2012年4月23日月曜日

Hiraly Hahn / SILFRA


女性バイオリン弾きというと、現在の女王はムターであるところはあまり異論はないと思います。では、その次を走る集団はというと、けっこう逸材が多くてなかなか絶対的な順位がつきにくいところ。

ヒラリー・ハーンは1979年生まれのアメリカ人。当初Columbia recordsからデヴューして比較的有名曲を無難にこなし、人気と実力をつけてきました。

独グラマフォンに移籍してからは、かなりテーマ性をもったアルバムを作るようになり、玄人受けするバイオリニストへ成長したと言えます。前作はアイブス、その前はシェーンベルグを取り上げ、かなりマニアック。

J.フィッシャーのように、さらに王道を行くアルバムによってある程度の安心感を持たせつつ技術も磨きがかかってくのと違い、ハーンの場合はかなり独特の雰囲気が完成しつつあります。

最新作はSILFRA。プリペアドピアノとのコラボで、全作オリジナル。プリペアドピアノはグランドピアノの弦に小枝とか金属とか種々雑多なものをはさんで打楽器的な音を出すようにした現代楽の手法で、もうマニア度は破裂せんばかりに拡大してきました。

確かに面白い音がしていますが・・・う~ん、どうなんでしょうね。音楽の美しさというものからすると、かなり尺度の次元が違うようです。ハーンはこの共演を「この小道を行かないのは愚か」と言っていますが、自分にはわざわざ覗く必要はないように思えますし、その小道の先は突き当たりだと思いますけどね。