2012年6月2日土曜日

John Coltrane / Blue Train


自分にとってジャズという音楽は、マイルス・デイビス一人がいれば事足りるということは、何度がこのブログでも書いてきました。実際、マイルス抜きではジャズは成立しないわけで、死後20年以上たちますが、いまだにマイルスの存在は無視できない。

マイルスが世に送り出した演奏家は数あれど、マイルス並に後進への影響力を誇れるのはジョン・コルトレーンしかいないでしょう。どんな批評でも、ジャズの巨人というと必ず選ばれているわけで、時にはマイルスさえも嫉妬していたのかもしれません。

ちょっと前に''Selflessness''というアルバムを取り上げたのですが、実は今まで、それほど真剣にコルトレーンを聴き込んだことはあまりないのです。基本的には、マイルスのもとでの演奏は知っていても、その後のコルトレーンについては、一部のごく有名なアルバムしかしりません。

特に晩年、かなりフリーな展開をするようになってからは、もううるさいだけという先入観から手を出していないというのが本当のところです。そこで、少しがんばってコルトレーンをおさらいしてみることにしました。

最初のリーダー作はPrestigeから登場し、サイドマンとしての録音を含めると膨大な量の音源がPrestigeには残されている。そのあとAtlanticと契約して、いよいよコルトレーンらしさが完成していくわけです。

Prestigeとの契約中に何故か、ジャズの名門Blue Noteに唯一のリーダー作として吹き込まれたのが''Blue Train''というアルバム。自分が、CD時代になって最初に購入したコルトレーンがこれ。レコード時代には持っていなかった。

3管編成で、比較的作り込まれたサウンドはファンキーそのもので、実験的な試行錯誤の多いコルトレーンとしては、珍しいノリノリの音楽の展開が楽しい。Prestigeではスタンダードばかりでしたが、こちらではオリジナルをたくさん周到に用意して相当力を入れた感があるんですよね。

その反面、当時の親分マイルスいぬまにコルトレーンとリズム隊がリラックスして羽を伸ばしまくったのか、がちがちに硬くなっていないところが、聴いていて気持ちが良い。

Blue Noteらしさと言えばそれまでですが、まさにジャズってものはこういうものだ!! と言わんばかりの音楽で、初期のコルトレーンの中では必殺・必聴の名盤だと思うわけです。