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2012年6月23日土曜日
Bill Evans / Portrait inJazz
ジャズ・ピアノ・トリオというジャンルの中では絶対的な名盤。どんなガイドブックでも、このアルバムをはずすことはありえない。それがビル・エヴァンスの1959年の"Portrait in Jazz"でしょう。
もちろん、自分も何の異論もなく、このアルバムがエヴァンスのリーダー作としては3作品目であり、自分のスタイルを確立するまで初期の代表作であることは疑問の余地がありません。
エヴァンスは40年代後半から出てきて、50年代前半に頭角を現しました。少しずつ、バド・パウエルとは違う「何か」を持った白人ピアニストとして成長していたわけです。
そのエヴァンスの個性をしっかりと認識して、確立させた立役者は・・・やはりマイルス・デイビスでした。1958年の短期間でしたが自分のバンドに迎入れ、そしてエヴァンスのドラッグ問題で解雇したものの、1959年に世紀の傑作"A Kind of Blue"を共に作り上げたのです。
その過程で、エヴァンスは運命のベーシスト、スコット・ラファロと出会いこのアルバムにたどりつきます。ドラムはポール・モチアン。ジャズ史上、最高のピアノ・トリオという評価をほしいままにすることになります。
最も有名な"Autumn Leaves(枯葉)"の演奏は、明らかに前年にマイルスがブルーノートに吹き込んだスローテンポの演奏の決定版に対抗したもので、アップテンポ版のスタンダードを目指したものでした。
このトリオは、ラファロの交通事故による突然の死によって、より伝説として評価の上乗せがはかられることになり、逆にエヴァンスのイメージを固定化してしまうマイナスも併せ持つことになりました。
エヴァンスは1980年に壮絶な死を迎えるまで、このアルバムをずっと引きずりつづけたのだろうと思います。しかし、エヴァンスの生涯の代表作として本当にこのアルバムを単純に選び出していいのか、これからしばらくはエヴァンス再発見をしたくて、聴き直していきたいと思っているわけです。