グラズノフはロシア帝国末期、20世紀前半に活躍した作曲家です。チャイコフスキーの流れをくむロマンチックな曲想を持ち、民族主義に根ざしたロシアの雄大な自然を思わせる叙情的な作品が多い。
グラズノフを含む、いわゆる国民楽派と呼ばれる人たちの作品は嫌いではありません。ロシア近辺ではバラキレフ、ボロディン、スメタナ、ドヴォルザーク、北欧ならシベリウス、ニールセン、グリークなどといった作曲家の名前がすぐに浮かんできます。
グラズノフに限らず、彼らの作曲の中心は管弦楽だったので、比較的ピアノ曲というのはマイナーにイメージなのですが、ピアノ独奏のほうが、端的に民族色が色濃く出てくるような気がします。
今回のクームスによる独奏曲全集はCD4枚。アムランの超絶ピアノの作品集を多数出しているHyperionレーベルからのリリースです。この会社は、レスリー・ハワードによるリストピアノ曲全集(CD100枚以上!!)やヒューイットのバッハ物など、けっこうピアノ曲にも力をいれているのです。
ロシアのちょっと寒そうな大平原をイメージして聴くと、なんだかぴったりで心が洗われるような気がします。日本なら北海道とかの雰囲気でしょうか。
有名なのは「主題と変奏」と2つのピアノ・ソナタ。けして自由な時代ではなかったはずですが、作曲というプロセスの中で思い切り羽を伸ばしていたのでしょうか。