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2015年3月12日木曜日

至上の愛の真実

先日紹介した、マイルス・デイビスの"Kind of Blue"のアルバム制作ドキュメント本と同じ著者が書いた、もう一つのジャズ史上の傑作裏話の本です。

ジョン・コルトレーンは、ジャズの伝説の巨人の一人であり、最高傑作としてしばしば取り上げられるのが「至上の愛(A Love Supreme, 1964)」です。

この本の原題は"The Making of ~"となっているわけで、アルバムが出来上がるまでのドキュメントと、その後の影響について詳細に書かれたもの。

ジャズが好きな人なら、コルトレーンの好き嫌いにかかわらず避けては通れないアルバムの一つですから、この本は大変興味深い。マイルスの場合は、演奏に関するテクニカルな面が興味の中心になりますが、コルトレーンの場合は精神面が主題になる。

死の直前の唯一の来日時に、記者会見で「聖者になりたい」と言わせた、コルトレーンの短く激しく燃えた生涯は、それだけで伝説ですが、「至上の愛」はそのピークにあることは間違いない。

その頂点があまりに高すぎるので、コルトレーンのファンは「至上の愛」以前組と以後組に分かれてしまうとよく言われます。実は、自分もいまだにこのアルバムを越えられないでいる一人。

40年くらい前に初めて聴いて以来、ずっとよくわからないアルバムの一つとして、ジャズ・ファンとしては、積み残してきたもの。この機会に、何とか頂上を越えた向こう側を体験してみたいと思います。