うーん、いろいろな意味で有名な映画。1964年、イタリア製。
まず、黒澤明監督の「用心棒」のリメイク作であることは、設定・筋書きから明かであるにもかかわらず、許可を得ていなかったため盗作扱いされ、実際の裁判でも負けている。
アメリカで西部劇テレビシリーズ「ローハイド」で人気が出始めたクリント・イーストウッドが主演し、名実共にイーストウッドの名実共に出世作となった。
監督は今でこそ大物となったセルジオ・レオーネ、音楽も大河ドラマの音楽(武蔵)も作って超有名人のエンニオ・モリコー。当時はまったくの無名の駆け出しだった。
この作品からマカロニ・ウェスタンという言葉ができて、以後イタリア製西部劇は独特の人気を持つジャンルとして確立された。
まぁ、いろいろありますが、自分としてはイーストウッドの第一回映画主演作として、映画史に記録すべき名作であると認識しているわけです。
それまでのイーストウッドの出演映画は、B級映画の脇役ばかりです。ローハイドで人気が出たのはいいけど、契約上アメリカの映画に出れなかったので、イーストウッドは日本映画のリメイクの西部劇、しかもイタリア人が作るという胡散臭い話に飛びついた・・・いゃぁ、飛びついてくれてよかったですよね。
最終的には、どれだけ「かっこいい」ガンファイトを見せるかという所に向かって進んでいくわけです。ローハイドでは、どちらかというと好青年風の役柄でしたが、ここでは悪とも善とも言えないニュートラル、どちらかというと見た目にもダーティで、以後のイーストウッドのイメージを決定づけたということが言えます。
それが、ハリウッドがイーストウッドをB級俳優というような扱いをし続けることにつながるのは皮肉なことです。1971年からは映画作家として、自らメガホンをとるようになるわけですが、早くから独特な世界を作り上げていました。
ハリウッドがついにイーストウッドを評価したのは1992年の監督作品「許されざる者」でした。皮肉なことに引退して落ちぶれたガンマンという役所を自ら演じて、アカデミー監督賞を受賞したのです。
年を取るに従って老いを隠すことなく、こつこつと映画を作り続けたイーストウッドは、今や80歳。ハリウッドの長老として変わりなく現役として活躍続けています。まだまだ、これからも楽しませ続けてもらいたいと心底祈っています。