ただし、実際はそれらの中間的な存在もある。日本で有名なのは、米良美一のカウンターテナー(昔はいい歌手だったのに、もののけでこわれちゃった)。
女性の場合は、例えばモーツァルトの「魔笛」での夜の女王のアリアなどは花形的な存在ですが、これはソプラノの持ち歌。女性特有の高音をいかに歌いきるかが注目されます。
ところで、いろいろ聴いているうちに自分のお気に入りの歌手の一人になったのがナタリー・シュトッツマン。この人はアルトなんですが、とくに低音に強く、テナーに近い表現ができるのでコントラルト(コントラ=アルト)と呼ばれます。
そして一番のお気に入りが、アンネ・ソフィー・フォン・オッターなんですが、この人はメゾソプラノと呼ばれています。メゾソプラノは、通常のソプラノよりも音域が少し低く、かといってアルトまではいかない。
へたくそなソプラノはキーキー声で聴くに堪えない。華やかさは少し減るかもしれませんが、メゾソプラノは声が少し太くなって温かみがあるところが聴いていて気持ちがいい。
手持ちのCDの中からメゾソブラノを探してみると、一番古い方は1928年生まれのクリスタ・ルートヴィッヒ。続いて1939年生まれのブリギッテ・ファスベンダー。
手持ちのCDの中からメゾソブラノを探してみると、一番古い方は1928年生まれのクリスタ・ルートヴィッヒ。続いて1939年生まれのブリギッテ・ファスベンダー。
そして1955年生まれ、ほぼ自分と同世代なのがアンネ・ソフィー・フォン・オッター。皆さん20歳頃から注目され、30歳代に世界中に有名になり40歳代まで大活躍。声の衰えは必ずありますから、50歳代以後は活躍場が変化してきます。
フォン・オッターの場合、クラシックにとらわれない幅広いジャンルに躍進したことで、60歳を過ぎても独特のポジションを維持しているところがすごい。
それからさらに若い方を見てみると、当代一番の人気を誇っているのが1966年生まれのチェチリーア・バルトリでしょう。バルトリが登場すれば、ほほほ間違いなし(もちろんはずれもあるようですけど)ということで、現代オペラ界の女王的存在。
ただ、バルトリはイタリア人で、当然イタリア歌劇が活動の中心です。したがって残念ながら、自分的には守備範囲にはないので、あまり興味が湧かないんですよね。
そして、現在もっとも熟成していて旬な存在と言えるのが、1973年生まれのマグダレーナ・コジェナーですが、ベルリンフィルのサイモン・ラトルの奥さんになって、子育てで忙しいのか最近はやや活躍は控え気味。
そして、一番ヴィジュアル面(これも大事!!)も含めて大注目なのが1976年生まれのエリーナ・ガランチャです。おそらく、実力に伴った最も安定した活躍をしている。
ただ、最新のアルバムで初めて宗教音楽を取り上げたくらいですから、古楽界的なバッハやヘンデルなどへのアプローチが無いところがちょっと寂しい。
ガーディナーも、2000年以降は手兵のモンテヴェルディ合唱団からソロイストを出す方式になっていて、スター歌手を前面に立てるやり方はしなくなった。その方が、古楽演奏の理想・理念に近づくということで、スター歌手が古楽に入り込むことが難しい環境になったのかもしれません。
さて、その次の世代、つまり1980年代以後生まれの歌手にも注目株がではじめているようです。このあたりをうまく探し当てるというのも、楽しみの一つにできそうですね。