中山康樹というのは元スイング・ジャーナルの編集長。自他共に認める、数少ないマイルスの知っている日本人の一人。まぁ、特権というか、職権乱用というか、我々一般人からすると羨ましいことこのうえない。
中山氏が有名になったのも、マイルス関連の書籍を次から次へと書き飛ばしているからで、特に「マイルスを聴け」はマイルス好きにとっては無くてはならない著作となっているわけです。
特に次から次へと登場してくるブート、つまり海賊版をほぼ完全収録しようという試みのせいで、何度も改訂して文庫本サイズで1000ページを越えてしまうという巨大なガイドブックは、凄すぎです。
今度はビル・エヴァンスにターゲートを決めて、同じような本を出しています。エヴァンスはさすがに、活動期間が短かったせいか、350ページ程度でおちついて、本としては実用的な厚さですんでいる。
中山氏の文章は独断・偏見の固まりで、アルバムのオリジナル・フォーマットへのこだわりは偏執的ではありますが、悔しいことにアルバム一枚一枚を簡潔に紹介していく手腕はなかなかのものと認めないわけにはいかない。
特に、昔からのジャズ・ファンに取っては、よけいなことはどうでもいいので、このくらいストレートに紹介してもらうくらいがちょうどいい。今夜も、この本を片手にエヴァンス再発見のためにいくつかのアルバムを聴いているわけです。