2020年4月19日日曜日

医療崩壊と経営危機


あー、どうしてもこの話題から遠ざかることができない。

新型コロナウイルス・・・

1月末に、始めた中国の話が聞こえてきた時、よもや世界中の今の状況は誰も想像しませんでした。2月半ばからヨーロッパで感染者の増加に医療が追いつけず、そして3月に入ってアメリカも医療崩壊しました。

そして、3月末から始まった日本での感染者増加傾向は、いまだに歯止めがかかっていません。日本の緊急事態宣言の効果がどれほどなのかは、来週以降に現れてくると考えられています。

この感染症の怖さは、病原体の毒性そのものよりも、感染力・・・つまり、感染のしやすさ、感染の拡散の猛烈な速さにあります。それが医療崩壊という事態、ハード・ソフトの両面での医療供給を上回る状況を招くことが、最も恐れるべき事。

何かと発言が注目されるホリエモンこと堀江貴文氏も、この点については様々なツイートを発していますが、17日にはこんな発言が・・・

「医療崩壊が起きてるのはICUで、ほとんどの病院は3割減はザラで経営危機になっている。みんなが出歩かなくなって交通事故とかも減ってるようだ。これはこれで危機なんだよね。。」

氏の発言がどれでも賛同できるわけではないのですが、これはこれで、だいたい正しい見方。最も恐れる直接的な医療崩壊は、感染症医療であり、ICUのような高度な医療により救命を担う現場が患者数の増加に対応できない状況。

ただし、ICUというのは病院機能のごく一部であって、拡大して考えると急性期病棟全体にしわ寄せがくることは明白。不十分な装備供給のもとで病院での検査を増やせば、院内感染の拡大は必ず起こりうる。今のところ集団感染が発生した医療機関は閉鎖するしかないので、物的・人的な医療資源が凍結されてしまいます。

検査が極端に限られて全体像が把握できない状況では、最も効果的な戦い方の作戦が不明のまま。医療崩壊を防ぐためには、検査をしない方が良い、した方が良いという正反対のジレンマを抱えています。

しかし、クリニック・レベルでも、感染症に関係しやすい内科・小児科・耳鼻科などでは、感染したら終わりという状況下で病院以上に医療従事者が自らを防護する物資不足に直面しています。

これも医療崩壊の一種であることは間違いない。病院とクリニックの機能分化が進んでいますから、新型コロナウイルス感染症以外の通常の医療の提供に支障がでれば、通院を要する多くの人々に影響がでます。

自分の場合は、クリニックの医者ですし、リウマチ科・整形外科ですから、今のところ直接的に感染症診療にあたるわけではありません。それでも、感染症対策のプレッシャーは少なからずあります。そして、堀江氏が言うように、2月以降に来院患者数減少は顕著になっており、まさに「経営危機」と言いたくなる状況。

一般のお店と同じで、休診した場合でもテナント料、リース料、各種医療機器のメンテナンス料などは発生します。診療を続けた場合は、人件費、薬品・医療材料などの購入費などが発生する。どちらを選んでも、経営的には厳しいのは変わりない。

何にしても、医療を提供する側としては、緊急事態宣言が出される状況を重く受け止めつつ診療を続けるしかない。楽観的に考えても、あと数カ月は続くでしょうから、人もそうですがクリニックの体力も落とさないようにするしかありません。