2026年2月20日金曜日
SEKAI NO OWARI / The Dinner (2016)
今更言うまでもなく、SEKAI NO OWARIというバンドは、ベースレス、ドラムレスというかなり変わったメンバー構成で、足りない部分はプログラミングによる処理を行っています。彼らは、そのことで、異端のバンドとして苦労してきたでしょうが、音楽の構成としてメロディとリズムは大切。リズム・セクション無しでは限界があることは百も承知だろうと思います。
スタジオ・ワークだけに限って言えば、「打ち込み」の音を使うことで、それでも大きな問題にはならないかもしれません。しかし、ライブともなると話が違ってきます。もちろんジャズのように、大部分をアドリブでこなす音楽を演奏しているわけではありませんが、それでもあらかじめ作られた部分から逸脱することはできません。
生の演奏での観客とのコミュニケーションというのは、ライブの醍醐味のはずですが、彼らのライブを見ていてどこかに違和感を拭いきれないのは、ファンの方に怒られると思いますが、極端な言い方をすれば「カラオケ・ライブ」を見ているようなところから来ています。
2016年の「The Dinner」と題されたツアーで、彼らは大きな変化を見せてくれます。ライブにサポート・メンバーとしてベースとドラム、そしてストリングスが加わったのです。ベースはマーリン・ケリー、ドラムはマイク・マリントンという外国人ですが、二人ともSMAP、モモクロ他多くの日本人のレコーディングやライブに参加してきた実績があり、以後必ずSEKAI NO OWARIのライブには帯同するようになりました。
「The Dinner」はアリーナ・ツアーで、会場に巨大な洋館を建ててしまいました。バンドのダークな面が強調され、ステージは夜をイメージした暗いセッティングになっています。プログラミングによる音が減った分、いくつかの楽曲では今までとは違うアレンジがなされて、馴染のある曲も新鮮味が戻った感じがします。
2017年のスタジアム・ツアーは「Tarkus」です。タルカスは、Fukaseが創作した話で、後にこのストーリーをベースにした寓話の絵本が作られています。アニマトロにクスを用いたリアルな動物たちがたくさん登場し、彼ら森の動物たちがタルカスと王様の間におこった悲劇を語ります。そして、別々の見方によって善悪はどうにでも裏返ることなので、相手を思いやることが大切だということを示そうとしています。
前のツアーと同じく、ベース、ドラム、ストリングスが加わり、さらにホーン・セクションも加わり、スタジアムの中央に大きな木を取り囲むような円形のステージを用意して、バンド・メンバーらはぐるりと囲むように配置しています。また森の動物たちの声は、お馴染みの山寺宏一の他に夏木マリなども加わり豪華。
ただし、この物語部分の比率が強くなり、SEKAI NO OWARIの音楽とはべつの人形劇を見ているような感じもするので、音楽を聴きたい人にとっては物足りない気分になったかもしれない。もっとも、そんなファンタジーを含めて彼らのファンが集まるということなのかもしれませんね。
2018年には野外ツアー「INSOMNIA TRAIN」が行われました。これは2013年の「炎と森カーニバル」の拡大版みたいなもので、単独のDVDの発売はなく、翌年に発売されたニュー・アルバムの初回限定盤にフル・コンサートがDVDが付属しました。
高さ30m、幅80mにわたる巨大な夢の国のネオンサインあふれる歓楽街のセットが作られて、見る者の度肝を抜きます。いつものストーリーはアニメーションでときどき挟まれますが、今回は控えめです。ニュー・アレンジの楽曲や、翌年発売される新曲が盛り込まれ、セット・リストとしては今までにない新しさを感じるものになりました。
