っていましたが、実はけっこうそうじゃない。昔、家で再現しようとしたこともありますが、あれはかきたま入り担々麵であって、ニュータンタンタメンではありませんでした。

今回のは、かなり簡単なレシピで、本家に近づけたと思います。

スープを作るのに用意したのは、鶏ガラスープの素、豆板醤、ごま油、にんにく、しょうがです。

沸騰させたお湯に鶏ガラスープの素を入れます。スープの素は食塩入りを用いたので、味見をしながら丁度いい感じになるように量を決めます。

そこへお好みの辛さになるように残りの調味料を入れますが、今回は豆板醤大さじ1、にんにく大さじ1、しょうが少々、ごま油少々としました。

豚ひき肉、もやしを入れて火が通ったら溶き卵を入れて出来上がりです。

少しだけ長ネギも使いました。

さてさて、お味の方は・・・元祖ニュータンタンメン本舗の味にどれだけ近づいたかは何とも言えませんが、自己満足度は高いので80点くらいとしておきます。似てるかどうかはべつとしても、けっこういけてる味なので、これはこれでOKだと思いました。

2025年12月21日日曜日

数の子


12月も二十日を過ぎると、いよいよ今年のカウントダウン開始という感じで、否が応にも年末の色合いが濃くなってきます。

新しい年を迎えるにあたっては、一応正月らしい料理というのは欠かせない。とは言え、本格的に何かを作るわけでもないのですが、昔ながらの正月らしい食材の一つが「数の子」です。

数の子は、言わずと知れた魚のニシンの魚卵です。ニシンの事を「かど」と呼んでいたものが訛った呼び方らしい。一般に売られているのは「塩数の子」で、保存がきくようになっています。

数の子って美味しい? 正直味はよくわからない。プチプチした食感が楽しいのですが、値段も高いですから、正月以外の時期に食べることはほぼありません。

物価高騰の今年は、スーパーで買うのはやめて、いつもお世話になっているAmazonで探しました。スーパーで見かけるものより小ぶりですが(いわゆる訳あり品)、なんと1kgで5千円台という安いものを購入しました。

これを塩抜きして、薄めの出汁に漬けて食べるわけですが、ポイントは真水で塩を抜かないということ。

少しだけ塩をいれた水につけて数時間ごとに水を数回取り替えます。塩を抜きすぎると苦みが目立ってしまうので注意が必要というのがセオリー。

ただ、塩を抜いた後に塩気のある出汁に漬け直すので、味が濃くなり過ぎないように味見は頻回にした方がよいですね。

2025年12月20日土曜日

四十九日のレシピ (2013)

伊吹有喜による小説が原作で、2011年にはNHKでテレビ・ドラマ化されています。劇場版映画は黒沢久子が脚本、タナダユキが監督を務めました。四十九日は、仏教の法要として定着している文化ですが、故人の魂が現世からいなくなる日とされています。

熱田良平(石橋蓮司)の妻、乙美(荻野友里)が亡くなった。良平は何もできない日々を送っていました。そこへ、突然厚化粧でロリータ・ファッションの20歳の井本(二階堂ふみ)と名乗る女性がやってきます。井本、通称イモは、乙美が働いていた問題児の社会復帰支援施設の出身で、亡くなる直前に、乙美から良平を助けて四十九日の大宴会を開催してほしいと頼まれていたのです。

東京に嫁いでいた良平の娘、百合子(永作博美)は夫の浩之(原田泰造)との間に子宝には恵まれていませんでした。しかし、愛人が夫の子を妊娠したこと知り、離婚届を置いて実家に戻ってきました。乙美は後妻で、百合子の実の母ではありませんでしたが、百合子は乙美を慕っていました。

乙美は、何かあるとイラストをつけた文章を書き綴ったカードを作っていて、そこには「暮らしのレシピ」とタイトルがつけられていました。良平と百合子とイモは、暮らしのレシピに沿って、家の中の様々なことを片付けていきます。イモの友人で乙美に世話になった日系ブラジル人のハル(岡田将生)も加わり、大宴会を盛り上げるために乙美の人生を年表にして張り出すことにしました。

しかし、いざ書き出してみると、身寄りがいない乙美には誕生、結婚、死亡以外に書くことがまったくないのです。こどもを産まなかった乙美の人生を知るために、彼らは奔走するのでした。

このストーリーは、こどもを産んだ女性にも産まなかった女性にも、それぞれの楽しみ、悲しみ、苦しみがあることを伝えています。ある意味、大変センシティブな部分なので、扱い方によっては大きな批判を巻き起こすかもしれません。

しかし、ここではこどもを産まなかった乙美が、多くの若者を応援して社会に送り出したことで、同等、あるいはそれ以上の影響力を持っていたことが示され、だからこそこどもいない百合子をさらに前に進ませる力となっていると描かれています。

良平のやさしさが乙美に伝わり、乙美のやさしさが百合子や若者たちに伝わり、彼らのやさしさが、巡り巡って乙美の最後の願いを叶えていく。そして、それぞれが個人として、家族として再生していく様子が映画の中にしっかりと映し出されている作品になっています。

2025年12月19日金曜日

ロマンス (2015)

21世紀になって、日本の映画界でも女性の監督が元気になってきました。例えば今年50歳となるタナダユキもその一人。蜷川実花の監督作品「さくらん(2007)」の脚本で注目され、2008年の「百万円と苦虫女」の監督・脚本で一気に名前が知られるようになったと思います。

近作は「浜の朝日の嘘つきどもと(2021)」、「マイ・ブークン・マリコ(2022)」がありますが、本作は2015年に、監督が始めから元AKB48の大島優子をイメージして脚本を当て書きしたもの。小田急電鉄が全面協力した、箱根を舞台にした小さなロード・ムービーです。

北條鉢子(大島優子)は、小田急の特急ロマンスカーの車内販売員、いわゆるアテンダントの仕事をしていて、その成績は優秀です。しかし、恋人はいるものの、そのだらしがない生活ぶりに幻滅し始めていました。今日は仕事をしていると、乗客がこっそりとワゴンの商品を抜き取ったのを発見します。

終点、箱根湯本でその万引き男を駅事務所に連れていくと、桜庭洋一(大倉孝二)と名乗る"おっさん"は、逃げだすのでした。鉢子は追いかけて捕まえますが、おかげで乗務するはずだった帰りのロマンスカーは出発してしまいます。しかたがなくホームで次の列車を待つ鉢子は、今朝ポストに入っていた母親からの手紙を取り出し、一読するとゴミ箱に捨てます。

それを見ていたおっさんは、手紙を拾い上げ読んでしまいます。そして、鉢子にこの手紙を書いた人はこれから死のうとしているのだから、探して死ぬのを止めようと言い出すのです。鉢子の両親は鉢子が小学生の時に離婚していて、以後母親は男手入りの激しい乱れた生活をしていたのです。それでも、母親にとっても鉢子にとっても、唯一の楽しい思い出は箱根への家族旅行でした。

何もしない後悔より、何かしての後悔の方がましだと言うおっさんの強引さに負けて、鉢子はかつての旅行の行程を辿ることになります。小田原城からスタートして、箱根登山鉄道に乗り、大涌谷でくろたまごを食べ、仙石原のすすきを楽しみながら、鉢子とおっさんはどちらともなく身の上をお互いに話していくのでした。

回想シーンを除くと、ほとんど大島優子と大倉孝二の二人芝居のような映画。一瞬の登場だけのだらしがない彼氏は窪田正孝、上司は昨年急逝した中村靖日。タイトルからして、恋愛物かと思ってしまいますが、大島優子と大倉孝二の組み合わせではそんな甘いことにはなりません。

この二人を通して、後悔していることをどうやって消化していくのか、あるいは後悔しないためにどのように行動すればいいのかといったことを「ぬる~く」考える内容になっています。舞台が神奈川県民にとっては馴染み深い箱根が中心になっているので、より物語の中に入り込みやすくなっているのが楽しい所。

ワン・シーンが長回しになっているところが多く、だからと言ってやたらのセリフが多いわけではありません。一つのシーンをじっくりと見せて、見ている側がさらに映画の中にどっぷり漬かれる間合いを作っているように思いました。やりすぎると「間延び」してしまいますが、そこのバランス感覚がこの監督の持ち味なのかもしれません。

2025年12月18日木曜日

2025年総決算

 


総決算というタイトルをつけて書くようになったのは2008年からで、昔はいろいろと書き留めておくことがたくさんありました。もう、ほとんど自分の記録みたいなもので、他人には何の役にも立たないし、本来は人に読んでもらうようなものでもありません。

それでも、読み返してみると、自分なりに気が付くことがあったりするので、まぁそこそこ意味が無いわけでもないなと思いながらも今年も書き出しました。

国際社会を見渡すと、いまだにウクライナとロシアの戦争は続いているし、アメリカのトランプ政権はやりたい放題だし、パレスチナ問題ももやもやしたままで、第2次世界大戦以後の安定した枠組みが、今年も徐々に崩れ続ける一年だったように思います。

資本主義国家と共産主義国家に、世界を大別できたのはもうずいぶんと昔のこと。資本主義と言いながら誰もが平等を目指すかと思えば、誰もが平等な共産主義社会の中にも格差が拡大するみたいな矛盾だらけの世の中です。そこへまったく別の対立軸として宗教の問題もそれぞれの社会の中にくさびを打ち込んでくるものですから、複雑さは増える一方です。

島国で国境が存在しない日本という国は、その中で単一の価値観を継続して持ち続けることが可能なのですが、逆にどんどん変化している国際社会の中で、古臭い立ち遅れた国家になってしまう危険もあるのかもしれません。

そういう意味では、今年は初めての女性総理大臣が誕生したことは、国内最大のニュースであることは間違いありません。もっとも、新しい価値観を生み出すことができるなら、女性にこだわる必要はありません。しかし、残念ながら高市早苗首相からはいまだに今後の日本をどうしたいのかというヴィジョンが伝わってきたかといえば、答えは否です。

政権誕生からまだ数か月ですから、目下のところ目先の政策ばかりが目立つのはしょうがないとは思いますが、旧泰然とした自民党政治に片脚突っ込んだようなイメージが払拭できるかどうか、今後を注視したいとは思います。また、高市発言に端を発する中国との関係悪化が、どのような影響を及ぼしてくるのかも無視できないポイントです。

国内では、次に話題になったのは大阪万国博覧会だったかもしれません。1970年の万博は、日本の高度経済成長期のシンボル的な役割があって、日本中が歓迎したイベントだったと思います。しかし、今回は、何のために行うのか不明なままで、結局世界を巻き込んだローカル・イベントという言われ方は必ずしも間違ってはいないように思います。少なくとも、赤字にはならなかったようなのでそれだけはよかった。

今年はAIが急成長した年でした。人工知能(artificial intelligence)は、コンピューター登場以来ずっと研究されてきていたものであり、特に目新しいものではありません。しかし、ずっとAIの知識の集積は、誰か一人が教え込んだものであって、その人物を超えるものではありませんでした。しかしネット・インフラが定着した現代では、特定の個人が教えるのではなく、世界中のネット上でこぼれてくる膨大なデータがAIの知識の源になっています。しかし、その中には誤った情報もあるし、矛盾する知識もある。まだまだ未熟なAIを使いこなすためには、使う側も相当訓練されている必要があるように思います。


メディア関連では、何といってもフジテレビ問題は忘れることができない出来事です。いろいろなことが言われていますが、本当のところは一般人には不明なことが多いので、タレントN君についてどうのこうのというのは差し控えるべきです。ただ、視聴率が最大目的である地上波テレビ局が、そのために健全な組織運営をしていなかったことは衝撃的でした。さらに日本テレビでは、フジテレビの件を考えてか、かなり思い切ったタレント切りを行ったことはいろいろな問題を残しています。

さて、いよいよ個人的な今年の総括をしておきます。

今年はクリニック開院20年を迎えた年でした。20年後を考えると、ずいぶん先の話だと思いますが、振り返るとあっという間でした。そして、まだまだ自分であきらめない限りはずっと続くわけです。20周年で何かイベントをするかと思ったりもしましたが、5周年、10周年などと違い、長く続けられることはもう特別なことではないなと思うようになり、何もしませんでした。

新型コロナウイルスのパンデミックは、クリニックにとってかなり深刻な打撃を与えましたが、今年はほぼおちついた1年だったにも関わらず、コロナ禍前のような状況にはなかなか戻りそうもありません。患者さん自身が、自己管理の姿勢が定着したこともあると思いますが、それは当然悪いことではありません。

他には急激に進んでいる物価高はかなり影響があると思います。注射器や針から大きな医療機器まで、診療に必要な物品には消費税がかかるわけです。消費税は最終消費者が負担するというのが原則ですが、保険医療機関は最終消費者である患者さんに消費税分の上乗せをすることができません。かといって、医療費の増大が絶えず問題になる昨今では、国が決める診療報酬は改定のたびにほとんど据え置きに近い状況です。

個人的にけっこう大きな出来事は、スマートホンをiPhoneからAndroidに戻したこと。小さい話だと思うかもしれませんが、2010年に初めてAndroidを搭載したスマートホンとして市場に登場したSony EricssonのSO-01B以来、Xperiaファンだったのに、2016年に家族の強い要望でiPhone7に鞍替えし、バッテリーの劣化により2020年からはiPhone11を使っていました。

何度も書いていますが、自分はアップル製品は大嫌い。当然iPhoneを使うというのは屈辱的なことなんです。最近はiOSのアップデートのたびに、たくさんのアプリやデータを削除する苦痛を強いられてきましたが、それもほとんど困難になってきていました。iCloudのサブスク使えということなんでしょうけど、これ以上金をかけるなんて我慢できない。

今年の春から、じわじわとAndroidへの帰還を考え始め、ついにめちゃめちゃ面白そうな機種を見つけました。イギリス発のNothong Phoneです。これがガジェット好きには刺さりまくる独特の機種で、5月にニューモデルが出てポチリそうになりましが、さらにフラッグシップ機が夏に登場するというのでじっと我慢しました。

フラッグシップというだけあって性能は相当なもので、はっきり言ってiPhone12で不満を感じていた部分は完全に消し去ることが出来ました。カメラ性能も専用機に比べれば見劣りするのはしょうがありませんが、例えば今年最後の満月では、スマホカメラでここまで撮れたのは初めての経験で驚きました。


そんなことくらいしか書くことは無いのかと呆れられそうですが、だんだん老いを感じる年齢になると、しょうがないと自ら苦笑するしかありません。とにかく2025年も、あっという間に過ぎていくという感想に尽きるということになりました。

2025年12月17日水曜日

LIMIT OF LOVE 海猿 (2006)

これはシリーズ化された劇場版第2作。2008年には第3作の最終作として「THE LAST MESSAGE 海猿」が公開されましだか、制作陣は描き足りないものがあるとして2012年に「BRAVE HEARTS 海猿」まで続きました。

基本的なスタッフ、および出演者は同じで、制作間隔に応じて時系列に設定が変わっていきます。2004年第1作で主人公・仙崎大輔は海上保安庁の潜水士になり、ヒロイン・伊沢環菜と出会いました。2005年のTVドラマでは、仙崎は現場で様々に経験をして一人前の潜水士に成長し、環菜との関係を深めました。

劇場版第2作は、鹿児島に転勤となり、機動救難士となった仙崎と環菜はいよいよ結婚の準備を始めていますが、そこへ大型フェリーの事故が発生する。第3作では、結婚3周年を迎えた仙崎と環菜の間には長男が誕生していて、今度は洋上天然ガス採掘施設の事故が起こります。そして最終作は、仙崎は潜水士の頂点である特殊救難隊にいて、環菜は第2子を妊娠中。エンジントラブルによって着陸不能になったジャンボ・ジェット機が海上不時着することになります。

はっきり言って、この3本の劇場版は仙崎ら出動するに相応しい大きな事故が起こって、苦難を乗り越えて「全員を助ける」ことと「生きて帰る」ことを体現することを描く金太郎飴映画です。主人公は究極のピンチに陥り、普通なら間違いなく死んでしまう状況で、見事生還するのですから、単なるヒーロー物、あるいは「水戸黄門」としか言いようがない。最終作でスタッフが「描き足りなかった」ものが何なのかはまったく不明で、これじゃ原作者が堪忍袋の緒を切るのもしょうがない。

日本海の天然ガス施設が沈むのをのぞいて、鹿児島湾の沈没する大型フェリーとか、東京湾に水没するジャンボジェット機は、引き上げるのが大変だなぁ、などとどうでもいいことを心配してしまいます。まぁ、これらの作品のおかげで海上保安官希望者が増えたらしいので良しとしましょう。

2025年12月16日火曜日

海猿 EVOLUTION (2005)

前年の映画のヒットを受けて制作されたTVドラマ。映画を担当した福田靖が引き続き脚本、そして監督も羽住英一郎が小林義則と分担して行っています。主題歌はB'zが「OCEAN」を書き下ろしました。

念願の潜水士の資格を取得した仙崎大輔(伊藤英明)は、映画から1年後、一等海上保安士として横浜で老船の巡視船ながれに配属されました。船長の勝田(夏八木勲)は思慮深いベテランの現場主義者で、潜水士の隊長を担っているのは下川(時任三郎)です。下川はかつてバディの矢吹(布施博)が怪我をし潜水士を引退したのは自分の責任と考え、出世しての陸上勤務を拒み続けています。

仙崎のバディになったのは、エリートの特殊救難隊から出向していた池澤(仲村トオル)で、ストイックで回りと協調する雰囲気が無く仙崎に対しても「お前に助けられることはない」と言い放ちます。食堂での調理を担当している吉岡(佐藤隆太)は、場を盛り上げる明るいキャラで、皆の人気者でした。

彼らが陸で溜まり場にしていたのは「オーシャンズ」というパブ・レストランで、偶然に服飾デザインの仕事を始めた伊沢環菜(加藤あい)が店の2階に間借りして引っ越してきます。遠距離になっていた仙崎と環菜はこの1年メル友以上になれていませんでしたが、仙崎は再びアタックを再開します。

しかし、命の危険がある出動のたびに心配することに疲れてしまった環菜は、しだいに迷いが膨らむのでした。池澤の妻で、妊娠中の尚子(芳本美代子)と知り合った環菜は、少しずつ仙崎の仕事を理解していくのですが、そんな矢先、海賊に襲われたタンカーを追跡中に池澤が狙撃され亡くなってしまうのでした。仙崎は、池澤を失ったことに動揺し、目の前の目的を見失ってしまうのです。

2時間勝負の映画と違って、ドラマでは仙崎の成長と環菜との関係に焦点が当てられ、より深く描くことが目的のようです。人の命を救うことが仕事の最大の目的だったのに、仙崎は不審船への銃撃を行い、結果として相手の乗組員を死亡させることになる。また、池澤を殺した犯人たちが海に飛び込んだ際は、下川の命令に背いて救助を拒否して、自らの海上保安官としての立場を否定してしまいます。

環菜は仙崎の仕事が危険なもので、怪我をせず無事に帰ってくることをじっと待っていることに対する不安が膨らんでいきます。頭ではわかっていても、簡単に割り切れるものではありませんが、「先輩」である池澤の妻を通して、人として強くなっていくのでした。

ただし、テレビ局の方針・・・当時は当然視聴率第一主義ですから、視聴率を取るためには原作を好きに改変してもいいという驕りが、最初の映画から作者との間で大きな溝を作るようになったようです。最近でも、大きな問題になりましたが、原作に対するのリスペクトがあって、作者が十分に納得して了承しているならともかく、勝手にテレビ的に面白くすることはトラブルのタネになる。

フジテレビは、1980年代から「面白くなければテレビじゃない」のスローガンを掲げていましたが、この頃には「面白ければテレビは何をしても良い」という雰囲気に変わっていたのかもしれません。佐藤秀峰氏との関係はどんどん悪化し、最終的には2017年に作者とフジテレビの関係はすべての契約期限を迎えて断絶しています。

そういう事情も頭に置いたうえで、見る側は原作とはモチーフだけ利用した別物という前提で楽しむしかないのかもしれません。

2025年12月15日月曜日

海猿 (2004)

佐藤秀峰のマンガ作品が原作。完結後、すぐにNHKがTVドラマ化(全4回)しています。それらと並行して、フジテレビの亀山千広が映画化に乗り出し、脚本・福田靖、監督・羽住英一郎、海上保安庁の全面協力で作られました。

主人公・仙崎大輔(伊藤英明)は、海が好きという理由でサラリーマンから転職して海上保安庁に入庁しますが、船上勤務に物足りなさを感じ、人命救助の最前線で働くため潜水士を目指して呉にある海上保安庁大学に入校しました。呉の人々は、潜水士課程の訓練に励む彼らを「海猿」と呼んでいました。

同期には優秀で周囲との馴れ合いを嫌う三島(海東健)、体力的に劣り失敗ばかりしている工藤(伊藤淳史)がいました。主任教官の源(藤竜也)は、自身がかつてバディを亡くした経験から「人命救助したいなどと甘いことを考えるな。最前線には楽しいことなど無い」と厳しく訓練生に接するのです。

母の怪我で東京から呉に帰郷した伊沢環菜(加藤あい)は、ファッション誌の編集部で働いていましたが、東京を離れたことで編集長に「もう帰らなくていい」と言われショックを受けます。たまたま仙崎と知り合い、しだいにひたむきに訓練に打ち込む姿が気になるようになりました。

仙崎とバディを組むことになった工藤は、環菜の友人で看護師のエリカ(香理奈)に一目惚れしますが、エリカはなかなか振り向いてくれない。環菜やエリカを誘って仲間とダイビングに出かけた時、偶然に溺れている人を発見した工藤は助けに向かいますが、未熟な工藤は要救助者と一緒に亡くなってしまうのです。

半年間の訓練の最終テストは海の中での作業でしたが、仙崎は源の命令で三島とバディを組みます。しかし、急な潮流の激変によって二人は流されてしまい、三島は岩に挟まれ身動きが取れなくなり、さらにボンベが破損してしまいました。源が常々言っていた「水深40m、バディと二人で取り残された。使えるボンベは一つ。酸素は片道一人分しかない。どうする?」という命題通りの状況に陥ってしまったのです。

これは、はっきり言って監督自身も言っているように、ハリウッドの名作「愛と青春の旅たち」に似たような、ものすごくベタな展開の映画です。どうだ、こんな大変なことが起こっても、どんな辛い目にあっても、最後には大きな喜びが待っているぞという展開で、誰もが予想できる安心のストーリーです。

ところが、意外とそういうところに感動してしまうというのが人の常。そこらへんは実にうまい作りの映画になっています。環菜の母・歌子には朝加真由美、教官には田中哲司、海上保安庁主席監察官に国村隼、同期の訓練生には無名時代の斎藤工や青木崇高らが登場します。

間違いのない感動を味わいたいなら、絶対にお勧めの作品の一つ。細かいことは気にせず、楽しめばいいでしょう。 

2025年12月14日日曜日

今年の映画


邦画の興行収入成績ランキングというもので、最近は「国宝」が、実写映画としては22年ぶりに「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の173億円を抜いてトップに躍り出たという話題で盛り上がりました。

それでも、邦画全体しては第8位。なんと第1位から第7位まで、すべてアニメ映画が占めている。実写映画で次にランクインするのは、「南極物語(1983)」で第20位。第10位から第19位もアニメです。ちなみにここまで17作品のアニメの中でスタジオ・ジブリが5作品、新海誠監督作が3作品入っています。

基本的にアニメはほとんど興味が無いので、どうでもいい・・・というと語弊がありますが、自分の場合は映画の世界では、基本的に人間が演技するのを見たいという気持ちが強い。そんな中でも、数少ないアニメ映画として繰り返しみたくなるのが「AKIRA」です。

最初の公開時には、製作費10億円に対して興行収入は7億5千万円で赤字だったので、ランキングにはまったく登場しませんが、その後どんどん話題になり現在までに全世界で50億円を超す収入となっていて、まさにカルト映画という冠名が相応しくなっています。

つまり、興行収入ランキングは、大ヒットした映画を探す目安のひとつではありますが、それが必ずしも名作というものではないことに注意しないといけません。そもそも名作という評価をするための基準はいろいろですし、名作と感じるのも個人の感性によってばらばらです。

日本の代表的な映画評論雑誌である「キネマ旬報」で、オールタイム・ランキングを確認すると第1位は「東京物語(1953、小津安二郎監督)」、第2位は「七人の侍(1954、黒澤明監督)」、第3位は「浮雲(1955、成瀬巳喜男監督)」といった、間違いのない常連が並びますが、ベスト10のほとんどが昭和前半の作品です。もちろん名作であることに異論はありませんが、リアルタイムで初公開時に見たという人はどれだけいるんでしょうか。

比較的新しいそうなのは、第7位の「太陽を盗んだ男(1979、長谷川和彦監督)」、第10位の「家族ゲーム(1983、森田芳光監督)」・「台風クラブ(1985、相米慎二監督)」で、30位までに21世紀の映画は入っていません。また30位まででアニメは「風の谷のナウシカ(1984、宮崎駿監督)」の一つだけが入りました。

オールタイム・ベストとなると、やはり古いものほど有利ですし、一度名作と評価されるとそれ価値を下すわけにはいかないという事情もありそうです。それだったら、キネマ旬報は毎年、その年の優秀作を発表しているので、21世紀の最優秀作品と評価されたものを確認してみましょう。※印は日本アカデミー賞作品賞受賞も受賞したもの。

2001 「GO(行定勲監督)」
2002 「たそがれ清兵衛 (山田洋次監督)」※
2003 「美しい夏キリシマ(黒木和雄監督)」
2004 「誰も知らない(是枝裕和監督)」
2005 「パッチギ(井筒和幸監督)」
2006 「フラガール(李相日監督)」※
2007 「それでもボクはやってない(周防正行監督)」
2008 「おくりびと(瀧田洋二郎監督)」※
2009 「ディア・ドクター(西川美和監督)」
2010 「悪人(李相日監督)」
2011 「一枚のハガキ(新藤兼人監督)」
2012 「かぞくのくに(ヤン・ヨンヒ監督)」
2013 「ペコロスの母に会いに行く(森崎東監督)」
2014 「そこのみて光輝く(呉美穂監督)」
2015 「恋人たち(橋口亮輔監督)」
2016 「この世界の片隅に(片淵須直監督)」
2017 「夜空はいつでも最高密度の青色だ(石井裕也監督)」
2018 「万引き家族(是枝裕和監督)」※
2019 「火口のふたり(荒井晴彦監督)」
2020 「スパイの妻 (黒澤清監督)」
2022 「ドライブ・マイ・カー(濱口竜介監督)」※
2023 「ケイコ 目を澄ませて(三宅唱監督)」
2023 「せかいのおきく(阪本順治監督)」
2024 「夜明けのすべて(三宅唱監督)」

まぁ、キネマ旬報ですから、やや芸術性に力が入って、エンタメとして面白さは二の次になっている感じはしますが、そこそこ妥当なラインナップというところでしょうか。

さて、いよいよ今年は? という話なんですが、そもそも映画館に足を運ぶなんて面倒くさがりの中途半端な映画ファンとしては(時間も無いけど)、配信やDVD・Blurayでしか鑑賞していないので、リアルタイムからかなり遅れ気味です。

2025年公開の作品としては、「新幹線大爆破」、「室町無頼」、「ショウタイム7」、「アンダーニンジャ」、「ババンババンパイア」、「ファーストキス 1ST KISS」、「フロントライン」の7本しか見ていません。

興行収入もまだはっきり確定した数字はないのですが、いずれにしても実績・評判では「国宝」がぶっちぎりなのは間違いない。各賞に輝く二宮和也樹円の「8番出口」、山田洋二・木村拓哉・倍賞美津子で評判の「東京タクシー」、福山雅治・有村架純共演の「ブラック・ショーマン」、今年破竹の活躍を見せた山田裕貴は「木の上の軍隊」・「ベートーヴェン捏造」・「爆弾」の3本なども注目作です。

その他にも「かくしごと」、「おーい、応為、」、「おいしい給食 炎の修学旅行」、「ナイトフラワー」、「遠い山なみの光」、「宝島」、「かくかくしかじか」、「平場の月」、「ドールハウス」、「君の顔では泣けない」・・・まだまだあるかもしれませんが、思い出すのはこんなところ。

日本国内だけでも年間数百本の映画が作られているわけで、それらの評価はピンキリですが、少なくとも、洋画に比べて元気がある。大金を費やしてCGてんこ盛りのヒーロー映画ばかりになってしまったハリウッドには、魅力が無くなったと思っている人は多いのではないでしょうか。お金をかけていない分、邦画には中身で勝負の作品が多いように思います。これからタイミングがきたら、これらのタイトルを少しずつ見ていきたいものです。

2025年12月13日土曜日

落ち切らない葉


落葉樹は、秋から冬にかけて葉をすべて落として、春になると新芽を出す樹木の事。

葉を落とすのは、水分を無駄に無くさないため。

でも、最近の気候変動のせいなのか、紅葉もなんだかモヤモヤが残るし、そもそも葉が落ち切らない木が多くないですか?

普通、12月に葉が残っているなんてありましたっけ。

熊だって冬眠しないかもとか言われてますが、一緒にはできませんけど、とにかく日本中
の四季がどんどん変わってしまうようで寂しいですね。

2025年12月12日金曜日

ズワイガニ


昨今、まぁ手が出る価格で蟹を食べようと思うと、ほぼズワイガニ一択という感じがします。

本当のことを言うと、一番食べた気がするのはタラバ。肉々しくて、食べ応えがあります。

でも、タラバガニを食べたのは・・・・もう30年くらい前が最後ですかね。

ズワイとタラバでは倍くらい値段が違いますよね。

それはそうと、ズワイガニは確かに蟹です。

でもタラバは…ヤドカリです。蟹は足10本ですが、タラバは見た目には8本です。実はタラバも10本脚があるんですが、5本目は小さくて隠れているとのこと。

そんなことはどうでもいいんですが、何にしても旨いのには変わりないです。

ちなみにかに玉とかカニ炒飯、あるいはカニクリームコロッケ、カニクリームパスタ・・・こんな料理を作る時は、間違ってもカニカマは使ってはいけません。

2025年12月11日木曜日

折り紙サンタ


これ、何だ?

というほどの、たいそうな物ではありません。

折り紙のサンタクロースです。

知る人ぞ知る、というもので、毎年年末になるとうちのクリニックでは、これを来院された患者さんに差し上げています。

ポケットになっているので、小さなお菓子を入れています。

最初に登場したのは2008年なので、もう17回目ということになります。

今年も、仕事の合間をぬって、10月末からスタッフ総出で400個作りました。

出陣は来週から。いよいよ年末です。

2025年12月10日水曜日

ベイビーわるきゅーれ エブリデイ! (2024)


あの二人組がテレビドラマにやって来た!! というわけで、女子二人組の殺し屋コンビが活躍する映画の第三弾が公開される直前から、テレビ東京で1話30分、全12話で放送されました。

映画での制作の中心にいる阪元裕吾が、ドラマ版でも脚本・監督を務めています。殺し屋協会所属の正社員、明るくいい加減で長い黒髪の杉本ちさと(高石あかり)とコミュ障の社会的不適合者で金髪ショートの深川まひろ(伊澤彩織)がここでも主役ですが、映画でおなじみの面々が脇を固めています。

前半6話は「風林火山編」で、老殺し屋のわがままに翻弄されます。後半6話は「ジョブローテーション編」となり、鉄壁のコンビが別れ別れになってそれぞれが苦悩するというもの。

ある日、つけてくる男に気がついたまひろは、相手を倒してちさとと協力して冷凍庫に置き去りにします。朝になると二人のサポートをする殺し屋協会の須佐野(飛永翼)が、協会のメンバーである夏目敬(草川拓弥)と連絡が取れなくなったと伝えてきました。二人はあわてて冷凍庫から、凍死しそこなった夏目を出すのですが、夏目はある目的で二人の適性を調査していたのです。

その目的というのは、協会の殺し屋ランキング全国2位で、数々の大型案件を成功させて10年前に引退した伝説の宮原幸雄(本田博太郎)が任された風林火山プロジェクト(ある人物の殺害)のメンバーの選抜であり、夏目は宮原を崇拝していたのです。夏目が推薦し、宮原が二人の仕事ぶりを評価して、プロジェクトメンバー入りが決定し、二人は合宿に参加することになってしまいます。

合宿が始まると、宮原の「老害」に悩まされる参加者たちでした。宮原のわがままとそれに盲従する夏目に対して、ハラスメント防止委員会が登場したりします。作戦決行の当日、さんざん行った練習通り、ちさととまひろは宮原が殺せるお膳立てをしますが、肝心の宮原は殺せなかったと言って戻ってきてしまうのです。で・・・・

休暇に入った二人は、ちさとの実家に行ったり、トレーニングしたり、ついには職務質問をかけらた私服刑事を殴り倒したり・・・しているうちに二人にはジョブ・ローテーションが待っていました。ちさとは殺しの依頼を受注する営業部、 まひろは服務規程違反などをしたものを粛清する監査部で日野彰の下につくことになりました。 

しかし、調子が良いはずのちさとは、営業部の人間関係に苦しめられ、何かと怒りで先輩を殺してしまう妄想を膨らませてしまいます。まひろの監査部移動も、実は日野の不正の調査と確定した場合の粛清が本来の目的であることが須佐野から告げられていたのでした。

タイムラインとしては映画「ナイスデイ」の後ということらしく、映画で登場した前田敦子がカメオ出演したりしています。

さすがに映画と違って、いろいろとコンプライアンスがうるさく言われる地上波放送ですから、暴力シーンは少なめ・・・ということは、アクションは控えめということです。それはしょうがないところですが、その分ストーリー性は強まったように思います。

また、普通にぎりぎりで社会人をしている二人ですが、映画では描かれていない家族との関係性などがドラマでは明かされているのは興味深い。二人が殺し屋を職業にしていることは秘密になっていなくて、家族も知っているけど、普通に接しているのが何とも不思議。

全体的にはちさと・まひろ対標的という構図よりは、殺し屋協会の内部事情がわかる内容になっていて、映画とは別の面白さがあります。実質的には2時間のスペシャル・ドラマを2本見るような感じなので、気楽に楽しめば良い感じです。