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2017年8月11日金曜日

ヘンデル本

ヘンデル探究を始めるのに、当然まずはネットを探すわけですが、本当に情報量が少ないのには驚きです。同時代を生きたバッハについては、様々な資料が揃っている(不足はありますが)のに、この違いは何でしょう。

まず、バッハはこどもがたくさんいたので、遺産がある程度ちゃんと残った。ヘンデルはやもめで、しかも生まれたドイツから後半生はイギリスに渡り帰化していますから、天涯孤独で墓標の生年月日すら間違ったままらしい。

そしてバッハは生涯ほとんど移動が少なく、ごく限られた地域でしか活躍していないし、また教会中心の活動ですから記録が残りやすい。一方、ヘンデルは各地を転々とした「国際人」で、しかも常に新しい物を求められる「流行」にのった歌劇が中心のため、忘れられるのも速かったのかもしれません。

そこで、今度は本を探してみるわけですが、やっぱりこちらも少ない。英語の本は対象となる読者は十数億人はいるでしょうけど、何しろ日本語の本は対象が1億人で、しかも音楽のマニアックな書籍となると、数千冊売れたら大ヒットなんでしょうから、数も少ないし重版もほぼ無いという状況です。

そこで見つかる、ほぼ唯一と言ってもいいくらいのテキストが、クリストファー・ホグウッドが1984年に書いた「ヘンデル」です。日本のヘンデル研究の第一人者、三澤寿喜が邦訳し、音楽専門書を数多く出版している東京書籍が1991年刊行しました。

ホグウッドはイギリス人の古楽演奏のパイオニアの一人ですが、古楽学者としても有名で、自分の中では古典派の作曲家が中心というイメージがありました。

しかし、2014年に亡くなった後に、いろいろな録音が集成され発売されるにつけ当然バロックも多くの重要なレパートリーであることを、遅ればせながら気がつきました。

同世代のガーディナーが、バッハ、モンテヴェルディ、パーセルなど宗教的な色彩の強い物、ラモー、グルックなどのフランス歌劇が中心なのに対して、ホグウッドはヴィヴァルディ、ヘンデルなどにより力を入れていたようです。80年代のヘンデル再発見運動は、この二人の功績はかなり大きいのかもしれません。

ちょうど、ホグウッドのヘンデル集大成の22枚組CDボックスが今年登場していて、幸いなことにガーディナーのヘンデルとのかぶりが少なくて助かります。

CDボックスはまだ到着していませんが、それより前に大量のガーディナーのヘンデルを聴き終えていませんので、まずはそっちから。もう一人、ミンコフスキーのヘンデルも合わせればだいたい有名どころの音源は揃いそうです。

ヘンデル本については、Amazon古書では定価より高い物しか見つからないので、「日本の古本屋」でリーズナブルなものを見つけました。

とりあえず読みだしてみたんですが、いきなり覚えにくい名前がたくさんずらずらと出てきて・・・ちよっとめげそうですが、このお盆の休みの課題としたいと思います。