2015年5月17日日曜日

リウマチと15年

そういえば、関節リウマチという病気を中心に診療を行うようになって、ちょうど15年間。自分が医者になってから、半分の時間を費やしてきたことになります。その前にも、一般整形外科医としてリウマチに関わることはことはありましたが、それが専門とはいえませんでした。 外傷中心、つまり救急車と格闘する毎日は、かなり精神的にもへこたれます。ただし、骨折を治すのは「自分の腕」ですから、ケガが治って患者さんが喜ぶというのは、やりがいにもつながるというものです。 一方、リウマチという病気は、治療方法が格段に進歩しましたが、基本的には治せません。現状でも、治ったみたいな状態まではいっても、再発の危険は排除できません。ましてや、以前は少しずつ患者さんの手足の変形が進むのが普通でしたから、その中から結果を出していくのはけっこう大変なことでした。 薬の治療は、治しているのは薬であって、医者は言ってみれは監督みたいなもの。一番力が出せそうな選手を送り出し、適切な采配をふるうのです。ますます薬物療法が中心になってきましたので、一選手として結果を出す手術の機会は減りました。 そういう意味では、一般整形外科として15年、リウマチ専門施設で5年までの選手として蓄積できたノウハウをいかして、今は開業医として監督業にいそしんでいるというところなんでしょうか。 東京女子医科大学の膠原病リウマチ痛風センターに引っ張ってくれた先生には、本当に感謝しています。リウマチセンターの5年間が無かったら、今の自分は無いと思います。特に何が得意というわけでもない、普通の整形外科医としていまだに勤務医をしていたかもしれません。 それが悪いとは言えませんが、少なくとも毎日の業務をこなしていくモチベーションは、年齢とともにどんどん下がっていたのではないかと思います。ちょうどリウマチ診療が激変した時期に、専門として選んだことで、その進歩についていくというのは大変ですが、一方で自分を奮起させているところもあるわけです。 少なくとも、次の10年間にリウマチ診療がどうなるのかは、しっかりと見届けたいと思っています。そうすれば、リウマチに携わって四半世紀となって、大学の偉い先生と肩を並べるとは言いませんが、間違いなく専門家として胸を張れるのではないかという気がしています。