世はカバー・ブーム。
と、思っているのは自分だけでしょうか。
徳永英明の"Vocalis"シリーズは大ヒットでした。というわけでもないのでしょうが、二匹目の鰌を狙った企画と言われてもしょうがないのが稲垣潤一。
「ドラマティック・レイン」と「クリスマスキャロルの頃には」の2曲が有名でしょうか。それも20年以上前の話。ちょっとハスキーな甘いボイスが、世の女性の心をわしづかみ。
さすがに、そのままカバー曲集ではどうかと思ったのか、なんとすべて女性とのデュエットという企画がなかなかはまった感じです。
まさに自分の年代なら知らない曲はないという70年代半ばから80年代を中心としたセレクトは、大人をターゲットにした懐メロ大全集。ここで大事なのは、オリジナルのイメージ。
人それぞれ、曲に対する思いの強い大ヒット曲ばかりを並べるからには、オリジナルのイメージを壊してはいけない。少なくともヒットさせるには・・・
そういう意味で、失敗作と言いたいのが中森明菜の「歌姫」シリーズ。中森明菜の再生を狙って、曲よりも歌い手の個性を作ろうとしている。大胆なアレンジが多くて、懐かしさが半減以上という感じがします。
その点、稲垣潤一はオリジナルの雰囲気をうまく残しながら、女性とのデュエットという形で新鮮さをうまく出したということでしょうか。プロデューサーの企画力の勝利ということができそうです。
それにしても、宇多田ヒカルの活動停止はびっくり。おそらく最後の曲がカバー曲というのに、再度びっくり。完全に才能を使い果たしてしまい、ついに最後の曲すら作ることができないということなのでしょうか。そのまま引退したかったのではないかと、むしろ可哀想に感じます。