カインド・オブ・ブルーというのは、もちろん"Kind of Blue"で、マイルス・デイビスが1959年に録音した、ジャズのレコードのタイトル。
ジャズの歴史の中で、最高傑作を一枚選べという難題を出されたら、おそらくかなりの数のジャズ・ファンは、このアルバムを選ぶでしょうし、またマイルスが好きでない人でも、しょうがないかと引き下がりそうなくらいの名盤です。
もともと、すべてワン・テイクで収録され、ジャズにはよくある別テイクは無いと云われていました。後に"Flamenco Scketch"だけ、別テイクが見つかりいつの頃からか、必ずおまけに入るようになりました。
そして、21世紀になって、突然海賊盤で"Making of Kind of Blue"が登場して、世界中のマイルス・ファンを驚かせました。
そのころ、膨大なマイルスの音源を保有するColumbia Recordsが、マイルスのマスター・テープの整理に乗り出していました。この成果は、いくつかの時代ごとに未発表テイクを含めたボックスセットとして発売されたわけですが、その中から流出したものというわけです。
この海賊盤は、アルバムのための2回のセッションのそれぞれの収録の様子を、途中の会話なども含めてそのまま収録した内容のもの。冒頭の用命な"So What"が、開始早々にストップしてやり直していたりする生々しい雰囲気が伝わってきます。
その後、Columbiaは、海賊盤の内容をオフィシャルにアルバム50周年記念盤の中に、大部分を含めて発売しています。
もともと、マイルスとピアノのびる・エバンスがちょっとだけアパートで打ち合わせみたいなことをやったとか、実際の現場ではコード進行だけが示されて一気に収録したとか、伝説的なことがたくさん云われています。
そこで、アシュリー・カーンという人が、詳しく取材して、実際にどのようにしてこのアルバムが完成したのかを本にしたのがこれ。2001年に発売されたものですが、実は本の存在は知っていたのですが、ついつい買いそびれていました。
それが、最近新装再発売になったわけで、又と無い機会というわけで、いやぁ思わずポチっとなとしてしまいました。
このいまだに売れ続けている超名盤ですが、50年すぎて著作権が切れたため、なんだかよくわからない会社から安いものが山ほど出回っています。でも、このアルバムについては、オリジナルのジャケットも含めて完成された作品です。もしも、これから買うという方も、オリジナルでも、1000円ちょっとくらいですから、本物を是非購入してもらいたいと思います。